Ⅱ-3.国際結婚と在留資格申請で注意すべきポイント

Ⅱ 家族結婚身分系資格

日本人と外国人が結婚する場合、婚姻手続きと在留資格手続きの両方を整理する必要があります。

国際結婚では、次のような相談がよくあります。

・日本で先に婚姻届を出すべきか
・相手国で先に結婚するべきか
・婚姻要件具備証明書とは何か
・外国語書類には翻訳が必要か
・結婚すれば配偶者ビザは必ず許可されるのか
・交際期間が短い場合でも申請できるのか
・収入が少ない場合はどうすればよいか
・短期滞在中に結婚したら日本国内で変更できるのか

国際結婚では、民法上・戸籍上の婚姻手続きと、入管法上の在留資格申請が混同されがちです。

しかし、婚姻届が受理されることと、在留資格「日本人の配偶者等」が許可されることは別の問題です。

この記事では、国際結婚と在留資格申請で注意すべき基本ポイントを解説します。

1.国際結婚では「婚姻手続き」と「在留資格手続き」を分けて考える

国際結婚でまず大切なのは、婚姻手続きと在留資格手続きを分けて考えることです。

婚姻手続きは、日本人と外国人の婚姻を法律上成立させるための手続きです。

一方、在留資格手続きは、外国人配偶者が日本で中長期に在留するための手続きです。

法務省民事局のQ&Aでは、国際結婚や海外での出生等に関する戸籍の取扱いが案内されています。
(出典:国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A、法務省ウェブサイトより)

在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者、日本人の特別養子又は日本人の子として出生した人を対象とする在留資格です。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

婚姻届が受理されたとしても、入管審査では、別途、婚姻の実体や生活基盤が確認されます。

2.日本で婚姻する場合と海外で婚姻する場合

国際結婚では、日本で先に婚姻する方法と、外国で先に婚姻する方法があります。

どちらがよいかは、相手国の制度、必要書類、現在の居住地、来日予定、在留資格申請の方針によって異なります。

日本で婚姻する場合には、市区町村役場へ婚姻届を提出します。

外国人との婚姻では、一般に、婚姻要件具備証明書、国籍を証明する資料、パスポート、外国語書類の日本語訳などが必要になることがあります。

横浜市の婚姻届の案内でも、外国籍の人との婚姻届について、婚姻要件具備証明書、国籍を証明する書面又はパスポート、外国語書類がある場合の日本語訳文などが案内されています。
(出典:婚姻届、横浜市ウェブサイトより)

海外で婚姻する場合は、相手国の方式に従って婚姻し、その後、日本側の戸籍に婚姻を反映させる手続きが必要になることがあります。

3.婚姻要件具備証明書とは

婚姻要件具備証明書とは、一般に、その外国人が本国法上婚姻できる要件を備えていることを証明する書類です。

日本人同士の婚姻では通常問題になりませんが、国際結婚では、相手方外国人が本国法上結婚できる状態にあるかを確認する必要があります。

国によって、証明書の名称、発行機関、取得方法、翻訳、認証の要否が異なります。

たとえば、次のような違いがあります。

・在日大使館で発行される国
・本国の役所で発行される国
・婚姻要件具備証明書を発行しない国
・宣誓書や独身証明書で代替する国
・翻訳や認証が必要になる国

婚姻要件具備証明書が取得できない場合でも、別の資料で婚姻要件を確認することがあります。

そのため、相手国の制度を事前に確認し、市区町村役場にも相談しておくことが大切です。

4.在留資格申請では婚姻の実体が確認される

国際結婚後に在留資格「日本人の配偶者等」を申請する場合、最も重要なのは婚姻の実体です。

婚姻届が受理されているだけでは十分ではありません。

入管では、夫婦としての実体があるかを確認します。

出入国在留管理庁の提出書類では、質問書、夫婦間の交流が確認できるスナップ写真、SNS記録、通話記録などの提出が案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

