在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請が不許可となった場合、あるいは在留資格認定証明書交付申請が不交付となった場合、まず重要なのは、入管がどの点を問題としたのかを確認することです。
不許可・不交付の理由を正確に把握しないまま再申請しても、前回の問題が解消されていなければ、再び同じ結果になる可能性があります。
一方、不許可理由の説明は、次回の申請が許可されることを保証したり、「この書類を出せば必ず許可される」と具体的に指導したりするものではありません。前回の申請で何が問題とされたのかを確認し、再申請の方針を検討するための重要な機会として考える必要があります。
この記事では、不許可理由を入管で確認する前に準備すべき資料と、確認時に聞いておきたいポイントを整理します。
不許可通知を受け取った直後の対応については、「Ⅴ-7.在留資格申請が不許可になった場合に確認すべきこと」もご参照ください。
1.不許可理由の確認が重要な理由
在留資格申請では、申請書、理由書、添付資料、本人の経歴や在留状況、受入機関の状況、家族関係など、複数の要素が審査されます。
不許可・不交付となる理由には、次のようなものがあります。
- 申請した在留資格に活動内容が該当しない
- 上陸基準・基準省令に適合しない
- 仕事内容や活動内容が不明確
- 学歴・職歴と業務内容との関連性が認められない
- 会社・事業の実態が十分に確認できない
- 雇用条件や報酬に問題がある
- 婚姻・親子関係の実体に疑問がある
- 収入・扶養能力が不足している
- 納税・年金・健康保険の履行状況に問題がある
- 過去の在留状況や資格外活動に問題がある
- 申請書、理由書、添付資料と実態に矛盾がある
- 必要な資料や説明が不足している
在留資格変更許可・在留期間更新許可については、出入国在留管理庁の「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」で、在留資格該当性、基準適合性、素行、生活の安定性、雇用・労働条件、納税義務、入管法上の届出などを総合的に考慮するとされています。
不許可理由を確認する際には、要件自体を満たしていなかったのか、事実は存在するものの説明・立証が不足していたのかを分けて考えることが重要です。
2.不許可と不交付の違いを確認する
一般に、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請、永住許可申請などで認められなかった場合は「不許可」と呼ばれます。
一方、海外から外国人を呼び寄せるための在留資格認定証明書交付申請で認められなかった場合は「不交付」と呼ばれます。
| 申請の種類 | 認められなかった場合 | 主な申請人・関係者 |
|---|---|---|
| 在留資格変更許可申請 | 不許可 | 日本に在留する外国人本人 |
| 在留期間更新許可申請 | 不許可 | 日本に在留する外国人本人 |
| 永住許可申請 | 不許可 | 日本に在留する外国人本人 |
| 在留資格認定証明書交付申請 | 不交付 | 海外にいる外国人本人、日本側の代理人等 |
不許可・不交付の種類によって、通知の受領方法、理由を確認する人、必要な本人確認資料などが異なることがあります。
在留資格認定証明書が不交付となった場合については、「Ⅴ-9.在留資格認定証明書が不交付になった場合の対応」をご参照ください。
3.誰が、どのように確認するかを事前に問い合わせる
不許可理由の確認方法は、申請の種類、申請方法、申請先の地方出入国在留管理官署などによって異なることがあります。
通常は、申請人本人、日本側の代理人、申請書類を提出した人などが関係しますが、誰が説明を受けられるか、予約が必要か、委任状が必要かなどを事前に確認することが大切です。
確認前には、申請先の入管へ次の事項を問い合わせておくとよいでしょう。
- 不許可・不交付理由の説明を受けられるか
- 誰が説明を受けることができるか
- 事前予約が必要か
- 確認できる日時・窓口
- 不許可・不交付通知書が必要か
- パスポート・在留カードが必要か
- 申請番号が分かる資料が必要か
- 委任状や本人との関係を示す資料が必要か
- 行政書士等の同席・代理が可能か
- 通訳者の同席が可能か
必要書類や対応方法は一律とは限りません。予約をせずに入管へ行った場合、その場で説明を受けられない可能性もあるため、事前に申請先へ確認してください。
各官署の所在地・連絡先は、出入国在留管理庁の「地方出入国在留管理官署」で確認できます。
一般的な在留手続については、「外国人在留総合インフォメーションセンター等」でも案内されています。ただし、個別申請の具体的な不許可理由については、実際に審査を行った官署への確認が必要になる場合があります。
