外国人を採用する企業が増えています。
人手不足への対応、海外取引の拡大、インバウンド対応、多言語対応、専門人材の確保、海外拠点との連携など、外国人雇用の目的はさまざまです。
しかし、外国人を採用する場合には、日本人を採用する場合とは異なり、在留資格の確認が必要です。
外国人本人に働く意欲があり、企業としても採用したいと考えていても、予定している仕事内容がその人の在留資格で認められていなければ、そのまま働かせることはできません。
「正社員として雇うから大丈夫」
「日本の大学を卒業しているから問題ない」
「前の会社でも働いていたから、そのまま採用できる」
「在留カードがあるから働ける」
「本人が大丈夫と言っているから大丈夫」
このような判断は危険です。
外国人雇用では、在留カードの有無だけでなく、在留資格、在留期限、就労制限、資格外活動許可、指定書、仕事内容、本人の学歴・職歴、会社の事業内容、雇用契約、入社時期を総合的に確認する必要があります。
この記事では、外国人を採用する前に企業が確認すべき在留資格の基本を、採用実務に沿って解説します。
- 1. 在留資格とは何か
- 2. 在留カードだけで判断してはいけない
- 3. まず確認すべきは「就労できる在留資格か」
- 4. 「就労可能」と「その仕事ができる」は別問題
- 5. 相談が多い「技術・人文知識・国際業務」
- 6. 典型的な業務は?
- 7. 注意点として
- 8. 確認すべきポイント
- 9. 採用パターンごとに必要な確認は異なる
- 10. 採用前に企業が確認すべきチェックリスト
- 11. 雇用契約書・職務内容説明書で整合性を取る
- 12. 採用後に必要な外国人雇用状況の届出
- 13. 企業側に生じるリスク
- 14. よくある失敗例
- 15. 採用前に行政書士へ相談すべきケース
- 16. まとめ
- 17. 在留資格・外国人雇用のご相談
- 18. 次に読みたい関連記事
- 参考資料・出典
1. 在留資格とは何か
在留資格とは、外国人が日本に在留して行うことができる活動又は日本に在留できる身分・地位を示すものです。
1-1. ビザと在留資格の違い
一般には「就労ビザ」「ビザ」と呼ばれることが多いですが、正確には、日本に入国するための「ビザ」と、日本で活動するための「在留資格」は別の制度であり、同じものではありません。
ビザとは
ビザとは、海外にある日本大使館・総領事館などの在外日本公館で発給される「査証」を指します。
簡単に言えば、ビザは「その外国人が日本に来ることについて、入国前の段階で差し支えないと確認・推薦する書類」です。ただし、ビザが発給されたからといって、日本への入国が当然に保証されるわけではありません。最終的に日本への入国を認めるかどうかは、空港などで行われる上陸審査により判断されます。
在留資格とは
これに対し、「在留資格」は、外国人が日本でどのような活動を行うことができるか、どのような身分・地位に基づいて滞在できるかを示す資格です。特に、外国人を日本に呼び寄せて就労させる場合には、在留資格認定証明書交付申請により、日本で予定している活動がどの在留資格に該当し、上陸のための条件に適合しているかが、事前に審査されます。
整理
つまり、ビザは主に「日本に入国する前の確認・推薦」に関わるもの、在留資格は「日本で何をして滞在できるか」に関わるものと整理すると分かりやすいです。企業が外国人を雇用する際に主に確認すべきなのは、この「在留資格」です。
1-2. 用語の区別とつかい分け
行政書士のウェブサイトなどでも、「在留資格」のことを「就労ビザ」と表現することがあります。これは、一般の方に広く知られた言い方を用いて分かりやすく説明するためであり、厳密な法律用語としては正確ではありません。当サイトでも、読者に分かりやすく伝えるため、見出しなどで「ビザ」という表現を使うことがありますが、制度上は「ビザ」と「在留資格」は異なるものとして区別して説明しています。
出典:外務省、出入国在留管理庁「入国・帰国手続」
1-3. 在留資格の種類
出入国在留管理庁の在留資格一覧表では、日本で行う活動内容に応じた在留資格として、「技術・人文知識・国際業務」「企業内転勤」「技能」「特定技能」「留学」「家族滞在」などが整理されており、身分や地位に応じた在留資格として、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」などが整理されています。
