入管申請を行った後、地方出入国在留管理局から追加資料の提出を求められることがあります。
追加資料を求められたからといって、直ちに不許可や不交付が決まったという意味ではありません。
しかし、当初提出した申請書や添付資料だけでは確認できない点があり、入管が追加の確認を必要としていることを意味します。通知の内容を正確に読み取り、指定された期限までに適切な資料と説明を提出することが重要です。
この記事では、入管から追加資料を求められた場合に確認すべきことと、提出資料を準備する際の注意点を整理します。
1.追加資料とは
追加資料とは、在留資格申請を受け付けた後、審査の過程で入管から提出を求められる補足資料です。
申請時の書類だけでは確認できない点、不明確な点、資料同士に整合しない点、さらに説明が必要な事情などについて、証明書、契約書、理由書その他の資料を求められることがあります。
出入国在留管理庁の各在留資格の提出書類案内でも、申請後の審査過程において、ウェブサイトに掲載されているもの以外の資料を求める場合があると案内されています。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」の提出書類案内にも、その旨が記載されています。
追加資料の要求は、必ずしも申請に問題があることを示すものではありません。一方で、入管がどの点を確認しようとしているのかを読み取る重要な手掛かりになります。
2.追加資料を求められる主なケース
追加資料を求められるケースには、次のようなものがあります。
| 確認される事項 | 求められる資料の例 |
|---|---|
| 仕事内容が不明確 | 職務内容説明書、組織図、業務の流れ、採用理由書 |
| 学歴・職歴との関連性 | 成績証明書、履修科目一覧、専攻内容説明書、職務経歴書 |
| 会社の事業実態 | 決算書、取引契約書、請求書、会社案内、事業所の写真 |
| 雇用条件・報酬 | 雇用契約書、労働条件通知書、給与台帳、給与明細 |
| 収入・扶養能力 | 課税証明書、納税証明書、預金通帳、送金記録 |
| 配偶者関係の実体 | 写真、通信記録、渡航記録、質問書の補足、住居資料 |
| 事業の実態・継続性 | 契約書、請求書、資金資料、事業計画書、許認可資料 |
| 納税・社会保険 | 納税証明書、年金記録、健康保険料の納付資料 |
| 過去の在留状況 | 在職・在学資料、出入国記録、資格外活動の説明 |
| 申請内容の矛盾 | 訂正資料、経緯説明書、矛盾を解消する客観資料 |
追加資料の内容は、申請の種類、在留資格、申請人の経歴、企業や家族の状況によって異なります。
同じ在留資格の申請であっても、すべての申請人に同じ追加資料が求められるわけではありません。
3.通知を受けたら最初に確認すべきこと
追加資料の通知を受けたら、まず次の点を確認します。
- 申請番号
- 申請人の氏名
- 提出期限
- 求められている資料の名称
- 資料によって証明すべき事項
- 対象となる期間
- 原本が必要か、写しでよいか
- 外国語資料に日本語訳が必要か
- 理由書・説明書が必要か
- 誰が準備する資料か
- 取得に時間がかかる資料か
- 提出方法と提出先
- 担当部署や連絡先
特に注意が必要なのは、資料の名称だけでなく、「その資料によって何を確認しようとしているのか」を考えることです。
たとえば、「給与明細を提出してください」という通知であっても、確認したい点は、現在の勤務実態、実際の給与額、雇用の継続性、申請書に記載した報酬との一致など、複数考えられます。
通知の意味が分からないまま、名称が似ている資料だけを提出すると、入管が確認したい点に答えられない可能性があります。
追加資料通知の内容が不明確な場合には、通知書に記載された連絡先や申請先の地方出入国在留管理官署に確認することを検討します。一般的な手続については、出入国在留管理庁の「外国人在留総合インフォメーションセンター等」でも案内されています。
4.資料だけでなく説明も整理する
追加資料では、求められた書類を提出するだけでなく、資料と確認事項との関係を説明した方がよい場合があります。
たとえば、次のようなケースです。
- 収入が一時的に下がった
- 転職や無職の期間がある
- 会社が赤字である
- 会社設立直後で決算書がない
- 夫婦が別居している
- 事業計画と実績に差がある
- 住民税の納付方法が途中で変わった
- 年金・健康保険に未納期間がある
- 申請書の記載に誤りがあった
- 申請時から事情が変わった
- 求められた資料を提出できない
このような場合には、理由書や説明書で次の事項を整理します。
- 入管から求められた事項
- 提出する資料の名称
- その資料が何を証明するのか
- 問題となっている事情が生じた経緯
- 現在の状況
- 既に改善した事項
- 今後の対応
- 提出できない資料とその理由
- 代替資料の内容
複数の資料を提出する場合には、次のような提出資料一覧を付けると、資料と説明の対応関係が分かりやすくなります。
| 番号 | 提出資料 | 証明・説明する事項 |
|---|---|---|
| 1 | 職務内容説明書 | 申請人が担当する具体的な業務 |
| 2 | 組織図 | 配属部署と申請人の位置付け |
