Ⅳ-16. 外国人役員・代表取締役を日本に呼ぶ場合の在留資格

外国企業が日本法人を設立する場合や、日本企業が外国人を役員・代表取締役として迎える場合、その外国人が日本で活動するための在留資格を検討する必要があります。

会社の登記上、外国人が代表取締役や役員になることができても、日本に在留して経営活動を行うためには、活動内容に合った在留資格が必要です。

この記事では、外国人役員・代表取締役を日本に呼ぶ場合の在留資格上の注意点を整理します。


1. 外国人でも日本法人の代表取締役になれる

法務省は、内国会社の代表取締役について、最低1人は日本に住所を有していなければならないという従前の取扱いを廃止し、代表取締役全員が海外に居住していても会社設立登記を申請できると案内しています。

つまり、外国人・海外居住者であっても、日本法人の代表取締役になること自体は可能です。

ただし、日本で実際に経営者として活動する場合は、在留資格を別途確認する必要があります。


2. 経営・管理が検討される場面

外国人役員・代表取締役が日本で会社の経営や管理に従事する場合、通常は在留資格「経営・管理」を検討します。

経営・管理は、日本で事業の経営を行い、または事業の管理に従事する活動を対象とする在留資格で、企業等の経営者・管理者が該当例とされています。

たとえば、次のような場合です。

  • 外国人が日本法人の代表取締役として常駐する
  • 外国企業の役員が日本子会社の経営を担当する
  • 日本支店長として日本事業を管理する
  • 外国人投資家が自ら日本法人を経営する
  • 外国人管理職が日本拠点の責任者になる

3. 役員であっても活動実態が重要

登記上の役員になっているだけでは十分ではありません。

経営・管理では、本人が日本で実際に経営・管理活動を行うことが重要です。
入管庁も、業務の大半を外部委託し、本人による日常的な経営活動がない場合や、経営者として把握すべき事業内容・財務状況を把握していない場合は、経営者としての活動実態が十分に認められない例として示しています。

役員としての肩書きだけでなく、実際の業務内容を説明する必要があります。


4. 経営者として説明すべき活動

外国人役員・代表取締役を日本に呼ぶ場合、次のような活動を具体的に整理します。

活動内容具体例
経営判断事業方針、投資判断、採用判断
財務管理予算、資金繰り、決算内容の把握
取引管理主要取引先との契約・交渉
人員管理従業員の採用、評価、配置
事業開発新規顧客開拓、販路開拓
本社連携海外本社との報告・調整
コンプライアンス許認可、税務、社会保険等の管理

これらを、職務内容説明書、役員就任資料、組織図、事業計画書などで説明します。


5. 経営・管理以外の在留資格が問題になる場合

外国人役員だからといって、常に経営・管理だけを検討するわけではありません。

たとえば、役員であっても実際の活動が高度な専門業務や技術業務である場合、別の在留資格が問題になることもあります。

また、海外関連会社から日本法人へ一定期間派遣される場合には、企業内転勤が検討されることもあります。

活動内容検討される在留資格
会社経営・管理経営・管理
海外関連会社から日本へ転勤企業内転勤
専門職として勤務技術・人文知識・国際業務
高度な経営人材高度専門職1号ハなど

実際の活動内容に応じて、在留資格を検討することが重要です。


6. 日本に常駐しない役員の場合

外国人役員が日本法人の役員に就任していても、日本に常駐しない場合があります。

たとえば、海外本社に居住したまま、年数回だけ日本に来て取締役会に参加するような場合です。

このような場合、短期滞在で足りるのか、日本で継続的に経営活動を行うのかによって判断が変わります。
実際に日本でどの程度の期間、どのような活動を行うのかを整理する必要があります。


7. よくある注意点

外国人役員・代表取締役を日本に呼ぶ場合、次のような点に注意が必要です。

  • 代表取締役に就任すれば在留資格も当然に認められると思っている
  • 役員登記だけで経営活動の説明がない
  • 実際の業務を外部委託しており、本人の経営実態が弱い
  • 日本法人の事業計画が抽象的
  • 事務所や常勤職員の要件を確認していない
  • 外国企業本社との関係資料が不足している
  • 短期滞在で行える活動と経営・管理活動を混同している

まとめ

外国人役員・代表取締役を日本に呼ぶ場合、登記上の役員就任だけでなく、日本で実際にどのような経営・管理活動を行うのかを整理する必要があります。

経営・管理を検討する場合には、会社の事業実体、事務所、資本金、常勤職員、事業計画、本人の経営者としての役割を説明することが重要です。

外国人役員の在留資格は、肩書きではなく、日本で行う実際の活動内容を基準に考えることが大切です。


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