永住許可申請では、原則として、引き続き10年以上日本に在留し、そのうち一定の就労資格又は居住資格で引き続き5年以上在留していることが重要な要件になります。
しかし、高度人材ポイントを利用できる場合、永住許可申請に必要な在留期間が短縮されることがあります。
企業や外国人本人からは、次のような相談を受けることがあります。
- 高度人材ポイントがあると何年で永住申請できますか
- 70点と80点では何が違いますか
- 高度専門職の在留資格でなければ使えませんか
- 技術・人文知識・国際業務でもポイントを使えますか
- 申請時だけ70点又は80点あればよいですか
- 過去の時点でもポイントが必要ですか
- 税金や年金に遅れがあるとどうなりますか
- 高度専門職2号と永住申請はどちらがよいですか
高度人材ポイントを使った永住申請では、単に現在の点数を計算するだけでは足りません。
申請時点のポイントだけでなく、1年前又は3年前の時点で必要なポイントがあったか、その間も必要な点数を維持していたか、各時点の資料で証明できるかが重要になります。
この記事では、高度人材ポイントを使って永住申請を検討する場合の基本、70点・80点の違い、注意すべき資料、税金・年金・健康保険の確認、企業側が協力すべき点を解説します。
高度専門職とポイント制度自体の基本については、先に「Ⅶ-1.高度専門職とは?高度人材ポイント制の基本」をご確認ください。
1.高度人材ポイントと永住申請の関係
通常の永住許可申請では、原則として引き続き10年以上日本に在留し、そのうち就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることが求められます。
ただし、就労資格による在留期間には、「技能実習」と「特定技能1号」の在留期間は含まれません。
一方、高度人材外国人については、この在留期間要件が緩和される場合があります。
高度人材ポイントを利用する場合、主に次の2つのルートがあります。
| ポイント | 永住申請における主な要件 |
|---|---|
| 70点以上 | 原則として3年以上継続して70点以上を有し、日本に在留していること |
| 80点以上 | 原則として1年以上継続して80点以上を有し、日本に在留していること |
この制度を使うと、原則10年の在留を待たずに永住申請を検討できる場合があります。
ただし、高度人材ポイントによる特例は、主として永住申請に必要な在留期間を短縮する制度です。ポイントがあるだけで、永住許可のほかの要件まで免除されるわけではありません。
(出典:永住許可に関するガイドライン 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
なお、一定の高い学歴・職歴及び年収要件を満たす「特別高度人材制度(J-Skip)」にも、永住許可までに必要な在留期間を1年とする特例があります。これは通常のポイント制とは別の制度です。
(出典:特別高度人材制度(J-Skip) 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
2.70点以上の場合
高度人材ポイントが70点以上の場合、原則として、70点以上を3年以上継続して有し、日本に引き続き3年以上在留していることが必要です。
そのため、70点ルートでは、少なくとも次の点を確認します。
- 申請時点で70点以上あるか
- 3年前の時点でも70点以上あったか
- その間も継続して70点以上を維持していたか
- 3年前の学歴、職歴、年収、年齢等を証明できるか
- 3年間の在留状況に問題がないか
- 税金、年金、健康保険等の公的義務に問題がないか
「現在は70点ある」というだけでは足りません。
3年前の時点から申請時まで70点以上を継続して有していたことを、ポイント計算表と関係資料によって説明できるかが重要です。
(出典:永住許可申請4 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
3.80点以上の場合
高度人材ポイントが80点以上の場合、永住申請に必要な在留期間がさらに短くなる可能性があります。
80点ルートでは、原則として、80点以上を1年以上継続して有し、日本に引き続き1年以上在留していることが必要です。
主に次の点を確認します。
- 申請時点で80点以上あるか
- 1年前の時点でも80点以上あったか
- その間も継続して80点以上を維持していたか
- 1年前の学歴、職歴、年収、年齢等を証明できるか
- 1年間の在留状況に問題がないか
- 納税、年金、健康保険等の公的義務に問題がないか
80点以上であれば、1年の在留で永住申請を検討できる場合があります。
ただし、あくまで永住申請に必要な在留期間について特例を受けられる可能性があるという意味であり、許可が保証されるわけではありません。
「高度専門職」以外の在留資格から80点ルートを利用する場合の必要書類は、出入国在留管理庁の「永住許可申請4-(1)-イ」で確認できます。
