Ⅳ-10. 外国人が飲食店を開業する場合の在留資格と営業許可

外国人が日本で飲食店を開業する場合、在留資格「経営・管理」と、飲食店営業に関する許可の両方を考える必要があります。

「料理が得意だから店を出したい」「母国料理のレストランを開きたい」という希望があっても、会社設立、店舗契約、資金計画、食品衛生法上の営業許可、事業計画などを整えなければなりません。

この記事では、外国人が日本で飲食店を開業する場合の在留資格と営業許可の注意点を整理します。


1. 飲食店経営では経営・管理が問題になる

外国人が日本で飲食店のオーナーとして事業を行う場合、通常は在留資格「経営・管理」が問題になります。

経営・管理は、日本で事業の経営または管理に従事するための在留資格であり、企業等の経営者・管理者が該当例として挙げられています。

ここで重要なのは、本人が「料理人として働く」のか、「飲食店を経営する」のかを分けて考えることです。
経営・管理では、調理作業そのものよりも、事業経営、店舗運営、資金管理、人員管理、売上管理などが中心になります。


2. 飲食店営業には営業許可が必要

飲食店を営業するには、食品衛生法に基づく営業許可が必要です。

厚生労働省は、営業許可申請や営業届出をオンラインで行える食品衛生申請等システムを案内しており、営業許可・届出の内容については管轄保健所に確認するよう案内しています。

横浜市の案内でも、食品関係の営業を始める際は、食品衛生法に基づき、飲食店営業や菓子製造業など、営業内容に応じた営業許可が必要とされています。


3. 物件選びは在留資格と営業許可の両方から確認する

飲食店開業では、物件選びが非常に重要です。

在留資格の観点では、店舗が事業所としての実体を持っているかが問題になります。
営業許可の観点では、厨房設備、手洗い設備、給排水、区画、衛生管理など、施設基準を満たすかが問題になります。

観点確認すること
在留資格事業所として実体があるか
営業許可施設基準を満たすか
賃貸契約飲食店営業が認められているか
内装工事許可基準に合う設備か
資金計画家賃・内装・設備・人件費を見込んでいるか
事業計画売上・客単価・席数・回転率などが現実的か

物件契約後に「営業許可が取れない」「在留資格申請に必要な事務所実体を説明しにくい」となると、計画全体に影響します。


4. 経営者としての活動を説明する

経営・管理では、本人が経営者として実際に活動することが重要です。

飲食店の場合、本人が厨房で調理だけを行うような形では、経営・管理の活動として説明しにくくなる可能性があります。

経営者として説明したい活動には、次のようなものがあります。

  • 事業計画の策定
  • 資金管理
  • 仕入れ先との契約
  • メニュー開発方針の決定
  • 従業員の採用・教育
  • 店舗運営管理
  • 売上・利益管理
  • 広告宣伝
  • 許認可・衛生管理体制の整備

入管庁は、業務委託などにより経営者としての活動実態が十分に認められない場合は、経営・管理に該当する活動とは認められないものとして取り扱うとしています。


5. 事業計画書で特に重要な点

飲食店の事業計画では、数字の根拠が重要になります。

項目内容
店舗コンセプト料理ジャンル、ターゲット客層
立地駅距離、人通り、周辺競合
客単価ランチ・ディナー別の想定
席数・回転率売上予測の根拠
営業日・営業時間月間売上見込み
仕入れ原価率、主要仕入先
人員計画常勤職員、アルバイト
資金計画内装費、保証金、設備費、運転資金
許認可営業許可取得の見込み

単に「人気店にしたい」と書くだけではなく、現実的な売上・費用・利益の見込みを示す必要があります。


6. 食品衛生責任者・HACCPにも注意

飲食店営業では、食品衛生責任者の選任や、HACCPに沿った衛生管理も重要です。

厚生労働省は、食品衛生法改正により、営業許可制度の見直しや営業届出制度の創設、HACCPに沿った衛生管理の制度化などを案内しています。

経営・管理の申請でも、必要な許認可の取得状況や見込みは重要です。入管庁も、事業に必要な許認可の取得状況等を証する資料の提出を求めるとしています。


7. よくある注意点

外国人が飲食店を開業する場合、次のような点に注意が必要です。

  • 在留資格と営業許可を別々に考えていない
  • 物件契約前に保健所へ相談していない
  • 本人の活動が調理中心になっている
  • 経営者としての役割が不明確
  • 事業計画の数字に根拠がない
  • 内装費・人件費・運転資金を過小に見積もっている
  • 営業許可取得前提のスケジュールが不明確
  • 資本金・常勤職員要件を確認していない

まとめ

外国人が日本で飲食店を開業する場合、在留資格「経営・管理」と食品衛生法上の営業許可を合わせて考える必要があります。

店舗物件、営業許可、資金計画、事業計画、常勤職員、経営者としての活動実態を整理することが重要です。

飲食店開業は、在留資格申請、店舗契約、内装工事、営業許可、労務管理が密接に関係します。
早い段階で全体スケジュールを確認して進めることが大切です。


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