在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請が不許可になった後、再申請を検討する場合には、前回の不許可理由を踏まえて準備することが重要です。
同じ内容・同じ資料で申請を繰り返しても、問題となった点が解消されていなければ、結果が変わる可能性は高くありません。
再申請では、何が問題だったのか、どのように改善できるのか、現在の状況で申請を続けることが適切なのかを整理する必要があります。
なお、海外から外国人を呼び寄せるための在留資格認定証明書交付申請では、「不許可」ではなく「不交付」と呼ばれます。不交付後の対応については、「Ⅴ-9.在留資格認定証明書が不交付になった場合の対応」もご参照ください。
この記事では、不許可・不交付後に再申請をする前に確認すべきポイントを整理します。
1.まず不許可理由を整理する
再申請の出発点は、不許可理由の確認です。
不許可通知書の記載だけでは、どの事情や資料が問題とされたのかを十分に把握できない場合があります。可能であれば、前回の申請内容を手元に準備したうえで、不許可理由について入管から説明を受け、聞き取った内容を記録しておくことが重要です。
不許可理由を確認する際の具体的な準備については、「Ⅴ-10.不許可理由を入管で確認する際のポイント」で詳しく解説しています。
不許可理由は、次のような類型に分けて整理すると分かりやすくなります。
| 類型 | 例 |
|---|---|
| 在留資格該当性 | 予定している活動や仕事内容が申請した在留資格に該当しない |
| 基準適合性 | 学歴・職歴、報酬、事業規模などの基準を満たしていない |
| 事業・会社の実態 | 会社の事業実態、継続性、受入体制などの説明が不十分 |
| 生活基盤・扶養能力 | 収入や資産が少なく、安定した生活や扶養の見通しが不十分 |
| 公的義務 | 税金、年金、健康保険、届出などに問題がある |
| 身分関係 | 婚姻、親子関係、同居状況などの実体について説明が不足 |
| 書類・説明不足 | 必要資料、理由書、翻訳などが不足している |
| 信頼性・整合性 | 申請書、提出資料、過去の申請内容と実態に矛盾がある |
| 在留状況 | 資格外活動、長期間の無活動、届出漏れなどがある |
在留資格の変更・更新は、必要書類を提出すれば当然に許可される手続きではありません。
出入国在留管理庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」では、在留資格該当性、基準適合性、素行、生活の安定性、雇用・労働条件、納税義務、入管法上の届出などを総合的に考慮するとされています。
申請の種類や在留資格によって審査事項は異なるため、「書類が一つ足りなかっただけ」と早合点せず、判断の中心となった問題を特定することが大切です。
不許可直後に確認すべき事項については、「Ⅴ-7.在留資格申請が不許可になった場合に確認すべきこと」もご参照ください。
2.前回申請資料を確認する
再申請では、前回提出した資料を確認することが重要です。
確認すべき資料は次のとおりです。
- 申請書の控え
- 理由書・申請理由書
- 添付資料
- 入管から求められて提出した追加資料
- 不許可・不交付通知書
- 不許可理由の説明を受けた際のメモ
- 会社・雇用関係の資料
- 本人の学歴・職歴に関する資料
- 家族関係を示す資料
- 税金・年金・健康保険に関する資料
- 過去の在留資格申請で提出した資料
前回申請で何を提出し、何を説明していなかったのか、どの資料が不足していたのかを確認します。
また、単に不足書類の有無を確認するだけでなく、申請書、理由書、添付資料、本人の説明、会社や家族の説明が一致しているかも確認する必要があります。
前回の申請後に、勤務先、職務内容、収入、住所、婚姻関係、会社の事業状況などが変わっている場合には、いつ、何が、どのように変わったのかを整理し、その事実を示す資料を準備します。
申請中に追加資料を求められていた場合には、その内容が入管の疑問点を知る手掛かりになることがあります。「Ⅴ-6.入管から追加資料を求められた場合の対応」もあわせてご確認ください。
3.申請方針を見直す
不許可理由によっては、単に資料を追加するだけでは足りない場合があります。
たとえば、次のような見直しが必要になることがあります。
- 申請する在留資格を再検討する
- 職務内容を具体的に整理する
- 学歴・職歴と業務内容の関連性を説明する
- 雇用条件や受入体制を見直す
- 会社の事業実態を示す資料を追加する
- 事業計画を作り直す
- 婚姻・同居・交流状況を示す資料を整理する
- 申請時期を見直す
- 税金・年金・健康保険の状況を整える
- 会社、本人、家族の説明内容を統一する
再申請では、前回と何が変わったのか、不許可理由に対してどのような改善・補足を行ったのかを明確にすることが重要です。
一方で、書類上の表現だけを変更しても、実際の職務内容、収入、事業実態、婚姻生活などが変わっていなければ、問題が解消されたとは判断されない可能性があります。
過去の申請内容に誤りがあった場合は、前回の説明をなかったことにするのではなく、誤りが生じた理由と正しい事実関係を説明し、客観的な資料で裏付ける必要があります。
在留資格変更許可申請と更新許可申請の違いについては、「Ⅴ-2.在留資格変更許可申請とは?変更が必要になるケース」および「Ⅴ-3.在留期間更新許可申請とは?期限前に準備すべきこと」で解説しています。
4.再申請を急がない方がよい場合
不許可後、すぐに再申請すればよいとは限りません。
次のような場合には、問題となった状況を整えてから申請することを検討します。
- 収入や雇用が不安定である
- 納税・年金・健康保険に未納や手続上の問題がある
- 会社の事業実態や受入体制が不足している
- 事業計画に具体性や裏付けがない
