外国人が日本で起業する場合、最初のコストを抑えるために、バーチャルオフィスやシェアオフィスの利用を検討することがあります。
しかし、在留資格「経営・管理」では、事業を実際に行う拠点としての事業所が重要です。
そのため、住所だけを借りるバーチャルオフィスや、利用実態が不明確なシェアオフィスでは、申請上問題になる可能性があります。
この記事では、バーチャルオフィス・シェアオフィスと経営・管理の関係を整理します。
1. 経営・管理では事業所の実体が必要
経営・管理は、日本で事業の経営または管理に従事するための在留資格です。申請では、事業の実体、事業所、資本金、常勤職員、事業計画などが確認されます。
令和7年改正後の取扱いでも、改正後の規模等に応じた経営活動を行うための事業所を確保する必要があること、自宅を事業所と兼ねることは原則として認められないことが示されています。
この考え方からすると、事務所としての実体がない形態は慎重に検討する必要があります。
2. バーチャルオフィスは原則として難しい
バーチャルオフィスは、主に住所利用、郵便物受領、電話転送などを提供するサービスです。
しかし、経営・管理で求められる事業所は、実際に経営活動を行うための場所です。
住所だけを借りる形式では、事務所としての実体を説明することが難しくなります。
| バーチャルオフィスの特徴 | 経営・管理での注意点 |
|---|---|
| 住所利用のみ | 実際の執務場所がない |
| 郵便物受領中心 | 事業所実体の説明が難しい |
| 専用スペースなし | 継続的な経営活動の場所といえない可能性 |
| 会社登記可能 | 登記できても在留資格上十分とは限らない |
会社登記ができることと、経営・管理で事業所として認められることは同じではありません。
3. シェアオフィスは内容次第で検討
シェアオフィスの場合、バーチャルオフィスよりは実体を説明しやすいことがあります。
ただし、すべてのシェアオフィスが経営・管理に適しているわけではありません。
確認すべき点は次のとおりです。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 専有スペース | 固定席・個室などがあるか |
| 契約内容 | 継続利用できる契約か |
| 法人登記 | 登記利用が可能か |
| 会社表示 | 郵便受け・入口表示が可能か |
| 面談スペース | 顧客対応・商談ができるか |
| セキュリティ | 書類・備品を管理できるか |
| 事業内容との関係 | その事業に必要十分な設備か |
特に、フリーアドレスで一時利用だけの契約では、事業所としての安定性を説明しにくい場合があります。
4. 個室型オフィスでも契約内容を確認する
個室型のレンタルオフィスであっても、契約内容の確認は重要です。
たとえば、次のような点です。
- 契約期間が短すぎないか
- 事業用利用が認められているか
- 法人登記が可能か
- 郵便物や電話の受領ができるか
- 会社名表示ができるか
- 契約者が会社または申請人と一致しているか
- 実際の事業内容に合った広さがあるか
契約書に「住所利用のみ」「一時利用」「登記不可」などの記載がある場合は注意が必要です。
5. 業種によって必要な事務所は変わる
事務所として必要な内容は、事業の種類によって異なります。
| 事業内容 | 注意点 |
|---|---|
| コンサルティング | 面談・資料作成・執務スペース |
| IT・Web事業 | 作業スペース、通信環境 |
| 貿易業 | 取引書類、在庫・発送の扱い |
| 飲食店 | 店舗・厨房・営業許可が必要 |
| 物販業 | 商品保管・発送場所 |
| 人材紹介等 | 許認可要件に合った事務所 |
たとえば、コンサルティング業なら個室型レンタルオフィスで説明しやすい場合があります。
一方、飲食店や物販業では、店舗、保管場所、許認可施設などが別途必要になることがあります。
6. 事務所実体を示す資料
バーチャルオフィス・シェアオフィスを検討する場合でも、事務所実体を示す資料を準備できるかが重要です。
| 資料 | 内容 |
|---|---|
| 利用契約書 | 契約期間、利用範囲、用途 |
| 平面図 | 専有部分、共用部分 |
| 写真 | 外観、入口、執務スペース、看板 |
| 会社名表示 | 郵便受け、ドア表示など |
| 利用規約 | 事業利用・登記利用の可否 |
| 請求書・領収書 | 継続利用の実態 |
| 事業計画書 | その事務所で事業を行う理由 |
7. よくある注意点
バーチャルオフィス・シェアオフィスでは、次のような点に注意が必要です。
- 登記可能なら経営・管理でも問題ないと思っている
- 住所利用だけで事業所と考えている
- 専有スペースがない
- 契約期間が短すぎる
- 写真や平面図を準備していない
- 事業内容と事務所形態が合っていない
- 飲食店や許認可業種なのに事務所要件を確認していない
まとめ
経営・管理では、事業を実際に行う事務所の実体が重要です。
バーチャルオフィスは、住所利用が中心で実際の事業所としての実体を説明しにくいため、原則として慎重に考える必要があります。
シェアオフィスやレンタルオフィスでも、専有スペース、契約内容、事業利用、法人登記、会社表示、設備などを確認することが重要です。
事務所は、会社設立のための住所ではなく、事業の実体を示す重要な要素です。
次に読みたい関連記事
- 経営・管理ビザで事務所を借りる場合の注意点
- 経営・管理ビザで求められる事務所・資本金・事業計画
- 外国人がコンサルティング会社を設立する場合の注意点
- 外国人が貿易会社を設立する場合の経営・管理ビザ