4.確認前に準備すべき資料
入管で不許可理由を確認する際には、事前に次の資料を整理しておくとよいでしょう。
| 資料 | 確認する目的 |
|---|---|
| 不許可・不交付通知書 | 対象となる申請と通知内容を確認する |
| 申請受付票・申請番号 | 申請を特定する |
| 申請書の控え | 前回の申請内容を確認する |
| 理由書・説明書 | どのような説明をしたか確認する |
| 添付資料一式 | 何を立証するために提出したか確認する |
| 追加提出資料 | 入管からの照会にどう回答したか確認する |
| 追加資料通知 | 入管が審査中に確認していた事項を把握する |
| パスポート | 出入国歴・身分事項を確認する |
| 在留カード | 現在の在留資格・在留期限を確認する |
| 雇用・会社資料 | 職務内容、雇用条件、会社実態を確認する |
| 家族関係資料 | 婚姻・親子関係、生活状況を確認する |
| 税金・社会保険資料 | 納付状況や提出内容を確認する |
| 質問事項一覧 | 確認漏れを防ぐ |
| 聞き取り用メモ | 説明内容を記録する |
前回申請の資料を持たずに確認へ行くと、入管職員の説明が申請書のどの部分を指しているのか分からないことがあります。
特に、申請中に追加資料を求められていた場合、その内容は入管が疑問を持っていた点を知る重要な手掛かりになります。「Ⅴ-6.入管から追加資料を求められた場合の対応」もあわせてご確認ください。
5.確認時に聞くべきこと
不許可理由を確認する際には、単に「なぜ不許可になったのですか」と聞くだけでなく、問題となった要件や事実をできる限り具体的に確認します。
確認事項の例は次のとおりです。
- 申請した在留資格の選択自体に問題があったのか
- 予定している活動が在留資格に該当しないと判断されたのか
- 法令上の要件・基準を満たしていなかったのか
- 要件を満たす事実はあるが、資料による立証が不足していたのか
- 仕事内容や活動内容のどの部分が不明確だったのか
- 学歴・職歴と業務内容との関連性が認められなかったのか
- 会社・事業の実態や継続性に問題があったのか
- 雇用条件・報酬・勤務時間に問題があったのか
- 収入・納税・年金・健康保険のどの期間が問題になったのか
- 婚姻・家族関係そのものに疑問があったのか
- 生活基盤や扶養能力の説明が不足していたのか
- 過去の在留状況のどの部分が問題になったのか
- 申請書や提出資料の間に矛盾があったのか
- 追加資料で十分に説明されなかった点は何か
- 主な理由以外にも問題とされた点があるのか
「資料不足」なのか、「実体や要件そのものが認められなかった」のかは、再申請の方針を決めるうえで大きな違いがあります。
たとえば、職務内容の説明不足であれば、職務内容説明書や組織図などを補充できる可能性があります。一方、実際の業務が在留資格に該当しないと判断された場合には、書類を増やすだけでは解決せず、業務内容や申請する在留資格自体を見直す必要があります。
6.入管の説明で確認できる範囲
不許可理由の説明を受けても、審査過程のすべて、内部の検討資料、審査官の判断経過などが詳細に開示されるとは限りません。
また、次のような事項まで回答してもらえるとは限りません。
- 再申請すれば許可されるか
- 許可される確率
- どの書類を出せば必ず許可されるか
- 他の申請人と比較した評価
- 審査官内部の検討内容
- 将来の事情を前提とした確定的な判断
入管での確認は、前回申請について何が問題とされたのかを理解するためのものです。
「この資料を追加すれば許可されますか」と聞くよりも、「この要件を満たしていないと判断されたのか」「事実が認められなかったのか、それとも資料が不足していたのか」のように、前回判断の内容を確認する質問に整理した方が、再申請方針を検討しやすくなります。
再申請の可否や許可見込みは、不許可理由だけでなく、その後の事情変更、新たに提出できる資料、現在の在留状況などを踏まえて別途検討する必要があります。
7.企業・就労資格の申請で確認すべきポイント
外国人雇用に関する不許可・不交付では、外国人本人の学歴・職歴だけでなく、企業側の職務内容、雇用条件、事業実態などが問題になっている場合があります。
| 確認項目 | 確認する内容 |
|---|---|
| 在留資格該当性 | 実際の業務が申請した在留資格に該当するか |
| 職務内容 | 日常的に行う具体的な業務は何か |
| 学歴・職歴 | 本人の専攻・経験と業務との関連性 |
| 雇用条件 | 報酬、勤務時間、雇用期間に問題がないか |
