外国人社員を海外拠点から日本法人・日本支店などへ転勤させる場合、在留資格「企業内転勤」の在留資格認定証明書交付申請を行うことがあります。
一般には「企業内転勤ビザ」と呼ばれることがありますが、正確には、外国人が日本で行う活動に応じて付与される「在留資格」の申請です。
在留資格認定証明書交付申請は、海外にいる外国人を日本に呼び寄せるため、入国前に日本側で行う手続です。
出入国在留管理庁は、在留資格認定証明書交付申請について、「日本に入国しようとする外国人の方が、日本で行おうとする活動内容がいずれかの在留資格に該当するものである等の上陸のための条件に適合していることを証明するために、入国前にあらかじめ行う申請」と説明しています。
参照:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」
また、入管法上も、在留資格認定証明書は、上陸条件に適合している旨の証明書として位置づけられています。
参照:e-Gov法令検索「出入国管理及び難民認定法」
企業内転勤の申請では、転勤命令書、派遣元・派遣先の関係資料、職務内容の説明資料、会社のカテゴリー別資料などが重要ですが、申請書そのものの記載内容も審査上の基礎資料になります。
申請書の記載があいまいであったり、添付資料と一致していなかったりすると、入管から追加説明を求められることがあります。場合によっては、申請内容の信ぴょう性に疑義を持たれることもあります。
この記事では、企業内転勤の在留資格認定証明書交付申請書について、申請書の項目番号に沿って、企業が確認すべき記入上の注意点を整理します。
なお、在留資格認定証明書は英文表記で Certificate of Eligibilityですが、頭文字をとりCOEと呼ばれることが多いです。以下、本稿でもCOEと記載したり、資格認定証明書交付申請のことを短く”COE申請”と記載している箇所がありますのでご注意ください。
- 1 企業内転勤のCOE申請書は、何を説明する書類か
- 2 記入前に準備しておくべき情報
- 3 申請人等作成用1の記入方法
- 【項目1】国籍・地域
- 【項目2】生年月日
- 【項目3】氏名
- 【項目4】性別
- 【項目5】出生地
- 【項目6】配偶者の有無
- 【項目7】職業
- 【項目8】本国における居住地
- 【項目9】日本における連絡先
- 【項目10】旅券
- 【項目11】入国目的
- 【項目12】入国予定年月日
- 【項目13】上陸予定港
- 【項目14】滞在予定期間
- 【項目15】同伴者の有無
- 【項目16】査証申請予定地
- 【項目17】過去の出入国歴
- 【項目18】過去の在留資格認定証明書交付申請歴
- 【項目19】犯罪を理由とする処分を受けたことの有無
- 【項目20】退去強制又は出国命令による出国の有無
- 【項目21】在日親族及び同居者
- 4 申請人等作成用2 Lの記入方法
- 【項目22】勤務先又は活動先
- 【項目23】派遣元会社若しくは団体又は契約を締結している報道機関
- 【項目24】派遣元会社又は団体と勤務先との関係
- 【項目25】職歴
- 【項目26】申請人、法定代理人、法第7条の2第2項に規定する代理人
- 5 所属機関等作成用1 Lの記入方法
- 【項目1】申請人の氏名
- 【項目2】契約の形態
- 【項目3】所属機関等契約先
- 【項目4】給与・報酬
- 【項目5】職務上の地位
- 【項目6】派遣・就労予定期間
- 【項目7】職種
- 【項目8】活動内容詳細
- 【項目9】派遣元会社若しくは団体又は契約を締結している報道機関
- 【項目10】派遣元会社又は団体と勤務先との関係
- 6 署名・作成年月日・取次者欄の注意点
- 7 申請書と添付資料の整合性が重要
- 8 企業内転勤の申請で特に注意すべきポイント
- 9 よくある記入ミス
- 10 申請前のチェックリスト
- 11 まとめ
1 企業内転勤のCOE申請書は、何を説明する書類か
在留資格認定証明書交付申請書は、単に氏名や住所を記入するだけの書類ではありません。
企業内転勤の場合、申請書を通じて、主に次の点を説明することになります。
1つ目は、申請人が誰であるかです。
国籍、氏名、生年月日、旅券番号、過去の日本への出入国歴、過去のCOE申請歴などを記入します。
2つ目は、申請人が日本でどこに勤務するのかです。
日本側の勤務先、支店・事業所、所在地、電話番号などを記入します。
3つ目は、申請人が海外のどの会社・事業所から転勤してくるのかです。
派遣元会社の名称、所在地、日本側勤務先との関係を記入します。
4つ目は、日本でどのような仕事をするのかです。
職務上の地位、派遣・就労予定期間、職種、活動内容詳細、給与・報酬などを記入します。
5つ目は、企業内転勤の要件との関係です。
企業内転勤では、外国にある事業所から日本にある事業所へ、期間を定めて転勤すること、日本で行う業務が技術・人文知識・国際業務に相当する専門的業務であること、転勤直前に外国の事業所で一定期間、対象業務に従事していたことなどが問題になります。
出入国在留管理庁の在留資格「企業内転勤」のページでも、在留資格認定証明書交付申請書、写真、返信用封筒のほか、カテゴリー別の提出書類が案内されています。企業内転勤では、申請書だけでなく、会社の規模・状況に応じた資料を確認する必要があります。
参照:出入国在留管理庁「在留資格『企業内転勤』」
そのため、申請書の記載は、添付資料、理由書、転勤命令書、職務内容説明書、会社案内、組織図などと整合している必要があります。
2 記入前に準備しておくべき情報
申請書を書き始める前に、次の情報を整理しておくと、記入作業がスムーズになります。
申請人本人について確認する情報
申請人本人については、少なくとも次の情報を確認します。
- パスポート上の氏名
- 国籍・地域
- 生年月日
- 性別
- 出生地
- 配偶者の有無
- 現在の職業
- 本国における居住地
- パスポート番号と有効期限
- 日本への入国予定日
- 上陸予定港
- 滞在予定期間
- 査証申請予定地
- 過去の日本への出入国歴
- 過去の在留資格認定証明書交付申請歴
- 犯罪歴の有無
- 退去強制又は出国命令による出国歴の有無
- 日本にいる親族・同居予定者の有無
特に、過去の出入国歴、過去のCOE申請歴、退去強制・出国命令歴については、本人の記憶だけでは不正確なことがあります。
古いパスポート、在留カード、学校・勤務先の記録、過去のビザ申請資料なども確認した方が安全です。
日本側勤務先について確認する情報
日本側勤務先については、次の情報を確認します。
- 会社名
- 法人番号
- 支店・事業所名
- 勤務予定地の住所
- 電話番号
- 雇用保険適用事業所番号
- 業種
- 資本金
- 直近年度の年間売上高
- 従業員数
- 外国人職員数
- 給与・報酬額
- 職務上の地位
- 派遣・就労予定期間
- 職種
- 活動内容詳細
企業内転勤では、日本側勤務先の実体も重要です。
提出書類の見直しや審査実務の状況によっては、転勤前の外国事業所や日本側事業所の実在性、本人の海外勤務実態などを、より具体的に説明する必要が生じる場面があります。
そのため、申請書に書く内容は、登記事項証明書、会社案内、事務所写真、組織図、決算資料、納税関係資料、転勤命令書、在職証明書などと矛盾しないように整理します。
派遣元会社について確認する情報
