Ⅱ-5.配偶者ビザの更新で確認されるポイント

Ⅱ 家族結婚身分系資格

在留資格「日本人の配偶者等」を取得して日本で生活している外国人は、在留期間が満了する前に在留期間更新許可申請を行う必要があります。

よく相談されるのは、次のようなケースです。

・初回の在留期間が1年だったので更新したい
・結婚生活は続いているが、夫婦が別居している
・収入が下がった
・転職した
・子どもが生まれた
・夫婦関係が悪化している
・離婚協議中だが在留期限が近い
・3年や5年の在留期間をもらいたい

配偶者ビザの更新では、初回申請と同じく、婚姻関係と生活基盤が確認されます。

ただし、更新では、これまで日本でどのように生活してきたか、現在も夫婦としての実体があるかが特に重要になります。

この記事では、在留資格「日本人の配偶者等」の更新で確認されるポイント、注意すべきケース、準備したい資料を解説します。

1.配偶者ビザの更新とは

在留資格「日本人の配偶者等」には、5年、3年、1年又は6月の在留期間があります。

出入国在留管理庁の在留資格一覧表でも、「日本人の配偶者等」の在留期間は5年、3年、1年又は6月とされています。
(出典:在留資格一覧表、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

在留期間が満了する前に、引き続き日本で生活したい場合には、在留期間更新許可申請を行います。

在留期間更新許可申請は、現在の在留資格に基づく活動や身分関係を継続して、日本に在留しようとする場合の申請です。
(出典:在留期間更新許可申請、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

「日本人の配偶者等」の更新では、現在も日本人の配偶者としての実体があるかが確認されます。

2.更新で確認される基本項目

配偶者ビザの更新で確認される主なポイントは、次のとおりです。

・婚姻関係が継続しているか
・夫婦としての実体があるか
・同居しているか
・別居している場合は合理的理由があるか
・収入や生活費に問題がないか
・税金を納めているか
・子どもの有無
・過去の在留状況
・犯罪歴や交通違反などの素行
・離婚や死別がないか
・申請内容に虚偽がないか

初回申請で許可されていても、更新時に夫婦関係が変化していることがあります。

そのため、更新では「現在の状況」が重要です。

3.婚姻関係が続いているか

更新で最も重要なのは、現在も日本人との婚姻関係が継続しているかです。

法律上離婚していないことは当然ですが、それだけでは不十分です。

夫婦としての実体があるかも確認されます。

確認される事情としては、次のようなものがあります。

・同居しているか
・日常生活を共にしているか
・生活費を共同で負担しているか
・夫婦間で連絡を取っているか
・別居している場合、理由があるか
・離婚協議中ではないか
・夫婦関係が破綻していないか

住民票上は同居していても、実際には別居している場合があります。

逆に、単身赴任や介護など合理的理由で別居している場合もあります。

重要なのは、形式ではなく実態です。

4.別居している場合

夫婦が別居している場合、更新では慎重に確認されることがあります。

ただし、別居していることだけで直ちに不許可になるわけではありません。

単身赴任、親の介護、子どもの学校、病気療養、住居事情など、合理的な理由で一時的に別居している場合もあります。

別居している場合には、次の点を説明します。

・いつから別居しているか
・別居の理由
・別居先
・連絡頻度
・面会頻度
・生活費の負担
・今後の同居予定
・夫婦関係が継続していること

夫婦間の交流資料として、写真、SNS記録、通話記録などを提出することも考えられます。

出入国在留管理庁の提出書類でも、夫婦間の交流が確認できる資料として、スナップ写真、SNS記録、通話記録などが案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

別居の理由を説明できない場合や、夫婦としての実体が失われている場合は、更新が難しくなることがあります。

5.収入・納税状況

更新では、日本での生活費をまかなえるかも確認されます。

出入国在留管理庁の提出書類では、日本での滞在費用を証明する資料として、滞在費用を支弁する方の住民税課税証明書及び納税証明書などが案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

更新時には、次の点を確認します。

・現在の収入
・前年所得
・住民税の納付状況
・転職や退職の有無
・休職、育休、病気による収入減
・外国人配偶者本人の就労状況
・預貯金
・親族援助
・住居費の負担

