Ⅵ-5.登録支援機関とは?利用する場合・自社支援する場合の違い

Ⅵ 特定技能・育成就労・技能実習・登録支援

特定技能1号外国人を受け入れる企業は、1号特定技能外国人支援計画を作成し、これに基づいて支援を実施する必要があります。

この支援を自社で行うこともできますが、自社で十分な支援体制を整えることが難しい場合は、登録支援機関に支援の全部を委託することができます。

企業からは、次のような相談を受けることがあります。

・登録支援機関とは何ですか
・登録支援機関に委託すれば、会社は何もしなくてよいのですか
・自社支援と委託支援のどちらがよいですか
・登録支援機関に申請書類の作成も任せてよいですか
・登録支援機関を選ぶときは何を確認すべきですか
・支援を一部だけ委託することはできますか
・途中で登録支援機関を変更できますか

登録支援機関は、特定技能1号外国人の支援を行う重要な存在です。

しかし、登録支援機関は、受入れ企業の代わりに雇用主になるわけではありません。

また、支援を委託したとしても、雇用契約、賃金、労働時間、社会保険、業務内容、届出など、受入れ企業自身が管理すべき事項は残ります。

この記事では、登録支援機関とは何か、自社支援と委託支援の違い、登録支援機関を利用する場合の注意点を解説します。

登録支援機関とは

登録支援機関とは、出入国在留管理庁長官の登録を受け、受入れ企業との支援委託契約に基づいて、1号特定技能外国人支援計画の支援を実施する機関です。

出入国在留管理庁の制度概要資料では、登録支援機関は、受入れ機関との支援委託契約により、支援計画に基づく支援の全部の実施を行うと説明されています。

また、登録支援機関になるためには、出入国在留管理庁長官の登録を受ける必要があり、登録を受けた機関は登録支援機関登録簿に掲載されます。登録期間は5年間で、更新が可能です。
(出典:外国人労働者に関する制度概要、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

登録支援機関には、行政書士法人、監理団体、人材紹介会社、協同組合、民間企業、個人事業主など、さまざまな主体があります。

登録支援機関が行う支援

登録支援機関が行う支援は、1号特定技能外国人支援計画に基づく支援です。

主な支援は、次の10項目です。

1.事前ガイダンス
2.出入国時の送迎
3.住居確保・生活に必要な契約支援
4.生活オリエンテーション
5.公的手続等への同行
6.日本語学習機会の提供
7.相談・苦情への対応
8.日本人との交流促進
9.本人に責任のない離職時の転職支援
10.定期面談・行政機関への通報

登録支援機関は、これらの支援を、外国人本人が理解できる言語で行う体制を整える必要があります。

自社支援とは

自社支援とは、受入れ企業が自ら支援責任者・支援担当者を置き、1号特定技能外国人への支援を実施する方法です。

自社支援を行う場合、企業は次の体制を整える必要があります。

・支援責任者
・支援担当者
・外国人が理解できる言語で相談できる体制
・生活オリエンテーションの実施体制
・住居確保支援
・日本語学習機会の提供
・定期面談の実施
・支援記録の作成
・行政機関への通報体制
・届出管理

自社支援のメリットは、会社が外国人本人の状況を直接把握できることです。

一方で、言語対応、生活支援、相談対応、定期面談、記録作成などをすべて自社で行う必要があるため、社内負担は大きくなります。

登録支援機関へ委託する場合

登録支援機関へ委託する場合、受入れ企業は支援委託契約を締結します。

出入国在留管理庁の制度概要資料では、受入れ企業が支援計画の全部の実施を登録支援機関へ委託する場合、外国人を支援する体制があるものとみなされると説明されています。
(出典:外国人労働者に関する制度概要、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

登録支援機関へ委託するメリットは、次のとおりです。

・多言語対応を任せられる
・生活オリエンテーションを任せられる
・相談対応を任せられる
・支援記録の作成に慣れている
・定期面談の運用を任せられる
・制度改正への対応を相談できる
・支援体制を自社で一から作らずに済む

特に、初めて特定技能外国人を受け入れる企業や、外国人支援の経験が少ない企業では、登録支援機関の利用が現実的な選択になることがあります。

全部委託と一部委託

支援計画の実施は、全部又は一部を他の者に委託することができます。

ただし、受入れ企業が支援体制を満たしているものとみなされるのは、支援計画の全部の実施を登録支援機関へ委託する場合です。

一部だけを委託する場合は、残りの支援を自社で適切に実施できる体制が必要です。

たとえば、次のような一部委託が考えられます。

・通訳だけ外部に依頼する
・生活オリエンテーションだけ委託する
・日本語学習支援だけ外部サービスを利用する
・住居契約支援だけ不動産会社等と連携する

ただし、支援全体の責任が曖昧にならないよう、誰がどの支援を行うのかを明確にする必要があります。

登録支援機関は再委託できない

登録支援機関は、委託を受けた支援業務の実施をさらに第三者へ委託することはできません。

ただし、通訳人などを活用して支援業務の履行を補助することは可能です。

出入国在留管理庁の制度概要資料でも、登録支援機関は委託を受けた支援業務の実施をさらに委託することはできないとされています。
(出典:外国人労働者に関する制度概要、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

企業が登録支援機関を選ぶ際は、その機関が自ら支援を実施する体制を持っているかを確認する必要があります。

委託しても企業の責任は残る

登録支援機関へ支援を委託しても、受入れ企業の責任がすべてなくなるわけではありません。

企業が引き続き管理すべき事項は、次のとおりです。

・雇用契約
・賃金支払い
・労働時間
・休日、休暇
・社会保険
・労働保険
・安全衛生
・業務内容
・配置転換
・分野別基準
・協議会加入
・地方自治体への協力確認書
・随時届出
・定期届出
・登録支援機関との情報共有

