特定技能で外国人を雇用する場合、在留資格申請では多くの書類を準備する必要があります。
特定技能の申請書類は、通常の就労資格と比べても種類が多く、本人に関する資料、受入れ企業に関する資料、支援計画に関する資料、分野別資料に分かれています。
企業からは、次のような相談を受けることがあります。
・特定技能の申請では、どの書類が必要ですか
・海外から呼ぶ場合と、日本国内で変更する場合で書類は違いますか
・本人の技能試験や日本語試験の合格証は必要ですか
・技能実習2号を修了していれば、試験書類は不要ですか
・受入れ企業側はどのような資料を出しますか
・支援計画や登録支援機関の資料も必要ですか
・分野別資料とは何ですか
・過去に特定技能外国人を受け入れていれば、書類を省略できますか
特定技能の申請で重要なのは、単に書類を多く集めることではありません。
外国人本人、受入れ企業、雇用契約、支援体制、分野別要件が、それぞれ制度に適合していることを資料で説明することです。
この記事では、特定技能で外国人を雇用する場合の必要書類について、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請の違い、本人資料、所属機関資料、支援資料、分野別資料を整理します。
まず申請の種類を確認する
特定技能の申請では、まず、どの手続きなのかを確認します。
主な手続きは、次の3つです。
1在留資格認定証明書交付申請
海外にいる外国人を日本へ呼び寄せる場合の手続きです。
受入れ企業側で必要書類を準備し、地方出入国在留管理局へ申請します。
認定証明書が交付された後、外国人本人が在外公館で査証申請を行い、日本へ入国します。
在留資格変更許可申請
すでに日本にいる外国人を、現在の在留資格から特定技能へ変更する場合の手続きです。
たとえば、技能実習から特定技能、留学から特定技能、特定活動から特定技能へ変更する場合です。
在留期間更新許可申請
すでに特定技能の在留資格を持つ外国人が、同じ受入れ企業で活動を継続する場合の手続きです。
更新では、新規受入れや変更申請に比べて一部書類が簡略化される場合があります。
出入国在留管理庁の特定技能ページでは、認定、変更、更新ごとに提出書類一覧表が分かれて案内されています。
(出典:在留資格「特定技能」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
特定技能の提出書類は3つに分かれる
特定技能の提出書類は、大きく次の3つに分かれます。
・申請人に関する必要書類
・所属機関に関する必要書類
・分野に関する必要書類
出入国在留管理庁の案内でも、特定技能1号・2号それぞれについて、申請人に関する必要書類、所属機関に関する必要書類、分野に関する必要書類が整理されています。
(出典:在留資格「特定技能」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
実務上は、これらを次のように理解すると分かりやすいです。
| 書類区分 | 主な内容 |
|---|---|
| 申請人に関する書類 | 外国人本人の身分、技能、日本語、健康、経歴、在留状況 |
| 所属機関に関する書類 | 受入れ企業の適格性、雇用契約、税金、社会保険、支援体制 |
| 分野に関する書類 | 各産業分野ごとの対象業務、協議会、分野別基準、試験、誓約書等 |
特定技能では、この3つがそろって初めて申請の全体像になります。
共通して必要になる基本書類
申請の種類にかかわらず、基本的に次のような書類が問題になります。
・申請書
・写真
・パスポート
・在留カード
・申請人名簿
・特定技能外国人の在留諸申請に係る提出書類一覧・確認表
・各種参考様式
・申請人本人以外が申請する場合の身分確認資料
在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請では、本人のパスポート及び在留カードの提示が必要とされています。
(出典:在留資格「特定技能」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
申請取次者を介して複数の申請人を同時申請する場合には、申請人名簿が必要になることがあります。
外国人本人に関する資料
申請人に関する資料では、主に次の点を証明します。
・本人の身分
・年齢
・健康状態
・技能水準
・日本語能力
・保証金、違約金がないこと
・費用負担の内容を理解していること
・過去の在留状況
・技能実習修了の有無
具体的には、次のような資料が考えられます。
・パスポート写し
・履歴書
・健康診断個人票
・技能試験合格証明書
・日本語試験合格証明書
・技能実習2号良好修了を証明する資料
・評価調書
・雇用条件に関する確認書類
・費用負担に関する説明書
・本国側手続きに関する資料
技能実習2号を良好に修了した外国人が、対応する業務区分で特定技能1号へ移行する場合、技能試験及び日本語試験が免除されることがあります。
(出典:外国人労働者に関する制度概要、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
ただし、技能実習を修了していれば全ての分野・業務で試験免除になるわけではありません。
技能実習の職種・作業と特定技能の業務区分との対応関係を確認する必要があります。
技能試験・日本語試験の書類
特定技能1号では、原則として分野別の技能試験と日本語試験に合格する必要があります。
一般的には、次の資料を確認します。
・分野別技能試験の合格証明書
・国際交流基金日本語基礎テストの結果
・日本語能力試験N4以上の合格証明
・介護日本語評価試験等、分野固有の日本語試験
・技能実習2号良好修了による免除資料