(出典:在留資格一覧表、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
1-4. 企業が確認すべき事
企業が外国人を採用する際には、まず次の点を確認します。
・現在どの在留資格で日本にいるのか
・その在留資格で就労できるのか
・就労できる場合、どのような仕事が認められるのか
・在留期限はいつまでか
・採用前に在留資格変更許可申請が必要か
・海外から呼び寄せる場合、在留資格認定証明書交付申請が必要か
・転職者の場合、現在の在留資格で新しい業務に従事できるか
・特定活動の場合、指定書の内容は何か
外国人雇用では、「在留資格名」と「実際の仕事内容」が一致しているかが最も重要です。
2. 在留カードだけで判断してはいけない
中長期在留者には在留カードが交付されます。
在留カードには、氏名、生年月日、国籍・地域、住居地、在留資格、在留期間、在留期間満了日、就労制限の有無などが記載されています。
企業が外国人を採用する際、在留カードの確認は重要です。
ただし、在留カードを見せてもらっただけで、雇用してよいと判断することはできません。
2-1. 確認するポイント
在留カードで確認すべき主な項目は、次のとおりです。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 氏名・生年月日・国籍 | 本人確認資料と一致しているか |
| 在留資格 | 就労可能な資格か、身分系か、非就労系か |
| 在留期間満了日 | 入社日や申請時期に問題がないか |
| 就労制限の有無 | 就労不可、制限なし、在留資格に基づく就労のみ可等 |
| 資格外活動許可欄 | 留学・家族滞在等でアルバイト許可があるか |
| 指定書の有無 | 特定活動等で活動内容が限定されていないか |
| カード番号 | 失効情報照会や読取アプリで確認できるか |
2-2. 偽造カードの可能性は?
在留カードは重要な資料ですが、偽変造カードの問題もあります。
出入国在留管理庁は、在留カード等読取アプリケーションを無料配布しており、在留カード等のICチップ内に保存された身分事項や顔写真等を読み取り、券面情報と照合することで偽変造の有無を確認できると案内しています。
(出典:在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
企業は、在留カードの表面・裏面を確認するだけでなく、必要に応じて失効情報照会や読取アプリも活用することが望ましいです。
3. まず確認すべきは「就労できる在留資格か」
外国人の在留資格は、大きく分けると、就労できるもの、原則として就労できないもの、就労制限がないもの、活動内容が個別に指定されるものがあります。
企業が採用を検討する際には、まず次のように整理すると分かりやすくなります。
| 区分 | 代表例 | 採用時の確認ポイント |
|---|---|---|
| 就労系の在留資格 | 技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、技能、特定技能、介護など | 仕事内容が在留資格に合っているか |
| 身分・地位に基づく在留資格 | 永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者 | 原則として就労活動に制限がない |
| 原則として就労できない在留資格 | 留学、家族滞在、文化活動など | 資格外活動許可の有無と範囲を確認 |
| 活動内容が指定される在留資格 | 特定活動など | パスポートに添付された指定書を確認 |
「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」など、入管法別表第二に掲げる在留資格は、原則として就労活動に制限がありません。
一方、「留学」や「家族滞在」は、原則としてそのまま就労することはできません。
アルバイト等を行う場合には、資格外活動許可を受けているか、許可された範囲内かを確認する必要があります。
出入国在留管理庁も、資格外活動許可について、現に有している在留資格に属さない収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を行おうとする場合に必要な許可と説明しています。また、永住者や定住者など別表第二の在留資格の方は、就労活動に制限がないため、資格外活動許可の対象ではないと案内しています。
