Ⅲ-1.永住許可申請の基本|申請前に確認すべきこと

Ⅲ 永住申請

日本で長く生活している外国人の方にとって、永住許可申請は大きな節目となる手続きです。

永住が許可されると、在留期間の更新が不要になり、入管法上の就労制限も原則としてなくなります。

一方で、永住許可申請では、日本での在留年数だけでなく、現在の在留資格、収入、納税、公的年金・健康保険、素行、家族構成、過去の在留状況など、通常の在留期間更新よりも多くの事項が確認されます。

「日本に10年以上住んでいる」「現在、税金の未納がない」という理由だけで、当然に永住が許可されるわけではありません。

この記事では、永住許可申請の基本と、申請前に確認しておきたいポイントを整理します。

1.永住許可申請とは

永住許可申請とは、現在の在留資格から在留資格「永住者」の取得を目指す手続きです。

一般的な在留資格変更許可申請とは別に、出入国管理及び難民認定法第22条に基づく手続として定められています。

永住許可を受けると、在留期間の更新は不要になります。また、「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格にある活動内容・職種の制限も原則としてなくなります。

ただし、外国籍のまま日本に在留することに変わりはありません。永住許可と日本国籍を取得する帰化は別の制度です。両者の違いについては、「Ⅲ-9.永住と帰化の違い|どちらを選ぶべきか」をご確認ください。

出入国在留管理庁は、永住許可申請について、申請前に在留資格や身分・地位に応じたセルフチェックシートで要件を確認するよう案内しています。チェックシートで「いいえ」に該当する項目がある場合、不許可となる可能性が高いとされています。

申請前には、「永住許可申請」および在留資格・身分別の「永住許可申請に必要な書類・チェックシート」を確認することが重要です。

2.永住許可の基本的な3つの要件

永住許可の審査基準としては、主に次の3つが示されています。

要件基本的な内容
素行善良要件法律を守り、日常生活において社会的に非難されることのない生活を営んでいること
独立生計要件公共の負担にならず、将来にわたり安定した生活が見込まれること
国益適合要件在留年数、公的義務の履行、現在の在留状況などから、日本の利益に合すると認められること

具体的な判断では、収入の金額だけでなく、世帯全体の収入、扶養人数、転職・休職、住民税・国税、公的年金・健康保険の加入・納付状況などが確認されます。

詳しくは、「Ⅲ-2.永住申請で重視される収入・納税・年金・健康保険」で解説しています。

なお、日本人、永住者又は特別永住者の配偶者・子などについては、法律上の要件に特例があります。ただし、婚姻関係の実体、生活基盤、公的義務の履行、在留状況などが確認されなくなるわけではありません。

3.原則10年在留と例外

永住許可申請では、原則として、引き続き10年以上日本に在留していることが一つの基準になります。

さらに、その10年間のうち、原則として就労資格又は居住資格をもって引き続き5年以上在留している必要があります。

「技能実習」と「特定技能1号」の在留期間は、この「就労資格又は居住資格による5年以上」の計算から除かれているため注意が必要です。

就労系在留資格から申請する場合の在留年数の数え方については、「Ⅲ-3.就労ビザから永住申請する条件|10年・5年ルールと申請前の注意点」をご確認ください。

一方、すべての方が10年間の在留を求められるわけではありません。

代表的な特例は次のとおりです。

申請人の区分在留期間に関する主な取扱い
就労資格から申請する場合原則10年以上在留し、そのうち就労資格等で5年以上
日本人・永住者・特別永住者の配偶者実体を伴った婚姻生活が3年以上継続し、かつ日本に引き続き1年以上在留
日本人・永住者・特別永住者の実子等日本に引き続き1年以上在留
定住者「定住者」の在留資格で引き続き5年以上在留
高度人材ポイント70点以上原則として3年以上の継続在留
高度人材ポイント80点以上原則として1年以上の継続在留