派遣元会社については、次の情報を確認します。
- 派遣元会社の正式名称
- 所在地
- 日本側勤務先との資本関係・組織関係
- 申請人の所属部署
- 申請人の職務内容
- 申請人の職歴
- 転勤直前1年間の業務内容、地位、報酬
- 転勤命令・出向命令の内容
- 日本転勤後に戻る部署・ポジションの有無
企業内転勤は、海外拠点から日本拠点への社内異動型の在留資格です。
そのため、「どこの会社から、どこの会社へ、どのような関係に基づいて転勤するのか」を、申請書と添付資料の両方で明確にする必要があります。
3 申請人等作成用1の記入方法
申請人等作成用1は、申請人本人に関する基本情報を記入する部分です。
企業担当者が代理で準備する場合でも、本人情報については、必ず本人資料に基づいて確認します。
【項目1】国籍・地域
申請人の国籍・地域を記入します。
パスポートに記載された国籍を基準にします。
台湾、香港、マカオなどについては、実務上の表記に注意が必要です。社内資料、パスポート、申請書の表記がばらばらにならないように確認します。
【項目2】生年月日
申請人の生年月日を記入します。
西暦で記入する場合は、パスポートの記載と一致させます。
日付の順序を日本式、欧米式、中国式で誤ることがあります。
例えば、1990年4月5日と、1990年5月4日を取り違えるようなミスは、本人確認上の重大な不一致につながります。
【項目3】氏名
氏名は、原則としてパスポートのローマ字表記に合わせます。
Family name、Given nameの順序を間違えないようにします。
中国、韓国、ベトナムなどの申請では、社内資料に漢字名、ローマ字名、英語名、通称名が混在していることがあります。
申請書では、パスポート上の氏名を基準にし、添付資料でも同一人物であることが分かるように整理します。
【項目4】性別
申請人の性別を選択します。
パスポートその他本人確認資料と一致させます。
【項目5】出生地
申請人の出生地を記入します。
国名・地域名、都市名など、分かる範囲で記入します。
パスポート上の出生地表記と大きく異なる書き方をすると、確認を求められることがあります。
【項目6】配偶者の有無
配偶者がいる場合は「有」、いない場合は「無」を選択します。
結婚しているかどうかは、戸籍制度のある国とない国で確認資料が異なるため、必要に応じて婚姻証明書等で確認します。
同伴家族がいる場合には、家族滞在の申請の有無とも関係します。
【項目7】職業
申請人の現在の職業を記入します。
企業内転勤の場合は、通常、海外の派遣元会社における現在の職業・職務上の地位を記入します。
単に「会社員」と書くこともありますが、可能であれば「システムエンジニア」「海外営業担当」「品質管理マネージャー」「購買担当」など、職務内容が分かる表現にした方が、後続の職務内容説明と整合しやすくなります。
【項目8】本国における居住地
申請人の本国における居住地を記入します。
国名、都市名、住所を確認します。
派遣元会社の所在地と本人の居住地が異なる場合でも、それ自体は問題ではありません。
ただし、申請人が実際にどこの国・地域で勤務していたのか、転勤直前の勤務実態と矛盾しないように整理します。
【項目9】日本における連絡先
日本での連絡先を記入します。
企業内転勤の場合、通常は日本側受入企業の所在地、担当部署、担当者の連絡先を記入することが多いです。
本人がまだ海外にいる段階では、日本の自宅住所が決まっていないこともあります。
その場合は、受入企業の連絡先を記入し、入国後の住居は別途社内で手配する形になることがあります。
【項目10】旅券
項目10では、パスポート番号と有効期限を記入します。
パスポートの有効期限が短い場合、査証申請や入国後の手続に影響することがあります。
申請前に、有効期限が十分に残っているか確認します。
パスポート更新予定がある場合は、申請時点で使用する旅券情報と、実際の入国時の旅券情報が変わる可能性があるため、慎重に扱います。
【項目11】入国目的
入国目的では、「企業内転勤」に該当する欄を選択します。
申請書の様式によっては、「企業内転勤」又はこれに対応する欄を選択する形になります。
この記事では、海外の事業所で専門的業務に従事していた外国人社員を、日本側の本店、支店、子会社、関連会社等へ転勤させる通常の企業内転勤申請を念頭に置いて説明します。
ここで重要なのは、実際の活動内容が企業内転勤に該当していることです。
単なる研修、現場作業、単純労働、短期出張、業務引継ぎだけでは、企業内転勤として説明できない場合があります。
【項目12】入国予定年月日
申請人が日本に入国する予定日を記入します。
実際には、COE交付、査証申請、航空券手配、社内辞令の発令日などにより、入国日は変動することがあります。
出入国在留管理庁は、COE申請について「入国以前に交付を受けることができるように、余裕をもって申請書類を提出してください」と案内しています。
参照:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」
そのため、あまりに近すぎる日付を記入すると、審査期間との関係で現実的でない内容になることがあります。
企業側では、余裕を持った入国予定日を設定することが大切です。
【項目13】上陸予定港
日本に入国する予定の空港・港を記入します。
成田空港、羽田空港、関西国際空港、中部国際空港など、現時点で予定している上陸港を記入します。
予定が未定の場合でも、会社が通常利用する空港を想定して記入します。
【項目14】滞在予定期間
日本での滞在予定期間を記入します。
企業内転勤は、「期間を定めて」転勤することが前提となる在留資格です。
そのため、「未定」「無期限」「定めなし」という記載は避けるべきです。
例えば、次のように、転勤命令書や出向契約書と一致する形で記入します。
- 3年間
- 2026年7月1日から2029年6月30日まで
- 入国日から3年間
- プロジェクト期間である2年間
在留期間として必ず希望どおりの期間が認められるわけではありませんが、企業側として予定している転勤期間を明確に示すことが重要です。
【項目15】同伴者の有無
申請人と一緒に入国する家族などがいる場合は「有」を選択します。
配偶者や子が同伴する場合、家族滞在の在留資格認定証明書交付申請を同時に行うことがあります。
この場合、企業内転勤本人の申請と、家族滞在の申請の内容が整合している必要があります。
同伴しない家族がいる場合には、「同伴者」は無となることがありますが、項目21の在日親族欄との関係も確認します。
【項目16】査証申請予定地
COEが交付された後、申請人が査証申請を行う予定の在外公館所在地を記入します。
出入国在留管理庁は、COEについて、在外公館における査証申請や上陸申請の際に提出・提示することにより、速やかに査証発給や上陸許可を受けることができると説明しています。
参照:出入国在留管理庁「入国・帰国手続<査証・在留資格認定証明書>」
例えば、中国在住者であれば、北京、上海、広州、瀋陽など、居住地や管轄に応じた日本大使館・総領事館の所在地を確認します。
ここは、本人の居住地、勤務国、査証申請を予定している国・地域と矛盾しないようにします。
【項目17】過去の出入国歴
項目17では、申請人が過去に日本へ入国したことがあるかを記入します。
過去に観光、短期商用、留学、就労、家族滞在、技能実習、特定活動などで日本に入国したことがある場合は「有」とします。
