外国人を採用する場合、在留資格申請で「なぜこの外国人を採用するのか」を説明する必要があることがあります。
特に「技術・人文知識・国際業務」などの就労系在留資格では、予定する業務内容、本人の学歴・職歴、会社の事業内容との関係が重要になります。
採用理由書は、必ずすべての申請で必要になる書類ではありません。
しかし、申請書や雇用契約書だけでは説明が足りない場合には、採用理由書を作成することで、申請内容を分かりやすく整理できます。
この記事では、外国人社員の採用理由書を作成する際のポイントを解説します。
職務内容を具体的に説明する方法については、関連記事「外国人社員の職務内容説明書には何を書くべきか」もご参照ください。
1. 採用理由書とは
採用理由書とは、会社が外国人社員を採用する理由、予定している業務内容、本人の能力・経歴との関係などを説明する書類です。
雇用契約書は、賃金や雇用期間などの労働条件を示す書類です。
職務内容説明書は、担当業務の中身を具体的に説明する書類です。
これに対して、採用理由書では、次のような点を説明します。
・会社がどのような事業を行っているか
・どのような業務を担当してもらう予定か
・なぜその業務に外国人本人が適しているのか
・本人の学歴・職歴・語学力がどう活かされるのか
・会社にとって採用の必要性があるのか
雇用契約書・労働条件通知書との関係については、「外国人雇用における雇用契約書・労働条件通知書の作り方」もご参照ください。
2. 採用理由書が重要になる場面
採用理由書は、次のようなケースで特に有用です。
| ケース | 採用理由書で説明したいこと |
|---|---|
| 留学生を新卒採用する | 専攻と業務内容の関連性 |
| 中途採用する | 職歴・経験と担当業務の関係 |
| 海外営業・貿易業務 | 語学力や海外経験の必要性 |
| 中小企業で採用する | 会社の事業内容と業務量 |
| 職種名だけでは業務が分かりにくい | 実際の業務内容 |
| 不許可後に再申請する | 前回の問題点への対応 |
在留資格申請では、予定業務が在留資格に該当し、必要な基準を満たしていることが重要です。変更・更新では、在留状況や在留の必要性なども総合的に考慮されます。
(出典:在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
3. 採用理由書に書く基本項目
採用理由書には、次のような項目を入れると整理しやすくなります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社概要 | 事業内容、取引先、海外展開など |
| 採用の背景 | なぜ人材が必要なのか |
| 担当予定業務 | 具体的な職務内容 |
| 本人の経歴 | 学歴、職歴、語学力、専門性 |
| 業務との関連性 | 本人の能力がどう活かされるか |
| 採用後の配置 | 所属部署、上司、勤務場所 |
| 今後の見通し | 継続的に業務があること |
| 添付資料との関係 | 契約書、職務内容説明書など |
採用理由書は、単なる「お願い文」ではなく、事実関係を整理して説明する書類です。
海外在住の外国人を採用し、在留資格認定証明書交付申請を行う場合の全体的な流れについては、「海外在住の外国人を日本に呼び寄せて雇用する流れ」もご参照ください。
4. 会社側の必要性を具体的に書く
採用理由書では、「優秀だから採用したい」というだけでは説明として弱い場合があります。
会社の事業内容と採用予定者の業務がどのようにつながるかを具体的に書くことが重要です。
たとえば、海外営業で採用する場合には、次のような事情を説明できます。
・海外顧客との取引がある
・外国語での商談・メール対応が必要
・輸出入業務や貿易書類の処理がある
・海外市場調査や販路開拓が必要
・外国人顧客対応を強化したい
このように、会社の事業と本人の職務が自然につながるように説明します。
「技術・人文知識・国際業務」の対象となる活動や必要書類については、出入国在留管理庁の案内も確認してください。
(出典:在留資格「技術・人文知識・国際業務」 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
5. 本人の学歴・職歴との関連性を書く
就労系在留資格では、本人の学歴・職歴と業務内容の関連性が重要になります。
採用理由書では、次のように整理すると分かりやすくなります。
| 本人の経歴 | 業務との関連性の例 |
|---|---|