(出典:資格外活動許可について、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
4. 「就労可能」と「その仕事ができる」は別問題
外国人雇用で最も誤解が多いのが、「就労できる在留資格を持っているから、どの仕事でもできる」という考え方です。
これは正しくありません。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」は就労系の在留資格ですが、その在留資格で認められる活動は、自然科学、人文科学、外国文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする一定の専門的業務です。
そのため、同じ会社で働く場合でも、単純作業、現場作業、接客のみ、製造ライン作業のみ、倉庫作業のみなどを主たる業務とする場合には、在留資格に該当しない可能性があります。
反対に、「永住者」「定住者」など身分・地位に基づく在留資格であれば、就労活動の種類には原則として制限がありません。
採用時には、次の2段階で確認します。
・その外国人は就労できる在留資格を持っているか
・予定している仕事内容が、その在留資格で認められる活動に該当するか
前者だけで判断してはいけません。
企業が確認すべきなのは、在留資格名だけではなく、具体的な職務内容です。
5. 相談が多い「技術・人文知識・国際業務」
企業の外国人採用で最も相談が多い在留資格の一つが、「技術・人文知識・国際業務」です。
これは、いわゆるホワイトカラー系の業務で使われることが多い在留資格です。出入国在留管理庁は、この在留資格の該当例として、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等を挙げています。
(出典:在留資格「技術・人文知識・国際業務」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
6. 典型的な業務は?
この在留資格で典型的に検討される業務には、次のようなものがあります。
・ITエンジニア
・機械設計
・電気電子設計
・貿易実務
・海外営業
・マーケティング
・経理、財務
・人事、総務の専門業務
・通訳、翻訳
・語学教師
・デザイナー
・商品企画
・国際業務
7. 注意点として
ただし、職種名だけで判断することはできません。
「営業」と書かれていても、実際には店頭販売だけであれば問題になることがあります。
「通訳」と書かれていても、実際には工場内の単純作業が中心で、たまに通訳をするだけであれば、在留資格に合わない可能性があります。
「マーケティング」と書かれていても、実際にはチラシ配布や店舗作業だけであれば、専門的業務とはいえないことがあります。
8. 確認すべきポイント
確認すべきポイントは、次のとおりです。
・仕事内容が専門的・技術的な業務か
・本人の学歴、専攻、職歴と業務内容に関連性があるか
・単純作業や現場作業が主たる業務になっていないか
・会社にその業務を行わせる事業実態があるか
・雇用契約上の職務内容と実態が一致しているか
・日本人と同等以上の報酬水準か
・採用理由に合理性があるか
「正社員だから大丈夫」「大卒だから大丈夫」という判断ではなく、本人の専門性と実際の業務内容を結び付けて説明できることが重要です。
9. 採用パターンごとに必要な確認は異なる
外国人採用といっても、状況によって必要な手続きは異なります。
9-1. 留学生を新卒採用する場合
日本の大学、大学院、専門学校などに在籍する留学生を新卒採用する場合、多くは「留学」から就労系在留資格への在留資格変更許可申請が必要になります。
留学生を卒業後にそのまま正社員として働かせることは、在留資格変更許可を受けるまではできません。
確認すべき主な事項は、次のとおりです。
・卒業見込み又は卒業証明
・専攻内容
・就職先での業務内容
・専攻と業務の関連性
・雇用契約
・報酬
・会社の事業内容
・在留期限
・資格外活動違反の有無
・出席状況や成績
・卒業後の入社予定日
留学生の場合、在学中は資格外活動許可に基づきアルバイトをしていることがあります。
しかし、資格外活動許可で認められるアルバイトと、卒業後の正社員就労は別です。
正社員として働くには、在留資格変更許可が必要です。