| 3 | 雇用契約書 | 雇用期間、報酬、勤務条件 |
| 4 | 成績証明書 | 専攻科目と担当業務との関連性 |
| 5 | 理由書 | 上記資料と申請内容との関係 |
理由書は長ければよいわけではありません。事実、日付、資料との対応関係を簡潔に整理することが重要です。
理由書の基本については、「Ⅴ-5.入管申請の理由書には何を書くべきか」をご参照ください。
5.申請時の内容と矛盾しないか確認する
追加資料を提出する前に、当初の申請書、理由書、添付資料と内容が一致しているかを確認します。
特に、次の事項は矛盾が生じやすい部分です。
- 入社日・退職日
- 雇用期間
- 給与額
- 勤務時間
- 職務内容
- 配属部署
- 学歴・職歴
- 交際開始日・婚姻日
- 同居開始日
- 住所
- 会社の売上や取引状況
- 資本金や出資金の形成経緯
- 税金・年金・健康保険の納付状況
当初の申請内容に誤りがあった場合は、追加資料だけを差し替えて説明を省略するのではなく、誤りが生じた理由、正しい内容、訂正箇所を明確にします。
過去の記載を隠そうとしたり、つじつまを合わせるために事実と異なる説明を追加したりすると、申請全体の信頼性に影響する可能性があります。
申請書類自体に記載漏れや誤りがあった場合は、「Ⅴ-12.入管申請で提出書類に不備があった場合の対応」もご確認ください。
6.提出期限に間に合わない場合
追加資料の通知には、提出期限が指定されていることがあります。
期限に間に合わない可能性がある場合には、期限を過ぎてから対応するのではなく、期限前に通知書記載の担当部署や申請先へ事情を説明し、対応を相談することが重要です。
たとえば、次のような資料は取得に時間がかかることがあります。
- 海外の公的証明書
- 学校の成績証明書・卒業証明書
- 以前の勤務先が発行する在職証明書
- 決算書や税務関係資料
- 取引先から取得する契約書・確認書
- 翻訳が必要な大量の外国語資料
- 海外にいる本人の署名が必要な書類
期限延長や後日の追加提出が当然に認められるわけではありません。
すべての資料がそろわない場合には、期限までに提出できる資料を先に提出したうえで、未提出資料の名称、提出できない理由、取得状況、取得予定日、提出予定日、代替資料の有無を説明する方法が考えられます。
ただし、具体的にどのような対応が認められるかは個別の申請によって異なるため、自己判断で期限を過ぎるのではなく、事前に入管へ確認することが大切です。
詳しくは、「Ⅴ-11.追加資料提出期限に間に合わない場合の考え方」をご参照ください。
7.提出できない資料がある場合
求められた資料をどうしても提出できない場合もあります。
たとえば、次のようなケースです。
- 外国の行政機関から証明書を取得できない
- 以前の勤務先が倒産・廃業している
- 以前の勤務先が在職証明書の発行に応じない
- 過去の資料が保存されていない
- 取引先との守秘義務により、そのまま提出できない
- 紛失や災害などにより原本が残っていない
- 申請人の母国に該当する証明制度がない
この場合には、提出できない資料を放置するのではなく、取得できない理由を具体的に説明し、代替資料を検討します。
代替資料の例としては、次のようなものがあります。
- 在職証明書に代わる給与明細・源泉徴収票・銀行入金記録
- 契約書に代わる発注書・請求書・納品書
- 取引実績を示すメール・送金記録
- 会社の在籍履歴を示す社会保険・税務関係資料
- 写真・通信記録・渡航記録
- 証明書の発行を申請中であることを示す資料
- 関係者が作成した説明書・申述書
- 資料が存在しないことを説明する理由書
代替資料は、元の資料と同じ証明力を持つとは限りません。申請人や関係者が作成した説明書だけでなく、できる限り第三者が作成した資料や客観的な記録を組み合わせることが重要です。
また、再取得できない原本を提出する場合には、返却の可否や手続を事前に確認してください。出入国在留管理庁の各提出書類案内では、提出資料は原則として返却できないため、再度入手することが困難な原本について返却を希望する場合は、申請時に申し出るよう案内されています。
8.外国語資料には日本語訳を付ける
追加資料が外国語で作成されている場合には、原則として日本語の訳文を添付します。
出入国在留管理庁の各在留資格の提出書類案内でも、外国語で作成された提出資料には日本語訳を添付するよう案内されています。
翻訳を準備する際には、次の点を確認します。
- 原文と訳文の対応関係
- 氏名、会社名、住所の表記
- 日付
- 金額・通貨
- 役職・職務内容
- 証明書の発行機関
- 証明書番号
- 訳文の欠落がないか
一部だけを翻訳すると、重要な記載が省略されていると受け取られる可能性があります。資料全体のうちどこまで翻訳する必要があるか判断できない場合には、事前に確認することを検討します。
9.申請後に事情が変わった場合
追加資料を準備している間に、申請時の事情が変わることがあります。
たとえば、次のような場合です。
- 転職・退職した
- 配属先や職務内容が変わった
- 雇用条件や報酬が変わった
- 会社の所在地・名称・事業内容が変わった
- 結婚・離婚・別居があった
- 収入や扶養状況が大きく変わった
