外国人を雇用している企業や、日本で生活する外国人の方にとって、在留資格の変更・更新・永住申請にかかる手数料は、決して無視できない実務上のコストです。
これまで、在留資格変更許可や在留期間更新許可の手数料は、比較的低額に抑えられてきました。
しかし、出入国在留管理庁が公表している資料によれば、令和8年、つまり2026年10月1日から、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可に関する手数料が大きく見直される予定です。
特に、在留期間更新許可や在留資格変更許可については、これまでの一律に近い手数料体系から、許可される在留期間に応じて手数料が変わる段階制へ移行する内容となっています。
また、永住許可については、現在の1万円から20万円へ引き上げられる内容が示されています。
この記事では、2026年10月から予定されている在留資格関係手数料の改定について、これまでの経緯、具体的な金額、なぜ大幅な引上げとなるのか、外国人を採用する企業や外国人本人にとって考えられる影響を整理します。
なお、この記事は、2026年7月時点で公表されている出入国在留管理庁及びe-Govパブリック・コメントの資料に基づいて作成しています。今後、政令、ガイドライン、運用上の取扱いが最終的に確定した場合には、最新の公式情報を確認する必要があります。
今回のテーマ:在留資格関係の手数料が大きく変わる
今回話題になっているのは、主に次の手続に関する手数料です。
・在留資格変更許可
・在留期間更新許可
・永住許可
在留資格変更許可とは、たとえば「留学」から「技術・人文知識・国際業務」へ変更する場合や、現在の在留資格から別の在留資格へ変更する場合の手続です。
在留期間更新許可とは、現在の在留資格で引き続き日本に在留するため、在留期限前に更新する手続です。
永住許可とは、現在の在留資格を持つ外国人が、「永住者」への在留資格変更を希望する場合に、法務大臣から受ける許可です。
出入国在留管理庁は、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可などの手続について、それぞれ公式ページで申請手続を案内しています。
(出典:手続の種類から探す 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
これまでの手数料はどうだったか
現在の手数料体系は、2025年4月1日に一度改定されています。
出入国在留管理庁は、2025年4月1日から「出入国管理及び難民認定法施行令の一部を改正する政令」が施行されることに伴い、在留資格変更許可等に係る手数料が改定され、オンラインで手続を行った場合の手数料も新たに定められると案内しています。
(出典:在留手続等に関する手数料の改定 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
2025年4月1日以降の主な手数料は、次のとおりです。
| 手続 | 2025年3月31日まで | 2025年4月1日以降 |
|---|---|---|
| 在留資格変更許可 | 4,000円 | 窓口6,000円・オンライン5,500円 |
| 在留期間更新許可 | 4,000円 | 窓口6,000円・オンライン5,500円 |
| 永住許可 | 8,000円 | 10,000円 |
2025年4月の改定時点では、在留資格変更許可・在留期間更新許可については、従来の4,000円から6,000円へ、永住許可については8,000円から10,000円へ引き上げられました。
ただし、この段階では、企業や外国人本人にとって、まだ「数千円単位の改定」という受け止め方もできる内容でした。
ところが、2026年10月から予定されている改定は、これとは性質が異なります。
在留期間に応じた段階制となり、長い在留期間が許可された場合には、手数料が数万円規模になります。
なぜ2026年に大幅改定となるのか
今回の大幅改定の背景には、令和8年入管法等改正があります。
出入国在留管理庁は、令和8年入管法等改正について、2026年5月29日に第221回特別国会で成立し、2026年6月5日に公布されたと公表しています。
(出典:令和8年入管法等改正法について 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
この改正には、JESTA、つまり電子渡航認証制度の創設とともに、在留資格変更許可等に係る手数料の額の上限額引上げ等が含まれています。
改正前の入管法第67条では、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可等の手数料について、「1万円を超えない範囲内」において政令で定める額を納付することとされていました。
(出典:出入国管理及び難民認定法 e-Gov法令検索より)
しかし、今回の改正により、法律上の上限額が引き上げられ、実際の金額は政令で定める仕組みとなっています。
2026年7月3日にe-Govで公表された資料では、在留資格変更許可・在留期間更新許可について、在留期間に応じた改定後の手数料が示されています。