また、留学生がアルバイトで資格外活動許可の範囲を超えて働いていた場合、卒業後の在留資格変更申請に影響する可能性があります。
企業は、内定前又は内定後早い段階で、在留期限と変更申請のスケジュールを確認する必要があります。
9-2. 中途採用・転職者を採用する場合
すでに日本で働いている外国人を中途採用する場合でも、そのまま雇用してよいとは限りません。
現在の在留資格が就労系であっても、前職の仕事内容と転職後の仕事内容が異なる場合、現在の在留資格で新しい業務が認められるか確認する必要があります。
たとえば、前職ではITエンジニアとして「技術・人文知識・国際業務」を取得していた人を、転職後に飲食店の店舗スタッフとして採用する場合、同じ在留資格でそのまま働けるとは限りません。
中途採用では、次の点を確認します。
・現在の在留資格
・在留期限
・前職の仕事内容
・転職後の仕事内容
・学歴、職歴と新業務の関連性
・前職退職日
・新会社での入社予定日
・所属機関に関する届出
・就労資格証明書を取得するか
・次回更新時のリスク
転職者については、必要に応じて就労資格証明書交付申請を検討します。
就労資格証明書は、外国人が行うことができる収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動を証明する文書です。
転職後の業務が現在の在留資格で認められるかを事前に確認したい場合に利用されます。
ただし、就労資格証明書を取得しなければ絶対に転職できないというものではありません。
実務上は、次回更新時のリスクを下げるため、転職後の業務内容に不安がある場合に検討することがあります。
9-3. 海外にいる外国人を呼び寄せる場合
海外在住の外国人を採用し、日本へ呼び寄せる場合には、通常、在留資格認定証明書交付申請を行います。
在留資格認定証明書は、日本で予定している活動が在留資格に該当するかを、入国前に確認するための手続きです。
海外から呼び寄せる場合に確認すべき事項は、次のとおりです。
・採用予定者の学歴
・採用予定者の職歴
・担当予定業務
・雇用契約
・報酬
・会社の事業内容
・勤務場所
・採用理由
・日本で行う業務の必要性
・在留資格該当性
・本人の過去の日本滞在歴
・本国での証明書取得
海外採用では、本人が日本にいないため、学歴証明書、職歴証明書、パスポート、履歴書、職務経歴書などを早めに確認する必要があります。
また、在留資格認定証明書が交付された後、本人が在外公館で査証申請を行い、日本へ入国します。
採用予定日から逆算して、申請準備、審査期間、査証申請、渡航準備を見込む必要があります。
9-4. 特定活動の場合は指定書を必ず確認する
在留資格「特定活動」は、法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動です。
出入国在留管理庁は、特定活動について、外交官等の家事使用人、ワーキング・ホリデー、EPAに基づく外国人看護師・介護福祉士候補者等を例示しています。
(出典:在留資格「特定活動」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
特定活動の場合、在留カードの表面だけでは、具体的にどの活動が認められているか分からないことがあります。
そのため、パスポートに添付される「指定書」を確認する必要があります。
特定活動の外国人を採用する場合は、次の点を確認します。
・指定書の有無
・指定された活動内容
・就労が認められているか
・就労できる業務の範囲
・就労時間の制限
・勤務先が指定されていないか
・在留期限
・変更申請の必要性
「特定活動」と書かれているだけで、自由に働けると判断してはいけません。
指定書の内容に合わない就労をさせると、在留資格上の問題が生じます。
9-5. 留学・家族滞在のアルバイト採用
留学や家族滞在の在留資格を持つ外国人をアルバイトとして採用する場合は、資格外活動許可を確認します。
一般的な留学生アルバイトでは、在留カード裏面に資格外活動許可の記載があるかを確認します。
ただし、資格外活動許可があっても、無制限に働けるわけではありません。
確認すべき点は、次のとおりです。
・資格外活動許可の有無
・許可の種類
・週28時間以内等の時間制限
・長期休業期間中の取扱い
・風俗営業等でないこと
・学校の在籍状況
・在留期限
・複数アルバイト先がある場合の合計時間
