Ⅵ-17.監理団体・登録支援機関・行政書士の役割の違い|監理支援機関も解説

外国人材を受け入れる制度では、多くの機関や専門家が関係します。

技能実習制度では「監理団体」、特定技能制度では「登録支援機関」、2027年4月に施行される育成就労制度では「監理支援機関」が関わります。また、在留資格申請では、行政書士が書類作成や申請取次を担当することがあります。

名称や業務の一部が似ているため、それらを混同される方も多くいらっしゃるでしょう。
この記事では、次のようなご質問にご回答できるよう解説してゆきます。

  • 監理団体と登録支援機関は同じですか
  • 技能実習で付き合っている監理団体に特定技能も任せられますか
  • 登録支援機関は在留資格申請もできますか
  • 行政書士と登録支援機関は何が違いますか
  • 育成就労制度では監理団体はどうなりますか
  • 監理支援機関とは何ですか
  • 外国人の採用、支援、申請をどこへ依頼すればよいですか

これらの機関は、それぞれ根拠となる制度と役割が異なります。

役割を混同すると、必要な支援が実施されない、申請書類の作成者が不明確になる、届出が漏れる、企業と委託先との責任分担が曖昧になるなどの問題が生じます。

この記事では、監理団体、監理支援機関、登録支援機関、行政書士の役割の違いと、企業がどの場面で誰に相談すべきかを整理します。


1.まず制度ごとに関係者を分ける

関係者の違いを理解するには、まず制度ごとに整理することが重要です。

制度・手続き主な関係者
技能実習制度監理団体、実習実施者、外国人技能実習機構
育成就労制度監理支援機関、育成就労実施者、外国人育成就労機構
特定技能1号特定技能所属機関、登録支援機関、出入国在留管理庁
在留資格申請申請人、所属機関、申請等取次者、行政書士等
雇用・労務管理受入れ企業、社会保険労務士、労働基準監督署等

制度が違えば、関係者の名称、法的根拠、許可・登録の仕組み、業務範囲も異なります。

「外国人材の受入れや支援に関係する機関だから、どこへ依頼しても同じ」と考えることはできません。

特定技能制度全体については、「Ⅵ-1.特定技能制度の基本|受入れ企業が確認すべきこと」もご参照ください。


2.監理団体とは

監理団体は、団体監理型の技能実習制度において、技能実習を行う実習実施者を監理する非営利の団体です。

監理団体として監理事業を行うためには、技能実習法に基づく許可を受ける必要があります。

監理団体の主な役割は、次のとおりです。

  • 技能実習計画の作成指導
  • 入国後講習
  • 実習実施者に対する定期監査
  • 技能実習1号に対する訪問指導
  • 技能実習生からの相談対応
  • 技能実習生の保護
  • 技能実習計画に従って実習が行われているかの確認
  • 出入国・労働関係法令の遵守状況の確認
  • 海外の送出機関との連絡・調整
  • 外国人技能実習機構への報告・届出

技能実習制度の目的は、技能等の移転による国際協力です。そのため、監理団体の役割も、認定された技能実習計画に従って実習が適正に行われているかを監理し、技能実習生を保護することにあります。

技能実習制度の現行の仕組みについては、外国人技能実習機構の「技能実習について」で確認できます。


3.育成就労制度の施行後、監理団体はどうなるか

技能実習制度は、2027年4月に施行される育成就労制度へ移行します。

育成就労制度は、従来の技能実習制度を発展的に解消し、外国人の人材育成と人材確保を目的とする制度です。

ただし、制度の施行と同時に、すべての技能実習と監理団体が直ちになくなるわけではありません。施行前に開始した技能実習などについては経過措置が設けられ、一定期間、技能実習制度と育成就労制度が併存することになります。

したがって、企業は次の点を確認する必要があります。

  • 現在受け入れている技能実習生に経過措置が適用されるか
  • 今後の受入れを技能実習として行えるか
  • 育成就労へ切り替える時期
  • 現在の監理団体が監理支援機関の許可を受ける予定か
  • 育成就労制度に対応した受入れ体制を準備できているか

育成就労制度の全体像については、「Ⅵ-15.育成就労制度とは?技能実習との違いと今後の影響」で解説しています。


4.監理支援機関とは

監理支援機関は、育成就労制度において、監理型育成就労を実施する企業を監理・支援する機関です。

技能実習制度の監理団体に相当する立場ですが、監理団体から名称だけが変わるわけではありません。監理支援事業を行うには新制度に基づく許可が必要となり、監理の独立性や適正性を確保するため、許可基準も見直されています。

