在留資格申請、帰化申請、国際結婚、外国向け書類の手続きでは、外国語で作成された書類を提出する場面があります。
たとえば、次のような書類です。
・出生証明書
・結婚証明書
・離婚証明書
・卒業証明書
・成績証明書
・在職証明書
・会社登記資料
・納税証明書
・無犯罪証明書
・親族関係証明書
・外国の戸籍、家族登録簿
・外国の銀行残高証明書
このような外国語書類を日本の入管や役所へ提出する場合、日本語訳の添付が必要になることがあります。
翻訳は、単に意味が分かればよいというものではありません。
氏名、生年月日、証明日、発行機関、証明内容などが正確に訳されていなければ、審査で内容が伝わらず、追加資料を求められる原因になることがあります。
この記事では、外国語書類の翻訳を準備する際の基本、注意点、よくある不備、行政書士に相談するメリットを解説します。
1.外国語書類には日本語訳が必要になることが多い
出入国在留管理庁の各在留資格の提出書類案内では、外国語で作成された資料には日本語訳文を添付するよう案内されています。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の提出書類案内では、提出書類が外国語で作成されている場合には訳文を添付すること、日本で発行される証明書は原則として発行日から3か月以内のものを提出することが案内されています。
(出典:在留資格「技術・人文知識・国際業務」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
また、「日本人の配偶者等」の提出書類案内でも、外国語で作成された資料には日本語訳文を添付することが案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
つまり、外国語の証明書をそのまま提出するだけでは不十分なことが多いということです。
2.翻訳が必要になりやすい場面
翻訳が必要になりやすいのは、次のような手続きです。
2-1.在留資格申請
在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請では、外国の学校、会社、役所が発行した資料を提出することがあります。
たとえば、就労系在留資格では、卒業証明書、成績証明書、職歴証明書、会社資料などです。
配偶者系在留資格では、結婚証明書、出生証明書、離婚証明書、親族関係証明書などが問題になります。
2-2.帰化申請
帰化申請では、本国の国籍証明書、出生証明書、親族関係証明書、結婚証明書、離婚証明書などを整理することがあります。
帰化許可申請の必要書類は、国籍、職業、家族構成等により大きく異なると案内されています。
(出典:帰化手続について、東京法務局ウェブサイトより)
2-3.国際結婚・家族関係
日本で国際結婚をする場合、相手国の婚姻要件具備証明書、出生証明書、国籍証明書、離婚証明書などの翻訳が必要になることがあります。
横浜市の婚姻届案内でも、外国語で作成されている書類については、翻訳者を明らかにした訳文を添付するよう案内されています。
(出典:婚姻届、横浜市ウェブサイトより)
3.翻訳で重要なのは「正確性」と「対応関係」
翻訳で重要なのは、きれいな文章にすることだけではありません。
原文のどの部分が日本語訳のどの部分に対応しているかが分かることが重要です。
特に、次の情報は正確に訳す必要があります。
・氏名
・生年月日
・出生地
・国籍
・住所
・婚姻日
・離婚日
・卒業日
・在職期間
・職務内容
・発行機関名
・発行日
・証明書番号
・公印、署名、注記
氏名の表記は、パスポート、在留カード、申請書の表記と整合するように注意します。
同じ人物なのに、書類によってローマ字表記やカタカナ表記が異なると、同一人物かどうか分かりにくくなることがあります。
4.意訳しすぎない
外国語書類の翻訳では、意訳しすぎないことも重要です。
証明書の翻訳では、原文に書かれている内容をできるだけ忠実に訳します。
たとえば、原文に「学士」と書かれているのか、「卒業証書」と書かれているのか、「修了証明」と書かれているのかによって意味が変わることがあります。
また、職歴証明書では、役職名や職務内容を分かりやすく訳す必要がありますが、実際より専門的に見せるために内容を膨らませることは避けるべきです。
翻訳は、申請を有利にするために内容を変えるものではありません。
原文の内容を正確に日本語で伝えるためのものです。
5.翻訳者を明記する
翻訳文には、翻訳者名、翻訳日、連絡先などを記載しておくとよい場合があります。
特に、市区町村手続きや国際結婚手続きでは、翻訳者を明らかにした訳文を求められることがあります。
横浜市の婚姻届案内でも、外国語で作成されている書類については、翻訳者を明らかにした訳文の添付が案内されています。