- 夫婦関係や同居実態を示す資料が少ない
- 学歴・職歴と業務内容の関連性が弱い
- 申請する在留資格の選択が合っていない
- 前回申請との矛盾をまだ整理できていない
- 不許可理由に対応する新しい事実や資料がない
ただし、「急いで同じ申請を繰り返さないこと」と「何もしないまま時間を置くこと」は同じではありません。
日本国内で在留資格変更・更新が不許可になった場合には、現在の在留資格、在留期限、特例期間の終了時期、出国準備のための「特定活動」が付与されているかなどを確認する必要があります。
更新・変更申請に伴う特例期間は、申請に対する処分が行われた時点、または従前の在留期限から2か月が経過した時点のいずれか早い時までとされています。詳しくは、出入国在留管理庁の「特例期間とは?」をご確認ください。
不許可後に再申請を行っただけで、当然に在留期限が延長されるわけではありません。特に、出国準備の「特定活動」が付与された場合は、在留期間が30日か31日かによって特例期間の取扱いが異なる可能性があります。
詳しくは、「Ⅴ-13.在留資格申請中に在留期限が来た場合の扱い」および「Ⅴ-21.特定活動「出国準備」30日と31日の違い|特例期間と再申請の注意点」をご参照ください。
再申請の準備と在留期限・出国準備は、分けて考えず、同時に確認することが重要です。
5.理由書・説明資料を作り直す
再申請では、理由書や説明資料が重要になります。
理由書では、次の点を整理します。
- 前回不許可・不交付となった理由
- その理由をどのように理解しているか
- 前回申請後に改善・変更した事項
- 新たに追加・修正した資料
- 現在の状況
- 今後行う活動や生活の内容
- 申請内容が在留資格に該当する理由
- 前回申請との相違点
- 不利な事情がある場合の経緯と現在の対応
ただし、理由書を書き直しただけで結果が変わるわけではありません。
理由書に記載した内容を、雇用契約書、職務内容説明書、取引資料、収入資料、納税資料、写真、通信記録、住居資料などの客観的な資料で裏付ける必要があります。
また、不許可理由と直接関係のない資料を大量に提出しても、問題の解消につながるとは限りません。不許可理由と追加資料の関係を明確にし、審査する側が確認しやすい構成にすることが大切です。
理由書の基本的な構成については、「Ⅴ-5.入管申請の理由書には何を書くべきか」をご参照ください。
6.よくある注意点
再申請では、次の点に注意が必要です。
- 不許可理由を確認しないまま再申請する
- 前回と同じ内容・同じ資料で再申請する
- 理由書だけを変更し、裏付け資料を補充していない
- 申請する在留資格を見直していない
- 在留期限や現在の在留資格を確認していない
- 再申請をすれば在留期間も自動的に延びると考える
- 不利な事情や過去の申請内容を隠す
- 会社、本人、家族の説明が一致していない
- 前回申請との違いを説明していない
- 実態を変えずに書類上の表現だけを変更する
- インターネット上の理由書や例文をそのまま使用する
- 短期間に何度も申請を繰り返す
再申請が可能であることと、再申請によって許可される見込みがあることは別の問題です。
不許可理由を解消できない場合や、現在の活動が申請する在留資格に該当しない場合には、申請時期を見直す、別の在留資格を検討する、いったん出国して在留資格認定証明書交付申請から手続きをやり直すなど、別の方針が必要になることもあります。
7.まとめ
再申請をする前には、不許可理由を確認し、前回申請資料を見直し、申請方針を整理する必要があります。
大切なのは、前回と同じ申請を繰り返すことではなく、不許可理由に対して、どのような改善・補足ができるのかを明確にすることです。
再申請では、理由書、追加資料、申請時期、現在の在留資格、在留期限を総合的に確認することが重要です。
特に日本国内で不許可となった場合には、再申請の準備だけでなく、特例期間や出国準備期間も同時に確認しなければなりません。
不許可・不交付から再申請までの全体像については、「在留資格の不許可・不交付・再申請ガイド|理由確認と立て直し」もご活用ください。
8.不許可・不交付後の再申請に関するご相談
不許可・不交付後の再申請では、前回の申請内容、不許可理由、現在の在留状況、新たに準備できる資料を一体として検討する必要があります。
行政書士TMY総合法務事務所では、不許可理由を踏まえた事実関係の整理、再申請方針の検討、必要書類や理由書の作成、在留資格申請の取次についてご相談を承っています。
不許可後は在留期限までの時間が限られることもあるため、「同じ内容で再申請してよいのか」「どの資料を追加すべきか」「現在の在留期間で準備が間に合うか」とお悩みの場合は、早めにご相談ください。
初回相談は約30分無料です。Zoom・Microsoft Teamsを利用したオンライン相談にも対応しています。
※行政書士に依頼した場合でも、許可・交付が保証されるものではありません。許可・不許可を判断するのは出入国在留管理庁です。
9.次に読みたい関連記事
- Ⅴ-7.在留資格申請が不許可になった場合に確認すべきこと
- Ⅴ-9.在留資格認定証明書が不交付になった場合の対応
- Ⅴ-10.不許可理由を入管で確認する際のポイント
- Ⅴ-5.入管申請の理由書には何を書くべきか
- Ⅴ-13.在留資格申請中に在留期限が来た場合の扱い
- Ⅴ-21.特定活動「出国準備」30日と31日の違い|特例期間と再申請の注意点
10.参考資料・出典
- 在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン(出入国在留管理庁)
- 在留資格変更許可申請(出入国在留管理庁)
- 在留期間更新許可申請(出入国在留管理庁)
- 在留資格認定証明書交付申請(出入国在留管理庁)
- 特例期間とは?(出入国在留管理庁)

