Ⅳ-14. スタートアップビザから経営・管理ビザへ変更する場合の注意点

外国人起業家が日本で起業準備を行うために、いわゆる「スタートアップビザ」を利用することがあります。

スタートアップビザは、正式には在留資格「特定活動」による起業準備活動として運用される制度です。
ただし、スタートアップビザは最終目的ではなく、一定期間内に事業を具体化し、在留資格「経営・管理」へ変更することを見据えた制度です。

この記事では、スタートアップビザから経営・管理へ変更する場合の注意点を整理します。


1. スタートアップビザとは

スタートアップビザは、外国人起業家が日本で起業準備活動を行うための制度です。

出入国在留管理庁は、外国人起業活動促進事業について、認定された地方公共団体等による管理・支援の下で起業準備活動を行うため、最長2年間、在留資格「特定活動」により起業準備活動を行うことができる制度として案内しています。

横浜市のスタートアップビザ制度でも、外国人起業家が起業準備活動計画を提出し、市が一定期間内に経営・管理の要件を満たす見込みがあると判断した場合に確認証明書を発行し、その後、入管で審査を受ける流れが案内されています。


2. スタートアップビザは経営・管理への準備期間

スタートアップビザは、起業準備を行うための在留資格です。

最終的には、次のような状態を整えて、経営・管理への変更を目指します。

準備項目内容
会社設立法人登記、定款、資本金
事務所事業所の確保
資金資本金・運転資金
常勤職員雇用体制
事業計画売上・費用・成長見込み
顧客開拓契約見込み、商談、受注
許認可必要な業種での許認可
日本語能力等改正後基準への対応

スタートアップビザ期間中に、事業を計画段階から実体ある事業へ進める必要があります。


3. 令和7年改正と変更申請への影響

令和7年10月16日施行の改正により、経営・管理の基準は見直されています。

スタートアップビザから経営・管理へ変更する場合にも、原則として改正後の基準を確認する必要があります。もっとも、入管庁は、改正告示の施行日前に確認証明書が交付されている場合は、経営・管理への変更時に改正前基準を適用し、施行日以降に確認証明書が交付されている場合は改正後基準を適用すると案内しています。

そのため、いつ確認証明書の交付を受けたかによって、変更申請で確認される基準が変わる可能性があります。


4. 変更前に確認すべきこと

スタートアップビザから経営・管理へ変更する前に、次の点を確認します。

確認項目内容
確認証明書の交付日改正前・改正後基準の関係
起業準備の進捗計画どおり進んでいるか
会社設立登記が完了しているか
資本金基準を満たすか
常勤職員雇用体制が整っているか
事務所事業用として確保されているか
事業計画専門家確認を受けられる内容か
許認可必要な許認可の取得状況
売上・契約受注・契約見込みを示せるか

5. 事業計画の実現可能性が重要

スタートアップビザの段階では、まだ準備中でも認められる余地があります。

しかし、経営・管理へ変更する段階では、より具体的な事業実体が求められます。

入管庁は、経営・管理の事業計画書について、具体性・合理性・実現可能性を評価するものとして、経営に関する専門的知識を有する者の確認を義務付けています。

つまり、計画だけではなく、実際に進んでいることを示す資料が重要になります。


6. よくある注意点

スタートアップビザから経営・管理へ変更する場合、次のような点に注意が必要です。

  • スタートアップビザを取得すれば経営・管理も当然に取れると思っている
  • 確認証明書の交付日と新旧基準の関係を確認していない
  • 事務所や資本金の準備が遅れている
  • 常勤職員の雇用計画がない
  • 顧客や売上見込みが具体化していない
  • 起業準備活動の進捗を資料で示せない
  • 期間満了直前に変更準備を始める
  • 許認可が必要な事業なのに未確認

まとめ

スタートアップビザは、外国人起業家が日本で起業準備を行うための在留資格「特定活動」の制度です。

最終的には、事業を具体化し、在留資格「経営・管理」への変更を目指します。
令和7年改正後は、確認証明書の交付時期によって新旧基準の適用関係が変わる場合があるため、早めに確認することが重要です。

スタートアップビザ期間中に、会社設立、事務所、資本金、常勤職員、顧客開拓、事業計画を計画的に進めることが大切です。


次に読みたい関連記事

  • 留学生が卒業後に起業する場合の在留資格変更
  • 経営・管理ビザの資本金・常勤職員要件で注意すべきこと
  • 外国人起業家のための事業計画書作成のポイント
  • 経営・管理ビザで赤字決算になった場合の更新対策