日本国内に在留している外国人を採用する企業にとって、最初に確認すべき重要資料の一つが「在留カード」です。
在留カードには、在留資格、在留期間、在留期限、就労制限の有無など、外国人が日本でどのような活動を認められているかを確認するための情報が記載されています。
外国人を雇用する際には、単に「在留カードを持っているか」を見るだけでは足りません。現在の在留資格で予定している仕事ができるのか、在留期限が切れていないか、資格外活動許可が必要なケースでは許可を受けているかなどを確認する必要があります。
この記事では、外国人採用時に在留カードを確認する際の基本的な注意点を整理します。
外国人を採用する前に確認すべき基本事項については、関連記事「外国人を採用する前に企業が確認すべき在留資格の基本」もあわせてご参照ください。
1. 在留カードとは何か
在留カードは、日本に中長期間在留する外国人に交付されるカードです。
在留カードには、主に次のような情報が記載されています。
| 確認項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名・生年月日・国籍地域 | 本人確認に関する情報 |
| 在留資格 | 日本で認められている活動・身分 |
| 在留期間 | 1年、3年、5年など |
| 在留期限 | 日本に在留できる期限 |
| 就労制限の有無 | 就労できるかどうか |
| 資格外活動許可欄 | 留学生等のアルバイト許可の有無 |
企業が外国人を採用する場合、在留カードの記載内容を確認することは、不法就労を防ぐうえでも重要です。
出入国在留管理庁も、資格外活動許可を確認する際には、証印シールや資格外活動許可書とあわせて、在留カード裏面の資格外活動許可欄を確認するよう案内しています。(「資格外活動の許可(入管法第19条)」出入国在留管理庁ホームページより)
在留カードの偽変造が疑われる場合には、出入国在留管理庁が無料で提供している「在留カード等読取アプリケーション」と失効情報照会を利用することができます。
(出典:在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会サポートページ 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
2. まず確認すべきは在留期限
在留カードを見る際に、まず確認したいのが在留期限です。
在留期限が切れている場合は、原則として、そのまま就労させることはできません。また、在留期限が近い場合には、採用後すぐに在留期間更新許可申請が必要になることがあります。
特に注意したいのは、内定から入社までに時間が空く場合です。
面接時には在留期限が残っていても、入社時には期限が近づいていることがあります。
採用手続きでは、少なくとも次の時点で確認すると安心です。
| 確認時期 | 確認内容 |
|---|---|
| 面接時 | 現在の在留資格と期限 |
| 内定時 | 入社予定日まで在留期限があるか |
| 入社時 | 在留カードの原本確認 |
| 更新時期前 | 更新申請の準備状況 |
なお、在留期限までに在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請を行っている場合には、「特例期間」により、従前の在留資格の範囲内で引き続き在留・活動できることがあります。
特例期間は、申請に対する処分がされる日または従前の在留期間満了日から2か月を経過する日のいずれか早い日までです。
窓口申請の場合は在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」、オンライン申請の場合は申請受付完了メールなどを確認します。
(出典:特例期間とは? 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
外国人社員の更新手続きについては、関連記事「外国人社員の在留期間更新で会社が準備すべき書類」もご参照ください。
3. 在留資格と仕事内容が合っているかを見る
たとえば、在留カードに「技術・人文知識・国際業務」と記載されている場合、その外国人は日本で働くことができます。
しかし、どのような仕事でもできるわけではありません。
「技術・人文知識・国際業務」では、技術者、通訳、デザイナー、語学教師、マーケティング業務従事者などが該当例として示されています。
(出典:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
そのため、採用予定の業務が専門的・技術的な業務、または国際業務等として説明できるかを確認する必要があります。
| 在留資格 | 注意点 |
|---|---|
| 技術・人文知識・国際業務 | 専門職・事務系業務か、単純作業中心でないか |
| 企業内転勤 | 海外関連会社からの転勤か |
| 経営・管理 | 経営・管理活動か |
| 特定技能 | 分野・業務区分に合っているか |
| 留学・家族滞在 | 原則就労不可。資格外活動許可を確認 |
| 永住者・定住者・配偶者等 | 原則として就労制限なし |
在留資格名だけで判断せず、実際の仕事内容との関係を確認することが重要です。
技人国と特定技能の違いについては、関連記事「外国人を現場作業・飲食店・事務職で雇う場合のビザの違い|特定技能と技人国」もご参照ください。
4. 就労制限欄を確認する
在留カードには「就労制限の有無」が記載されています。
たとえば、次のような表示があります。
| 表示例 | 基本的な意味 |
|---|---|
| 就労制限なし | 原則として職種の制限なく就労可能 |