4.高度専門職でなくても使える場合がある
高度人材ポイントを使った永住申請は、「高度専門職」の在留資格を持っている人だけに限られるわけではありません。
たとえば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」などで在留している方でも、現在の活動が高度人材の活動類型に対応し、ポイント計算を行った場合に70点以上又は80点以上となる場合には、要件を満たすことで高度人材外国人として永住申請を検討できることがあります。
出入国在留管理庁の案内でも、「高度専門職」又は「特定活動」の在留資格で在留している方だけでなく、それ以外の在留資格で在留している方について、過去時点のポイント計算によって対象となる場合が示されています。
そのため、現在の在留資格が高度専門職でなくても、次の事項を確認する価値があります。
- 現在の活動が高度学術研究活動、高度専門・技術活動又は高度経営・管理活動のどれに対応するか
- 学歴、職歴、年収、日本語能力等によるポイント
- 1年前又は3年前のポイント
- ポイントを証明する資料の有無
- 現在の在留資格に合った活動を行っているか
就労資格から永住申請を行う場合の共通事項については、「Ⅲ-3.就労ビザから永住申請する条件|10年・5年ルールと注意点」もご参照ください。
5.2027年4月以降は現在の在留期間にも注意する
高度人材ポイントによる特例を利用する場合でも、現在の在留資格について必要な在留期間を有していることが別に求められます。
2027年3月31日までは、在留期間「3年」を有している場合も、「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱われます。
しかし、2027年4月1日以降は、原則として、現在の在留資格について入管法施行規則別表第2に定められた最長の在留期間を有していることが必要です。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」や「経営・管理」では、原則として在留期間「5年」が必要になります。ただし、すべての在留資格について一律に5年という意味ではなく、それぞれの在留資格に定められた最長期間が基準となります。
なお、2027年3月31日時点で現に在留期間「3年」を有している方については、次の条件を満たす場合に経過措置があります。
- 2027年3月31日時点で在留期間「3年」を有していること
- 2027年4月1日以降に行う初回の永住許可申請であること
- その3年の在留期間内に永住許可申請に対する処分を受けること
これらの条件を満たす場合には、その初回の申請に限り、在留期間「3年」が最長の在留期間として取り扱われます。
一方、2027年4月1日以降の在留期間更新などによって新たに「3年」を付与された場合は、原則としてこの経過措置の対象になりません。また、審査結果が現在の3年の在留期限を越えた場合には、経過措置の対象外となる可能性があります。
申請時期によって取扱いが変わるため、申請前に最新の案内を確認する必要があります。
(出典:永住許可(入管法第22条) 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
永住申請全体の基本要件については、「Ⅲ-1.永住許可申請の基本|申請前に確認すべきこと」をご確認ください。
6.申請時点・過去時点・その間の変化が重要
高度人材ポイントを使った永住申請で特に重要なのが、申請時点と過去時点の両方のポイントです。
- 70点ルートでは、申請時点と3年前の時点
- 80点ルートでは、申請時点と1年前の時点
それぞれの時点でポイントを計算し、資料で証明する必要があります。
さらに、その間に点数へ影響する事情が変わっている場合には、必要な点数を継続して維持していたかも確認しなければなりません。
注意すべきなのは、年齢、年収、職歴、学歴、資格、日本語能力などは、時点によって変わることです。
たとえば、次のようなケースがあります。
- 現在は職歴が増えて70点になったが、3年前は足りなかった
- 年齢区分が変わり、途中で年齢ポイントが下がった
- 1年前又は3年前の年収資料が不足している
- 日本語能力試験の合格時期が基準時点より後だった
- 転職により年収や職務内容が変わった
- ポイント加算対象となる実績や資格が過去時点では存在しなかった
- 勤務先の変更により、企業に関する加算要件を満たさなくなった
高度人材ポイントを使う場合は、「今何点か」だけでなく、「基準時点で何点だったか」「その間も必要な点数を維持していたか」を確認することが重要です。
転職、休職、収入減少がある場合は、「Ⅲ-8.転職・休職・収入減少が永住申請に与える影響」もご参照ください。
7.永住申請はポイントだけでは決まらない
高度人材ポイントが70点又は80点に達していても、それだけで永住が許可されるわけではありません。