(出典:婚姻届、横浜市ウェブサイトより)
翻訳者は、必ずしも公的資格者でなければならないと一律に決まっているわけではありません。
ただし、提出先や手続きによって扱いが異なるため、事前に確認することが大切です。
6.原本・写し・翻訳のセットを整理する
外国語書類を提出する場合は、原本、写し、日本語訳の関係を整理しておきます。
実務上は、次のような形で整理すると分かりやすくなります。
・外国語原本
・外国語原本のコピー
・日本語訳
・必要に応じて認証、アポスティーユ、公印確認
・原本還付を希望する場合の申出
出入国在留管理庁の提出書類案内では、原則として提出された資料は返却できないこと、再度入手が困難な原本等の返却を希望する場合は申請時に申し出ることが案内されています。
(出典:在留資格「技術・人文知識・国際業務」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)
重要な原本を提出する場合は、返却の可否を事前に確認することが大切です。
7.認証やアポスティーユが必要な場合
外国語書類を日本へ提出する場合、又は日本の書類を外国へ提出する場合には、翻訳だけでなく認証が必要になることがあります。
たとえば、外国の公文書について、発行国の認証やアポスティーユが必要になる場合があります。
また、日本の戸籍謄本、住民票、登記事項証明書などを外国へ提出する場合には、外務省の公印確認やアポスティーユが必要になることがあります。
外務省は、公印確認とアポスティーユについて、日本の官公署、自治体等が発行する公文書に対する外務省の証明であると案内しています。
(出典:公印確認・アポスティーユとは、外務省ウェブサイトより)
翻訳と認証は別の問題です。
「翻訳があれば足りるのか」「アポスティーユが必要なのか」「領事認証が必要なのか」は、提出先に確認する必要があります。
8.よくある不備
外国語書類の翻訳でよくある不備は、次のようなものです。
・氏名の表記がパスポートと一致していない
・日付の読み方を誤っている
・発行機関名を訳していない
・証明書の一部だけを訳している
・公印や署名欄を省略している
・手書き部分を訳していない
・翻訳者名がない
・翻訳日がない
・原本と翻訳の対応関係が分かりにくい
・意訳しすぎて原文と意味が変わっている
特に、日付は注意が必要です。
国によって、日・月・年の順番が異なるため、婚姻日、出生年月日、卒業日、在職期間を誤って訳すと、申請内容と矛盾することがあります。
9.行政書士に相談するメリット
外国語書類の翻訳そのものは、翻訳者が行う作業です。
しかし、入管申請や国際手続きでは、翻訳だけでなく、どの書類を提出すべきか、どの部分を説明すべきか、どの資料と整合させるべきかが重要です。
行政書士に相談することで、次のような点を整理できます。
・どの外国語書類が必要か
・日本語訳を添付すべき書類はどれか
・原本、写し、翻訳の組み合わせ
・翻訳内容と申請書の整合性
・理由書で補足すべき点
・認証やアポスティーユの要否
・提出先ごとの注意点
・原本還付の要否
書類の翻訳は、単なる言葉の置き換えではありません。
手続き全体の中で、その書類が何を証明するためのものなのかを理解して準備することが大切です。
10.まとめ
外国語書類を日本の入管や役所へ提出する場合、日本語訳の添付が必要になることが多くあります。
翻訳では、原文の内容を正確に伝えること、申請書や他の資料と整合していることが重要です。
この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。
・外国語で作成された資料には日本語訳の添付が必要になることが多い
・氏名、生年月日、日付、発行機関、証明内容を正確に訳す
・意訳しすぎず、原文に忠実に訳す
・翻訳者名、翻訳日を明記する
・原本、写し、翻訳の関係を整理する
・原本還付の要否を確認する
・翻訳だけでなく、認証やアポスティーユが必要な場合がある
・提出先によって求められる形式が異なるため、事前確認が重要である
外国語書類は、申請の信用性を支える重要な資料です。
翻訳の不備により審査が遅れたり、追加資料を求められたりすることがないよう、早めに準備することが大切です。
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参考資料・出典
・在留資格「技術・人文知識・国際業務」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・婚姻届 横浜市ウェブサイトより
・帰化手続について 東京法務局ウェブサイトより
・公印確認・アポスティーユとは 外務省ウェブサイトより
・出入国管理及び難民認定法 e-Gov法令検索より
