Ⅶ-7.外国人役員・管理職を日本に呼ぶ場合の在留資格

Ⅶ 高度人材・企業内転勤・グローバル人材

外国人役員や管理職を日本へ呼ぶ場合、在留資格の選択には注意が必要です。

海外本社の役員を日本法人の代表者として赴任させる、外国人マネージャーを日本支店の責任者にする、海外子会社の管理職を日本本社へ呼ぶ、外資系企業が外国人管理職を採用するなど、実務ではさまざまなケースがあります。

企業からは、次のような相談を受けることがあります。

・外国人役員を日本法人に呼ぶ場合、経営・管理ですか
・管理職なら必ず経営・管理になりますか
・企業内転勤と経営・管理の違いは何ですか
・役員でも技術・人文知識・国際業務になることはありますか
・海外本社から日本法人の代表者を派遣する場合はどうなりますか
・名ばかり管理職でも申請できますか
・高度専門職を検討できる場合はありますか

外国人役員・管理職を日本に呼ぶ場合、肩書きだけで在留資格は決まりません。

重要なのは、日本で実際にどのような活動を行うかです。

会社の経営を行うのか、事業の管理を行うのか、専門職として業務を行うのか、海外拠点からの転勤なのかによって、検討すべき在留資格が変わります。

まず活動内容を確認する

外国人役員・管理職を日本へ呼ぶ場合、最初に確認すべきなのは、役職名ではなく活動内容です。

検討される主な在留資格は、次のとおりです。

活動内容検討する在留資格
日本で事業の経営又は管理を行う経営・管理
海外拠点から日本拠点へ期間を定めて転勤する企業内転勤
専門的・技術的業務を行う技術・人文知識・国際業務
高度人材ポイントに該当する高度専門職
短期の会議、打合せ、視察短期滞在

「役員だから経営・管理」「マネージャーだから経営・管理」と自動的に決まるわけではありません。

実際に会社の経営又は管理に従事するかどうかが重要です。

経営・管理を検討する場合

外国人が日本で事業の経営又は管理に従事する場合、在留資格「経営・管理」を検討します。

出入国在留管理庁は、経営・管理について、日本で貿易その他の事業の経営を行い、又はその事業の管理に従事する活動を対象とし、該当例として企業等の経営者・管理者を挙げています。
(出典:在留資格「経営・管理」 出入国在留管理庁ウェブサイトより)

経営・管理が問題になるのは、たとえば次のようなケースです。

・日本法人の代表取締役に就任する
・日本支店の代表者になる
・日本法人の取締役として経営判断を行う
・事業部門の責任者として管理業務を行う
・支店長、拠点長として事業運営を管理する
・外資系企業の日本法人で経営幹部として勤務する

ただし、役職名が取締役やマネージャーであっても、実際には専門職として業務を行うだけで、経営判断や管理業務を行わない場合には、経営・管理ではなく別の在留資格を検討することがあります。

管理職なら必ず経営・管理とは限らない

企業の中には、「部長」「マネージャー」「管理職」という肩書きがあっても、実際には専門業務を担当しているケースがあります。

たとえば、次のような場合です。

・IT部門のプロジェクトマネージャー
・海外営業部門のマネージャー
・品質管理部門の責任者
・経理部門の専門職マネージャー
・マーケティング部門のリーダー

このような場合、業務内容によっては、技術・人文知識・国際業務や高度専門職を検討することがあります。

経営・管理は、会社又は事業の経営・管理に従事する活動を対象とします。

単にチームをまとめる、プロジェクトを管理する、専門業務のリーダーを務めるというだけでは、必ずしも経営・管理に該当するとは限りません。

企業内転勤を検討する場合

海外本社や海外子会社から、日本法人や日本支店へ外国人管理職を期間を定めて転勤させる場合、企業内転勤を検討することがあります。

たとえば、次のようなケースです。

・海外本社の管理職を日本支店へ転勤させる
・海外子会社の部門責任者を日本本社で勤務させる
・海外拠点の幹部候補を日本で一定期間勤務させる
・グローバル人事異動として日本法人へ派遣する