監理支援機関の主な役割には、次のようなものがあります。

  • 育成就労計画の作成指導
  • 育成就労実施者に対する監査・指導
  • 育成就労外国人の相談対応と保護
  • 育成就労計画の実施状況の確認
  • 日本語能力や技能の育成状況の確認
  • 転籍に関する支援・連絡調整
  • 外国人育成就労機構への報告・届出
  • 送出機関その他の関係機関との連絡調整

育成就労制度では、一定の条件を満たす場合に、外国人本人の意向による転籍が認められます。監理支援機関は、転籍希望の申出があった場合の連絡調整などにも関わります。

なお、この記事の監理支援機関に関する説明は、2027年4月の制度施行後の仕組みを前提としています。制度施行前の準備や経過措置については、最新の省令、告示、運用要領等を確認する必要があります。

制度の最新情報は、出入国在留管理庁の「育成就労制度の制度概要・関係法令」及び厚生労働省の「外国人育成就労制度について」で確認できます。


5.登録支援機関とは

登録支援機関は、特定技能所属機関から委託を受け、特定技能1号外国人に対する支援を行う機関です。

特定技能1号外国人を受け入れる企業は、1号特定技能外国人支援計画を作成し、その計画に基づいて、職業生活上、日常生活上又は社会生活上の支援を行わなければなりません。

受入れ企業は、支援計画の全部又は一部の実施を登録支援機関へ委託できます。支援計画の全部を登録支援機関へ委託した場合には、受入れ企業が満たすべき支援体制の基準を満たしたものとみなされます。

ただし、登録支援機関へ支援を委託しても、外国人を雇用するのは特定技能所属機関である受入れ企業です。登録支援機関が雇用主になるわけではなく、企業の労務管理責任や雇用契約上の責任まで引き受けるものでもありません。

また、登録支援機関による生活・就労支援と、職業紹介事業者による人材紹介は別の業務です。登録支援機関であることだけで、当然に有料職業紹介を行えるわけではありません。

登録支援機関の登録状況は、出入国在留管理庁の「登録支援機関登録簿」で確認できます。


6.登録支援機関が行う主な支援

登録支援機関が委託を受けて行う主な支援は、次の10項目です。

  1. 事前ガイダンス
  2. 出入国時の送迎
  3. 住居確保、銀行口座・携帯電話・ライフライン契約の支援
  4. 生活オリエンテーション
  5. 公的手続きへの同行・補助
  6. 日本語学習機会の提供
  7. 相談・苦情への対応
  8. 日本人との交流促進
  9. 本人の責任によらない離職時の転職支援
  10. 定期面談及び行政機関への通報

登録支援機関は、外国人が十分に理解できる言語で相談対応や情報提供を行える体制を整える必要があります。

支援を実施した後は、その内容や面談結果などの記録を作成・保存し、必要な届出を行います。

特定技能1号の支援内容については、「Ⅵ-4.特定技能の支援計画とは?企業が準備すべき内容」もご参照ください。

自社支援と登録支援機関への委託の違いについては、「Ⅵ-5.登録支援機関とは?利用する場合・自社支援する場合の違い」で詳しく解説しています。


7.行政書士とは

行政書士は、他人の依頼を受けて、官公署に提出する書類、権利義務又は事実証明に関する書類を作成することなどを業務とする国家資格者です。

入管業務における行政書士の主な役割には、次のようなものがあります。

  • 外国人の経歴や活動内容の確認
  • 申請する在留資格の検討
  • 在留資格該当性や上陸許可基準の確認
  • 必要書類の整理
  • 在留資格申請書の作成
  • 理由書・説明書の作成
  • 支援計画書その他の添付書類の作成支援
  • 受入れ企業に関する資料の確認
  • 在留資格申請の取次
  • 追加資料への対応
  • 不許可・不交付後の申請方針の整理
  • 制度上必要となる届出の確認

一定の手続きを行った行政書士は、申請等取次者として、在留資格認定証明書交付申請、在留資格変更許可申請、在留期間更新許可申請などを取り次ぐことがあります。

行政書士は、在留資格の要件と、外国人本人・受入れ企業が準備した資料を結び付け、申請書、理由書、説明資料などを整える役割を担います。

行政書士の入管業務については、「Ⅷ-1.国際行政書士業務とは?在留資格・帰化・国際書類手続きの全体像」もご参照ください。


8.行政書士資格と登録支援機関の登録は別である

行政書士であることと、登録支援機関であることは別です。

行政書士資格を持っていても、登録支援機関として支援計画の実施を受託するためには、登録支援機関として出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があります。

