Ⅲ-12.永住申請で必要になる住民税・国税の証明書

永住申請では、税金に関する資料が非常に重要です。

永住許可の審査では、申請人が日本で安定して生活しているか、公的義務を適正に履行しているかが確認されます。

その中でも、住民税と国税の証明書は、収入、納税状況、未納の有無を確認するための中心的な資料です。

相談でも、次のような質問を受けることがあります。

・住民税の課税証明書と納税証明書は何が違いますか
・何年分の証明書が必要ですか
・国税の納税証明書その3とは何ですか
・会社員でも国税の納税証明書が必要ですか
・税金を後からまとめて払えば大丈夫ですか
・納付が遅れたことがある場合、永住申請は難しいですか
・引っ越しをしている場合、どこの役所で証明書を取ればよいですか
・扶養している家族がいる場合、税証明で何を見られますか

永住申請では、単に「税金の未納がない」だけではなく、「期限内にきちんと納付していたか」が重要になります。

出入国在留管理庁の永住許可ガイドラインでも、公的義務の履行について、申請時点で納税済みであったとしても、当初の納付期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されると説明されています。
(出典:永住許可に関するガイドライン、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

この記事では、永住申請で必要になる住民税・国税の証明書について、課税証明書、納税証明書、国税の納税証明書その3、取得時の注意点、納付遅れがある場合の考え方を解説します。

1.永住申請で税金関係資料が重要な理由

永住申請では、申請人が日本で安定して生活しているか、公的義務を適切に履行しているかが確認されます。

永住許可ガイドラインでは、「その者の永住が日本国の利益に合すると認められること」の中で、公的義務として、納税、公的年金及び公的医療保険の保険料の納付、入管法に定める届出等の義務を適正に履行していることが示されています。
(出典:永住許可に関するガイドライン、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

つまり、永住申請では、税金を納めているかどうかが非常に重要です。

税金関係資料では、主に次の点が確認されます。

・所得額
・課税額
・納付済みか
・未納がないか
・納付時期に問題がないか
・扶養家族の状況
・収入と扶養人数のバランス
・自営業者や会社経営者の場合の申告状況

永住許可は、日本で今後も安定して生活することを認める制度です。

そのため、税金を適正に申告・納付していることは、申請上の重要な判断材料になります。

2.住民税の課税証明書とは

住民税の課税証明書は、前年の所得に基づいて課税された住民税額などを証明する書類です。

例えば、横浜市の案内では、市民税・県民税・森林環境税課税(非課税)証明書は、各年1月1日から12月31日までの1年間の所得に基づいて算定した市民税・県民税・森林環境税の税額を証明するものと説明されています。
(出典:市民税・県民税・森林環境税課税(非課税)証明書、横浜市ウェブサイトより)

永住申請では、課税証明書により、所得額や課税額を確認します。

課税証明書で見られる主な項目は、次のとおりです。

・所得金額
・給与収入
・給与所得
・所得控除
・扶養人数
・課税額
・非課税かどうか

収入が安定しているか、扶養家族が多すぎないか、世帯として生活できる所得があるかを確認するための資料になります。

3.住民税の納税証明書とは

住民税の納税証明書は、課税された住民税について、納付済みか、未納がないかを確認するための書類です。

横浜市の納税証明書の案内では、納税証明書について、オンライン申請や郵送申請の方法が案内されています。
(出典:納税証明書、横浜市ウェブサイトより)

課税証明書が「どのくらい所得があり、どのくらい住民税が課されたか」を示す書類であるのに対し、納税証明書は「その税金を納めているか」を示す書類です。

永住申請では、課税証明書と納税証明書の両方が必要になることが多くあります。

課税されているのに納税証明書で未納がある場合、永住申請では大きな問題になります。

4.何年分の住民税証明書が必要か

必要となる年数は、申請人の在留資格や類型によって異なります。

たとえば、出入国在留管理庁の永住許可申請にかかる提出書類一覧表の概要版では、就労資格などの類型について、住民税の課税又は非課税証明書、住民税の納税証明書について直近5年分が示されています。
(出典:永住許可申請にかかる提出書類一覧表(概要版)、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