企業内転勤の場合、日本で行う業務は技術・人文知識・国際業務に該当する内容である必要があります。

また、転勤前に海外拠点で継続して1年以上勤務していること、日本での転勤期間が定められていることも重要です。

技術・人文知識・国際業務を検討する場合

外国人管理職であっても、実際には専門的・技術的業務を中心に行う場合には、技術・人文知識・国際業務を検討することがあります。

出入国在留管理庁は、技術・人文知識・国際業務の該当例として、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等を挙げています。
(出典:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 出入国在留管理庁ウェブサイトより)

たとえば、次のような管理職です。

・ITプロジェクトマネージャー
・海外営業マネージャー
・マーケティングマネージャー
・財務マネージャー
・法務マネージャー
・技術部門マネージャー

この場合には、本人の学歴・職歴と業務内容の関連性、日本で行う業務の専門性、報酬水準を説明する必要があります。

高度専門職を検討する場合

外国人役員・管理職が高度人材ポイント制に該当する場合、高度専門職を検討することもあります。

特に、学歴、職歴、年収、役職、日本語能力などにより70点以上に達する場合、高度専門職1号ロ又は1号ハが問題になることがあります。

高度専門職には、5年の在留期間、永住許可要件の緩和、一定の家族帯同などの優遇措置があります。

出入国在留管理庁は、高度人材ポイント制について、学歴、職歴、年収などをポイント化し、高度外国人材に優遇措置を講ずる制度として案内しています。
(出典:高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度 出入国在留管理庁ウェブサイトより)

外国人役員・管理職の年収が高く、経歴も十分な場合には、高度専門職を検討する価値があります。

役員就任時に確認すべき資料

外国人役員を日本に呼ぶ場合、次の資料を確認します。

資料確認する内容
就任承諾書役員就任の事実
株主総会議事録・取締役会議事録選任手続
登記事項証明書役員登記
会社案内事業内容
事業計画書経営活動の実態
組織図役員・管理職の位置付け
職務内容説明書実際の業務内容
報酬資料役員報酬・給与
海外本社との関係資料グループ関係
本人の経歴資料経営・管理経験

経営・管理の場合は、会社の実態、事業継続性、経営・管理の具体的内容を示すことが重要です。

名ばかり管理職に注意

在留資格申請では、肩書きだけで判断されません。

「マネージャー」「ディレクター」「部長」といった肩書きがあっても、実際には管理権限がなく、単純作業や一般業務が中心であれば、経営・管理として説明することは難しくなります。

確認すべき点は、次のとおりです。

・部下がいるか
・予算権限があるか
・採用、人事評価に関与するか
・事業計画に関与するか
・意思決定権限があるか
・実際の業務内容は何か
・現場作業が中心ではないか

役職名だけで申請するのではなく、実際の権限と職務内容を資料で説明できるようにしておく必要があります。

まとめ

外国人役員・管理職を日本に呼ぶ場合、在留資格は肩書きではなく、実際の活動内容によって判断します。

この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。

・外国人役員・管理職を日本に呼ぶ場合、まず実際の活動内容を確認する
・日本で事業の経営又は管理を行う場合は、経営・管理を検討する
・海外拠点から期間を定めて転勤する場合は、企業内転勤を検討する
・専門的・技術的業務を行う管理職の場合は、技術・人文知識・国際業務を検討する
・学歴、職歴、年収等が高い場合は、高度専門職を検討することもある
・管理職という肩書きだけで経営・管理になるわけではない
・名ばかり管理職や実態のない役員就任には注意が必要である
・役員・管理職の権限、職務内容、報酬、会社の事業実態を資料で説明する必要がある

外国人役員・管理職を日本へ呼ぶ場合は、役職名ではなく、実際の業務、権限、会社の事業内容を踏まえて在留資格を選択することが重要です。

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参考資料・出典

在留資格「経営・管理」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
外国人経営者の在留資格基準の明確化について 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「企業内転勤」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「技術・人文知識・国際業務」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
高度人材ポイント制による出入国在留管理上の優遇制度 出入国在留管理庁ウェブサイトより