Ⅳ-7. 経営・管理ビザの資本金・常勤職員要件で注意すべきこと

一般に「経営・管理ビザ」と呼ばれることがありますが、正確には在留資格「経営・管理」です。

外国人が日本で会社を経営する場合、会社を設立しただけで在留資格が認められるわけではありません。
事業の規模、資本金、常勤職員、事務所、事業計画、経営者本人の経歴など、複数の要素が確認されます。

特に、令和7年10月16日施行の改正により、「経営・管理」の基準は大きく見直されています。この記事では、資本金・常勤職員要件を中心に、申請前に確認すべきポイントを整理します。


1. 経営・管理で確認される事業規模

在留資格「経営・管理」は、日本で貿易その他の事業の経営を行い、またはその事業の管理に従事する活動を対象とする在留資格です。出入国在留管理庁も、該当例として企業等の経営者・管理者を挙げています。

経営・管理では、単に会社を登記したかどうかではなく、実際に事業を行うだけの規模や体制があるかが確認されます。


2. 令和7年改正後の資本金・常勤職員要件

令和7年10月16日施行の改正により、主な基準として、申請者が営む会社等において1人以上の常勤職員を雇用すること、また3,000万円以上の資本金等が必要とされています。常勤職員の対象は、日本人、特別永住者、または永住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等・定住者などの身分系在留資格を持つ外国人に限られるとされています。

従来の感覚で「資本金500万円程度を用意すればよい」と考えていると、現在の基準とはずれる可能性があります。


3. 資本金3,000万円は何で確認されるか

法人の場合、資本金等は、株式会社であれば払込済資本の額、合同会社等であれば出資の総額が中心になります。

入管庁のQ&Aでは、法人の場合は資本金の額または出資の総額で判断し、従業員の給与額や事務所維持費などと合算して3,000万円以上とすることはできないとされています。

つまり、会社の運転資金を別口座に持っている、設備投資をしている、といった事情があっても、法人の場合は基本的に資本金・出資総額として確認される点に注意が必要です。


4. 常勤職員の要件で注意すべきこと

常勤職員については、単に誰かを雇えばよいというものではありません。

確認したい点は次のとおりです。

確認項目注意点
常勤性フルタイムに近い勤務実態があるか
雇用契約雇用契約書・労働条件通知書があるか
社会保険健康保険・厚生年金・雇用保険の手続が適切か
対象者日本人、特別永住者、身分系在留資格者などか
実態名義だけの雇用ではないか

常勤職員は、事業を実際に行う体制の一部として確認されます。名義だけの雇用、実際には勤務していない雇用、給与支払いの実態がない雇用は避けるべきです。


5. 日本語能力・経歴・事業計画も確認される

改正後は、資本金や常勤職員だけでなく、日本語能力、経営者本人の経歴、事業計画書の内容も重要です。

入管庁は、申請者または常勤職員のいずれかがB2相当以上の日本語能力を有すること、申請者が経営管理または事業に関する博士・修士・専門職学位を有するか、事業の経営または管理について3年以上の経験を有する必要があることを示しています。また、事業計画書については、中小企業診断士・公認会計士・税理士など、経営に関する専門的知識を有する者の確認が必要とされています。

したがって、資本金を用意するだけではなく、経営者としての能力、事業の現実性、社内体制も合わせて整理する必要があります。


6. よくある注意点

経営・管理の資本金・常勤職員要件では、次のような点に注意が必要です。

  • 古い500万円基準の情報を前提にしている
  • 資本金と運転資金を混同している
  • 常勤職員の対象者を確認していない
  • 雇用契約や社会保険の整備が不十分
  • 事業計画が抽象的で、売上根拠が弱い
  • 経営者本人の経歴や日本語能力の確認をしていない
  • 会社設立後に要件を整えればよいと考えている

まとめ

経営・管理では、会社設立だけでなく、事業規模、資本金、常勤職員、事業所、経営者の経歴、事業計画の実現可能性などが確認されます。

令和7年10月16日施行の改正後は、資本金3,000万円以上、1人以上の常勤職員雇用、日本語能力、経歴、事業計画書の専門家確認など、従来よりも準備すべき事項が増えています。

外国人が日本で起業する場合は、会社設立前の段階から、在留資格の要件を見据えて事業計画を組み立てることが重要です。


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