0-1. 在留資格とは?外国人が日本に滞在するための基本制度

∞ 在留資格の基礎知識・総論

外国人が日本で暮らす、働く、学ぶ、家族と一緒に生活する、会社を経営する場合には、「在留資格」という制度が関係します。

日常会話では「ビザ」と呼ばれることもありますが、日本で中長期間生活したり、就労したりする場面で重要になるのは、正確には「在留資格」です。

たとえば、外国人の方が日本企業で働く場合、日本人と結婚して日本で生活する場合、海外にいる家族を日本に呼び寄せる場合、日本で会社を設立して経営する場合など、それぞれの目的に応じた在留資格が必要になります。

この記事では、在留資格とは何か、日本での生活や仕事とどのように関係するのかを、初めての方にも分かりやすく整理します。


在留資格は「日本で何をするために滞在するのか」を示すもの

在留資格とは、外国人が日本に在留して行うことができる活動、または日本に在留するための身分・地位を示すものです。

出入国在留管理庁の在留資格一覧表でも、在留資格ごとに「本邦において行うことができる活動」「該当例」「在留期間」が整理されています。つまり、在留資格は単に日本に滞在できるというだけでなく、日本で何をするために滞在できるのかを示す制度です。

たとえば、次のように考えると分かりやすくなります。

日本での目的検討される在留資格の例基本的な考え方
会社で専門職として働く技術・人文知識・国際業務仕事内容が専門的業務に当たるか
海外関連会社から日本へ転勤する企業内転勤海外拠点と日本拠点の関係、転勤内容を確認
日本で会社を経営する経営・管理事業所、資本金、事業計画、経営実態を確認
日本の学校で学ぶ留学教育機関での学修が本来活動
日本人配偶者と暮らす日本人の配偶者等婚姻の実体、生活基盤を確認
永住したい永住者長期在留、収入、納税、公的義務などを確認

このように、在留資格は「その人が日本で何をするのか」「どのような身分で日本にいるのか」と結び付いています。


日本に入国できること」と「日本で活動できること」は別に考える

在留資格を理解するうえで大切なのは、日本に入国できることと、日本でその活動ができることを分けて考えることです。

たとえば、観光や短期商用で日本に来る場合と、日本で働くために来る場合では、必要となる手続きも、確認される内容も異なります。

また、日本に入国できたからといって、自由に働けるわけではありません。
日本で働くためには、現在の在留資格で就労が認められているか、その仕事が在留資格の範囲に合っているかを確認する必要があります。


在留資格には「活動に基づくもの」と「身分に基づくもの」がある

在留資格は数が多いため、最初からすべてを覚えようとすると分かりにくくなります。

まずは、大きく次の2つに分けて考えると理解しやすくなります。

在留資格
├─ 活動に基づく在留資格
│ ├─ 働くための資格
│ ├─ 学ぶための資格
│ ├─ 家族として滞在する資格
│ └─ 個別に指定された活動を行う資格

└─ 身分・地位に基づく在留資格
├─ 日本人の配偶者等
├─ 永住者の配偶者等
├─ 永住者
└─ 定住者

活動に基づく在留資格では、「日本でどのような活動をするのか」が重要です。
たとえば、会社で専門職として働くのか、学校で学ぶのか、会社を経営するのかによって、検討する在留資格が変わります。

一方、身分・地位に基づく在留資格では、「誰の配偶者なのか」「親子関係があるのか」「永住者として認められているのか」などが重要になります。


在留資格によって働ける範囲が違う

外国人の方が日本で働く場合、特に重要なのが「現在の在留資格で、その仕事をしてよいか」という点です。

在留資格は、大きく次のように整理できます。

分類就労の考え方
就労系在留資格認められた範囲で働ける技人国、企業内転勤、経営・管理など
身分系在留資格一般に就労制限が少ない永住者、日本人の配偶者等、定住者など
非就労系在留資格原則として働けない留学、家族滞在など
特定活動指定された内容によるワーキングホリデー、告示特定活動など

たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を持っている方は、日本で働くことができます。
ただし、どのような仕事でも自由にできるわけではなく、その在留資格で認められる専門的・技術的な業務などに限られます。

一方、「留学」や「家族滞在」は、原則として就労を目的とする在留資格ではありません。アルバイトをする場合には、資格外活動許可が必要になることがあります。資格外活動許可は、現在の在留資格で認められた活動以外に、報酬を受ける活動などを行う場合に必要な許可です。