(出典:在留許可手数料の額及び減額又は免除の対象者等について e-Govパブリック・コメント関連資料より)
入管庁が示している積算の考え方
今回の手数料改定について、出入国在留管理庁の公表資料では、手数料の積算の考え方も示されています。
在留資格変更許可・在留期間更新許可については、主に次の要素が挙げられています。
・審査に要する実費
・外国人の出入国及び在留の公正な管理に要する費用
・外国人受入れ・共生施策に関する費用
・オンライン申請の促進
・諸外国における同種の手数料額
公表資料では、審査に要する実費として、人件費が6,300円程度、システム開発・運用費や事務費等の物件費が3,300円程度とされ、合計で1万円程度と示されています。
また、在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料については、審査実費に加え、在留期間に応じた応益的要素や政策的要素を加味し、1万円から7万5千円の範囲とされています。
永住許可については、通常の変更・更新審査に比べて審査に時間を要することから、審査に要する実費が2万円程度とされ、さらに永住許可を受けた後の在留期間の平均が13.5年程度であることなどを踏まえ、応益的要素として18万円程度が示されています。その結果、永住許可の手数料額は20万円とされています。
(出典:在留許可手数料の額及び減額又は免除の対象者等について e-Govパブリック・コメント関連資料より)
つまり、今回の改定は、単純に「手数料を値上げする」というだけでなく、審査実費、在留管理行政の費用、共生施策、オンライン申請促進、諸外国との比較などを含めた再設計として説明されています。
ただし、この考え方や負担のあり方については、さまざまな意見があり得ます。
とくに、外国人本人の生活状況、家族構成、雇用形態、更新頻度によっては、負担感が大きく異なる点に注意が必要です。
2026年10月から予定されている手数料
2026年7月時点で公表されている資料によれば、在留資格変更許可・在留期間更新許可の改定後手数料は、許可される在留期間に応じて次のように整理されています。
| 許可される在留期間 | 窓口申請 | オンライン申請 |
|---|---|---|
| 3か月以下 | 10,000円 | 10,000円 |
| 3か月超6か月以下 | 18,000円 | 15,000円 |
| 6か月超1年未満 | 25,000円 | 21,000円 |
| 1年 | 33,000円 | 27,000円 |
| 1年超3年未満 | 48,000円 | 42,000円 |
| 3年以上5年未満 | 64,000円 | 56,000円 |
| 5年以上 | 75,000円 | 65,000円 |
永住許可については、次の金額が示されています。
| 手続 | 改定後の手数料 |
|---|---|
| 永住許可 | 200,000円 |
(出典:在留許可手数料の額及び減額又は免除の対象者等について e-Govパブリック・コメント関連資料より)
ここで注意したいのは、在留資格変更許可・在留期間更新許可の手数料は、「申請した在留期間」ではなく、実際に許可される在留期間に応じて決まる点です。
たとえば、5年を希望して申請しても、実際に1年の在留期間が許可された場合には、1年の区分の手数料になると考えられます。
反対に、5年の在留期間が許可された場合には、窓口申請で75,000円、オンライン申請で65,000円となる予定です。
オンライン申請の方が低く設定されている
今回の改定案では、多くの区分でオンライン申請の手数料が窓口申請より低く設定されています。
たとえば、5年以上の在留期間が許可される場合、窓口申請では75,000円、オンライン申請では65,000円です。
3年以上5年未満の場合も、窓口申請では64,000円、オンライン申請では56,000円となっています。
出入国在留管理庁の公表資料では、オンライン申請の促進を図るため、窓口申請との間に3,000円から1万円の差を設けるとされています。
(出典:在留許可手数料の額及び減額又は免除の対象者等について e-Govパブリック・コメント関連資料より)
外国人を継続的に雇用する企業にとっては、今後、オンライン申請を前提とした社内体制を整えることが、手続コストの面でも重要になります。
行政書士に依頼する場合でも、オンライン申請に対応しているか、見積書の中で「入管に納付する手数料」と「行政書士報酬」が分けて表示されているかを確認することが大切です。
永住許可は20万円へ
今回の改定で特に影響が大きいのが、永住許可です。
現在、永住許可の手数料は10,000円です。
公表資料では、改定後の永住許可手数料は200,000円とされています。
永住許可は、日本で長期的に生活し、就労や家族生活を安定させたい外国人にとって、非常に重要な手続です。
ただし、永住許可は、単に手数料を支払えば認められるものではありません。
出入国在留管理庁の永住許可に関するガイドラインでは、素行が善良であること、独立生計要件、国益適合要件などが示されています。
(出典:永住許可に関するガイドライン 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