反対に、登録支援機関として登録されていても、行政書士資格を持っているとは限りません。

したがって、次の業務は分けて考える必要があります。

  • 特定技能1号外国人に対する支援
  • 在留資格申請書類の作成
  • 在留資格申請の取次
  • 外国人材の職業紹介
  • 受入れ企業の労務管理
  • 税務、登記、紛争対応

一つの法人や事務所が複数の資格・許可・登録を持ち、これらの業務を一体的に提供している場合もあります。しかし、その場合でも、どの資格や登録に基づいて各業務を行っているのかを確認することが重要です。


9.申請取次と申請書類の作成は同じではない

登録支援機関の職員は、所定の承認を受けることにより、支援を委託された外国人について、一定の在留申請を取り次ぐことができる場合があります。

ただし、「申請を取り次ぐこと」と「報酬を得て申請書類を作成すること」は同じではありません。

登録支援機関が申請取次を行える場合でも、それだけで当然に、行政書士業務に当たる申請書類の作成を報酬を得て行えることになるわけではありません。行政書士法その他の法令に基づく業務範囲を確認する必要があります。

一方、受入れ企業が自社の申請書類を作成する場合や、法令上認められた者が所定の範囲で手続きに関与する場合もあるため、すべての書類作成が一律に行政書士だけに認められているという意味でもありません。

企業が登録支援機関へ依頼する場合には、次の点を確認します。

  • 支援業務を担当するのは誰か
  • 申請書類を作成するのは誰か
  • 申請を取り次ぐのは誰か
  • 行政書士が関与する場合、その担当範囲はどこまでか
  • 支援契約と申請業務の契約が区別されているか
  • 費用の内訳
  • 追加資料や不許可時の対応
  • 問題が起きた場合の責任範囲

「登録支援機関へ依頼しているから、在留資格申請もすべて任せられる」とは限りません。支援業務と申請業務を分けて確認することが重要です。

申請取次制度については、出入国在留管理庁の「申請等取次制度」をご確認ください。


10.役割の違いを一覧で整理する

監理団体、監理支援機関、登録支援機関、行政書士の違いを整理すると、次のようになります。

関係者主な制度主な役割必要な許可・登録等
監理団体技能実習実習実施者の監理、技能実習計画の作成指導、監査・訪問指導、実習生保護監理事業の許可
監理支援機関育成就労育成就労実施者の監理・支援、計画の作成指導、転籍支援、外国人保護監理支援事業の許可
登録支援機関特定技能1号1号特定技能外国人支援計画に基づく支援出入国在留管理庁長官の登録
行政書士在留資格申請等官公署提出書類の作成、相談、在留資格申請支援行政書士登録。申請取次には所定の手続き
受入れ企業雇用・各受入制度雇用契約、賃金、労働時間、安全衛生、適正な業務配置制度ごとの受入れ要件を満たすこと

同じ外国人材の受入れに関わっていても、根拠となる制度と業務範囲は異なります。


11.監理団体に特定技能の支援も任せられるか

技能実習で付き合っている監理団体が、登録支援機関としても登録されている場合には、特定技能1号外国人の支援を委託できることがあります。

しかし、監理団体であることだけで、当然に登録支援機関として特定技能外国人の支援を行えるわけではありません。

依頼前に確認すべき主な事項は、次のとおりです。

  • 登録支援機関として登録されているか
  • 登録の有効期間
  • 対応できる言語
  • 支援実績
  • 対象となる特定技能分野への理解
  • 支援担当者の配置
  • 支援委託契約の内容
  • 在留資格申請書類を誰が作成するか
  • 申請取次を誰が行うか
  • 行政書士その他の専門家との連携体制
  • 委託費用と追加費用
  • 夜間・休日や緊急時の対応

技能実習から特定技能へ移行する場合でも、監理団体と登録支援機関が必ず同じになるわけではありません。

移行手続きについては、「Ⅵ-8.技能実習から特定技能へ移行する場合の流れ」をご参照ください。


12.企業自身が担うべき責任

監理団体、監理支援機関、登録支援機関、行政書士などが関与していても、外国人を受け入れる企業自身の責任がなくなるわけではありません。

企業が自ら管理すべき主な事項は、次のとおりです。

  • 雇用契約
  • 賃金の支払い
  • 労働時間・休日・休暇
  • 安全衛生
  • 社会保険・労働保険
  • 税金
  • 就業場所
  • 外国人が実際に担当する業務
  • ハラスメントの防止
  • 相談体制
  • 在留期限
  • 入管その他の行政機関への届出
  • 外国人本人との意思疎通
  • 委託先による支援の実施状況