在留資格と在留期間は別のもの

在留資格とあわせて重要なのが「在留期間」です。

在留資格は、「日本でどのような活動ができるか」を示すものです。
在留期間は、「その在留資格でいつまで日本に滞在できるか」を示すものです。

項目意味
在留資格日本でできる活動・身分
在留期間その資格で滞在できる期間
在留期限実際に在留できる最終日

たとえば、同じ「技術・人文知識・国際業務」でも、在留期間が1年の方もいれば、3年や5年の方もいます。

在留期間を過ぎて引き続き日本に滞在したい場合には、在留期間更新許可申請が必要です。在留期間更新許可申請は、現在の在留資格に基づく活動を変更せず、在留期間を超えて引き続き在留しようとする場合の手続きです。


「働けるかどうか」は在留資格ごとに違う

外国人雇用で特に重要なのが、現在の在留資格で働けるかどうかです。

在留資格によっては、就労できるもの、原則として就労できないもの、資格外活動許可を受ければ一定範囲で働けるものがあります。

在留資格の分類就労可否の考え方
就労系在留資格その資格で認められた範囲で就労可能
身分系在留資格一般に就労制限が少ない
留学・家族滞在など原則就労不可。資格外活動許可が問題になる
特定活動指定書の内容によって異なる

在留期間を過ぎて引き続き日本に滞在したい場合には、在留期間更新許可申請が必要です。在留期間更新許可申請は、現在の在留資格に基づく活動を変更せず、在留期間を超えて引き続き在留しようとする場合の手続きです。


自分に関係する在留資格を考える基本の流れ

在留資格を考えるときは、いきなり資格名から考えるよりも、次の順番で整理すると分かりやすくなります。

① 本人は今どこにいるか
├─ 海外にいる
│ └─ 日本へ呼び寄せる手続きが問題になる
└─ 日本にいる
└─ 変更・更新・取得などの手続きが問題になる

② 日本で何をしたいのか
├─ 働きたい
├─ 学びたい
├─ 家族と暮らしたい
├─ 会社を経営したい
└─ 長く日本に住みたい

③ どの在留資格に当てはまりそうか

④ その資格の要件を満たしているか

⑤ 書類で説明できるか

たとえば、海外にいる外国人を日本企業が採用したい場合は、海外から呼び寄せるための手続きが問題になります。
一方、日本にいる留学生を卒業後に正社員として採用したい場合は、「留学」から就労系在留資格への変更が問題になります。


在留資格申請で見られる基本的なポイント

在留資格申請では、一般に次のような点が確認されます。

確認される点内容
活動内容日本で何をするのか
身分関係配偶者・子・家族関係など
本人の経歴学歴、職歴、資格など
受入先の状況会社、学校、家族側の状況
収入・生活基盤日本で生活できる見込み
在留状況これまで適正に在留していたか
書類の整合性申請書と資料に矛盾がないか

在留資格の変更や更新では、在留資格に該当するか、基準に適合しているかに加えて、在留状況や在留の必要性なども総合的に考慮されます。

在留資格申請を考える際には、次の3つの視点が重要です。

判断軸内容
該当性その活動・身分が在留資格に当たるか
基準適合性学歴、職歴、報酬、事業規模などの基準を満たすか
相当性許可してよい事情があるか

たとえば、外国人を専門職として採用する場合には、まず予定業務が就労系在留資格に該当するかを確認します。次に、本人の学歴・職歴・報酬などが基準に合っているかを確認します。さらに、変更や更新では、これまでの在留状況、納税、届出義務の履行なども問題になることがあります。


よくある誤解

在留資格については、次のような誤解がよくあります。

  • 日本に入国できれば自由に働けると思っている
  • 「ビザがある」と言えば、どの仕事でもできると思っている
  • 留学生を卒業後そのまま正社員にできると思っている
  • 結婚すれば自動的に配偶者の在留資格が認められると思っている
  • 会社を設立すれば当然に経営・管理が認められると思っている
  • 在留期限が残っていれば、活動内容が変わっても問題ないと思っている

在留資格は、本人の希望だけで決まるものではありません。
日本で行う活動、本人の経歴、家族関係、受入先の状況、提出資料などをもとに判断されます。

なぜならば、在留資格制度では、現在の資格で認められている活動と、実際に行う活動が一致しているかが重要となるからです。


まとめ

在留資格は、外国人が日本でどのような活動を行えるか、またはどのような身分・地位に基づいて在留できるかを示す制度です。

日本で働く、学ぶ、家族と暮らす、会社を経営する、長く住み続けるなど、目的によって必要な在留資格は異なります。

まずは、本人が海外にいるのか日本にいるのか、日本で何をしたいのか、どの在留資格に当てはまりそうかを整理することが大切です。

この基本を押さえることで、就労、家族、永住、経営・管理、特定技能など、本サイトでご紹介している個別記事も理解しやすくなる筈です。


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