個人事業主や会社経営者の帰化申請では、本人の収入・納税だけでなく、事業の実態、会社の税務、社会保険、許認可なども確認されます。
会社員と比べ、提出書類が多く、事業と個人の収支を分けて整理する必要があります。
この記事では、個人事業主・会社経営者の帰化申請で確認されるポイントを解説します。
1.事業の実態が確認される
個人事業主や経営者は、どのような事業を営み、どのように収入を得ているかを説明します。
必要となる資料には、次のようなものがあります。
・確定申告書
・決算書
・会社の登記事項証明書
・許認可証
・事業の概要
・取引資料
・賃貸借契約書
・預金資料
東京法務局の案内でも、個人事業経営者には許認可証明書、法人役員には会社の登記事項証明書等が案内されています。
(出典:帰化許可申請書に添付する書類、東京法務局ウェブサイトより)
2.売上と所得を分けて考える
売上が大きくても、経費を差し引いた所得が低い場合があります。
帰化申請の生計条件では、実際に家族が安定して生活できるかを確認します。
個人事業主は、売上、経費、所得、借入金、家族人数を整理します。
会社経営者は、会社の売上だけでなく、本人の役員報酬や配当を確認します。
3.個人の税金
個人事業主・会社経営者本人について、次の税金を確認します。
・所得税
・住民税
・消費税
・事業税
・固定資産税
・相続税、贈与税がある場合
期限後申告、無申告、滞納がある場合は、素行・生計条件に影響する可能性があります。
4.会社の税金
会社経営者の場合は、会社の税務処理も重要です。
・法人税
・法人住民税
・法人事業税
・消費税
・源泉所得税
・給与支払報告
会社に税金の未納がある場合、経営者としての法令遵守や事業の安定性が問題となる可能性があります。
税務上の修正が必要な場合は、税理士へ相談します。
5.社会保険
法人は、原則として社会保険の適用事業所となります。
会社経営者が、社会保険に加入すべき従業員を加入させていない、保険料を納付していない場合には、帰化申請上も慎重に見られる可能性があります。
東京法務局の手引では、厚生年金・健康保険の適用事業所の事業主について、事業所の保険料納付資料が案内されています。
(出典:帰化許可申請のてびき、東京法務局ウェブサイトより)
6.許認可
飲食業、建設業、古物営業、運送業、旅館業など、許可が必要な事業を行っている場合は、有効な許認可を取得していることが必要です。
無許可営業や名義貸しがある場合は、素行面で重大な問題となります。
7.赤字・債務超過
赤字決算が一度あるだけで、必ず不許可になるわけではありません。
ただし、赤字が継続し、役員報酬が支払えない、税金や社会保険料を滞納している場合は、生計の安定性に問題が生じます。
赤字の理由、改善計画、受注状況、資金繰りを説明します。
8.家族経営
配偶者や親族を役員・従業員としている場合は、実際の勤務、給与、社会保険、源泉徴収を確認します。
名目だけの役員報酬や、勤務実態のない給与は問題になります。
家族間の資金移動も、会社と個人を区別して記録します。
9.事業変更・法人化
個人事業から法人化した場合、過去の確定申告と法人設立後の決算が連続するように整理します。
会社を複数経営している、代表者を変更した、事業を廃止した場合も、経緯を説明します。
10.申請後の経営状況変化
申請後に次の変更があった場合は、法務局へ報告します。
・法人設立、廃業
・代表取締役就任・退任
・本店移転
・事業内容変更
・倒産、清算
・役員報酬変更
・税金、社会保険の滞納
・許認可取消し
審査中も適正な経営を継続する必要があります。
11.行政書士・税理士との連携
行政書士は帰化申請書類、身分関係、本国書類、法務局対応を支援します。
税理士は税務申告、決算、修正申告を担当します。
社会保険や労務管理に問題がある場合は、社会保険労務士との連携も考えられます。
帰化申請のためだけに形式を整えるのではなく、事業運営そのものを適法に整えることが重要です。
12.まとめ
個人事業主・会社経営者の帰化申請では、本人と事業の双方が確認されます。
・売上ではなく所得と世帯の生活状況が重要である
・個人と会社の税金を整理する
・社会保険料を適正に納付する
・事業に必要な許認可を取得する
・赤字の場合は原因と改善見込みを説明する
・家族役員・従業員の勤務実態を明確にする
・法人化、事業変更、廃業の経緯を整理する
・審査中の事業変更は法務局へ報告する
・税務・社会保険の専門家と連携する
経営者の帰化申請では、書類の数だけでなく、会社経営と個人生活の両方が適正に行われていることが重要です。
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・Ⅲ-22.帰化申請に必要な書類と準備の進め方
・Ⅲ-23.会社員が帰化申請をする場合の注意点
・Ⅲ-17.自営業者・会社経営者が永住申請をする場合の注意点
・Ⅳ-5.経営・管理ビザの更新で確認される決算・売上・事業実態
・Ⅲ-21.帰化申請で確認される住所・能力・素行・生計の条件
参考資料・出典
・帰化許可申請書に添付する書類 東京法務局ウェブサイトより
・帰化許可申請のてびき 東京法務局ウェブサイトより
・帰化について 東京法務局ウェブサイトより
