外国人社員の在留資格申請では、雇用契約書だけでは仕事内容を十分に説明できないことがあります。
特に「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格では、予定している業務がその在留資格に当たるかどうかが重要になります。
そのため、申請内容によっては、会社が「職務内容説明書」を作成し、外国人社員が実際にどのような業務を担当するのかを具体的に説明することがあります。
この記事では、外国人社員の職務内容説明書に何を書くべきかを整理します。
1. 職務内容説明書とは
職務内容説明書とは、外国人社員が日本で担当する業務内容を具体的に説明する書類です。
雇用契約書や労働条件通知書にも業務内容は記載されますが、通常は簡潔な表現にとどまることが多くあります。
たとえば、「営業」「事務」「マーケティング」「設計」「通訳」などです。
しかし、在留資格申請では、それだけでは具体的な業務内容が分かりにくい場合があります。
そのため、職務内容説明書で、業務の中身、専門性、本人の経歴との関係を補足します。
2. なぜ職務内容説明書が重要なのか
就労系在留資格では、仕事内容が在留資格に合っているかが重要です。
たとえば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格では、技術者、通訳、デザイナー、語学教師、マーケティング業務従事者などが該当例として示されています。
そのため、実際の業務が専門的・技術的業務や国際業務に当たることを、職務内容説明書で分かりやすく説明する必要があります。
特に、次のような場合には職務内容説明書が重要です。
- 職種名だけでは業務内容が分かりにくい
- 複数の業務を担当する
- 専攻と業務の関連性を説明する必要がある
- 中小企業で部署や職種の区分が明確でない
- 転職後の業務内容を説明する必要がある
- 実務研修や現場研修を含む
3. 職務内容説明書に書く基本項目
職務内容説明書には、次のような項目を記載すると整理しやすくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名・部署名 | 所属部署、配属先 |
| 職種名 | 海外営業、システムエンジニア、通訳など |
| 担当業務 | 具体的な業務内容 |
| 業務割合 | 主な業務の比率 |
| 使用する知識・能力 | 専門知識、語学力、経験 |
| 本人の経歴との関係 | 学歴・職歴との関連性 |
| 業務の必要性 | 会社にとってなぜ必要か |
| 業務場所 | 本社、支店、客先、現場など |
| 指揮命令関係 | 上司、所属部署、業務管理体制 |
| 将来の業務予定 | 配置や業務の見通し |
4. 業務内容は具体的に書く
職務内容説明書では、業務内容をできるだけ具体的に書くことが大切です。
たとえば、次のような違いがあります。
| 抽象的な記載 | 具体的な記載例 |
|---|---|
| 海外営業 | 海外顧客との商談、見積作成、輸出入調整、英文メール対応 |
| 通訳 | 海外取引先との会議通訳、契約交渉時の通訳、技術資料の翻訳 |
| マーケティング | 外国人顧客向け市場調査、SNS分析、販売戦略立案 |
| システム開発 | 要件定義、プログラム設計、テスト、保守運用 |
| 貿易事務 | 輸出入書類作成、船積手配、海外サプライヤー対応 |
「営業」「事務」だけでは、在留資格との関係が分かりにくい場合があります。
実際に何をするのか、どの知識や能力を使うのかを説明することが重要です。
5. 業務割合を書くと分かりやすい
複数の業務を担当する場合には、業務割合を書くと分かりやすくなります。
たとえば、次のような形です。
| 業務内容 | 割合 |
|---|---|
| 海外顧客との商談・メール対応 | 40% |
| 輸出入書類の確認・貿易実務 | 25% |
| 海外市場調査・資料作成 | 20% |
| 社内会議・報告書作成 | 15% |
業務割合を書くことで、中心業務が何かを説明しやすくなります。
注意すべきなのは、在留資格に合わない業務が中心になっていないかです。
たとえば、技人国で申請する場合に、実際の中心業務が倉庫作業や梱包作業であると、説明が難しくなる可能性があります。
6. 本人の学歴・職歴との関係を書く
就労系在留資格では、本人の学歴・職歴と業務内容の関係も重要です。
職務内容説明書では、次のような点を整理するとよいでしょう。
- 大学で何を専攻したか
- その専攻が業務とどう関係するか
- これまでどのような職務経験があるか
- 語学力や海外経験が業務でどう活かされるか
- 専門知識をどの業務で使うか
たとえば、経済学部出身者を海外営業として採用する場合、海外市場分析、貿易実務、営業企画などとの関係を説明することが考えられます。
7. 現場研修を含む場合の注意点
外国人社員を採用した後、一定期間、現場研修を行うことがあります。
研修自体が直ちに問題になるわけではありませんが、在留資格との関係では、研修の目的、期間、内容、研修後の職務との関係を明確にしておく必要があります。
出入国在留管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で許容される実務研修について明確化資料を公表しており、制度上も実務研修の内容や位置づけが問題になり得ます。(出入国在留管理庁ホームページより)
現場研修を行う場合には、次の点を説明できるようにしておくとよいでしょう。
- 研修期間
- 研修内容
- 研修の目的
- 研修後の本来業務
- 研修が専門業務に必要な理由
- 単純作業要員としての配置ではないこと
8. よくある注意点
職務内容説明書では、次のような点に注意が必要です。
- 業務内容が抽象的すぎる
- 実際の業務と書類上の業務が違う
- 専門性が説明されていない
- 本人の学歴・職歴との関係が書かれていない
- 単純作業や現場作業の割合が高い
- 研修と本来業務の関係が不明確
- 雇用契約書や理由書と内容が矛盾している
まとめ
外国人社員の職務内容説明書は、在留資格申請において、予定業務が在留資格に合っていることを説明するための重要な書類です。
特に技術・人文知識・国際業務では、職種名だけでなく、具体的な業務内容、業務割合、本人の学歴・職歴との関係、会社における必要性を整理することが大切です。
職務内容説明書は、雇用契約書、労働条件通知書、採用理由書、申請書と内容が一致している必要があります。
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