| 在留資格に基づく就労活動のみ可 | 在留資格の範囲内で就労可能 |
| 就労不可 | 原則として働けない |
| 指定書により指定された就労活動のみ可 | 指定書の確認が必要 |
「就労制限なし」と表示される代表例は、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者などです。
一方、「在留資格に基づく就労活動のみ可」と記載されている場合は、その在留資格で認められた仕事に限られます。
5. 留学生・家族滞在は裏面の資格外活動許可を確認する
留学生や家族滞在の方をアルバイトとして採用する場合、在留カード表面だけでなく、裏面の資格外活動許可欄を確認します。
留学や家族滞在は、原則として就労を目的とする在留資格ではありません。
アルバイトをするには、資格外活動許可を受けている必要があります。
資格外活動許可があっても、原則として1週につき28時間以内という制限があります。留学生については、教育機関の長期休業期間中に限り、1日8時間以内の活動が認められます。
また、風俗営業等に従事することはできません。
留学生については、学業が本来の活動であり、複数の勤務先で働いている場合には、すべての勤務先の労働時間を合計して管理する必要があります。
(出典:「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
(出典:「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
6. 特定活動は指定書を確認する
在留資格が「特定活動」の場合は、特に注意が必要です。
在留カードには「特定活動」とだけ記載されていても、実際に認められている活動内容は人によって異なります。
就労できる場合もあれば、就労できない場合もあります。
そのため、特定活動の外国人を採用する場合には、在留カードだけでなく、パスポートに添付されている指定書を確認する必要があります。
(出典:在留資格「特定活動」 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
7. コピーの保管と個人情報管理
企業が外国人を雇用する場合、在留カードの写しを保管することがあります。
ただし、在留カードには個人情報が含まれています。
保管する場合には、社内で閲覧できる範囲を限定し、採用管理・在留期限管理など必要な目的に沿って適切に管理することが大切です。
なお、外国人雇用状況の届出では、在留カード等の写しを添付する必要はありません。
(出典:「外国人雇用状況の届出」について 厚生労働省ウェブサイトより)
在留カード情報の管理については、関連記事「外国人雇用と在留資格情報の管理|企業はどこまで個人情報に踏み込むべきか」もご参照ください。
8. よくある注意点
外国人採用時の在留カード確認では、次のようなミスが起こりやすいです。
・在留カードの表面だけ見て裏面を確認していない
・在留期限を確認していない
・更新・変更申請中かどうかを確認していない
・「在留カードがある=働ける」と考えてしまう
・技人国の方に単純作業中心の仕事をさせてしまう
・特定活動なのに指定書を確認していない
・留学生の資格外活動許可や勤務時間を確認していない
・在留カードの原本や有効性を確認していない
・採用後の更新時期を管理していない
採用後の期限管理については、関連記事「外国人社員の在留期限管理を会社で行う方法」もご参照ください。
9. まとめ
外国人を採用する際には、在留カードの確認が重要です。
確認すべきポイントは、在留資格、在留期限、就労制限の有無、資格外活動許可欄、特定活動の場合の指定書などです。
在留カードを確認する目的は、単に本人確認をすることではありません。
予定している仕事内容が現在の在留資格で認められるか、在留期限や特例期間に問題がないかを確認し、採用後のトラブルを防ぐことにあります。
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11. 次に読みたい関連記事
・外国人を採用する前に企業が確認すべき在留資格の基本
・外国人を現場作業・飲食店・事務職で雇う場合のビザの違い|特定技能と技人国
・外国人社員の在留期間更新で会社が準備すべき書類
・外国人雇用における雇用契約書・労働条件通知書の作り方
・外国人雇用状況届出とは?会社が忘れてはいけない届出
・外国人社員の在留期限管理を会社で行う方法
12. 参考資料・出典
・在留カード等読取アプリケーション/失効情報照会サポートページ 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・特例期間とは? 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留資格「技術・人文知識・国際業務」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・資格外活動許可について 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・「留学」の在留資格に係る資格外活動許可について 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・「家族滞在」の在留資格に係る資格外活動許可について 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留資格「特定活動」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・「外国人雇用状況の届出」について 厚生労働省ウェブサイトより