その上で、入国回数と、直近の出入国歴を記入します。
ここでいう「過去の出入国歴」は、COE申請歴とは別です。
短期滞在で何度も日本に来ている場合、項目17は「有」になりますが、項目18のCOE申請歴は「無」となることがあります。
過去の出入国回数は、本人の記憶だけでは不正確になりやすい項目です。
古いパスポート、査証シール、出入国スタンプ、在留カード、会社の出張記録などを確認します。
特に、中国人社員などで短期商用のマルチビザを利用して何度も来日している場合、出入国回数が多くなります。
この場合は、概算で記入するのではなく、可能な範囲で正確に確認することが望ましいです。
【項目18】過去の在留資格認定証明書交付申請歴
項目18は、過去に在留資格認定証明書交付申請をしたことがあるかを記入する欄です。
ここは、過去の出入国歴とは意味が異なります。
在留資格認定証明書交付申請は、海外にいる外国人を日本に呼び寄せるため、入国前に日本側で行う手続です。
出入国在留管理庁は、COE申請の対象者を「日本に入国を希望する外国人(短期滞在を目的とする者を除きます。)」と説明しています。
参照:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」
したがって、項目18では、過去に日本へ中長期在留目的で入国する際、学校、企業、親族、受入機関、行政書士などを通じて、COE申請が行われたことがあるかを確認します。
項目18で「有」と考えるべき典型例
過去に、次のような在留資格で日本に入国したことがある場合は、COE申請歴があった可能性が高いため、慎重に確認します。
- 留学
- 旧就学
- 家族滞在
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 技能実習
- 特定技能
- 研修
- 研究
- 教育
- 経営・管理
- 日本人の配偶者等
- 永住者の配偶者等
- 定住者
- 一部の特定活動
特に、過去に日本で6か月以上継続して在留していた場合には、何らかの在留資格認定証明書交付申請を経て入国していた可能性があります。
ただし、6か月以上の在留歴があるからといって、必ずCOE申請歴があると断定することはできません。必ず、過去の入国時の手続を確認します。
確認する際は、本人に次のように聞くと分かりやすくなります。
- 日本に来る前に、学校や会社から「在留資格認定証明書」又は「Certificate of Eligibility」と書かれた書類を受け取ったことがあるか
- 日本に来る前に、学校、会社、親族、行政書士などが日本で申請をしてくれたことがあるか
- 日本大使館・総領事館でビザを申請する前に、COEの原本、写し、又は電子メールを受け取ったことがあるか
- 過去にCOEが不交付になったことがあるか
なお、令和5年3月17日からは、在留資格認定証明書を電子メールで受け取ることも可能となっています。そのため、最近の申請では、紙のCOE原本だけでなく、電子メールで受領したCOEの有無も確認します。
参照:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書の電子化について」項目18で「無」と考えられる典型例
過去の来日が、観光、親族訪問、短期商用、会議出席などの「短期滞在」だけであり、中長期にわたり日本に在留したことがない場合には、項目17の過去の出入国歴が「有」であっても、項目18のCOE申請歴は通常「無」と考えます。
在留資格認定証明書交付申請は、日本に入国しようとする外国人について、短期滞在などを除き、入国前に日本での活動内容が在留資格に該当すること等を確認するための手続です。
そのため、短期滞在で日本に来ていただけの場合は、通常、COE申請を経ていません。
参照:出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付申請」
在留資格変更許可申請で日本に在留していた場合、COE申請歴はどう考えるか
過去に日本国内で在留資格変更許可申請を行い、別の在留資格に変更して日本に在留していた場合、その「在留資格変更許可申請」そのものはCOE申請ではありません。
しかし、ここで注意すべきなのは、その人が最初に中長期在留目的で日本に入国した時点の手続です。
多くの場合、留学、家族滞在、就労系在留資格、技能実習、特定技能などで最初に日本へ入国する際には、学校、企業、親族、受入機関などを通じて、在留資格認定証明書交付申請を経ていることが通常です。
したがって、過去に日本国内で在留資格を変更したことがある場合でも、項目18を判断する際には、「変更後の在留資格」だけを見るのではなく、最初に日本へ中長期在留目的で入国したときに、COE申請を経ていたかを確認する必要があります。
なお、「変更届」という表現には注意が必要です。
所属機関に関する届出、活動機関に関する届出、契約機関に関する届出などは、すでに日本に在留している外国人が、所属先の変更、離脱、移籍などを入管に届け出る手続です。これらの届出は、在留資格を新たに取得したり、別の在留資格に変更したりする手続ではありません。
そのため、COE申請歴の有無を判断する場面では、「変更届で在留していた」という整理ではなく、「過去に在留資格変更許可申請をしたことがあるのか」「その前に、どのような手続で日本に入国したのか」を確認する必要があります。
参照:出入国在留管理庁「在留資格変更許可申請」
参照:出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出・所属機関による届出Q&A」
短期滞在から在留資格変更許可を受けた場合
例外的に、短期滞在で日本に入国した後、日本国内で在留資格変更許可申請を行い、中長期在留資格へ変更するケースもあります。
ただし、短期滞在から他の在留資格への変更は、原則として通常のルートではありません。
出入国在留管理庁のQ&Aでも、短期滞在からの在留資格変更については、「やむを得ない特別の事情に基づくものでなければ許可しない」と説明されています。
参照:出入国在留管理庁「出入国審査・在留審査Q&A」
そのため、短期滞在から在留資格変更許可を受けて日本に中長期在留していたような場合には、その変更許可申請自体はCOE申請ではありませんので、項目18のCOE申請歴には直結しません。
もっとも、これは例外的な経路であり、通常は、中長期在留を目的として日本に入国する際には、何らかのCOE申請を経ている可能性が高いと考えて確認するべきです。
以上を踏まえると、外国人社員を企業内転勤で受け入れようとする企業の担当者が注意すべき判断ポイントは、その外国人社員が、現職、前職、留学、家族滞在、その他の私的な事情を問わず、過去に海外から日本へ中長期在留目的で入国する際、COE申請を経たことがあるかどうかです。
項目18は、単に「過去に日本に来たことがあるか」を聞いている欄ではありません。
過去の来日が短期滞在だけであれば、出入国歴はあってもCOE申請歴は通常ありません。
一方、過去に留学、就労、家族滞在、技能実習、特定技能などで中長期に日本へ在留していた場合には、COE申請歴がある可能性が高いため、本人に対し、過去に学校、勤務先、親族、受入機関、行政書士などが日本でCOE申請を行ったことがないかを確認する必要があります。
不交付歴も記入対象になる?
