Ⅶ-9.グローバル企業が外国人社員を日本に受け入れる際の入管手続き

Ⅶ 高度人材・企業内転勤・グローバル人材

グローバル企業が外国人社員を日本に受け入れる場合、入管手続きは人事異動や採用スケジュールと密接に関係します。

海外拠点からの転勤、海外人材の新規採用、外国人管理職の赴任、海外子会社社員の日本研修、外資系企業の日本法人への派遣など、ケースによって必要な在留資格と手続きは異なります。

企業からは、次のような相談を受けることがあります。

・海外社員を日本へ呼ぶには、まず何をすればよいですか
・企業内転勤と技術・人文知識・国際業務のどちらを選べばよいですか
・在留資格認定証明書交付申請とは何ですか
・日本に来てから申請できますか
・入社日や赴任日はいつ決めればよいですか
・家族も一緒に呼べますか
・日本到着後に必要な手続きはありますか

外国人社員の受入れでは、在留資格の選択、必要書類の準備、申請、査証取得、入国、住民登録、雇用手続き、届出までを一連の流れで管理する必要があります。

この記事では、グローバル企業が外国人社員を日本に受け入れる際の基本的な入管手続きを解説します。

まず日本での活動内容を確認する

外国人社員を日本へ受け入れる場合、最初に確認すべきなのは、日本で何をするのかです。

在留資格は、本人の国籍や会社の規模だけで決まるものではありません。

日本で行う活動内容に応じて決まります。

主な在留資格は、次のとおりです。

日本での活動内容検討する在留資格
海外拠点から期間を定めて転勤する企業内転勤
日本法人で専門的・技術的業務を行う技術・人文知識・国際業務
日本で事業の経営又は管理を行う経営・管理
高度人材ポイントに該当する高度専門職
短期の会議・商談・視察短期滞在
家族が同行する家族滞在

出入国在留管理庁の在留資格一覧では、日本で行う活動内容に応じて、就労、留学、家族滞在などの在留資格が整理されています。
(出典:在留資格から探す 出入国在留管理庁ウェブサイトより)

海外から呼び寄せる場合の基本手続き

海外にいる外国人社員を日本へ呼び寄せる場合、通常は在留資格認定証明書交付申請を行います。

在留資格認定証明書は、外国人が日本で行おうとする活動が、上陸条件に適合しているかを事前に確認するための証明書です。

出入国在留管理庁は、在留資格認定証明書交付申請について、新しくこの在留資格で日本への入国を希望する場合の申請として案内しています。
(出典:在留資格認定証明書交付申請 出入国在留管理庁ウェブサイトより)

基本的な流れは、次のとおりです。

・日本での業務内容を確認する
・在留資格を選択する
・必要書類を準備する
・日本側で在留資格認定証明書交付申請を行う
・在留資格認定証明書が交付される
・本人が在外公館で査証申請を行う
・査証発給後、日本へ入国する
・入国後、住民登録、雇用手続き、社会保険手続き等を行う

採用予定日や赴任予定日から逆算して準備する必要があります。

日本国内にいる外国人を受け入れる場合

すでに日本にいる外国人を受け入れる場合は、現在の在留資格と新しい活動内容を確認します。

現在の在留資格で新しい活動ができない場合、在留資格変更許可申請が必要になります。

たとえば、留学生を新卒採用する場合は、「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへ変更することがあります。