特に留学生の場合、複数のアルバイト先で働いていることがあります。
自社だけでは週28時間以内でも、他社と合算すると制限を超える可能性があります。
企業は、本人から他の勤務先の有無を確認し、勤務時間管理を行う必要があります。
10. 採用前に企業が確認すべきチェックリスト
外国人を採用する前には、次の項目を確認します。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 本人確認 | パスポート、在留カード、氏名、生年月日 |
| 在留資格 | 就労可能か、活動内容に制限があるか |
| 在留期限 | 入社予定日、申請時期、更新時期に問題がないか |
| 就労制限 | 在留カード表面の就労制限を確認 |
| 資格外活動許可 | 留学・家族滞在等では裏面欄を確認 |
| 指定書 | 特定活動等では必ず内容を確認 |
| 仕事内容 | 在留資格に合う業務か |
| 学歴・専攻 | 業務内容と関連性があるか |
| 職歴 | 業務内容と関連性があるか |
| 雇用契約 | 報酬、勤務時間、勤務地、職務内容 |
| 会社資料 | 事業内容、決算、登記事項、会社案内等 |
| 申請の要否 | 認定、変更、更新、就労資格証明書等 |
| 入社日 | 許可前就労にならないか |
| 届出 | 採用後の外国人雇用状況届出 |
採用活動の早い段階で確認することが重要です。
内定後や入社直前に在留資格の問題が分かると、入社日を延期しなければならないことがあります。
11. 雇用契約書・職務内容説明書で整合性を取る
外国人採用では、雇用契約書と実際の業務内容の整合性が重要です。
特に就労系在留資格では、入管に対して、本人がどのような業務に従事するのかを説明する必要があります。
企業は、次の資料を整えておくとよいでしょう。
・雇用契約書
・労働条件通知書
・職務内容説明書
・配属予定部署の説明
・業務フロー
・採用理由書
・会社案内
・組織図
・同種業務に従事する日本人の業務内容
・給与規程
職務内容説明書では、単に「営業」「事務」「通訳」と書くのではなく、実際に行う業務を具体的に説明します。
たとえば、海外顧客との商談、貿易書類作成、海外市場調査、通訳翻訳、外国語による顧客対応、システム設計、設計補助、会計資料作成など、専門性が分かる形で整理します。
12. 採用後に必要な外国人雇用状況の届出
外国人を雇用した場合、事業主には外国人雇用状況の届出が義務付けられています。
厚生労働省は、外国人労働者の雇入れ及び離職の際に、すべての事業主が氏名、在留資格、在留期間などをハローワークへ届け出る必要があると案内しています。
届出を怠ったり、虚偽の届出を行った場合には、30万円以下の罰金の対象となります。
(出典:外国人雇用状況の届出について、厚生労働省ウェブサイトより)
これは、出入国在留管理庁への在留資格申請とは別の、雇用主としての届出です。
外国人を雇用したら、入管手続きだけでなく、ハローワークへの届出も忘れないようにします。
雇用保険の被保険者となる外国人の場合は、雇用保険被保険者資格取得届により届け出ます。
雇用保険の被保険者とならない外国人の場合は、外国人雇用状況届出書により届け出ます。
離職時にも届出が必要です。
13. 企業側に生じるリスク
外国人雇用で在留資格確認を怠ると、本人だけでなく企業側にもリスクが生じます。
主なリスクは、次のとおりです。
・在留資格変更申請が不許可になる
・在留期間更新で問題になる
・予定していた入社日に働けない
・資格外活動、不法就労助長の問題が生じる
・労働契約上のトラブルになる
・外国人雇用状況届出違反になる
・社会的信用を損なう
・外国人本人のキャリアに悪影響が出る
・社内の外国人雇用体制が問題視される
特に企業側が注意すべきなのは、不法就労助長のリスクです。
外国人本人が働けると思っていたとしても、企業が確認せずに在留資格に合わない業務へ従事させれば、企業側の責任が問題となる可能性があります。
14. よくある失敗例
外国人採用では、次のような失敗がよくあります。
・在留カードを確認しただけで採用してしまう
・在留資格名だけを見て業務内容を確認していない
・留学生を卒業前から正社員として働かせようとする
・在留資格変更許可前に入社させてしまう
・転職者について前職と同じ在留資格だから大丈夫と判断する
・特定活動の指定書を確認していない