一方、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者、高度人材など、申請類型によって提出書類や対象年数が異なることがあります。

したがって、永住申請では、自分の在留資格と申請類型に対応する提出書類一覧を確認する必要があります。

「他の人が3年分だったから自分も3年分でよい」と考えるのは危険です。

5.国税の納税証明書その3とは

永住申請では、住民税だけでなく、国税の納付状況を証明する資料も求められます。

出入国在留管理庁の永住許可申請の提出書類案内では、国税の納付状況を証明する資料として、次の5税目に係る納税証明書その3が案内されています。

・源泉所得税及び復興特別所得税
・申告所得税及び復興特別所得税
・消費税及び地方消費税
・相続税
・贈与税

また、納税証明書その3は、証明を受けようとする税目について、証明日現在において未納がないことを証明するものであり、対象期間の指定は不要であること、上記5税目すべてに係る納税証明書を提出することが案内されています。
(出典:永住許可申請3、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

ここで注意すべきなのは、会社員であっても国税の納税証明書その3が求められる場合があることです。

「自分は会社員だから確定申告をしていない」「消費税や相続税は関係ない」と思っていても、提出書類として5税目すべての証明が求められる扱いになっている場合があります。

6.納税証明書その3はどこで取得するか

国税の納税証明書その3は、住所地を管轄する税務署から発行されます。

出入国在留管理庁の提出書類案内でも、納税証明書その3は住所地を管轄する税務署から発行されるものとされています。
(出典:永住許可申請3、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

国税庁は、永住許可申請の際に必要となる納税証明書その3について、e-Taxを利用してオンラインで請求から受取りまで行うことが可能であると案内しています。
(出典:税務署に行かずに申請できます!永住許可申請のための納税証明書、国税庁ウェブサイトより)

急ぎの場合や電子データで受け取りたい場合には、オンライン請求を検討することもできます。

ただし、提出先が電子データでよいのか、紙で提出する必要があるのかは、申請方法や提出先の扱いを確認する必要があります。

7.住民税証明書はどこで取得するか

住民税の課税証明書・納税証明書は、通常、その年度の1月1日に住所があった市区町村で取得します。

引っ越しをしている場合は、現在の住所地ではなく、該当年度の1月1日に住んでいた自治体で証明書を取得する必要があることがあります。

たとえば、横浜市では、課税証明書について、オンライン申請や郵送請求などの方法が案内されています。
(出典:市民税・県民税・森林環境税課税(非課税)証明書、横浜市ウェブサイトより)

また、横浜市の税証明オンライン申請案内では、課税証明書や納税証明書などをオンラインで申請でき、証明書が郵送で届くことが案内されています。
(出典:税証明がスマートフォンやパソコンで申請できます!、横浜市ウェブサイトより)

複数回引っ越しをしている方は、どの年度の証明書を、どの自治体から取得するのかを整理する必要があります。

8.課税証明書と納税証明書でよくある混同

永住申請では、課税証明書と納税証明書を混同しやすいです。

整理すると、次のようになります。

書類主に確認する内容
課税証明書所得額、課税額、扶養人数、控除など
納税証明書課税された税金を納めているか、未納がないか
国税の納税証明書その3証明日現在、対象税目に未納がないか