確認されやすい点は、次のとおりです。

・どのように知り合ったか
・交際期間
・実際に会った回数
・結婚を決めた経緯
・双方の家族に紹介しているか
・同居しているか、又は同居予定があるか
・日常的に連絡を取っているか
・結婚後の生活予定
・金銭の授受や紹介業者の関与の有無

国際結婚では、言語、文化、居住国の違いがあるため、交際や婚姻の経緯を丁寧に説明することが重要です。

5.外国側の結婚証明書も準備する

日本で婚姻届を提出しても、在留資格申請では、申請人の国籍国の機関から発行された結婚証明書の提出が案内されています。

出入国在留管理庁の提出書類では、日本人配偶者の戸籍謄本のほか、申請人の国籍国の機関から発行された結婚証明書の提出が案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

国によっては、日本で婚姻した後に、相手国大使館や本国機関へ婚姻登録をしなければ、結婚証明書が発行されない場合があります。

この手続きに時間がかかることがあります。

そのため、国際結婚では、日本の婚姻届だけでなく、外国側の婚姻登録と証明書の取得も計画に入れておく必要があります。

6.外国語書類には日本語訳が必要

国際結婚の在留資格申請では、外国語で作成された資料を提出することが多くあります。

たとえば、次のような資料です。

・結婚証明書
・出生証明書
・離婚証明書
・独身証明書
・婚姻要件具備証明書
・戸籍、家族登録簿
・親族関係証明書

出入国在留管理庁の提出書類案内では、外国語で作成された資料には日本語訳文を添付することが案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

翻訳は、単に意味が分かればよいというものではありません。

氏名、生年月日、婚姻日、発行機関、証明内容が正確に訳されている必要があります。

また、国によっては、認証、アポスティーユ、公印確認などが問題になる場合もあります。

7.短期滞在中の結婚は注意が必要

外国人が短期滞在で来日中に日本人と結婚するケースもあります。

この場合、婚姻届を提出すること自体は可能な場合がありますが、そのまま日本国内で在留資格「日本人の配偶者等」へ変更できるかは別問題です。

短期滞在から他の在留資格への変更は、入管法上、「やむを得ない特別の事情」に基づくものでなければ許可しないものとされています。
(出典:出入国審査・在留審査Q&A、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

そのため、短期滞在中に結婚したからといって、当然に日本国内で変更できるわけではありません。

原則としては、いったん帰国し、日本側で在留資格認定証明書交付申請を行う流れを検討します。

8.収入・住居・生活基盤も確認される

在留資格申請では、婚姻の実体だけでなく、日本での生活基盤も確認されます。

出入国在留管理庁の提出書類では、日本での滞在費用を証明する資料として、住民税課税証明書、納税証明書などが案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

生活基盤として確認されるのは、次のような点です。

・日本人配偶者の収入
・外国人配偶者の就労予定
・住居
・扶養家族
・預貯金
・親族援助
・税金の納付状況

収入が少ない場合でも、資料を補うことで説明できる場合があります。

ただし、生活費の見通しを説明できない場合は、審査上不利になる可能性があります。

9.まとめ

国際結婚と在留資格申請では、婚姻手続きと入管手続きを分けて考える必要があります。

重要なのは、次の点です。

・日本又は外国で法律上有効な婚姻を成立させること
・日本人配偶者の戸籍に婚姻事実を反映させること
・外国側の結婚証明書を準備すること
・外国語書類には日本語訳を添付すること
・婚姻の実体を質問書や交流資料で説明すること
・短期滞在中の結婚では国内変更の可否を慎重に検討すること
・収入、住居、生活費を説明できること

国際結婚では、国によって必要書類や手続きが異なります。

また、婚姻届が受理されることと、在留資格が許可されることは別の問題です。

在留資格申請では、夫婦としての実体と日本での生活基盤を、資料で分かりやすく示すことが大切です。

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参考資料・出典

国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A 法務省ウェブサイトより
婚姻届 横浜市ウェブサイトより
在留資格「日本人の配偶者等」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合 出入国在留管理庁ウェブサイトより
出入国審査・在留審査Q&A 出入国在留管理庁ウェブサイトより
出入国管理及び難民認定法 e-Gov法令検索より