配偶者として永住申請する場合の注意点については、「Ⅲ-4.配偶者ビザから永住申請をする場合の注意点」をご参照ください。

高度人材ポイントによる在留年数の特例については、「Ⅲ-18.高度人材ポイントを使った永住申請の基本」で詳しく解説しています。

具体的な特例の要件は、「永住許可に関するガイドライン」で確認してください。

4.現在の在留期間にも注意が必要

永住申請では、現在持っている在留資格について、原則として最長の在留期間をもって在留していることが求められます。

令和8年2月24日改訂の「永住許可に関するガイドライン」では、令和9年3月31日までの間、在留期間「3年」を有する場合は、最長の在留期間をもって在留しているものとして取り扱う旨が示されています。

また、令和9年3月31日時点で在留期間「3年」を有する方については、その在留期間内に永住許可申請に対する処分を受ける場合、その初回に限り、同様に取り扱うとされています。

したがって、今後は「在留期間が3年であれば、いつでも永住申請の在留期間要件を満たす」と一律に考えることはできません。申請時点と処分時点における最新の取扱いを確認する必要があります。

在留期間1年・3年・5年の違いについては、「在留期間とは?1年・3年・5年の違いと更新時の考え方」もご確認ください。

5.申請前に確認すべき主な項目

永住申請を検討する前に、次の点を確認しておくとよいでしょう。

確認項目確認する内容
在留年数原則10年又は配偶者・定住者・高度人材等の特例に該当するか
現在の在留資格就労資格、配偶者、定住者、高度専門職など
現在の在留期間最長の在留期間に関する条件を満たしているか
収入世帯として安定した生活が見込めるか
納税住民税・国税の未納や納付遅れがないか
年金・健康保険適切に加入し、期限内に納付しているか
素行交通違反、罰金、刑事処分、その他の法令違反がないか
在留状況資格外活動、届出漏れ、長期間の無活動などがないか
海外出国長期・多数回の出国により生活の本拠が日本にないと見られないか
家族構成扶養家族の人数と世帯収入のバランス
身元保証人日本人又は永住者等に依頼できるか
過去の申請過去の申請内容と現在の説明に矛盾がないか

永住申請では、申請時点で未納がないだけでなく、税金、年金、健康保険料等を納付期限内に納めてきたかも重要です。

「永住許可に関するガイドライン」でも、公的義務について、申請時点で納付済みであっても、当初の納付期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されるとされています。

住民税・国税については、「Ⅲ-12.永住申請で必要になる住民税・国税の証明書」をご確認ください。

年金・健康保険については、「Ⅲ-13.永住申請で年金記録・健康保険の納付状況を確認する方法」で詳しく解説しています。

交通違反や罰金歴がある場合は、「Ⅲ-14.交通違反・罰金歴が永住申請に与える影響」もご参照ください。

6.申請に必要となる主な資料

必要書類は、現在の在留資格、申請人の身分関係、職業、家族構成などによって異なります。

代表的には、次のような資料が必要になります。

  • 永住許可申請書
  • 写真
  • 申請理由書
  • 住民票
  • 在職証明書、確定申告書控え、決算書など職業に関する資料
  • 課税証明書・納税証明書
  • 国税の納税証明書
  • 年金・健康保険の加入・納付状況を示す資料
  • 預金通帳の写しなどの資産資料
  • 身元保証書
  • 身元保証人の本人確認書類
  • 了解書
  • 申請区分に応じた家族関係・婚姻関係の資料
  • 高度人材ポイントを利用する場合のポイント計算表と疎明資料