支援だけ外部委託しても、雇用主は受入れ企業です。

外国人の勤務実態や労働条件に問題があれば、企業自身の問題になります。

登録支援機関ができること・できないこと

登録支援機関が行うのは、1号特定技能外国人への支援です。

一方、在留資格申請書類の作成、申請取次、労働契約書の作成、労務相談、税務相談などは、それぞれ別の法律や専門資格が関係する場合があります。

特に注意すべきなのは、次の点です。

・登録支援機関であることと、行政書士であることは別である
・登録支援機関だから当然に在留資格申請書類を作成できるわけではない
・申請取次は、申請取次の承認を受けた者でなければ行えない
・労務相談は社会保険労務士分野に関係する場合がある
・税務相談は税理士分野に関係する場合がある

登録支援機関へ委託する場合でも、在留資格申請書類の作成や法的判断が必要な場合は、行政書士などの専門家との役割分担を確認することが重要です。

自社支援が向いている企業

自社支援が向いているのは、次のような企業です。

・外国人雇用の経験がある
・多言語対応できる社員がいる
・人事、総務の体制が整っている
・生活支援まで社内で対応できる
・支援担当者が現場と連携できる
・複数名の特定技能外国人を継続的に受け入れる予定がある
・支援実施記録や届出を管理できる
・外国人本人との直接的な関係を重視したい

自社支援では、会社が本人の生活状況や職場上の悩みを直接把握しやすくなります。

一方、支援体制の整備には時間と人員が必要です。

登録支援機関の利用が向いている企業

登録支援機関の利用が向いているのは、次のような企業です。

・初めて特定技能外国人を受け入れる
・外国語対応できる社員がいない
・生活支援の経験がない
・人事部門が小規模である
・複数国籍の外国人を受け入れる
・支援記録や面談を外部の経験者に任せたい
・地方自治体との共生施策対応に不安がある
・現場が忙しく支援まで手が回らない

登録支援機関を利用することで、支援業務の実務負担を軽減できます。

ただし、登録支援機関任せにせず、受入れ企業として支援状況を把握する必要があります。

登録支援機関を選ぶ際の確認ポイント

登録支援機関を選ぶ際は、単に費用だけで決めるべきではありません。

確認すべき点は、次のとおりです。

・登録支援機関登録簿に掲載されているか
・対応言語
・対応地域
・支援実績
・定期面談の実施方法
・緊急時対応
・生活オリエンテーションの内容
・記録作成方法
・登録支援機関側の担当者
・支援費用
・契約解除時の取扱い
・行政書士等との連携
・分野別制度への理解

登録支援機関登録簿は、出入国在留管理庁のウェブサイトで確認できます。
(出典:登録支援機関、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

登録支援機関を変更する場合

登録支援機関を途中で変更することは可能です。

ただし、支援委託契約を終了し、新しい登録支援機関と契約する場合には、出入国在留管理庁への届出が必要になります。

また、支援の空白が生じないようにする必要があります。

変更時には、次の点を確認します。

・旧登録支援機関との契約終了日
・新登録支援機関との契約開始日
・支援計画変更の有無
・外国人本人への説明
・相談窓口の変更
・定期面談記録の引継ぎ
・届出の期限

支援機関の変更は、単なる業者変更ではありません。

外国人本人の生活支援に影響するため、計画的に進める必要があります。

登録支援機関との情報共有

登録支援機関が支援を行うためには、受入れ企業からの情報共有が不可欠です。

共有すべき情報は、次のとおりです。

・雇用契約の内容
・勤務場所
・勤務時間
・給与
・住居
・現場責任者
・外国人本人の連絡先
・相談内容
・欠勤、遅刻、退職希望
・配置変更
・労働トラブル
・在留期間
・更新予定
・自治体への協力確認書

情報共有が不十分だと、登録支援機関が適切な支援を行えません。

委託後も、企業と登録支援機関の定期的な連絡体制が必要です。

まとめ

登録支援機関は、特定技能1号外国人への支援を受入れ企業から委託されて実施する機関です。

この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。

・登録支援機関は出入国在留管理庁長官の登録を受けた機関である
・登録期間は5年間で、更新が可能である
・登録支援機関は支援計画に基づく支援を行う
・支援計画の全部を登録支援機関へ委託すると、支援体制があるものとみなされる
・一部委託の場合は、自社で残りの支援を行う体制が必要である
・登録支援機関は支援業務をさらに再委託することはできない
・登録支援機関へ委託しても、受入れ企業の雇用主としての責任は残る
・登録支援機関であることと、行政書士であることは別である
・申請書類作成や申請取次は、別途専門資格や承認が関係する
・自社支援か委託支援かは、企業の人員、言語対応、支援経験で判断する
・登録支援機関を選ぶ際は、費用だけでなく対応言語、実績、連携体制を確認する

登録支援機関は、特定技能外国人の受入れにおいて重要なパートナーです。

しかし、登録支援機関に任せれば企業の責任がなくなるわけではありません。

支援は委託できても、雇用主としての責任と、制度全体の管理責任は受入れ企業に残ることを理解しておく必要があります。

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参考資料・出典

1号特定技能外国人支援・登録支援機関について 出入国在留管理庁ウェブサイトより
登録支援機関 出入国在留管理庁ウェブサイトより
外国人労働者に関する制度概要 出入国在留管理庁ウェブサイトより
特定技能外国人受入れに関する運用要領 出入国在留管理庁ウェブサイトより
特定技能所属機関・登録支援機関による届出 出入国在留管理庁ウェブサイトより
行政書士法 e-Gov法令検索より