Ⅰ-20. 外国人雇用を継続する企業が整えておきたい社内管理体制

外国人雇用は、採用時だけで終わるものではありません。

外国人社員を継続して雇用する会社では、在留カード確認、在留期限管理、職務内容管理、届出、労務管理、社内記録の整備など、継続的な管理体制が必要になります。

特に、外国人社員が複数名いる会社や、今後も外国人採用を増やしていく会社では、担当者任せ・本人任せにするのではなく、会社として一定のルールを整えておくことが重要です。

この記事では、外国人雇用を継続する企業が整えておきたい社内管理体制を整理します。


1. 外国人雇用は「採用時確認」と「継続管理」の両方が必要

外国人雇用では、採用時に在留カードを確認することが重要です。

しかし、それだけでは十分ではありません。
採用後も、在留期限、職務内容、部署異動、副業、退職、届出などを継続的に確認する必要があります。

場面確認すべきこと
採用時在留資格、在留期限、仕事内容
入社時在留カード原本、雇用契約、外国人雇用状況届出
勤務中職務内容、部署異動、副業、在留期限
更新時更新申請準備、会社資料、職務内容説明
退職時外国人雇用状況届出、本人への届出案内
異動時在留資格と新業務の整合性
副業時資格外活動許可の要否

2. 基本となる社内台帳を作る

外国人社員を継続的に雇用する会社では、社内管理台帳を作成しておくと管理しやすくなります。

管理項目内容
氏名在留カード表記
国籍・地域在留カード記載
在留資格技人国、特定技能、永住者など
在留期限更新時期管理
就労制限職務内容との整合性
所属部署配属先
職務内容在留資格との関係
入社日雇用管理
雇用保険加入状況外国人雇用状況届出方法に関係
更新申請状況未着手、申請中、許可済など
届出状況雇入れ・離職・所属機関届出等

この台帳は、人事労務管理と在留資格管理をつなぐ役割を持ちます。


3. 在留資格と職務内容をセットで管理する

就労系在留資格では、在留資格と職務内容の整合性が重要です。

たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用した社員を、専門職から単純作業中心の業務へ変更すると、在留資格上の問題が生じる可能性があります。

そのため、会社では次のような場面で確認するルールを設けるとよいでしょう。

  • 採用時
  • 配属決定時
  • 部署異動時
  • 職務内容変更時
  • 昇格・役割変更時
  • 副業・兼業申請時
  • 在留期間更新前

在留資格は、採用時だけでなく、勤務中の職務内容とも関係します。


4. 在留期限のリマインド体制を作る

在留期限管理は、本人任せにしないことが重要です。

会社としては、在留期限の6か月前、4か月前、3か月前などに自動的に確認できるようにしておくと安心です。

時期社内対応
6か月前対象者リスト確認
4か月前本人へ更新予定を確認
3か月前申請準備開始
2か月前申請状況確認
1か月前追加資料・結果確認
許可後新在留カード確認・台帳更新

在留期間更新許可申請は、6か月以上の在留期間を有する場合、在留期間満了のおおむね3か月前から申請できます。(参考:「在留期間更新許可申請」出入国在留管理局ホームページ)


5. 外国人雇用状況届出を手順化する

外国人雇用状況届出は、外国人を雇い入れたとき、離職したときに必要です。

厚生労働省は、外国人雇用状況届出について、外国人の雇入れおよび離職の際に全ての事業主が届け出る必要があると案内しています

会社では、入社・退職の手続きの中に、外国人雇用状況届出の確認を組み込んでおくとよいでしょう。

場面確認事項
入社時雇用保険加入の有無、届出方法
退職時離職届出の期限
短時間勤務雇用保険に入らない場合の様式第3号
届出情報在留資格、在留期間、国籍等
記録届出控えの保存

6. 労務管理と生活支援の視点も必要

外国人雇用では、在留資格管理だけでなく、労務管理や職場定着の視点も重要です。

厚生労働省の外国人雇用管理指針では、外国人が日本で安心して就労し、企業や地域社会の一員として活躍するためには、関係法令の遵守、適切な待遇の確保、日本人との相互理解、職場環境の整備、生活面・社会生活面での支援などが重要であるとされています。(外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針

会社で整えておきたい項目は、次のとおりです。

分野管理内容
労働条件契約内容、賃金、労働時間、休日
社会保険健康保険、厚生年金、雇用保険
安全衛生作業説明、災害防止、健康管理
日本語支援業務説明、社内ルールの理解
相談体制生活・職場上の相談窓口
ハラスメント防止文化・言語差への配慮
キャリア形成教育、研修、昇進機会

7. 社内で役割分担を決める

外国人雇用管理は、人事部だけで完結しないことがあります。

現場部署、総務、経理、法務、外部専門家などとの連携が必要になる場合があります。

担当役割
人事採用、在留期限管理、雇用契約
現場部署職務内容、異動、副業状況の把握
総務在留カード管理、社内台帳
経理給与、源泉徴収、年末調整
労務担当社会保険、労働時間管理
外部専門家在留資格申請、届出、相談対応

誰が何を確認するのかを決めておかないと、在留期限や届出が抜け落ちることがあります。


8. よくある注意点

外国人雇用の社内管理では、次のような点に注意が必要です。

  • 採用時だけ在留カードを確認し、その後確認していない
  • 在留期限管理を本人任せにしている
  • 部署異動時に在留資格との整合性を確認していない
  • 外国人雇用状況届出を入社時・退職時に確認していない
  • 副業・兼業の在留資格上の可否を確認していない
  • 特定活動の指定書を保管・確認していない
  • 特定技能など制度別の管理義務を一般社員と同じに扱っている
  • 個人情報管理のルールがない

まとめ

外国人雇用を継続する企業では、採用時の確認だけでなく、在留期限、職務内容、届出、異動、副業、退職時対応まで含めた社内管理体制が必要です。

在留資格と職務内容をセットで管理し、在留期限のリマインドを行い、外国人雇用状況届出を社内手続きに組み込むことで、実務上の漏れを防ぎやすくなります。

外国人雇用は、入管手続きと労務管理の両方が関係します。
会社として継続的に管理できる仕組みを整えておくことが、安定した外国人雇用につながります。


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