永住許可では、在留期間の要件だけでなく、次のような事項が総合的に確認されます。
- 素行が善良であるか
- 将来にわたり安定した生活が見込まれるか
- 住民税や国税を適正に申告・納付しているか
- 公的年金・公的医療保険に適切に加入し、保険料を納付しているか
- 入管法に定められた届出を行っているか
- 交通違反や犯罪歴などに問題がないか
- 現在の在留資格に合った活動を行っているか
- 現在の在留期間に関する要件を満たしているか
- 家族を扶養している場合、世帯として安定した生活ができるか
高度人材ポイントは、永住申請に必要な在留期間を緩和する重要な要素です。
しかし、永住許可全体の審査を省略するものではありません。
永住申請で重視される項目については、「Ⅲ-2.永住申請で重視される収入・納税・年金・健康保険」で詳しく解説しています。
8.税金・年金・健康保険の確認
高度人材ポイントを使った永住申請で特に注意すべきなのが、税金、年金、健康保険です。
永住許可に関するガイドラインでは、公的義務として、納税、公的年金・公的医療保険の保険料納付だけでなく、入管法に定める届出等の義務を適正に履行していることが求められています。
また、申請時点で納付済みであっても、本来の納付期限を過ぎてから納付した場合には、原則として消極的に評価されます。
特に注意が必要なのは、次のようなケースです。
- 住民税を普通徴収にしていて納付が遅れた
- 転職時に年金や健康保険の空白期間がある
- 国民年金の納付が遅れた
- 国民健康保険料に滞納又は納付遅れがある
- 会社の社会保険加入手続きが遅れた
- 扶養家族の保険や税務上の取扱いに問題がある
- 海外出張や転居により納付書を見落とした
- 転職や退職について、必要な所属機関等の届出をしていない
必要となる証明資料や対象期間は、70点・80点の別だけでなく、現在の在留資格や申請区分によっても異なります。「1年ルートだからすべての証明書が1年分でよい」などと判断せず、申請時点の出入国在留管理庁の必要書類一覧を確認してください。
住民税・国税の証明書については、「Ⅲ-12.永住申請で必要になる住民税・国税の証明書」をご確認ください。
年金・健康保険については、「Ⅲ-13.永住申請で年金記録・健康保険の納付状況を確認する方法」で詳しく解説しています。
企業側も、外国人社員の社会保険加入、源泉徴収、住民税の特別徴収などを適切に処理しておくことが重要です。
9.企業側が協力すべき資料
高度人材ポイントを使った永住申請では、企業側の協力が必要になることがあります。
企業が用意することが多い資料には、次のようなものがあります。
- 在職証明書
- 職務内容証明書
- 源泉徴収票
- 給与明細
- 雇用契約書
- 労働条件通知書
- 会社案内
- 登記事項証明書
- 組織図
- 役職、権限及び職務内容が分かる資料
- 年収見込証明書
- 研究実績、表彰、業務実績に関する資料
- 会社がポイント加算対象となることを示す資料
ポイント計算では、年収、職歴、職務内容、役職、研究実績などが重要になります。
企業が発行する証明書の内容が不十分であったり、雇用契約書、給与資料、ポイント計算表の内容が一致していなかったりすると、本人がポイントを十分に証明できない場合があります。
また、過去時点のポイントを証明する場合には、現在の証明書だけでなく、1年前又は3年前の雇用条件や職務内容を確認できる資料が必要になることがあります。
永住申請は外国人本人の手続きですが、企業側が保管している資料が重要になる場合があります。
10.高度専門職2号と永住申請のどちらを選ぶか
高度人材が長く日本で働きたい場合、高度専門職2号を目指す方法と、永住申請を目指す方法があります。
高度専門職2号は、原則として高度専門職1号で3年以上活動し、必要な要件を満たした場合に検討できる在留資格です。在留期間は無期限となり、高度専門職1号より活動範囲が広がります。
一方、永住者は、原則として入管法上の就労制限がなくなります。
| 項目 | 高度専門職2号 | 永住者 |
|---|---|---|
| 在留期間 | 無期限 | 無期限 |
| 就労制限 | 高度専門職2号として認められる活動範囲がある | 原則として制限なし |
| 取得の前提 | 原則として高度専門職1号で3年以上活動し、所定の要件を満たす | 永住許可の各要件を満たす |
| ポイント | 原則として70点以上が必要 | 高度人材ルートでは70点又は80点が重要 |
| 家族関係の取扱い | 高度人材としての一定の優遇措置がある | 家族はそれぞれ別途在留資格を検討する |
| 審査で確認される事項 | 活動内容、ポイント、在留状況、素行等 | 納税、年金、健康保険、届出、素行、生計、在留状況等 |
どちらが適しているかは、本人の将来設計によります。
転職や独立、家族の将来、日本での長期的な生活を考える場合には、永住申請を検討する意味が大きくなります。