項目18では、過去のCOE申請歴が「有」の場合、回数と、そのうち不交付となった回数も記入します。
過去にCOE申請をしたが不交付になった場合も、申請歴として記入する必要があります。
不交付歴を隠したり、本人が忘れていたりすると、過去の入管記録との不一致が生じ、今回申請の信ぴょう性に影響する可能性があります。
企業担当者としては、本人に対して、過去に不交付通知、不許可通知、追加資料通知などを受けたことがないか、丁寧に確認する必要があります。
【項目19】犯罪を理由とする処分を受けたことの有無
項目19では、日本国内外を問わず、犯罪を理由とする処分を受けたことがあるかを確認します。
禁錮、懲役、罰金などが対象になります。
交通違反による罰金も、国や内容によっては確認が必要になることがあります。
ここは本人が「軽微なものだから不要」と判断してしまうことがあります。
しかし、申請書上は「日本国外におけるものを含む」とされていますので、企業担当者が勝手に省略すべきではありません。
処分歴がある場合には、内容、時期、国、処分の種類、すでに終了しているかなどを整理します。
【項目20】退去強制又は出国命令による出国の有無
項目20では、過去に日本から「退去強制」又は「出国命令」により出国したことがあるかを確認します。
ここでいう出国は、通常の出国とは異なります。
観光、出張、留学、就労などで日本に滞在し、在留期限内に通常どおり帰国した場合は、退去強制又は出国命令による出国には当たりません。
一方、過去にオーバーステイ、不法就労、不法入国、在留資格取消し、刑事事件等をきっかけとして、入管の退去強制手続又は出国命令制度により日本から出国したことがある場合は、この項目で「有」とする必要があります。
出入国在留管理庁は、退去強制手続について、「我が国に不法に入国したり、在留許可の範囲を超えて滞在するなど入管法第24条に規定する退去強制事由に該当する外国人を強制的に国外へ退去させ」る手続と説明しています。
参照:出入国在留管理庁「退去強制手続と出国命令制度」
また、出入国在留管理庁のQ&Aでは、日本から不法残留等を理由に退去強制された者や出国命令を受けて出国した者について、原則として一定期間、日本に上陸できない期間が生じることが説明されています。
参照:出入国在留管理庁「退去強制手続・出国命令制度・上陸拒否期間の短縮決定Q&A」
そのため、項目20は、単なる形式的な確認欄ではなく、今回のCOE申請の審査にも影響し得る重要な項目です。
受入企業側が確認すべきこと
項目20は、申請人本人にとっては重大な経歴であり、通常は本人が認識しているはずの事項です。
しかし、受入企業側の担当者から見ると、本人が日本語の制度名を正確に理解していないことがあります。
例えば、本人が単に「昔、オーバーステイして自分で帰国した」「入管に行って帰国した」「入管に捕まって帰国した」「しばらく日本に入れなかった」と説明するだけでは、それが通常の任意出国だったのか、出国命令だったのか、退去強制だったのかが分からない場合があります。
そのため、受入企業側では、本人に対して、少なくとも次の点を確認します。
- 過去に日本で在留期限を超えて滞在したことがあるか
- 過去に日本で不法就労、不法入国、資格外活動違反、在留資格取消し等を指摘されたことがあるか
- 過去に入管に出頭して帰国したことがあるか
- 過去に入管に収容されたこと、仮放免を受けたこと、違反調査を受けたことがあるか
- 過去に「退去強制令書」「出国命令書」「出国命令」「送還」「上陸拒否期間」などに関する書類を受け取ったことがあるか
- 日本を出国した後、一定期間、日本に入国できないと言われたことがあるか
- 過去の日本滞在後、5年、10年、又は1年程度、日本に入国できなかった事情があるか
特に、本人が「自主的に帰国した」と説明している場合でも、それが単なる在留期限内の帰国なのか、出国命令による帰国なのか、退去強制手続の中で自費出国したものなのかを確認する必要があります。
なお、令和5年改正により設けられた上陸拒否期間の短縮決定について、出入国在留管理庁は「退去強制令書の発付を受けた者の自発的な出国を促すため、自費出国許可を受けて出国しようとする場合に、上陸拒否期間の短縮を決定することができる制度」と説明しています。上陸拒否期間の短縮決定を受けて自費出国した者の上陸拒否期間は、短期滞在で上陸しようとする場合を除き、1年に短縮されるとされています。
参照:出入国在留管理庁「退去強制手続」
そのため、本人が「退去強制になったが、自分のお金で帰国した」「1年後にまた申請できると言われた」などと説明する場合は、単なる通常出国ではなく、退去強制手続や上陸拒否期間の短縮決定に関係している可能性があります。
このような事情がある場合には、項目20を安易に「無」とせず、経緯を丁寧に確認する必要があります。
確認資料として見るべきもの
受入企業側が本人申告を確認する際には、可能な範囲で次の資料を確認します。
- 現在のパスポート
- 過去のパスポート
- 過去の日本の査証、上陸許可証印、出入国スタンプ
- 過去に持っていた在留カード
- 過去の在留期限が分かる資料
- 入管から受け取った通知書、出頭確認書、出国命令書、退去強制関係書類
- 過去のCOE申請、不交付通知、査証申請資料
- 本人作成の出入国歴一覧
ただし、パスポートに明確な記載がないからといって、退去強制又は出国命令歴がないと断定できるわけではありません。
古いパスポートを紛失している場合や、本人が過去の資料を保存していない場合もあります。
そのため、最終的には本人への聞き取り、出入国歴の整理、過去の在留経緯、手元資料の確認を総合して判断します。
判断に迷う場合
過去にオーバーステイ、不法就労、入管への出頭、収容、仮放免、出国命令、退去強制、上陸拒否期間などに関係する事情が少しでもある場合には、安易に「無」と記入しない方が安全です。
本人が「よく覚えていない」「書類は残っていない」「昔のことなので分からない」と説明する場合には、申請書上の記載だけでなく、必要に応じて理由書や経緯説明書で過去の事情を整理することも検討します。
項目20は、入管側の記録と照合され得る重要な項目です。
仮に本人が意図的に隠したわけでなくても、申請書の記載と過去の入管記録が食い違うと、今回の申請内容全体の信用性に影響する可能性があります。
したがって、受入企業としては、本人申告をそのまま転記するのではなく、過去の日本滞在歴、在留期限、帰国時の事情、入管との関わりの有無を丁寧に確認した上で記入することが重要です。
【項目21】在日親族及び同居者
項目21では、日本にいる親族及び同居者について記入します。
対象となる親族には、父、母、配偶者、子、兄弟姉妹、祖父母、叔父、叔母などが含まれます。
日本にこれらの親族がいる場合には、氏名、生年月日、国籍・地域、同居予定の有無、勤務先・通学先、在留カード番号などを確認して記入します。
ここで重要なのは、項目21が「将来、家族を日本に呼び寄せたいか」を聞いている欄ではないという点です。
項目21は、申請書作成時点で、日本にいる親族や同居者がいるかを確認する欄です。