課税証明書だけを取得しても、納税状況は十分に確認できません。

納税証明書だけを取得しても、所得額や課税額は十分に確認できない場合があります。

そのため、永住申請では、課税証明書と納税証明書の両方をそろえる必要があることが多いです。

9.非課税の場合はどうなるか

収入が少ない、扶養に入っている、育児や病気で働いていないなどの理由により、住民税が非課税になることがあります。

非課税の場合でも、非課税証明書を取得することがあります。

ただし、永住申請では、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有することが確認されます。

そのため、本人が非課税である場合には、世帯全体の収入、配偶者の収入、預貯金、扶養関係などを説明する必要があります。

非課税であること自体が直ちに不許可を意味するわけではありません。

しかし、どのように生活しているのか、将来も安定して生活できるのかを説明する必要があります。

10.納付遅れがある場合

永住申請で特に注意すべきなのが、納付遅れです。

永住許可ガイドラインでは、公的義務の履行について、申請時点で納税済みであっても、当初の納付期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されるとされています。
(出典:永住許可に関するガイドライン、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

つまり、申請前にまとめて納付すれば必ず問題がなくなる、というものではありません。

もちろん、未納のまま申請するよりは納付すべきです。

しかし、納付期限を守っていたかどうかも確認されます。

納付遅れがある場合は、次の点を整理します。

・どの税金が遅れたのか
・いつ納付したのか
・遅れた理由は何か
・現在は納付管理が改善されているか
・今後同じことが起きない仕組みがあるか

自営業者や会社経営者の場合、申告・納税管理が特に重要になります。

11.会社員の場合の注意点

会社員の場合、住民税は給与から特別徴収されていることが多いです。

特別徴収であれば、会社が給与から住民税を天引きし、市区町村へ納付します。

ただし、転職、退職、休職、普通徴収への切替えがある場合は注意が必要です。

たとえば、次のようなケースです。

・退職後に普通徴収の納付書が届いていた
・転職時に住民税の切替えがうまくいかなかった
・育休、休職中に納付方法が変わった
・普通徴収分を納期限後に納めた
・副業や確定申告により追加で税額が出た

会社員だからといって、自動的に全て問題ないとは限りません。

課税証明書、納税証明書を取得し、未納や納付遅れがないか確認することが大切です。

12.個人事業主・会社経営者の場合の注意点

個人事業主や会社経営者の場合、税金関係の確認はより重要です。

個人事業主の場合は、所得税、住民税、消費税、国民健康保険、国民年金などの申告・納付状況が問題になります。

会社経営者の場合は、本人個人の税金だけでなく、経営する会社の状況、役員報酬、社会保険加入、法人税や消費税の納付状況なども実務上確認されることがあります。

永住申請の提出書類としては、申請人個人の証明が中心になりますが、会社経営者の場合、会社の安定性や役員報酬の継続性も生活基盤の説明に関係します。

次の点を整理しておくとよいでしょう。

・確定申告を適正に行っているか
・所得額が安定しているか
・住民税、国税に未納がないか
・消費税の納税義務があるか
・国民年金、国民健康保険の納付に問題がないか
・会社経営者の場合、役員報酬が安定しているか
・会社の社会保険加入状況に問題がないか

自営業者や会社経営者は、会社員よりも資料説明が複雑になりやすいです。

13.扶養家族が多い場合

課税証明書では、扶養人数や所得控除の状況が確認できます。

扶養家族が多い場合、収入とのバランスが問題になります。

永住申請では、申請人又は世帯が公共の負担にならず、将来において安定した生活が見込まれるかが確認されます。
(出典:永住許可に関するガイドライン、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

扶養家族が多いこと自体が直ちに問題になるわけではありません。

しかし、収入に比べて扶養人数が多い場合は、生活の安定性について慎重に見られる可能性があります。

配偶者の収入、預貯金、住居費の低さ、親族援助など、生活を支える事情がある場合は、資料で説明することが大切です。

14.税証明を取得する際のチェックポイント

永住申請で税証明を取得する際は、次の点を確認します。

・必要な年度がそろっているか
・課税証明書と納税証明書の両方があるか
・非課税の場合は非課税証明書があるか
・引っ越し前の自治体から取得すべき年度がないか
・氏名、生年月日、住所に誤りがないか
・扶養人数が申請内容と一致しているか
・納税証明書に未納表示がないか
・国税の納税証明書その3を5税目分取得しているか
・提出直前に最新の証明書になっているか
・家族分の証明書が必要な場合に取得しているか

