Ⅲ-18.高度人材ポイントを使った永住申請の基本

永住許可を受けるためには、原則として引き続き10年以上日本に在留し、そのうち一定期間を就労資格又は居住資格で在留していることが求められます。

しかし、高度な専門能力を持つ外国人については、高度人材ポイントを利用することで、必要な在留期間が3年又は1年に短縮される場合があります。

「高度専門職でなければ使えませんか」

「技術・人文知識・国際業務でもポイント計算できますか」

「現在80点あれば、すぐ永住申請できますか」

「1年前又は3年前のポイントはどう証明しますか」

「年齢が上がってポイントが下がりました」

このような質問を受けることがあります。

高度人材ポイントによる永住申請は、大きな優遇措置ですが、現在の点数だけを計算すればよいわけではありません。

申請時点と、1年前又は3年前の時点の両方について、必要な点数を有していたことを資料で証明する必要があります。

この記事では、高度人材ポイントを使った永住申請の基本、70点・80点の違い、高度専門職以外の在留資格で申請する場合、過去時点のポイント証明、家族の扱いを解説します。

1.高度人材ポイント制とは

高度人材ポイント制は、学歴、職歴、年収、年齢、研究実績、資格、日本語能力などの項目を点数化し、合計点が一定以上となる外国人を高度外国人材として優遇する制度です。

出入国在留管理庁は、就労資格を取得できる外国人のうち、学歴・職歴・年収等の項目ごとにポイントを付け、合計70点以上に達した人を高度外国人材として認めると説明しています。
(出典:高度人材ポイント制Q&A、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

高度人材の活動類型は、大きく次の3つです。

・高度学術研究活動
・高度専門・技術活動
・高度経営・管理活動

どのポイント表を使用するかは、本人が日本で行っている活動によって異なります。

2.70点の場合は3年に短縮される

永住申請時点で70点以上を有し、次のいずれかに該当する場合は、原則10年の在留要件が3年に短縮されます。

・70点以上の高度外国人材として3年以上継続して日本に在留している
・3年以上継続して日本に在留し、申請日の3年前の時点でも70点以上であった

(出典:高度人材ポイント制Q&A、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

重要なのは、申請時点で70点あるだけでは足りないということです。

3年前の時点でも70点以上あったことを証明する必要があります。

3.80点の場合は1年に短縮される

永住申請時点で80点以上を有し、次のいずれかに該当する場合は、必要な在留期間が1年に短縮されます。

・80点以上の高度外国人材として1年以上継続して日本に在留している
・1年以上継続して日本に在留し、申請日の1年前の時点でも80点以上であった

(出典:高度人材ポイント制Q&A、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

「現在80点だから、来日直後でも申請できる」ということではありません。

原則として、1年以上継続して日本に在留し、1年前の時点でも80点以上であったことが必要です。

4.高度専門職の在留資格でなくても利用できる

高度人材ポイントによる永住申請は、現在の在留資格が「高度専門職」でなければ利用できないわけではありません。

たとえば、「技術・人文知識・国際業務」「研究」「経営・管理」など、ポイント計算の対象となる活動を行っている方が、申請時点と過去の基準時点で必要な点数を証明できれば、特例を利用できる場合があります。

出入国在留管理庁も、高度専門職以外の在留資格で在留している人向けの永住許可申請書類を別に案内しています。
(出典:永住許可申請4、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