また、別会社で働いている外国人を中途採用する場合には、現在の在留資格で転職後の業務が認められるかを確認します。

必要に応じて、就労資格証明書の取得を検討することもあります。

企業内転勤の場合

海外拠点から日本拠点へ期間を定めて転勤する場合は、企業内転勤を検討します。

企業内転勤では、海外拠点での継続1年以上の勤務、日本側事業所との関係、日本での業務内容、転勤期間、報酬が重要になります。

確認すべき点は、次のとおりです。

・海外側と日本側の会社関係
・海外での勤務期間
・海外での職務内容
・日本での職務内容
・転勤期間
・転勤命令書
・報酬水準
・会社資料
・在職証明書

企業内転勤の場合でも、日本で行う業務は技術・人文知識・国際業務に該当する内容である必要があります。

技術・人文知識・国際業務の場合

日本法人で外国人社員を採用する場合、技術・人文知識・国際業務を検討することが多くあります。

対象となる業務は、IT、設計、経理、マーケティング、通訳、翻訳、貿易実務、海外営業などです。

確認すべき点は、次のとおりです。

・本人の学歴
・専攻内容
・職歴
・日本での業務内容
・雇用契約
・報酬
・会社の事業内容
・採用理由
・勤務場所
・業務量

職種名だけでなく、実際の仕事内容を整理することが重要です。

経営・管理の場合

外国人が日本で会社の経営又は事業の管理を行う場合は、経営・管理を検討します。

たとえば、外国本社から日本法人の代表者を派遣する場合、日本支店長として勤務する場合、外資系企業の日本法人で経営幹部となる場合などです。

経営・管理では、会社の実態、事業内容、事業所、役職、経営又は管理の内容、報酬などが重要になります。

2025年10月16日には、在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正が施行されています。
(出典:在留資格「経営・管理」に係る上陸基準省令等の改正について 出入国在留管理庁ウェブサイトより)

経営・管理を検討する場合は、最新の基準を確認する必要があります。

家族を一緒に呼ぶ場合

外国人社員が日本へ赴任する際、配偶者や子を一緒に呼びたいという相談もあります。

この場合、家族滞在を検討することがあります。

出入国在留管理庁は、家族滞在について、一定の在留資格をもって在留する者の扶養を受ける配偶者又は子が行う日常的な活動を対象としています。
(出典:在留資格「家族滞在」 出入国在留管理庁ウェブサイトより)

家族滞在では、扶養者の在留資格、収入、扶養関係を説明する必要があります。

本人の就労ビザと家族の在留資格は別に確認します。

入国後の手続き

外国人社員が日本へ入国した後は、入管手続きだけでなく、生活・労務関係の手続きも必要です。

主な手続きは、次のとおりです。

・住民登録
・マイナンバー関係
・銀行口座開設
・社会保険加入
・雇用保険
・税務手続き
・社宅、住居契約
・携帯電話、ライフライン
・外国人雇用状況届出
・在留期限管理
・所属機関に関する届出の確認

外国人を雇用する事業主には、外国人雇用状況の届出が義務付けられています。
(出典:外国人雇用状況の届出について 厚生労働省ウェブサイトより)

スケジュール管理が重要

グローバル企業の人事異動では、赴任日、入社日、プロジェクト開始日が先に決まっていることがあります。

しかし、在留資格の手続きは、書類準備、審査、査証申請、渡航準備に時間がかかります。

確認すべきスケジュールは、次のとおりです。

・採用決定日
・赴任予定日
・必要書類の収集期間
・申請日
・審査期間
・在留資格認定証明書の交付日
・査証申請日
・入国予定日
・住居手配
・入社日
・就労開始日

許可前に日本で就労を開始することはできません。

人事スケジュールは、在留資格手続きと連動させる必要があります。

まとめ

グローバル企業が外国人社員を日本に受け入れる場合、在留資格の選択と入管手続きのスケジュール管理が重要です。

この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。

・外国人社員を受け入れる場合、まず日本での活動内容を確認する
・海外から呼び寄せる場合は、通常、在留資格認定証明書交付申請を行う
・海外拠点からの転勤では、企業内転勤を検討する
・日本法人での採用では、技術・人文知識・国際業務を検討する
・経営者や管理者として赴任する場合は、経営・管理を検討する
・高度人材の場合は、高度専門職を検討することもある
・家族を呼ぶ場合は、家族滞在を別途確認する
・入国後は住民登録、社会保険、雇用手続き、外国人雇用状況届出が必要になる
・赴任日や入社日は、在留資格手続きの進行に合わせて設定する必要がある

外国人社員の受入れは、採用手続き、人事異動、入管申請、生活支援、労務管理を一体で進めることが重要です。

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・Ⅶ-7.外国人役員・管理職を日本に呼ぶ場合の在留資格
・Ⅰ-1.外国人を採用する前に企業が確認すべき在留資格の基本

参考資料・出典

在留資格から探す 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格認定証明書交付申請 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「企業内転勤」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「技術・人文知識・国際業務」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「経営・管理」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「家族滞在」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
外国人雇用状況の届出について 厚生労働省ウェブサイトより