- 会社の経営状況が悪化した
- 申請の前提となる契約が終了した
重要な事情が変わったにもかかわらず、申請時点の資料だけを追加提出すると、現在の実態と申請内容が一致しなくなる可能性があります。
変更内容、変更日、変更理由、現在の状況、申請への影響を整理し、必要に応じて入管へ説明します。
事情変更の内容によっては、単なる追加資料の提出だけでは対応できず、現在の申請をそのまま継続できるか、申請内容を見直す必要があるかを検討しなければならない場合もあります。
詳しくは、「Ⅴ-14.申請中に転職・退職・結婚・離婚があった場合の対応」をご参照ください。
10.提出方法と提出記録を確認する
追加資料の提出方法は、窓口申請、オンライン申請など、当初の申請方法や通知内容によって異なります。
通知書やメールに記載された提出方法、提出先、申請番号の記載方法などを確認してください。
オンライン申請の場合も、利用者の区分や手続によって追加資料の提出方法が異なることがあります。出入国在留管理庁の「オンラインでの申請手続に関するQ&A」と、届いた通知の指示を確認することが重要です。
提出後は、次の資料を保存しておきます。
- 提出した資料一式の写し
- 理由書・説明書の控え
- 提出資料一覧
- 送付状
- 受付記録
- 郵送・配送の追跡記録
- オンライン送信結果
- 入管へ問い合わせた日時と回答内容
追加資料を提出した後で、何を提出したのか分からなくなると、追加の問い合わせや不許可後の理由確認に対応しにくくなります。
オンライン申請と窓口申請の違いについては、「Ⅴ-15.オンライン申請と窓口申請の違い」もご確認ください。
11.よくある注意点
追加資料への対応では、次の点に注意が必要です。
- 提出期限を過ぎても連絡しない
- 求められている資料と異なるものを提出する
- 入管が確認したい事項を理解せずに対応する
- 資料だけを提出し、必要な説明を付けない
- 申請時の内容と矛盾する説明をする
- 当初の申請書を確認せず追加資料を作成する
- 不利な事情を隠す
- 事実と異なる資料や説明を作成する
- 外国語資料に日本語訳を付けない
- 会社側、本人側、家族側の説明が一致していない
- 関係の薄い資料を大量に提出する
- 再取得できない原本を確認せず提出する
- 申請後に生じた事情変更を説明しない
- 提出資料の控えや提出記録を残していない
- 電話、郵便、メール、オンラインシステムの通知を確認していない
追加資料は、多ければ多いほどよいわけではありません。
入管から求められた事項に対応し、事実を客観的に示す資料と、資料の意味を説明する文書を整理して提出することが重要です。
12.まとめ
入管から追加資料を求められた場合は、入管が申請内容について確認したい点があるということです。
追加資料を求められたことだけで、不許可・不交付が決まったと判断する必要はありません。一方で、通知の内容を軽視せず、何を確認されているのかを正確に把握することが大切です。
まず、提出期限、資料の内容、対象期間、原本・写し、翻訳の要否、提出方法を確認します。そのうえで、必要に応じて理由書、説明書、提出資料一覧を付け、事実関係と資料との対応を分かりやすく整理します。
期限までに資料がそろわない場合や、求められた資料を提出できない場合には、放置せず、期限前に入管へ相談し、代替資料や提出予定を検討することが重要です。
追加資料への対応は、申請結果に影響する可能性があります。資料を急いで集めるだけでなく、当初申請との整合性、現在の実態、説明内容を確認しながら慎重に進める必要があります。
13.追加資料対応に関するご相談
追加資料通知を受け取ったものの、「何を確認されているのか分からない」「求められた資料が用意できない」「申請時の内容と事情が変わっている」とお困りになることがあります。
行政書士TMY総合法務事務所では、追加資料通知の内容を踏まえた事実関係の整理、必要資料の検討、理由書・説明書の作成、在留資格申請の取次についてご相談を承っています。
提出期限が設定されている場合には、準備できる時間が限られます。対応方法に迷っている場合は、通知を受け取った段階で早めにご相談ください。
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14.次に読みたい関連記事
- Ⅴ-5.入管申請の理由書には何を書くべきか
- Ⅴ-7.在留資格申請が不許可になった場合に確認すべきこと
- Ⅴ-8.再申請をする前に整理すべきポイント
- Ⅴ-11.追加資料提出期限に間に合わない場合の考え方
- Ⅴ-12.入管申請で提出書類に不備があった場合の対応
- Ⅴ-14.申請中に転職・退職・結婚・離婚があった場合の対応
15.参考資料・出典
- 在留資格「技術・人文知識・国際業務」(出入国在留管理庁)
- 在留資格「経営・管理」(出入国在留管理庁)
- 在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン(出入国在留管理庁)
- オンラインでの申請手続に関するQ&A(出入国在留管理庁)
- 外国人在留総合インフォメーションセンター等(出入国在留管理庁)
- 地方出入国在留管理官署(出入国在留管理庁)