日本で発行される証明書については、原則として発行日から3か月以内のものが求められます。また、外国語で作成された資料には日本語訳を添付する必要があります。

必要書類は一律ではないため、出入国在留管理庁の「永住許可申請に必要な書類・チェックシート」から、現在の在留資格や身分・地位に合ったページを確認してください。

申請理由書については、「Ⅲ-11.永住申請で必要になる理由書の書き方」をご参照ください。

身元保証人の役割や責任については、「Ⅲ-7.永住申請の身元保証人とは?責任の範囲と注意点」で解説しています。

7.永住申請中も現在の在留期間更新が必要

永住許可申請を行っても、現在の在留期間が自動的に延長されるわけではありません。

永住許可申請の審査中に現在の在留期限が来る場合には、在留期間の満了日までに、別途、在留期間更新許可申請をする必要があります。

永住申請中であることを理由に更新申請を行わず、現在の在留期限を過ぎることはできません。

出入国在留管理庁の「永住許可申請」でも、永住許可申請中に在留期間が経過する場合には、別途、在留期間更新許可申請が必要であると案内されています。

永住審査中に転職、退職、休職、収入減少、離婚、別居、扶養関係の変更などが生じた場合には、申請内容への影響も確認する必要があります。

転職・休職・収入減少の影響については、「Ⅲ-8.転職・休職・収入減少が永住申請に与える影響」もご確認ください。

8.よくある注意点

永住申請では、次のような点に注意が必要です。

  • 在留年数だけで申請できると考えている
  • 自分が在留年数の特例に該当するか確認していない
  • 技能実習や特定技能1号の期間を就労資格5年に含めている
  • 現在の在留期間に関する条件を確認していない
  • 収入の金額だけを見て、安定性や扶養人数を確認していない
  • 住民税や年金・健康保険料を期限後に納付している
  • 転職期間中に国民年金や国民健康保険の未納がある
  • 副業や所得に関する申告をしていない
  • 転職・休職・収入減少を説明していない
  • 交通違反や罰金歴を軽く考えている
  • 海外出国が多いことを確認していない
  • 身元保証人を直前まで決めていない
  • 過去の在留資格申請との矛盾を確認していない
  • 最新の提出書類を確認していない
  • 永住申請中に現在の在留期限が来ても、更新申請は不要だと考えている

永住申請は、長く日本に住んでいることだけで判断されるものではありません。

在留状況、収入、納税、年金、健康保険、素行、家族状況、海外出国歴などを総合的に確認する手続きです。

永住申請で問題になりやすい事項については、「Ⅲ-6.永住申請で不許可になりやすいケース」もご参照ください。

9.まとめ

永住許可申請は、日本で長期的に生活している外国人の方にとって重要な手続きです。

申請前には、在留年数、現在の在留資格、在留期間、収入、納税、年金、健康保険、素行、家族構成、身元保証人などを確認する必要があります。

特に、住民税、年金、健康保険等の公的義務を期限内に履行しているか、現在の在留期間が申請条件を満たしているかは重要です。

また、永住申請中に現在の在留期限が来る場合には、別途、在留期間更新許可申請を行わなければなりません。

申請を検討する段階で、最新のガイドラインと提出書類を確認し、必要な資料や説明事項を早めに整理しておくことが大切です。

10.行政書士事務所への相談・お問い合わせ

永住許可申請では、現在の在留資格だけでなく、これまでの在留歴、転職歴、収入、納税、公的年金・健康保険、家族構成、海外出国歴、交通違反などを総合的に確認する必要があります。

行政書士TMY総合法務事務所では、永住許可の要件確認、在留歴・納付状況の整理、必要書類の確認、申請理由書・説明書の作成、永住許可申請書類の作成、入管への申請取次などについてご相談を承ります。

「自分が在留年数の条件を満たしているか分からない」「税金や年金の納付状況に不安がある」「転職や海外出国が永住申請に影響するか確認したい」といった場合には、申請前の段階からご相談ください。

相談方法、対応内容等の詳細は、「行政書士TMY総合法務事務所へのお問い合わせ」をご確認のうえ、ご連絡ください。

※行政書士に依頼した場合でも、永住許可が保証されるものではありません。許可・不許可を判断するのは出入国在留管理庁です。

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12.参考資料・出典