分野によっては、日本語能力について追加要件が設けられています。
たとえば、介護分野では介護日本語評価試験、自動車運送業や鉄道分野の一部業務では、より高い日本語能力が問題になります。
試験合格証は、氏名、生年月日、受験番号、分野、業務区分が申請内容と一致しているかを確認します。
雇用契約に関する資料
受入れ企業と外国人本人が結ぶ雇用契約は、特定技能雇用契約として適正である必要があります。
主な資料は、次のとおりです。
・特定技能雇用契約書
・雇用条件書
・報酬に関する説明書
・同等業務に従事する日本人との報酬比較資料
・労働条件通知書
・就業規則
・賃金規程
・控除項目に関する説明
・住居費、食費等の負担に関する説明
・有給休暇、帰国休暇に関する説明
特定技能では、日本人と同等以上の報酬が重要です。
報酬額だけでなく、手当、賞与、控除、住居費負担などを含め、実質的に不利な取扱いになっていないかを確認します。
受入れ企業に関する資料
所属機関に関する資料では、受入れ企業が特定技能外国人を適正に雇用できる機関であることを証明します。
法人の場合、主な資料には次のようなものがあります。
・登記事項証明書
・役員の住民票等
・決算文書
・法人税、消費税等の納税証明書
・労働保険料の納付資料
・社会保険料の納付資料
・源泉所得税の納付資料
・誓約書
・受入れ機関概要書
・雇用契約書
・支援体制に関する資料
個人事業主の場合は、確定申告書、納税証明書、事業の実態資料などが問題になります。
出入国在留管理庁の提出書類一覧では、所属機関に関する必要書類について、一定の条件を満たす企業等と、法人、個人事業主で区分して案内されています。
(出典:在留資格「特定技能」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
所属機関資料を省略できる場合
同一年度内に特定技能外国人を既に受け入れている所属機関については、一定の所属機関資料が提出不要となる場合があります。
出入国在留管理庁の特定技能ページでも、同一年度内に特定技能外国人を既に受け入れている所属機関については、第2表の1から3に掲載されている書類は提出不要である旨が案内されています。
(出典:在留資格「特定技能」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
ただし、これは全ての企業資料が不要になるという意味ではありません。
また、企業の状況が変わっている場合、分野別資料や雇用契約に関する資料は引き続き必要です。
省略できるかどうかは、申請時点の提出書類一覧表で確認する必要があります。
支援計画に関する資料
特定技能1号では、1号特定技能外国人支援計画が必要です。
主な資料は、次のとおりです。
・1号特定技能外国人支援計画書
・支援責任者に関する資料
・支援担当者に関する資料
・相談対応体制に関する資料
・登録支援機関へ委託する場合の支援委託契約書
・登録支援機関の概要資料
・事前ガイダンスの実施記録
・生活オリエンテーション資料
・支援実施方法に関する説明
支援計画には、10項目の支援内容、実施方法、対応言語、担当者、委託の有無などを記載します。
支援の全部を登録支援機関へ委託する場合は、登録支援機関との契約内容も重要です。
地方自治体への協力確認書
2025年4月1日以降、特定技能所属機関は、地域の共生施策に関する協力確認書を、特定技能外国人が活動する事業所の所在地と住居地が属する市区町村へ提出する必要があります。
初めて特定技能外国人を受け入れる場合は、特定技能雇用契約を締結後、在留資格認定証明書交付申請又は在留資格変更許可申請を行う前に提出します。
既に特定技能外国人を受け入れている場合は、施行期日以降、初めてその外国人に係る変更申請又は更新申請を行う前に提出します。
(出典:特定技能制度における地域の共生施策に関する連携、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
協力確認書は、申請時の添付書類そのものではなく、自治体へ提出する文書ですが、在留諸申請においても共生施策への協力を申告することになります。
分野別資料
特定技能では、分野別資料が非常に重要です。
分野別資料では、次のような点を証明します。
・対象分野に該当すること
・業務区分に該当すること
・技能試験が該当業務に対応していること
・協議会加入
・分野別誓約書
・業界団体加入
・許認可
・受入計画
・分野所管省庁の認定
・事業所の適格性
出入国在留管理庁の提出書類一覧では、特定技能1号について分野別の第3表が案内されています。
分野によって必要書類は大きく異なります。
たとえば、介護、建設、外食業、宿泊、農業、漁業、工業製品製造業では、それぞれ確認すべき資料が異なります。
「特定技能」という共通の在留資格であっても、分野別資料を確認しないと申請は進められません。
建設分野など追加資料が多い分野
建設分野など一部の分野では、他の分野よりも追加資料が多くなります。
たとえば、建設分野では、国土交通省関係の手続きや建設キャリアアップシステム、建設業許可、受入計画などが問題になります。
自動車運送業、鉄道、工業製品製造業、介護などでも、分野固有の基準や資料があります。
企業は、入管庁の共通書類だけでなく、分野所管省庁の案内を確認する必要があります。
海外から呼び寄せる場合の追加確認
海外から特定技能外国人を呼び寄せる場合は、日本側の在留資格認定証明書交付申請に加え、本国側手続きにも注意が必要です。
国によっては、次のような手続きが必要になることがあります。
・送出機関の利用
・推薦者表
・海外雇用許可
・労働契約の認証
・本国政府機関への登録
・健康診断
・事前教育
日本側の申請書類がそろっていても、本国側手続きが未了だと入国まで進まないことがあります。