将来、家族を呼び寄せる予定がある場合
企業内転勤で来日する外国人社員が、将来、配偶者や子を日本に呼び寄せたいと考えている場合でも、申請時点でその家族が日本にいないのであれば、項目21の「在日親族」として記入する必要はありません。
例えば、申請人の配偶者と子が現在も海外に住んでおり、今回の企業内転勤本人のCOE申請後、後日あらためて家族滞在の申請を行う予定である場合、項目21は、他に日本在住の親族や同居者がいなければ「無」として差し支えありません。
この場合、将来の家族呼び寄せ予定は、項目21ではなく、必要に応じて社内の赴任計画、住居手配、家族滞在申請の段階で整理します。
家族が同時に来日する場合
配偶者や子が本人と同時に来日する予定で、家族滞在の在留資格認定証明書交付申請を同時に行う場合でも、申請時点でその家族がまだ海外にいるのであれば、通常は項目21の「在日親族」には当たりません。
この場合は、項目15の「同伴者の有無」と、家族滞在の申請書類との整合性を確認します。
企業内転勤本人の申請書では、同伴家族の有無を正確に記入し、家族滞在の申請書では、配偶者・子の情報を別途記入します。
出入国在留管理庁の在留資格「家族滞在」のページでも、在留資格認定証明書交付申請において、申請人と扶養者との身分関係を証する文書や扶養者の在留カード又は旅券の写しなどが案内されています。家族を呼び寄せる場合には、企業内転勤本人の申請とは別に、家族滞在の要件と提出書類を確認する必要があります。
参照:出入国在留管理庁「在留資格『家族滞在』」
日本に親族がいる場合
一方、申請人の配偶者、子、親、兄弟姉妹などがすでに日本に在留している場合には、同居する予定がなくても、項目21に記入する必要があります。
例えば、次のような場合です。
- 配偶者がすでに日本で在留している
- 子が日本の学校に通っている
- 親や兄弟姉妹が日本で就労又は留学している
- 親族が永住者、日本人の配偶者等、定住者、留学、技術・人文知識・国際業務などの在留資格で日本にいる
この場合は、同居予定の有無も含めて記入します。
同居しないからといって、在日親族欄を省略することは適切ではありません。
親族ではない同居者がいる場合
項目21は、親族だけでなく同居者も確認する欄です。
そのため、親族ではなくても、日本で同居する予定の人がいる場合には、記入が必要になることがあります。
例えば、来日後に友人、知人、会社関係者などと同居する予定がある場合には、同居者として整理する必要があります。
一方、会社が手配する単身用社宅、賃貸住宅、ホテル、マンスリーマンションなどに単身で居住する予定であり、同居者がいない場合は、同居者は「無」と考えます。
受入企業側の確認方法
受入企業側では、申請人本人に対し、次の点を確認します。
- 現在、日本に配偶者、子、親、兄弟姉妹などの親族がいるか
- 日本にいる親族の在留資格、在留カード番号、勤務先・通学先が分かるか
- 来日後、誰かと同居する予定があるか
- 同居予定者が親族か、友人・知人・会社関係者か
- 家族を同時に呼び寄せる予定か
- 家族を後日呼び寄せる予定か
将来、家族を呼び寄せる予定があるだけで、申請時点で家族が日本にいない場合には、そのことだけを理由に項目21を「有」とする必要はありません。
ただし、同時申請や近い時期の家族滞在申請を予定している場合には、企業内転勤本人の申請内容と家族滞在申請の内容が矛盾しないように整理しておくことが大切です。
4 申請人等作成用2 Lの記入方法
申請人等作成用2 Lは、企業内転勤、研究(転勤)、報道などで使用される様式です。
企業内転勤では、日本側勤務先、派遣元会社、両者の関係、職歴などを記入します。
【項目22】勤務先又は活動先
項目22では、申請人が日本で勤務する予定の勤務先又は活動先を記入します。
【項目22(1)】名称・支店・事業所名
日本側の受入企業の正式名称を記入します。
本社ではなく、実際に勤務する支店、営業所、事業所、研究所、工場などがある場合には、支店・事業所名も記入します。
例えば、会社名は「株式会社〇〇」であっても、実際の勤務場所が「横浜事業所」「東京本社海外事業部」「品川オフィス」などであれば、その情報を明確にします。
【項目22(2)】所在地
実際に申請人が勤務する主たる場所の所在地を記入します。
本社所在地、登記上の所在地、勤務予定地が異なる場合には注意が必要です。
企業内転勤の審査では、日本側事業所の実在性が問題になることがありますので、勤務実態のある場所を正確に記入します。
【項目22(3)】電話番号
勤務先又は活動先の電話番号を記入します。
代表電話、部署直通電話、担当部署の電話番号など、連絡が取れる番号を記入します。
【項目23】派遣元会社若しくは団体又は契約を締結している報道機関
項目23では、申請人が現在所属している海外の派遣元会社又は団体を記入します。
企業内転勤では、ここが非常に重要です。
日本側勤務先だけではなく、海外のどの事業所から転勤してくるのかを明確にします。
【項目23(1)】名称
派遣元会社又は海外事業所の正式名称を記入します。
親会社、子会社、支店、支社、関連会社、駐在員事務所など、どの法人・事業所に所属しているのかを確認します。
社内で使っている略称やブランド名ではなく、登記・公的資料・雇用契約書・在職証明書などに記載された正式名称に合わせます。
【項目23(2)】所在地
派遣元会社又は海外事業所の所在地を記入します。
国名、都市名、住所を、可能な限り正確に記入します。
海外事業所の実在性が問題となることがあるため、会社案内、登記資料、税務資料、事務所写真、賃貸契約書、現地ウェブサイトなどの資料と整合する住所を記入します。
【項目24】派遣元会社又は団体と勤務先との関係
項目24では、派遣元会社と日本側勤務先との関係を記入します。
申請人等作成用2 Lの項目24では、「派遣元から見て」日本側勤務先がどのような関係にあるかを確認します。
例えば、次のように整理します。
- 派遣元が海外親会社で、日本側勤務先が日本子会社である場合
→ 派遣元から見て、日本側勤務先は「子会社」 - 派遣元が海外子会社で、日本側勤務先が日本本社である場合
→ 派遣元から見て、日本側勤務先は「親会社」又は「本部・本店」 - 派遣元が海外支店で、日本側勤務先が日本本店である場合
→ 派遣元から見て、日本側勤務先は「本部・本店」 - 派遣元が海外本店で、日本側勤務先が日本支店である場合
→ 派遣元から見て、日本側勤務先は「支部・支店」
ここは方向を誤りやすい項目です。
特に、後述する所属機関等作成用1の項目10では、「勤務先から見て」派遣元との関係を記入します。
申請人等作成用2の項目24とは、見る方向が逆になることがあります。
親会社・子会社・本店・支店・関連会社の関係は、会社案内、資本関係図、登記事項証明書、株主構成資料などで確認します。
【項目25】職歴
項目25では、申請人の職歴を記入します。
外国における職歴も含めます。
企業内転勤では、転勤直前に外国の事業所で一定期間、対象業務に従事していたことが重要です。