今回の手数料改定により、永住申請を検討する方の中には、「10月前に急いで申請した方がよいのか」と考える方も出てくると思われます。
しかし、永住申請は、申請時期だけで判断すべきではありません。
年収、納税、年金、健康保険、出国日数、扶養関係、在留状況、家族関係などを確認し、許可の見込みを慎重に検討する必要があります。
手数料の改定前に申請したいという理由だけで、要件が整わないまま急いで申請すると、不許可リスクが高まる可能性があります。
減額・免除の制度も示されているが、対象は限定的
今回の改定では、減額又は免除の仕組みも示されています。
e-Govでは、2026年7月3日から「在留許可手数料の減額対象者のガイドライン(案)」について意見募集が行われています。
(出典:「在留許可手数料の減額対象者のガイドライン(案)」に係る意見募集について e-Govパブリック・コメントより)
公表資料では、減額対象者について、生活保護法に規定する要保護者に準ずる程度に生活に困窮していると認められる者であり、かつ、人道上の配慮をする必要がある者が対象になり得るとされています。
また、永住許可を受ける者については、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者又は子等に限り、在留許可手数料の減額の対象となり得るとされています。
(出典:在留許可手数料の減額対象者のガイドライン(案)について e-Govパブリック・コメント関連資料より)
したがって、手数料が高くなるからといって、広く一般的に減額が認められる制度になるとは限りません。
2026年7月時点では、減額対象者のガイドラインは「案」の段階であり、最終的な内容は今後の公表を確認する必要があります。
外国人を採用する企業への影響
今回の手数料改定は、外国人本人だけでなく、外国人を雇用する企業にも影響します。
特に、次のような企業では注意が必要です。
・外国人社員を複数名雇用している企業
・特定技能外国人を継続的に雇用している企業
・留学生を新卒採用する企業
・海外から外国人社員を呼び寄せる企業
・高度人材や外国人管理職を採用する企業
・更新時期が同じ外国人社員を多数抱えている企業
企業が確認すべき主なポイントは、次のとおりです。
・外国人社員ごとの在留期限
・次回更新予定日
・在留資格変更が必要な社員の有無
・更新手数料を本人負担にするのか、会社が負担するのか
・会社が負担する場合、福利厚生又は採用コストとしてどう扱うか
・オンライン申請を利用できる体制があるか
・在留期間を長く取得できるよう、雇用管理・納税・届出・労務管理を整えているか
・永住申請を希望する社員への支援方針
外国人社員の在留期間更新は、本人の手続である一方、雇用主にとっても重要な労務管理事項です。
在留資格の更新ができなければ、その社員は適法に就労を続けることができません。
そのため、企業は「手数料が高くなる」という費用面だけでなく、在留期限管理、申請時期、必要書類、雇用契約、報酬、社会保険、税務なども含めて確認する必要があります。
外国人採用全体の基本については、関連記事「外国人を採用する前に企業が確認すべき在留資格の基本」もあわせてご参照ください。
外国人本人への影響
外国人本人にとっても、今回の改定は大きな影響があります。
特に、1年更新が続いている方、家族全員の更新時期が近い方、永住申請を検討している方にとっては、負担が大きくなる可能性があります。
たとえば、本人、配偶者、子どもなど家族全員が在留期間更新を行う場合、それぞれについて手数料が必要になります。
また、在留期間が1年なのか、3年なのか、5年なのかによって、手数料が大きく変わります。
ただし、在留期間は本人が自由に選べるものではありません。
在留資格、活動内容、在留状況、雇用状況、納税、社会保険、届出状況などを踏まえて、入管が個別に判断します。
したがって、単に「5年を希望すればよい」というものではありません。
長い在留期間を希望する場合は、日頃から在留状況を整えておくことが重要です。
在留期間の考え方については、関連記事「在留期間とは?1年・3年・5年の違いと更新時の考え方」もご参照ください。
永住申請を検討する方が注意すべきこと
永住許可の手数料が20万円になる見込みであることから、永住申請を検討している方には大きな関心事です。
しかし、永住申請は、費用だけで判断してはいけません。
特に、次の点を確認する必要があります。
・必要な在留年数を満たしているか
・年収や世帯収入に問題がないか
・住民税を期限どおり納付しているか
・年金を適正に納付しているか
・健康保険に未納や遅れがないか
・出国日数が多すぎないか
・扶養人数が収入に対して過大でないか
・交通違反や刑罰歴に問題がないか
・現在の在留資格に合った活動をしているか
永住申請は、一度不許可になると、その後の再申請にも影響することがあります。
手数料改定前に申請したいという気持ちは理解できますが、要件が整っていない状態で申請することはおすすめできません。
永住申請を検討している方は、改定前に申請できるかどうかだけでなく、許可の見込みがある状態かどうかを確認することが大切です。
高度人材ポイントを使って永住申請を検討する場合についての詳細は、関連記事「高度人材ポイントを使って永住申請を検討する場合の注意点」をご参照ください。