採用予定者の国籍に応じて、二国間取決めや本国政府の案内を確認することが大切です。
日本国内で変更する場合の注意点
日本国内にいる外国人を特定技能へ変更する場合は、現在の在留資格と活動状況を確認します。
主な確認事項は、次のとおりです。
・現在の在留資格
・在留期限
・現在の活動内容
・資格外活動許可の有無
・技能実習修了状況
・留学生の場合の出席率や資格外活動状況
・過去の在留資格申請歴
・納税、社会保険
・退学、退職、離職の時期
・変更許可前に就労させていないか
在留資格変更許可が出る前に特定技能として働かせることはできません。
特に、技能実習から特定技能へ移行する場合、申請中に稼働できない期間が発生することがあります。
入社日や配属日を決める際は、許可時期を見込んで計画する必要があります。
在留期間更新の場合の書類
既に特定技能の在留資格を持つ外国人が、同じ活動を継続する場合は、在留期間更新許可申請を行います。
出入国在留管理庁の提出書類一覧では、在留期間更新許可申請について、特定技能1号・2号ともに、更新時は第2表が不要と案内されています。
(出典:在留資格「特定技能」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
ただし、更新だから簡単に許可されるわけではありません。
更新時には、次の点が確認されます。
・雇用契約どおりに就労しているか
・報酬が適正に支払われているか
・支援計画が実施されているか
・届出義務を履行しているか
・税金、社会保険に問題がないか
・分野別基準を満たしているか
・転職、配置変更、契約変更がないか
更新申請では、受入れ実績が審査される点に注意が必要です。
書類の不備が起きやすいポイント
特定技能申請では、次のような不備がよく問題になります。
・本人の試験合格区分と業務区分が一致していない
・技能実習の職種・作業と特定技能の業務区分が対応していない
・報酬説明が不十分
・支援計画が形式的
・登録支援機関との契約内容が不明確
・分野別協議会への加入が未了
・協力確認書の提出を忘れている
・雇用契約開始日と申請時期が合っていない
・社会保険料や税金に未納がある
・分野別資料を見落としている
・受入れ企業の決算資料が不足している
・本国側手続きを確認していない
特定技能では、書類の種類が多いため、申請直前に不備が見つかると、入社予定に大きく影響します。
行政書士に相談するメリット
特定技能の必要書類は、本人、企業、支援、分野別資料が複雑に関係します。
行政書士に相談することで、次の点を整理できます。
・申請の種類
・本人の要件
・技能試験・日本語試験の確認
・技能実習修了による試験免除の可否
・雇用契約の確認
・報酬説明
・所属機関資料
・支援計画
・登録支援機関との委託資料
・分野別資料
・協力確認書
・申請時期
・許可前就労の防止
特定技能では、必要書類の確認だけでなく、実際にその雇用が制度に適合するかを確認することが重要です。
まとめ
特定技能で外国人を雇用する場合、必要書類は大きく、申請人に関する書類、所属機関に関する書類、分野に関する書類に分かれます。
この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。
・まず認定、変更、更新のどの申請かを確認する
・特定技能の書類は申請人、所属機関、分野別資料に分かれる
・本人については技能試験、日本語試験、健康、経歴、在留状況を確認する
・技能実習2号良好修了者は試験免除になる場合がある
・雇用契約書、雇用条件書、報酬説明書が重要である
・受入れ企業については法人、個人事業主ごとに資料が異なる
・同一年度内に受入れ実績がある場合、一部所属機関資料が省略されることがある
・特定技能1号では支援計画が必要である
・登録支援機関へ委託する場合は支援委託契約書等を確認する
・2025年4月以降は地方自治体への協力確認書も重要である
・分野別資料は分野ごとに大きく異なる
・海外から呼ぶ場合は本国側手続きも確認する
・在留資格変更許可前に働かせてはならない
・更新申請では受入れ実績と届出状況が確認される
特定技能の申請は、書類を集めれば終わるものではありません。
本人、企業、支援体制、分野別基準が制度に適合しているかを確認し、入社日や就労開始時期も含めて計画的に準備することが大切です。
次に読みたい関連記事
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参考資料・出典
・在留資格「特定技能」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・特定技能制度 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・特定技能関係の申請・届出様式一覧 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・外国人労働者に関する制度概要 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・特定技能外国人受入れに関する運用要領 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・1号特定技能外国人支援・登録支援機関について 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・特定技能制度における地域の共生施策に関する連携 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・特定技能所属機関・登録支援機関による届出 出入国在留管理庁ウェブサイトより