・家族滞在の人をフルタイムで働かせようとする
・技人国で現場作業中心の業務を予定している
・雇用契約書と実際の業務が違う
・在留期限が近いのに申請準備が遅れている
・外国人雇用状況届出を忘れている
・在留カードの失効確認をしていない
これらの多くは、採用前に確認すれば防げる問題です。
外国人雇用では、「採用したい人」から考えるだけでなく、「予定している業務に合う在留資格があるか」から確認することが重要です。
15. 採用前に行政書士へ相談すべきケース
すべての外国人採用で専門家に依頼しなければならないわけではありません。
しかし、次のような場合は、採用前に行政書士へ相談することをおすすめします。
・海外から外国人を呼び寄せる
・留学生を新卒採用する
・転職者の業務内容が前職と異なる
・技術・人文知識・国際業務に該当するか不安がある
・特定活動の指定書の内容が分かりにくい
・在留期限が近い
・単純作業と専門業務が混在している
・採用予定者の学歴と業務内容の関連性が弱い
・過去に不許可歴がある
・外国人雇用が初めてで社内体制がない
・複数名を同時採用する
・特定技能、企業内転勤、技能など分野別要件がある
行政書士に相談することで、在留資格の選択、申請の要否、必要書類、スケジュール、職務内容説明の整理がしやすくなります。
16. まとめ
外国人を採用する前に、企業が最初に確認すべきなのは、在留資格と仕事内容の関係です。
この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。
・「ビザ」と「在留資格」は正確には別の制度である
・企業が採用時に確認すべき中心は在留資格である
・在留カードだけで就労可否を判断してはいけない
・在留資格、在留期限、就労制限、資格外活動許可、指定書を確認する
・就労可能な在留資格でも、その仕事ができるとは限らない
・技術・人文知識・国際業務では、本人の学歴・職歴と業務内容の関連性が重要である
・留学生を新卒採用する場合は、在留資格変更許可申請が必要になることが多い
・中途採用では、前職と転職後の仕事内容の違いを確認する必要がある
・海外から呼び寄せる場合は、在留資格認定証明書交付申請を検討する
・特定活動では指定書の内容を必ず確認する
・留学・家族滞在のアルバイトでは資格外活動許可と時間制限を確認する
・採用後は外国人雇用状況の届出が必要である
・入社日を決める前に、申請の要否と許可時期を確認することが重要である
外国人雇用は、採用前の確認を丁寧に行うことで、入社後のトラブルを大きく減らすことができます。
内定を出す前、少なくとも雇用契約を締結する前に、在留資格、仕事内容、本人の経歴、申請の要否を整理しておくことが大切です。
17. 在留資格・外国人雇用のご相談
在留資格申請や外国人雇用でお困りの方は、入管専門の申請取次行政書士がいる行政書士TMY総合法務事務所までご相談ください。【初回相談無料 / zoom・teamsでオンライン対応可能】
18. 次に読みたい関連記事
・Ⅰ-2.「技術・人文知識・国際業務」とは?対象となる仕事・ならない仕事
・Ⅰ-3.外国人留学生を新卒採用する場合の在留資格変更手続き
・Ⅰ-4.外国人社員が転職した場合、在留資格はそのままでよいのか
・Ⅰ-5.就労資格証明書とは?転職時に取得を検討すべきケース
・Ⅰ-6.特定技能と技術・人文知識・国際業務の違い
・Ⅴ-1.在留資格申請が不許可になる主な理由と事前対策
参考資料・出典
・在留資格一覧表 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留資格から探す 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留資格「技術・人文知識・国際業務」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留資格「特定活動」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・資格外活動許可について 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会 サポートページ 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・外国人雇用状況の届出について 厚生労働省ウェブサイトより