したがって、現在の在留資格名だけで判断せず、実際の活動内容とポイントを確認することが重要です。

5.現在と過去の2時点のポイントを計算する

高度人材ポイントを使う場合、通常は次の2時点についてポイント計算書を作成します。

70点ルートの場合

・永住申請時点
・永住申請日の3年前の時点

80点ルートの場合

・永住申請時点
・永住申請日の1年前の時点

両方の時点について、ポイントを裏付ける資料が必要です。

現在の卒業証明書や職歴証明書だけではなく、当時の年収、年齢、勤務先、役職などを証明しなければならないことがあります。

6.年収ポイントは「当時の年収」を証明する

年収はポイント計算上、重要な項目です。

現在の年収が高くても、1年前又は3年前の年収が基準に達していなければ、過去時点の必要点数を満たせないことがあります。

資料として考えられるものは、次のとおりです。

・雇用契約書
・年収見込証明書
・在職証明書
・源泉徴収票
・給与明細
・課税証明書
・役員報酬の決議書
・確定申告書

ポイント表上の「年収」と、税証明上の所得・給与収入は、必ずしも同じ概念ではありません。

どの数字を使うべきかを慎重に確認する必要があります。

7.年齢によってポイントが変わる

高度専門・技術活動などでは、年齢に応じたポイントがあります。

申請時点と過去の基準時点で年齢区分が異なる場合、点数も変わります。

たとえば、1年前には年齢ポイントが付いていたが、申請時点では年齢区分が変わり、ポイントが減少している場合があります。

反対に、過去にはなかった学位、資格、日本語能力、年収等が現在加算されている場合もあります。

現在と過去のポイントを別々に計算する必要があります。

8.学歴・職歴の証明

学歴ポイントを申告する場合は、卒業証明書、学位証明書などを提出します。

職歴ポイントを申告する場合は、在職期間と職務内容を確認できる資料が必要です。

職歴証明書には、少なくとも次の内容が必要になります。

・勤務先名
・勤務期間
・役職
・職務内容
・発行者
・発行日

単なる在籍証明だけでは、高度専門・技術活動に関係する職歴かどうか確認できない場合があります。

海外の会社が発行した書類には、日本語訳を付けます。

9.資格・日本語能力・研究実績の加算

高度人材ポイントでは、次のような項目で加算を受けられる場合があります。

・日本語能力試験
・日本の大学卒業
・専門職資格
・研究実績
・特許
・論文
・一定の大学・機関での経歴
・イノベーション促進支援措置
・勤務先に関する加算

加算項目は改正されることがあります。

過去時点のポイントを計算するときは、その時点で適用されていたポイント表と、当時の事実関係を確認する必要があります。

10.ポイントがあっても他の永住要件は必要

70点又は80点を満たすと短縮されるのは、主として在留期間の要件です。

ポイントが高ければ、税金、年金、健康保険、素行などを確認されないわけではありません。

高度人材であっても、次の点は重要です。

・住民税、国税の納付
・年金、健康保険の納付
・納付期限
・交通違反、罰金歴
・現在の在留資格に応じた活動
・入管法上の届出
・生活の安定性
・身元保証人

ポイントが80点以上あっても、公的義務に問題があれば不許可となる可能性があります。

11.提出資料の対象期間も短縮されることがある

高度人材の永住申請では、住民税や社会保険関係資料の対象期間が、申請類型に応じて通常の永住申請より短くなる場合があります。

たとえば、80点以上の1年ルートでは、直近1年分の資料が案内されています。
(出典:永住許可申請4-(1)-イ、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

ただし、提出すべき期間は本人の在留資格と申請ルートによって異なります。

必ず該当するチェックシートを確認します。

12.家族に同じ短縮措置が自動適用されるわけではない

高度人材本人が1年又は3年で永住申請できる場合でも、配偶者や子どもが同じ期間で永住申請できるとは限りません。

出入国在留管理庁のQ&Aでは、80点以上の高度人材本人に対する最短1年の措置は本人のみを対象とし、配偶者や扶養を受ける子は同じ優遇措置の対象ではないと説明されています。
(出典:高度人材ポイント制Q&A、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

家族については、それぞれの在留歴、在留資格、身分関係に基づいて判断します。

13.ポイント低下に注意する

申請準備中に、次のような理由でポイントが下がることがあります。

・年齢区分が変わった
・年収が下がった
・転職した
・役職が変わった
・加算対象企業でなくなった
・資格の有効期間が切れた
・活動類型が変わった

永住申請を計画する場合は、申請時点でも必要点数を維持できるかを確認します。

転職や報酬変更を予定している場合は、申請時期との関係も重要です。

14.特別高度人材制度との関係

高度人材制度には、学歴・職歴・年収等が一定水準以上の外国人を対象とする特別高度人材制度もあります。

特別高度人材として1年以上継続して在留している場合など、永住許可ガイドライン上の特例に該当することがあります。

ただし、特別高度人材に該当するかどうかは、活動類型、学歴、職歴、年収などの基準を個別に確認する必要があります。

15.まとめ

高度人材ポイントを使うことで、永住申請に必要な在留期間が3年又は1年に短縮される場合があります。

この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。

・70点以上の場合、必要な在留期間が3年に短縮されることがある
・80点以上の場合、必要な在留期間が1年に短縮されることがある
・申請時点だけでなく、3年前又は1年前のポイントも証明する必要がある
・高度専門職以外の在留資格でも利用できる場合がある
・年収、年齢、学歴、職歴等は基準時点ごとに計算する
・過去時点のポイントを裏付ける資料が必要である
・ポイントが高くても、税金、年金、健康保険、素行等は確認される
・本人の短縮措置が家族に自動的に適用されるわけではない
・転職、年収減少、年齢区分変更によるポイント低下に注意する

高度人材ポイントによる永住申請では、自己採点だけでなく、全てのポイントを客観的資料で証明できるかが重要です。

次に読みたい関連記事

・Ⅲ-1.永住許可申請の基本|申請前に確認すべきこと
・Ⅲ-2.永住申請で重視される収入・納税・年金・健康保険
・Ⅲ-12.永住申請で必要になる住民税・国税の証明書
・Ⅲ-13.永住申請で年金記録・健康保険の納付状況を確認する方法
・Ⅶ-1.高度専門職とは?高度人材ポイント制の基本

参考資料・出典

在留資格「高度専門職」(高度人材ポイント制) 出入国在留管理庁ウェブサイトより
高度人材ポイント制Q&A 出入国在留管理庁ウェブサイトより
永住許可申請4 出入国在留管理庁ウェブサイトより
永住許可申請4-(1)-イ 出入国在留管理庁ウェブサイトより
永住許可に関するガイドライン 出入国在留管理庁ウェブサイトより