日本人と結婚している外国人には、帰化の住所条件や能力条件が緩和される場合があります。
しかし、日本人と結婚すれば自動的に日本国籍を取得できるわけではありません。
婚姻の実体、世帯の生計、税金、社会保険、素行、日本語能力、従前国籍等は引き続き確認されます。
また、2026年4月以降の帰化審査運用との関係も、個別に確認する必要があります。
この記事では、日本人配偶者がいる場合の帰化申請の条件と注意点を解説します。
1.国籍法第7条の緩和
国籍法第7条は、日本人の配偶者である外国人について、次の特例を定めています。
・引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し、現在日本に住所がある場合
・婚姻から3年以上経過し、引き続き1年以上日本に住所がある場合
これらに該当すると、国籍法第5条の住所条件が緩和されます。
後者では、能力条件も緩和の対象になります。
ただし、条文上の条件を満たせば自動的に帰化が許可されるわけではありません。
2.2026年4月以降の運用
2026年4月以降、帰化審査では、日本社会への融和について原則10年以上の在留を求める運用が開始されています。
一方、国籍法第7条の日本人配偶者に対する法定の緩和規定は存続しています。
そのため、日本人配偶者の場合に新運用がどのように適用されるかは、婚姻期間、日本での居住歴、家族生活、日本語能力等を踏まえて個別に判断されます。
法務局へ事前相談し、「婚姻3年、居住1年だけで申請できる」と自己判断しないことが重要です。
3.法律上の婚姻だけでなく実体が必要
日本人との婚姻届が受理されていても、夫婦としての実体がなければ問題になります。
確認される事情は、次のとおりです。
・同居状況
・交際・婚姻経緯
・家計負担
・夫婦の意思疎通
・子ども
・別居理由
・双方の家族との関係
・過去の婚姻、離婚歴
長期間別居している場合は、その理由と夫婦関係の実態を説明します。
4.日本人配偶者の収入
生計条件は、夫婦を含む生計を一つにする親族単位で判断されます。
外国人配偶者本人に収入がなくても、日本人配偶者に安定した収入があれば、生計条件を満たすことがあります。
反対に、日本人配偶者に税金や社会保険料の未納がある場合、世帯の素行・生計の判断に影響する可能性があります。
夫婦双方の収入、税金、社会保険を確認します。
5.配偶者の協力
帰化申請では、日本人配偶者の戸籍謄本、住民票、収入資料、税証明等が必要になります。
配偶者が面接の対象となることもあります。
夫婦の説明が大きく異なる場合は、婚姻の実体について疑問を持たれる可能性があります。
申請前に、住所歴、婚姻経緯、家計、家族構成を一緒に確認します。
6.別居している場合
仕事、単身赴任、介護、子どもの就学等の合理的な理由による別居であれば、その事情を説明します。
一方、夫婦関係が破綻し、離婚協議中である場合には、日本人配偶者に対する特例の前提が変わる可能性があります。
別居している場合は、次の資料を検討します。
・勤務先の証明
・単身赴任資料
・家族間の送金
・定期的な交流
・住居資料
・介護・通学関係資料
7.婚姻・離婚歴
本人又は日本人配偶者に過去の婚姻・離婚歴がある場合は、身分関係を正確に整理します。
本国と日本の双方で婚姻・離婚手続きが完了しているかを確認します。
前配偶者との子ども、養育費、親権、認知等がある場合も、申請書に正確に記載します。
8.帰化後の氏と戸籍
帰化が許可されると、日本の戸籍が作られます。
日本人配偶者と同じ氏を選ぶ場合や、帰化後の氏名を別に定める場合があります。
夫婦の戸籍関係、子どもの戸籍、氏の変更による銀行・免許証等への影響を事前に確認します。
9.離婚・死亡が審査中にあった場合
帰化申請後に離婚した場合、日本人配偶者に基づく条件緩和の前提が変わる可能性があります。
配偶者が死亡した場合も、身分関係に変動があります。
婚姻、離婚、死亡等があった場合は、直ちに法務局へ報告します。
報告せず審査を継続することは避けるべきです。
10.まとめ
日本人配偶者がいる場合、国籍法上、住所条件や能力条件が緩和される場合があります。
しかし、日本人と結婚しているだけで帰化が許可されるわけではありません。
・国籍法第7条の条件を確認する
・2026年4月以降の新運用との関係を法務局へ確認する
・婚姻の法律上・実生活上の実体が必要である
・夫婦全体の収入、税金、社会保険が確認される
・別居には合理的な説明と資料が必要である
・過去の婚姻、離婚、子どもの関係を整理する
・日本人配偶者の協力が必要になる
・審査中の離婚、死亡等は速やかに報告する
・帰化後の氏名、戸籍、子どもの関係を検討する
日本人配偶者がいる方の帰化申請では、在留年数だけでなく、夫婦として日本で安定した生活を続けていることを説明することが重要です。
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・Ⅲ-26.家族で帰化申請をする場合の進め方
・Ⅱ-3.日本人の配偶者等の在留資格とは?いわゆる配偶者ビザの基本
参考資料・出典
・国籍法 e-Gov法令検索より
・帰化について 東京法務局ウェブサイトより
・帰化の条件について 前橋地方法務局ウェブサイトより
・法務大臣閣議後記者会見の概要 法務省ウェブサイトより