そのため、単に過去の勤務先を並べるだけではなく、転勤直前の勤務先、所属部署、職務内容が分かるように整理します。
欄が不足する場合は、別紙を作成します。
職歴欄と、在職証明書、履歴書、職務経歴書、転勤命令書、理由書の内容が一致していることが重要です。
入社年月、退社年月、会社名、部署名、職務内容に不一致があると、追加説明を求められることがあります。
【項目26】申請人、法定代理人、法第7条の2第2項に規定する代理人
項目26では、申請を行う者の情報を記入します。
企業内転勤のCOE申請では、海外にいる申請人本人に代わり、日本側の受入機関の職員、申請取次行政書士等が申請書類を提出することが多いです。
記入する内容は、氏名、本人との関係、住所、電話番号、携帯電話番号などです。
申請人本人が海外にいる場合でも、日本側の代理人が申請する形になります。
この場合、誰がどの立場で申請を提出するのかを明確にします。
署名・申請書作成年月日
申請書の末尾には、申請人又は代理人の署名と申請書作成年月日を記入します。
作成年月日は、実際に申請書を作成した日を記入します。
申請書作成後、申請までに記載内容に変更が生じた場合には、変更箇所を訂正し、必要な署名を行います。
記載日と添付資料の日付が大きくずれている場合には、申請直前に内容を再確認します。
5 所属機関等作成用1 Lの記入方法
所属機関等作成用1 Lは、日本側受入機関が作成する部分です。
企業担当者にとっては、ここが最も重要な記入箇所になります。
ここでは、日本側勤務先の実体、契約関係、給与、職務内容、派遣期間、派遣元との関係などを記入します。
【項目1】申請人の氏名
項目1では、転勤・就労予定の外国人本人の氏名を記入します。
パスポート上の氏名、申請人等作成用1の項目3の氏名と一致させます。
ローマ字表記、漢字表記、ミドルネームの有無などに注意します。
社内人事システム上の表記とパスポート表記が異なる場合は、申請書ではパスポート表記を基準にします。
【項目2】契約の形態
項目2では、契約の形態を選択します。
雇用、委任、請負、その他などの選択肢があります。
企業内転勤では、日本側企業との雇用契約が直接ある場合もあれば、海外法人との雇用関係を維持したまま、日本側へ出向・転勤する場合もあります。
したがって、機械的に「雇用」を選ぶのではなく、実際の契約関係、出向契約、転勤命令、給与支払関係に合わせて整理します。
例えば、日本法人と直接雇用契約を締結する場合は「雇用」が考えられます。
一方、海外法人に在籍したまま日本法人へ転勤する場合は、実態に応じて「その他」に具体的内容を記載することも考えられます。
この項目は、給与支払者、社会保険、雇用契約書、出向契約書、転勤命令書と関係します。
不明確な場合は、社内人事・法務・経理部門と確認してから記入します。
【項目3】所属機関等契約先
項目3では、日本側の所属機関等契約先について記入します。
【項目3(1)】名称
日本側受入企業の正式名称を記入します。
登記事項証明書、会社案内、雇用契約書、転勤命令書などと一致させます。
【項目3(2)】法人番号
13桁の法人番号を記入します。
法人番号は、国税庁法人番号公表サイトなどで確認できます。
法人番号の桁数間違い、似た名称の別法人との取り違えに注意します。
【項目3(3)】支店・事業所名
実際に勤務する支店、事業所、営業所、研究所などを記入します。
本社勤務であれば本社名を記入します。
本社所在地と勤務予定地が異なる場合は、実際に勤務する場所を明確にします。
【項目3(4)】雇用保険適用事業所番号
雇用保険適用事業所番号を記入します。
非該当事業所の場合は、様式上の指示に従います。
日本側企業が雇用保険適用事業所であるかどうか、総務・人事部門に確認します。
【項目3(5)】業種
別紙の業種一覧から、主たる業種を選択して番号を記入します。
複数の事業を行っている会社では、申請人が勤務する事業部の業務内容と、会社全体の主たる業種を整理します。
例えば、商社、製造業、情報通信業、専門サービス業など、会社案内や登記事項と矛盾しない業種を選びます。
【項目3(6)】所在地・電話番号
日本側勤務先の所在地と電話番号を記入します。
ここでも、登記上の本店所在地と、実際の勤務場所が異なる場合には注意が必要です。
企業内転勤では、実際に勤務する事業所の実在性が確認されることがあります。
事務所写真、賃貸借契約書、フロア図、会社案内、ウェブサイトなどの資料と整合する住所を記入します。
【項目3(7)】資本金
日本側企業の資本金を記入します。
登記事項証明書、決算書、会社案内などで確認します。
【項目3(8)】年間売上高
直近年度の年間売上高を記入します。
決算書、事業報告書、会社案内、有価証券報告書などと整合させます。
上場会社や大企業の場合、公開資料と申請書の数字が大きく異ならないように注意します。
【項目3(9)】従業員数・外国人職員数
日本側企業の従業員数と、そのうち外国人職員数を記入します。
従業員数は、正社員のみか、契約社員・パート等を含むかについて、会社の資料に基づいて整理します。
申請書の数字と、会社案内、法定調書合計表、雇用保険関係資料などが大きく矛盾しないようにします。
外国人職員数は、企業が外国人雇用を適正に管理しているかという観点でも確認されることがあります。
在留資格、在留期限、就労可能性の確認体制を社内で整えておくことが重要です。
【項目4】給与・報酬
項目4では、申請人に支払う給与・報酬を記入します。
税引き前の支払額を記入し、年額又は月額のいずれかを選択します。
通勤手当、住宅手当、扶養手当、実費弁償的な性格の手当は、給与・報酬額の考え方に注意します。
企業内転勤では、日本人が同等の業務に従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることが求められます。
そのため、給与額が低すぎる場合には、審査上問題となることがあります。
海外法人が給与を支払う場合、日本法人が一部負担する場合、日本法人が全額支払う場合など、給与支払の形態は案件によって異なります。
申請書の記載は、転勤命令書、出向契約書、給与証明書、雇用契約書、社内規程などと一致させます。
【項目5】職務上の地位
項目5では、申請人の日本での職務上の地位、役職名を記入します。
例えば、次のような記載が考えられます。
- プロジェクトマネージャー
- システムエンジニア
- 海外営業担当
- 品質管理マネージャー
- 調達担当
- 技術指導担当
- 経理・財務担当
- 事業企画担当
単に「社員」「スタッフ」とだけ書くと、業務内容が分かりにくくなります。
日本で行う業務が専門的業務であることを説明できるよう、役職名と活動内容詳細を連動させます。
【項目6】派遣・就労予定期間
項目6では、派遣・就労予定期間を記入します。
企業内転勤では、「期間を定めて」転勤することが重要です。
したがって、「なし」「未定」「定めなし」という記載は避けるべきです。
例えば、次のように記入します。
- 2026年7月1日から2029年6月30日まで