オンライン申請を前提とした体制整備が重要になる
今回の改定では、オンライン申請の方が窓口申請より低い金額に設定されています。
このことから、今後は企業側でも、オンライン申請を前提とした体制整備が重要になります。
出入国在留管理庁は、在留申請オンラインシステムについて、利用できる手続や利用者区分を案内しています。
(出典:在留申請のオンライン手続 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
企業が確認すべき点は、次のとおりです。
・自社でオンライン申請を行う体制があるか
・申請取次行政書士に依頼する体制があるか
・外国人社員ごとの在留期限を一覧化しているか
・必要書類を電子データで管理しているか
・更新時期の3か月前から準備できるか
・会社資料、雇用契約書、決算資料などをすぐに出せるか
オンライン申請を利用できれば、手数料面だけでなく、窓口へ行く負担の軽減にもつながります。
ただし、オンライン申請ができるかどうか、誰が申請するか、どの在留資格が対象かは、個別に確認する必要があります。
企業が今から準備しておきたいこと
今回の手数料改定に向けて、外国人を雇用する企業は、次のような準備をしておくとよいでしょう。
・外国人社員の在留期限一覧を作成する
・2026年10月前後に更新・変更が必要な社員を確認する
・本人負担か会社負担か、社内方針を決める
・採用時の説明資料を更新する
・外国人社員向けの案内文を準備する
・オンライン申請を利用できる体制を確認する
・行政書士に依頼する場合の見積書を見直す
・永住申請を希望する社員について、要件確認を早めに行う
・在留期間が短くなりがちな原因を確認する
・納税、社会保険、届出義務の管理を徹底する
特に、外国人社員が多い企業では、更新時期が集中すると、手数料負担も事務負担も大きくなります。
今後は、在留資格管理を単なる「期限管理」ではなく、採用・労務・費用管理の一部として考える必要があります。
外国人社員の在留期間更新で企業が準備すべき資料については、関連記事「外国人社員の在留期間更新で会社が準備すべき書類」もご参照ください。
まとめ
2026年10月1日から、在留資格変更許可、在留期間更新許可、永住許可に関する手数料が大幅に改定される予定です。
この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。
・2025年4月1日に、在留資格変更・更新は4,000円から6,000円へ、永住許可は8,000円から10,000円へ改定された
・令和8年入管法等改正により、手数料上限額の引上げが行われた
・2026年7月時点の公表資料では、施行日は2026年10月1日とされている
・在留資格変更許可・在留期間更新許可は、在留期間に応じた段階制になる予定である
・5年以上の在留期間が許可される場合、窓口75,000円、オンライン65,000円とされている
・永住許可は20万円とされている
・オンライン申請は窓口申請より低く設定されている区分が多い
・減額・免除制度も示されているが、対象は限定的と考えられる
・企業は外国人社員の在留期限、更新時期、費用負担方針を早めに整理する必要がある
・永住申請は、手数料改定前に急ぐだけでなく、許可要件が整っているかを慎重に確認する必要がある
・2026年7月時点では、ガイドライン案など今後最終確認が必要な事項もある
今回の手数料改定は、外国人雇用の実務に大きな影響を与える可能性があります。
外国人を雇用する企業は、在留期限管理、更新スケジュール、オンライン申請の利用、費用負担方針を早めに整理しておくことをおすすめします。
外国人本人にとっても、更新や永住申請のタイミングを考える重要な制度変更です。
ただし、手数料を理由に無理な申請をするのではなく、在留資格の要件、納税、年金、社会保険、在留状況を整えた上で、適切なタイミングで手続を進めることが大切です。
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・在留資格・入管手続き総合ガイド
・高度専門職とは?高度人材ポイント制の基本
・外国人管理職の在留資格|外資系企業・日本法人で採用する際の注意点
参考資料・出典
・令和8年入管法等改正法について 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留手続等に関する手数料の改定 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留許可手数料の額及び減額又は免除の対象者等について e-Govパブリック・コメント関連資料より
・「在留許可手数料の減額対象者のガイドライン(案)」に係る意見募集について e-Govパブリック・コメントより
・在留許可手数料の減額対象者のガイドライン(案)について e-Govパブリック・コメント関連資料より
・出入国管理及び難民認定法 e-Gov法令検索より
・在留申請のオンライン手続 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・永住許可に関するガイドライン 出入国在留管理庁ウェブサイトより