| 情報工学専攻 | システム開発、社内IT、アプリ設計 |
| 経済・経営専攻 | 海外営業、マーケティング、貿易実務 |
| 日本語・外国語専攻 | 通訳、翻訳、海外顧客対応 |
| デザイン専攻 | 商品企画、広告制作、Webデザイン |
| 実務経験あり | 前職での経験を同種業務に活用 |
「大学を卒業している」だけではなく、「何を学び、それをどの業務で活かすのか」を示すことが大切です。
出入国在留管理庁は、「技術・人文知識・国際業務」について、学歴・専攻と従事する業務との関連性や具体的な許可・不許可事例を公表しています。
(出典:「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について 出入国在留管理庁ウェブサイトより)
6. 職務内容説明書との役割分担
採用理由書と職務内容説明書は、内容が重なることがあります。
ただし、役割を分けると整理しやすくなります。
| 書類 | 主な内容 |
|---|---|
| 採用理由書 | なぜ採用するのか、本人が必要な理由 |
| 職務内容説明書 | 実際にどのような業務を担当するのか |
| 雇用契約書 | 労働条件、報酬、雇用期間 |
| 会社資料 | 会社の事業実態、規模、取引内容 |
採用理由書では「必要性」を、職務内容説明書では「具体的な業務内容」を中心に書くと分かりやすくなります。
具体的な職務内容の整理方法については「外国人社員の職務内容説明書には何を書くべきか」、雇用契約書については「外国人雇用における雇用契約書・労働条件通知書の作り方」をご参照ください。
7. 不許可後の再申請での採用理由書
一度不許可・不交付になった後の再申請では、採用理由書の役割がより重要になることがあります。
ただし、前回と同じ内容を繰り返すだけでは不十分です。
再申請では、次の点を整理する必要があります。
・前回の不許可・不交付理由
・どの点を補強するのか
・業務内容をどう明確にするのか
・本人の経歴との関係をどう説明するのか
・追加資料で何を示すのか
原因を整理しないまま再申請しても、同じ結果になる可能性があります。
不許可になりやすい原因については、「外国人雇用で不許可になりやすいケースと事前対策」もご参照ください。
8. よくある注意点
採用理由書では、次のような点に注意が必要です。
・感情的なお願い文になっている
・「人手不足だから採用したい」だけで終わっている
・業務内容が抽象的
・本人の学歴・職歴との関係が弱い
・会社資料と内容が合っていない
・雇用契約書と職務内容説明書に矛盾がある
・単純作業中心の業務を専門職のように書いている
・不許可理由に対応していない
採用後に職務内容を変更する場合には、現在の在留資格との関係にも注意が必要です。「外国人社員を配置転換・部署異動させる場合の在留資格上の注意点」もご参照ください。
9. まとめ
外国人社員の採用理由書は、会社がその外国人を採用する理由、予定業務、本人の経歴との関係を説明するための書類です。
特に技術・人文知識・国際業務では、会社の事業内容、担当業務、本人の学歴・職歴・語学力との関係を具体的に整理することが重要です。
採用理由書は、雇用契約書、職務内容説明書、会社資料と整合している必要があります。
抽象的な説明ではなく、会社の実態と本人の能力がどう結び付くかを分かりやすく示すことが大切です。
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11. 次に読みたい関連記事
・外国人社員の職務内容説明書には何を書くべきか
・外国人雇用における雇用契約書・労働条件通知書の作り方
・外国人雇用で不許可になりやすいケースと事前対策
・外国人を営業・事務・IT・通訳で雇うには?技術・人文知識・国際業務を解説
・外国人社員を配置転換・部署異動させる場合の在留資格上の注意点
・海外在住の外国人を日本に呼び寄せて雇用する流れ
12. 参考資料・出典
・在留資格「技術・人文知識・国際業務」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・「技術・人文知識・国際業務」の在留資格の明確化等について 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留資格認定証明書交付申請 出入国在留管理庁ウェブサイトより
・在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン 出入国在留管理庁ウェブサイトより