- 入国日から3年間
- 2026年10月1日から2028年9月30日まで
この期間は、転勤命令書、出向契約書、理由書、社内人事発令、プロジェクト計画書などと一致させます。
企業内転勤は、海外拠点から日本拠点への一時的な転勤を予定する制度です。
日本での勤務期間が実質的に無期限であるように見える場合には、企業内転勤としての説明が難しくなることがあります。
【項目7】職種
項目7では、別紙の職種一覧から主たる職種を選択して番号を記入します。
企業内転勤では、日本で行う業務が、技術・人文知識・国際業務に相当する専門的業務であることが重要です。
職種番号を選ぶ際には、単なる肩書ではなく、実際の業務内容に合ったものを選びます。
例えば、ITエンジニア、機械設計、海外営業、通訳・翻訳、貿易業務、経営企画、マーケティング、品質管理など、業務内容と職種が一致している必要があります。
現場作業、単純労働、反復作業、接客・販売作業が中心である場合、企業内転勤として認められないことがあります。
職種欄と項目8の活動内容詳細を合わせて、専門性のある業務であることを説明します。
【項目8】活動内容詳細
項目8は、企業内転勤申請において非常に重要な項目です。
ここには、日本で行う予定の業務内容を具体的に記入します。
単に「日本法人で業務を行う」「営業を担当する」「研修を受ける」といった抽象的な記載では不十分です。
例えば、次のような観点から整理します。
- どの部署で勤務するのか
- どの製品・サービス・プロジェクトを担当するのか
- どのような専門知識・経験を使うのか
- 海外拠点での経験が日本での業務にどう活かされるのか
- 日本側で担当する具体的な業務は何か
- 単なる研修や見学ではなく、どのような実務に従事するのか
- 日本人社員と比較してどのような役割を担うのか
- 転勤期間終了後、海外拠点に戻る予定があるのか
記載例としては、次のような内容が考えられます。
申請人は、海外子会社において自動車部品の品質管理業務に従事してきた経験を活かし、日本本社の品質保証部において、海外生産拠点向けの品質改善プロジェクト、現地サプライヤーとの技術調整、不具合原因分析、改善計画の作成及び海外拠点への展開業務に従事する。
また、IT分野であれば、次のような記載が考えられます。
申請人は、海外関連会社において社内基幹システムの開発・保守業務に従事してきた。日本法人への転勤後は、同システムの日本導入プロジェクトに参加し、要件定義、海外開発チームとの仕様調整、テスト計画の作成、導入後の運用改善業務を担当する。
活動内容詳細は、審査官が「この人は日本で何をするのか」を理解するための中心部分です。
できるだけ具体的に、かつ添付資料と一致する内容にします。
【項目9】派遣元会社若しくは団体又は契約を締結している報道機関
項目9では、派遣元会社又は団体の名称・所在地を記入します。
これは、申請人等作成用2の項目23と対応する部分です。
日本側受入機関が作成する書類でも、同じ派遣元会社を正確に記入します。
派遣元会社の正式名称、所在地、法人格、事業内容、申請人の所属部署などは、添付資料と整合させます。
海外拠点の実在性が問題となる場合には、登記資料、税務資料、会社案内、オフィス写真、組織図、雇用契約書、在職証明書などで補強します。
【項目10】派遣元会社又は団体と勤務先との関係
項目10では、派遣元会社と日本側勤務先との関係を記入します。
所属機関等作成用1の項目10では、「勤務先から見て」派遣元がどのような関係にあるかを記入します。
ここは、申請人等作成用2の項目24と方向が異なるため、特に注意が必要です。
例えば、次のように整理します。
- 日本側勤務先が日本子会社で、派遣元が海外親会社である場合
→ 勤務先から見て、派遣元は「親会社」 - 日本側勤務先が日本本社で、派遣元が海外子会社である場合
→ 勤務先から見て、派遣元は「子会社」 - 日本側勤務先が日本本店で、派遣元が海外支店である場合
→ 勤務先から見て、派遣元は「支部・支店」 - 日本側勤務先が日本支店で、派遣元が海外本店である場合
→ 勤務先から見て、派遣元は「本部・本店」
親会社・子会社・本店・支店・関連会社の関係は、申請書だけでなく、会社案内、資本関係図、登記事項証明書、決算書、グループ会社一覧などで説明できるようにしておきます。
6 署名・作成年月日・取次者欄の注意点
申請書の末尾には、所属機関等契約先の名称、代表者氏名の記名、申請書作成年月日を記入します。
上場企業や大企業の場合、代表取締役本人ではなく、人事部長、総務部長、国際人事部門の責任者など、外国人の入国・在留手続を担当する部署の責任者名で作成されることがあります。
ただし、社内権限や実務運用に合わせて、誰の名義で作成するかを確認します。
行政書士が申請取次を行う場合には、取次者欄も記入します。
申請取次行政書士が関与する場合でも、申請内容そのものは企業と申請人の責任で正確に確認する必要があります。
7 申請書と添付資料の整合性が重要
企業内転勤の申請では、申請書だけで審査が完結するわけではありません。
むしろ、申請書に書かれた内容を、添付資料で裏付けることが重要です。
特に、次のような不一致は避けるべきです。
- 申請書の勤務予定地と、会社案内・事務所資料の所在地が異なる
- 申請書の派遣元会社名と、在職証明書の会社名が異なる
- 申請書の職務内容と、転勤命令書の業務内容が異なる
- 申請書の給与額と、雇用契約書・出向契約書の給与額が異なる
- 申請書の派遣期間と、転勤命令書の期間が異なる
- 申請書の職歴と、履歴書・在職証明書の勤務期間が異なる
- 日本側から見た関係と、派遣元から見た関係が逆になっている
- 項目17の出入国歴と、項目18のCOE申請歴を混同している
入管審査では、個々の項目だけでなく、申請全体の一貫性が見られます。
申請書、理由書、添付資料、会社説明資料を一体として確認することが大切です。
8 企業内転勤の申請で特に注意すべきポイント
1 「短期出張」と「企業内転勤」を混同しない
企業内転勤は、海外拠点から日本拠点へ、一定期間転勤して、日本で継続的に業務に従事する場合の在留資格です。
短期商用、会議出席、視察、打合せ、商談、業務連絡などで短期間来日する場合は、企業内転勤とは別の問題になります。
短期滞在を繰り返している社員を、後から企業内転勤で呼び寄せる場合には、過去の来日目的と今回の転勤目的が混同されないように整理する必要があります。
2 「研修」だけでは企業内転勤の説明として弱い場合がある
企業内転勤では、日本で行う業務が専門的業務であることが必要です。
日本での活動が、単に新人研修、見学、座学、現場体験、業務引継ぎだけであるように見えると、企業内転勤としての説明が難しくなることがあります。
研修要素がある場合でも、実際に日本でどのような専門的業務に従事するのか、海外での職務経験がどのように活かされるのかを具体的に説明する必要があります。
3 派遣期間は明確にする
企業内転勤は、期間を定めた転勤を前提としています。
申請書の滞在予定期間、派遣・就労予定期間、転勤命令書、出向契約書、理由書の記載を一致させます。