収入が下がった場合でも、直ちに不許可になるわけではありません。

ただし、収入減少の理由と、今後の生活費の見通しを説明する必要があります。

6.税金の未納に注意する

更新で特に注意したいのは、税金の未納です。

納税証明書では、税金を納めているかどうかが確認されます。

未納がある場合、生活の安定性だけでなく、公的義務を適切に履行しているかという点で問題になることがあります。

やむを得ず分納中の場合は、分納計画や納付状況を説明する資料を用意することがあります。

税金の未納がある場合には、申請前に状況を確認し、整理できるものは整理しておくことが大切です。

7.子どもが生まれた場合

更新までの間に子どもが生まれている場合、家族構成や生活状況が変わります。

日本人との間に子どもがいることは、婚姻実体や家族関係を示す事情になります。

ただし、子どもがいるからといって、自動的に長い在留期間が出るわけではありません。

確認すべき資料としては、次のようなものがあります。

・子どもの戸籍謄本
・住民票
・母子健康手帳
・保育園、幼稚園、学校関係資料
・生活費や住居の資料

子どもがいる場合は、夫婦の生活だけでなく、子どもの養育環境も含めて説明するとよいでしょう。

8.離婚・死別した場合

在留期間更新の前に、日本人配偶者と離婚又は死別した場合、原則として「日本人の配偶者等」のまま更新することはできません。

離婚又は死別した場合には、配偶者に関する届出が必要です。

出入国在留管理庁は、「日本人の配偶者等」など配偶者としての身分を有する中長期在留者が、配偶者と離婚又は死別した場合、その事由が生じた日から14日以内に届け出る必要があると案内しています。
(出典:配偶者に関する届出、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

離婚後も日本に在留したい場合には、定住者、就労系在留資格、留学など、別の在留資格への変更を検討する必要があります。

日本人との子どもを養育している場合には、定住者への変更を検討することがあります。

9.6か月以上、配偶者としての活動をしていない場合

「日本人の配偶者等」や「永住者の配偶者等」の在留資格を持つ外国人が、配偶者としての活動を継続して6か月以上行っていない場合、正当な理由がある場合を除き、在留資格取消しの対象になることがあります。

出入国在留管理庁の在留資格取消しに関する案内では、在留資格取消し制度の概要が説明されています。
(出典:在留資格の取消し、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

夫婦関係が破綻しているのに、在留期限まで何もしないまま放置することは避けるべきです。

別居や離婚の事情がある場合には、早めに今後の在留資格を検討する必要があります。

10.長い在留期間を希望する場合

更新時に、3年や5年の在留期間を希望する方もいます。

ただし、希望すれば必ず長い在留期間が付与されるわけではありません。

一般に、次のような事情が安定しているほど、長い在留期間につながりやすいと考えられます。

・婚姻期間
・同居実績
・夫婦関係の安定性
・収入の安定性
・納税状況
・過去の在留状況
・申請内容の信頼性
・子どもや家族関係
・更新履歴

初回更新では1年となることも少なくありません。

長い在留期間を希望する場合でも、まずは正確で安定した申請を行うことが重要です。

11.まとめ

配偶者ビザの更新では、現在も日本人の配偶者としての実体があるかが確認されます。

初回申請で許可されていても、更新時にはその後の生活状況が確認されます。

特に重要なのは、次の点です。

・婚姻関係が継続していること
・夫婦としての実体があること
・同居又は別居の理由を説明できること
・生活費をまかなえること
・住民税課税証明書、納税証明書を準備できること
・税金の未納がないこと
・離婚や死別がある場合は届出と在留資格変更を検討すること
・夫婦関係が破綻している場合は放置しないこと

更新申請は、単なる期限延長ではありません。

現在の婚姻実体、生活状況、在留状況を確認する手続きです。

在留期限が近づいてから慌てるのではなく、早めに資料を確認し、必要に応じて理由書や補足資料を準備することが大切です。

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参考資料・出典

在留資格「日本人の配偶者等」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格一覧表 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留期間更新許可申請 出入国在留管理庁ウェブサイトより
配偶者に関する届出 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格の取消し 出入国在留管理庁ウェブサイトより
出入国管理及び難民認定法 e-Gov法令検索より