| 会社資料 | 事業内容、決算、取引実態が確認できるか |
| 業務量 | 申請人が担当する専門業務が継続的に存在するか |
| 配属・受入体制 | 配属部署、組織上の位置付け、指導体制 |
| 理由書 | 採用理由・職務内容の説明が具体的か |
| 提出資料の整合性 | 会社側と本人側の説明が一致しているか |
「技術・人文知識・国際業務」などでは、営業、通訳、IT、マーケティングといった職種名だけでなく、実際にどのような業務を担当するのかが重要です。
出入国在留管理庁の「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」では、活動内容や申請区分に応じた提出資料が案内されています。
会社側に問題があったと説明された場合には、単なる書類不足なのか、会社の事業実態・継続性、予定する業務量、雇用条件などの実質的な問題なのかを分けて確認します。
8.家族・配偶者関係の申請で確認すべきポイント
配偶者や家族関係の申請では、次のような点が問題になることがあります。
- 法律上有効な婚姻・親子関係が成立しているか
- 婚姻関係の実体が認められるか
- 交際から結婚までの経緯に不自然な点がないか
- 夫婦間で説明が一致しているか
- 同居しているか、別居に合理的な理由があるか
- 日常的な交流を示す資料があるか
- 収入・住居・扶養能力に問題がないか
- 過去の婚姻歴・離婚歴を説明しているか
- 過去の在留歴・申請歴との矛盾がないか
- 提出した質問書や理由書に矛盾がないか
不許可理由を確認する際には、婚姻関係そのものの信頼性が問題とされたのか、収入・住居などの生活基盤が問題とされたのか、単に説明資料が不足していたのかを分けて確認する必要があります。
出入国在留管理庁の「在留資格『日本人の配偶者等』」では、戸籍謄本、結婚証明書、滞在費用を証明する資料、質問書、夫婦間の交流を示す資料などが案内されています。
9.永住申請で確認すべきポイント
永住許可申請では、在留期間、素行、収入、納税、公的年金・公的医療保険、現在の在留資格、家族関係などが重要です。
確認すべき点は次のとおりです。
- 必要な在留年数を満たしていたか
- 長期間の出国によって在留の継続性が問題になっていないか
- 現在の在留資格と在留期間に問題がなかったか
- 収入と扶養家族のバランスが問題になったのか
- 住民税・国税を期限内に納付していたか
- 年金・健康保険料を期限内に納付していたか
- 未加入期間や納付遅れがあったか
- 交通違反、罰金、その他の法令違反が問題になったか
- 入管法上の届出義務を履行していたか
- 家族全体の収入・扶養関係に問題があったか
- 身元保証人や提出資料に問題があったか
永住申請では、申請時点で未納がないというだけでなく、対象期間中に公的義務を期限内に履行していたかが問題になることがあります。
また、「収入が不足している」という説明であっても、単年度の収入だけが問題なのか、収入の継続性、扶養人数、世帯全体の生活状況が問題なのかを確認する必要があります。
永住許可の要件については、出入国在留管理庁の「永住許可に関するガイドライン」をご確認ください。
なお、永住許可申請中に現在の在留期限が到来する場合、永住申請とは別に在留期間更新許可申請が必要です。永住申請中であることだけで、現在の在留期間が延長されるわけではありません。
10.説明内容はその場で記録する
不許可理由の説明は、可能な限り具体的にメモしておくことが重要です。
記録する事項の例は次のとおりです。
- 確認した日時
- 入管の官署・担当部署
- 対象となる申請番号
- 説明を受けた人
- 主な不許可・不交付理由
- 問題とされた要件
- 問題とされた事実・資料
- 説明不足とされた事項
- 提出資料間の矛盾
- 主な理由以外の問題点
- 現在の在留期限について確認した内容
- 再度確認が必要な事項
説明を受けた直後に、同行者や会社・家族の関係者と内容を共有し、できるだけ早く記録を整理してください。
録音を希望する場合には、無断で録音するのではなく、事前に担当者へ確認することが適切です。
また、担当者の発言を自分に都合よく言い換えず、できる限り説明された内容に沿って記録することが大切です。
11.不許可後の在留期限にも注意する
日本国内で在留資格変更許可申請や在留期間更新許可申請が不許可となった場合には、不許可理由の確認と同時に、現在の在留資格と在留期限を確認する必要があります。
在留期限前に変更・更新申請を行い、特例期間中に審査を受けていた場合、特例期間は申請に対する処分が行われた時点で終了します。
不許可後に出国準備のための「特定活動」が付与される場合には、次の事項を確認してください。
- 現在の在留資格