「当面の間」「未定」「必要に応じて延長」などの表現だけでは、企業内転勤としての期間性が不明確になります。
4 海外勤務実態を説明できるようにする
企業内転勤では、申請人が転勤直前に外国の事業所で対象業務に従事していたことが重要です。
そのため、職歴欄、在職証明書、職務内容説明書、給与資料、組織図などにより、海外での勤務実態を説明できるようにします。
提出書類の見直しや審査実務の状況によっては、海外事業所の実在性や本人の勤務実態について、より具体的な資料が求められる場面があります。
5 日本側事業所の実在性を確認する
日本側勤務先についても、実際に事業所が存在し、申請人がそこで勤務する予定であることを説明できるようにします。
特に、新設法人、小規模企業、カテゴリー3・4の企業、バーチャルオフィスに近い形態、実際の勤務場所が不明確な場合などは、慎重な準備が必要です。
事務所写真、平面図、賃貸借契約書、会社案内、取引実績、組織図などが重要になることがあります。
9 よくある記入ミス
企業内転勤のCOE申請書では、次のような記入ミスがよく見られます。
項目17と項目18を混同する
過去に日本へ来たことがある場合、項目17の過去の出入国歴は「有」です。
しかし、短期滞在だけで来日していた場合、項目18のCOE申請歴は通常「無」です。
一方、過去に留学、家族滞在、就労系在留資格などで日本へ中長期在留目的で入国していた場合には、COE申請歴がある可能性があります。
ここを誤ると、入管記録との不一致が生じることがあります。
過去の不交付歴を記入しない
過去にCOE申請が不交付になったことがある場合、項目18の不交付回数に記入します。
「昔のことだから関係ない」「別の在留資格だから関係ない」と考えて省略することは適切ではありません。
過去の申請歴は、入管側で確認可能な情報です。
項目20の退去強制・出国命令歴を軽く考える
項目20は、今回の申請の信用性や上陸審査にも関係し得る重要な項目です。
本人が「昔、入管に行って帰国しただけ」「自分で航空券を買って帰っただけ」と説明している場合でも、それが通常の帰国なのか、出国命令による帰国なのか、退去強制手続の中での自費出国なのかは、慎重に確認する必要があります。
受入企業は、本人の申告をそのまま転記するだけでなく、過去の日本滞在歴、在留期限、帰国時の事情、入管との関わりの有無を確認した上で記入します。
項目21で将来の家族呼び寄せ予定と在日親族を混同する
項目21は、申請時点で日本にいる親族や同居者を記入する欄です。
将来、配偶者や子を日本に呼び寄せたいと考えている場合でも、その家族が申請時点で海外にいるのであれば、在日親族には当たりません。
この場合は、同伴者の有無や、後日の家族滞在申請の準備として別途整理します。
派遣元と勤務先の関係を逆に書く
申請人等作成用2の項目24は「派遣元から見て」、所属機関等作成用1の項目10は「勤務先から見て」関係を整理します。
この方向を取り違えると、親会社・子会社、本店・支店の関係が逆になってしまいます。
活動内容詳細が抽象的すぎる
「営業業務」「管理業務」「技術業務」だけでは、具体的な活動内容が分かりません。
どのような部署で、どのような専門知識を使い、どのような業務を行うのかを具体的に記入します。
派遣期間が不明確
「未定」「長期」「定めなし」といった記載は避けます。
企業内転勤では、期間を定めた転勤であることを説明する必要があります。
給与額の根拠が不明確
給与・報酬額は、日本人同等額以上であることが問題になります。
給与額が低い場合、手当を含めて説明している場合、海外払いと日本払いが混在する場合には、資料で整理する必要があります。
10 申請前のチェックリスト
申請書を提出する前に、次の点を確認します。
- 申請人の氏名はパスポート表記と一致しているか
- 国籍・生年月日・旅券番号に誤りはないか
- 入国予定日と派遣開始日が不自然に近すぎないか
- 滞在予定期間と派遣・就労予定期間が一致しているか
- 項目17の過去の出入国歴を確認したか
- 項目18の過去のCOE申請歴を、過去の入国経緯から確認したか
- COE不交付歴がある場合、その回数を記入したか
- 犯罪歴、退去強制・出国命令歴を本人に確認したか
- 退去強制・出国命令に関係しそうな事情がある場合、過去の書類や出入国経緯を確認したか
- 日本にいる親族・同居者の有無を確認したか
- 将来の家族呼び寄せ予定と、申請時点の在日親族の有無を混同していないか
- 日本側勤務先の名称・所在地・電話番号が正しいか
- 派遣元会社の名称・所在地が正しいか
- 派遣元と日本側勤務先の関係を、見る方向に注意して記入したか
- 職歴、在職証明書、履歴書の期間が一致しているか
- 給与・報酬額が契約書・社内資料と一致しているか
- 活動内容詳細が具体的に書かれているか
- 職種番号と活動内容に矛盾がないか
- 転勤命令書、理由書、会社資料と申請書の内容が一致しているか
- 最新の提出書類一覧と申請書様式を確認したか
11 まとめ
企業内転勤の在留資格認定証明書交付申請書は、単なる形式書類ではありません。
申請人が誰であるか、どこの海外拠点から、どこの日本側事業所へ、どのような関係に基づいて転勤し、日本でどのような専門的業務を行うのかを、申請書全体で説明する書類です。
特に、項目17の過去の出入国歴、項目18の過去のCOE申請歴、項目20の退去強制又は出国命令による出国歴、項目21の在日親族及び同居者、項目22から25の勤務先・派遣元・関係性・職歴、所属機関等作成用1の項目4から8の給与・地位・期間・職種・活動内容詳細は、慎重に記入する必要があります。
COE申請歴については、「現在の在留資格」ではなく、過去に海外から日本へ中長期在留目的で入国する際、在留資格認定証明書交付申請を経たことがあるかを基準に確認します。
過去に短期滞在だけで来日していた場合は、出入国歴はあってもCOE申請歴はないことがあります。
一方、留学、旧就学、家族滞在、就労系在留資格などで来日していた場合は、COE申請歴がある可能性が高いため、本人資料を確認する必要があります。
項目20の退去強制又は出国命令による出国歴については、本人申告だけでなく、過去の日本滞在歴、在留期限、帰国時の事情、入管との関わりの有無を丁寧に確認することが重要です。
項目21の在日親族及び同居者については、申請時点で日本にいる親族や同居者を記入します。
将来、家族を日本に呼び寄せる予定があるだけで、申請時点でその家族が海外にいる場合には、通常、在日親族には当たりません。
また、「変更届」などの届出手続は、COE申請歴の有無を判断する中心的な基準ではありません。
重要なのは、過去に日本へ入国する際、COEを経ていたかどうかです。
企業内転勤の申請では、申請書の一つ一つの記載が、添付資料や会社説明と整合していることが重要です。
初めて申請する企業では、申請書を単独で作成するのではなく、転勤命令書、職務内容説明書、理由書、会社関係資料、カテゴリー別資料を一体として確認しながら準備することが大切です。