一方、高度専門職としての活動を続ける予定で、活動範囲や家族関係の優遇措置を重視する場合には、高度専門職2号を検討することもあります。
両者の違いについては、「Ⅶ-2.高度専門職1号と2号の違い」もご参照ください。
11.よくある注意点
高度人材ポイントを使った永住申請では、次のような点に注意が必要です。
- 現在の点数だけを見て判断している
- 1年前又は3年前のポイントを確認していない
- 必要な期間を通じて点数を維持していたか確認していない
- 過去時点の年収資料がない
- 日本語能力試験の合格時期を確認していない
- 転職により年収や職務内容が変わっている
- 年齢区分の変更による減点を見落としている
- 住民税の納付が遅れている
- 国民年金や健康保険の加入・納付に空白がある
- 会社の社会保険加入手続きが不十分である
- 転職、退職、所属機関変更等の届出をしていない
- 扶養家族を含めた収入や保険関係を確認していない
- 高度専門職の在留資格でなければ利用できないと誤解している
- 高度人材の特例を使えば現在の在留期間は問われないと誤解している
- ポイントがあれば必ず永住許可されると誤解している
- 永住申請中に現在の在留期限が来ても、更新は不要だと誤解している
永住許可申請を行っても、現在の在留期間が自動的に延長されるわけではありません。審査中に現在の在留期限が来る場合には、別途、在留期間更新許可申請が必要です。
高度人材ポイントは有利な制度ですが、永住許可を保証するものではありません。
申請前に、ポイント、在留状況、現在の在留期間、税金、年金、健康保険、届出、職務内容、収入資料を総合的に確認することが大切です。
永住申請で不許可につながりやすい事情については、「Ⅲ-6.永住申請で不許可になりやすいケース」もご参照ください。
12.高度人材ポイント・永住申請のご相談
高度人材ポイントを利用した永住申請では、現在と過去のポイント計算、必要な点数を維持していた期間、勤務先資料、納税・社会保険の状況などを一体として確認する必要があります。
特に、転職や年収の変更がある場合、過去時点の資料が不足している場合、高度専門職以外の在留資格から申請する場合、2027年4月前後に申請を検討している場合には、申請時期を含めた事前確認が重要です。
行政書士TMY総合法務事務所では、申請取次行政書士が、高度人材ポイントの確認、永住申請の要件整理、必要書類の確認及び申請書類作成についてご相談を承ります。
13.まとめ
高度人材ポイントを使うと、通常より早い時期に永住申請を検討できる場合があります。
この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。
- 70点以上の場合は、原則として3年以上継続して70点以上を有していることが必要である
- 80点以上の場合は、原則として1年以上継続して80点以上を有していることが必要である
- 申請時点だけでなく、1年前又は3年前のポイントと、その間の変化を確認する必要がある
- 高度専門職の在留資格でなくても、ポイント計算によって対象となる場合がある
- 過去時点の資料で、学歴、職歴、年収、年齢、資格等を証明する必要がある
- 高度人材ポイントによる特例は、主として原則10年の在留要件を短縮する制度である
- 現在の在留期間を含む、ほかの永住許可要件は別途満たす必要がある
- 2027年4月以降は、現在の在留資格について最長の在留期間を有しているか確認する必要がある
- 税金、年金、健康保険、入管法上の届出、素行、生計、在留状況も審査される
- 企業側の在職証明書、年収資料、職務内容資料が重要になる場合がある
- 高度専門職2号と永住申請は、本人の将来設計に応じて検討する必要がある
高度人材ポイントを使った永住申請は、通常より早く検討できる可能性がある一方、ポイントの継続性と資料の整合性が非常に重要です。
本人の現在の点数だけで判断せず、過去のポイント、勤務先資料、納税、年金、健康保険、届出履歴、現在の在留期間まで確認した上で、申請時期を判断することをおすすめします。
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- Ⅲ-13.永住申請で年金記録・健康保険の納付状況を確認する方法
- Ⅶ 高度人材・企業内転勤・グローバル人材の記事一覧
15.参考資料・出典
- 永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂) 出入国在留管理庁
- 永住許可申請 出入国在留管理庁
- 永住許可申請4 出入国在留管理庁
- 永住許可申請4-(1)-イ|80点以上の「高度専門職」以外 出入国在留管理庁
- 永住許可申請4-(2)-イ|70点以上の「高度専門職」以外 出入国在留管理庁
- 永住許可(入管法第22条) 出入国在留管理庁
- 高度人材ポイント制とは? 出入国在留管理庁
- 高度人材ポイント制Q&A 出入国在留管理庁
- 特別高度人材制度(J-Skip) 出入国在留管理庁