- 在留期間が30日か31日か
- 在留期限
- パスポートに添付された指定書の内容
- 就労を継続できるか
- 再申請を検討できる時間があるか
- 特例期間が適用されるか
- 出国準備を並行して進める必要があるか
不許可理由を聞きに行くことや、再申請の準備を始めることだけで、在留期限が延長されるわけではありません。
詳しくは、「Ⅴ-13.在留資格申請中に在留期限が来た場合の扱い」および「Ⅴ-21.特定活動「出国準備」30日と31日の違い|特例期間と再申請の注意点」をご参照ください。
12.よくある注意点
不許可理由の確認では、次の点に注意が必要です。
- 申請先に確認せず、突然窓口へ行く
- 誰が説明を受けられるか確認していない
- 不許可・不交付通知書や本人確認資料を持参しない
- 前回申請資料を持たずに行く
- 感情的に詰問する
- 聞いた内容を記録しない
- 不許可理由は一つだけだと思い込む
- 「書類不足」と「要件を満たしていないこと」を区別しない
- 入管が次回の許可を保証したと受け取る
- 職員の説明を自己流に解釈する
- 不利な説明を無視する
- 会社、本人、家族で情報共有しない
- 在留期限を確認しない
- 理由を聞く前に同じ内容で再申請する
- インターネット上の一般的な不許可理由だけで判断する
不許可理由の確認は、入管の判断に反論するためだけの場ではありません。
前回申請について、どの要件、どの事実、どの資料が問題となったのかを冷静に確認し、再申請が可能か、申請時期を待つべきか、別の在留資格や手続を検討すべきかを判断するための情報収集です。
13.まとめ
不許可理由を入管で確認する際には、前回の申請資料を整理し、何が問題とされたのかをできるだけ具体的に把握することが大切です。
確認すべきポイントは、在留資格の選択、活動内容、本人の学歴・職歴、会社や家族の資料、収入、納税、年金、健康保険、過去の在留状況、提出資料の整合性などです。
特に重要なのは、次の点を区別することです。
- 在留資格や要件そのものに適合していなかったのか
- 要件を満たす事実はあるが、説明が不足していたのか
- 客観的な裏付け資料が不足していたのか
- 申請書や提出資料に矛盾があったのか
- 申請後に前提となる事情が変わったのか
入管での説明は、再申請の許可を保証するものではありません。しかし、不許可理由を正確に理解することは、同じ問題を繰り返さず、再申請の方針を立て直すための重要な第一歩になります。
再申請前に整理すべき事項については、「Ⅴ-8.再申請をする前に整理すべきポイント」もご参照ください。
14.不許可理由の確認・再申請に関するご相談
不許可理由の確認は、その後の再申請方針を左右する重要な手続です。
行政書士TMY総合法務事務所では、入管へ不許可理由を確認する前の質問事項の整理、前回申請資料の確認、説明を受けた後の原因分析、再申請方針の検討、理由書・申請書類の作成、申請取次についてご相談を承っています。
「入管で何を聞けばよいか分からない」「説明を受けたが意味が分からない」「同じ内容で再申請してよいのか判断できない」という場合は、できるだけ早い段階でご相談ください。
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初回相談は約30分無料です。Zoom・Microsoft Teamsを利用したオンライン相談にも対応しています。
※行政書士に依頼した場合でも、許可・交付が保証されるものではありません。許可・不許可を判断するのは出入国在留管理庁です。
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- Ⅴ-9.在留資格認定証明書が不交付になった場合の対応
- Ⅴ-5.入管申請の理由書には何を書くべきか
- Ⅴ-6.入管から追加資料を求められた場合の対応
- 在留資格の不許可・不交付・再申請ガイド|理由確認と立て直し
16.参考資料・出典
- 在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン(出入国在留管理庁)
- 在留期間の更新許可申請及び在留資格の変更許可申請に係る不許可事例(出入国在留管理庁)
- 在留資格認定証明書交付申請(出入国在留管理庁)
- 在留資格変更許可申請(出入国在留管理庁)
- 在留期間更新許可申請(出入国在留管理庁)
- 在留資格「技術・人文知識・国際業務」(出入国在留管理庁)
- 在留資格「日本人の配偶者等」(出入国在留管理庁)
- 永住許可に関するガイドライン(出入国在留管理庁)
- 外国人在留総合インフォメーションセンター等(出入国在留管理庁)
- 地方出入国在留管理官署(出入国在留管理庁)