特定技能1号の支援を登録支援機関へ委託しても、特定技能所属機関としての責任がすべて移転するわけではありません。

外国人を雇用し、業務を指示し、賃金を支払うのは受入れ企業です。外部機関へ依頼する場合でも、企業内の担当者と責任者を明確にしておく必要があります。

企業のコンプライアンス体制については、「Ⅵ-18.特定技能・育成就労を受け入れる企業のコンプライアンス体制」もご参照ください。


13.どの場面で誰に相談するか

実務上の主な相談先は、次のように整理できます。

相談内容主な相談先
技能実習計画、技能実習中の監理監理団体
育成就労計画、育成就労中の監理・転籍支援監理支援機関
特定技能1号の生活・就労支援登録支援機関
在留資格の検討、申請書類作成、理由書、申請取次行政書士
人材の募集・紹介適法な職業紹介事業者、ハローワーク等
労働条件、社会保険、就業規則社会保険労務士
税務申告、源泉徴収、法人税、消費税税理士
会社・法人の登記司法書士
法的紛争、損害賠償、訴訟弁護士
労働基準法違反や安全衛生労働基準監督署、社会保険労務士等

複数の機関や専門家が関わる場合には、誰が何を担当するのかを契約書や業務分担表などで明確にすることが重要です。


14.よくある誤解

監理団体、登録支援機関、行政書士に関して、次のような誤解があります。

「監理団体なら特定技能の支援もできる」

監理団体であることだけでは足りません。特定技能1号の支援を受託するには、登録支援機関としての登録状況を確認する必要があります。

「登録支援機関へ委託すれば、企業は何もしなくてよい」

登録支援機関へ委託しても、雇用契約、賃金、労働時間、安全衛生、業務内容などに関する企業の責任は残ります。

「登録支援機関なら申請書類も当然に作成できる」

支援業務、申請取次、申請書類作成は、それぞれ別の問題です。誰がどの資格や立場で書類を作成・提出するのかを確認する必要があります。

「行政書士へ依頼すれば生活支援もすべて任せられる」

行政書士であることだけで、登録支援機関として支援計画の実施を受託できるわけではありません。登録支援機関としての登録の有無を別に確認する必要があります。

「監理団体はそのまま監理支援機関になる」

技能実習制度の監理団体が、当然に育成就労制度の監理支援機関へ移行するわけではありません。新制度に基づく監理支援事業の許可が必要です。


15.外国人材の受入れ・在留資格申請に関するご相談

外国人材の受入れでは、採用する在留資格や制度によって、必要な手続きと相談先が異なります。

特に、次のような場合には、受入れ前に役割分担を整理することが重要です。

  • 技能実習から特定技能への移行を検討している
  • 育成就労制度による受入れを準備したい
  • 登録支援機関へ委託する範囲を整理したい
  • 自社支援が可能か確認したい
  • 監理団体と登録支援機関のどちらへ相談すべきか分からない
  • 在留資格申請書類を誰が作成するのか明確にしたい
  • 外国人の採用から在留資格申請までの流れを整理したい
  • 受入れ企業として必要な届出や管理体制を確認したい

行政書士TMY総合法務事務所では、外国人材に適した在留資格の検討、必要書類の整理、申請書・理由書の作成、申請取次、受入れ企業と関係機関の役割整理などについてご相談を承ります。

ご相談をご希望の方は、「お問い合わせページ」からご連絡ください。


16.まとめ

監理団体、監理支援機関、登録支援機関、行政書士は、いずれも外国人材の受入れに関わることがありますが、根拠となる制度と役割は異なります。

この記事のポイントは、次のとおりです。

  • 監理団体は、技能実習制度において実習実施者の監理と技能実習生の保護を担う
  • 監理支援機関は、2027年4月に施行される育成就労制度で監理・支援を担う
  • 監理団体が当然に監理支援機関へ移行するわけではない
  • 登録支援機関は、特定技能1号外国人の支援を受託する
  • 登録支援機関に委託しても、受入れ企業の雇用主としての責任は残る
  • 行政書士は、在留資格申請書類の作成や申請取次などを担う
  • 登録支援機関であることと行政書士資格を持つことは別である
  • 申請書類の作成と申請取次は同じ業務ではない
  • 人材紹介、生活支援、在留資格申請、労務管理もそれぞれ別の業務である
  • 企業は外部機関へ任せきりにせず、自社の責任と委託範囲を把握する必要がある

外国人材の受入れでは、「誰に何を依頼するのか」を明確にすることが、制度違反、申請不備、支援漏れを防ぐ第一歩になります。

在留資格や入管手続きの全体像を確認したい方は、「初めての在留資格・入管手続き総合ガイド」をご覧ください。


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18.参考資料・出典