永住申請では、提出資料が多くなります。

税証明は取得に時間がかかることもあるため、早めに準備することが重要です。

15.税金に不安がある場合の対応

税金に不安がある場合は、申請前に資料を取得し、状況を確認することが大切です。

不安があるケースとしては、次のようなものがあります。

・過去に住民税を滞納したことがある
・納付書を紛失して納付が遅れた
・転職時に住民税の納付方法が変わった
・確定申告をしていなかった年がある
・副業収入の申告が不明確
・個人事業で所得が低い年がある
・消費税の納付が遅れた
・扶養に入れている家族が多い
・非課税年度がある

このような場合、まず証明書を取得して事実を確認します。

そのうえで、必要に応じて理由書や補足説明書を作成します。

ただし、税務申告そのものや税額の判断は税理士の専門分野です。

税務上の修正申告、消費税、法人税、扶養控除などに問題がある場合は、税理士に相談する必要があります。

16.行政書士に相談するメリット

永住申請では、税証明を単に集めるだけでなく、申請全体の中でどう見られるかを確認することが重要です。

行政書士に相談することで、次のような点を整理できます。

・どの年度の証明書が必要か
・どの自治体から取得すべきか
・課税証明書と納税証明書の違い
・国税の納税証明書その3の取得方法
・納付遅れがある場合の説明方法
・収入と扶養人数のバランス
・非課税年度がある場合の補足説明
・自営業者や会社経営者の資料整理
・理由書に何を書くべきか
・税理士に相談すべき事項の切り分け

永住申請は、税金、社会保険、在留状況、家族関係が重なる手続きです。

税証明の内容を確認せずに申請を進めると、後から大きな問題に気づくことがあります。

17.まとめ

永住申請では、住民税・国税の証明書が非常に重要です。

税金関係資料は、収入、納税状況、公的義務の履行、生活の安定性を確認するための中心的な資料です。

この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。

・永住申請では、公的義務の履行が重要である
・住民税の課税証明書では、所得額、課税額、扶養人数などが確認される
・住民税の納税証明書では、未納の有無が確認される
・国税については、納税証明書その3が求められる場合がある
・納税証明書その3は、証明日現在の未納の有無を証明するものである
・住民税証明書は、該当年度の1月1日の住所地の自治体で取得することが多い
・国税の納税証明書は、住所地を管轄する税務署で取得する
・申請前にまとめて納付しても、納付期限内に履行していない場合は消極的に評価される可能性がある
・会社員でも、転職や退職、普通徴収への切替えがある場合は注意が必要である
・自営業者や会社経営者は、申告・納税状況の整理が特に重要である

永住申請では、「税金を払っているつもり」では足りません。

証明書を取得し、未納や納付遅れがないかを確認したうえで、必要に応じて理由書や補足資料で説明することが大切です。

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・Ⅲ-14.交通違反・罰金歴が永住申請に与える影響
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参考資料・出典

永住許可申請 出入国在留管理庁ウェブサイトより
永住許可申請3 出入国在留管理庁ウェブサイトより
永住許可申請4-(2)-イ 出入国在留管理庁ウェブサイトより
永住許可に関するガイドライン 出入国在留管理庁ウェブサイトより
永住許可申請にかかる提出書類一覧表(概要版) 出入国在留管理庁ウェブサイトより
税務署に行かずに申請できます!永住許可申請のための納税証明書 国税庁ウェブサイトより
市民税・県民税・森林環境税課税(非課税)証明書 横浜市ウェブサイトより
納税証明書 横浜市ウェブサイトより
税証明がスマートフォンやパソコンで申請できます! 横浜市ウェブサイトより