Ⅲ-19.帰化申請とは?日本国籍を取得する手続きの基本

帰化申請とは、外国籍の方が法務大臣の許可を受け、日本国籍を取得する手続きです。

永住許可と混同されることがありますが、帰化と永住は全く異なります。

永住は、外国籍のまま日本で期間の制限なく在留できる在留資格です。

帰化は、日本国籍を取得し、日本人となる手続きです。

帰化が許可されると、在留資格や在留カードは不要になり、日本の戸籍が作られます。

一方で、原則として従前の国籍を失うことが必要となるため、本人と家族の将来に大きく関わる選択です。

この記事では、帰化申請の基本、条件、2026年4月からの審査運用、申請先、永住との違い、許可後の手続きについて解説します。

1.帰化は日本国籍を取得する手続き

国籍法第4条は、日本国民でない者は、帰化によって日本国籍を取得でき、帰化には法務大臣の許可を得なければならないと定めています。
(出典:国籍法、e-Gov法令検索より)

帰化は、単なる在留手続きではありません。

許可後は日本人として扱われ、次のような変化があります。

・在留資格が不要になる
・在留カードが不要になる
・日本の戸籍が作られる
・日本のパスポートを取得できる
・選挙権など日本国民としての権利を持つ
・再入国許可が不要になる
・外国人としての在留届出が不要になる

その一方で、従前の国籍、母国のパスポート、相続、財産、兵役等への影響を確認する必要があります。

2.帰化と永住の違い

帰化と永住の最も大きな違いは、国籍が変わるかどうかです。

項目帰化永住
法的性質日本国籍の取得在留資格
国籍日本国籍を取得外国籍のまま
在留カード不要必要
戸籍作られる日本人としての戸籍は作られない
日本のパスポート取得可能取得不可
申請先法務局出入国在留管理庁
従前国籍原則として喪失等が必要維持

日本で長く暮らしたいというだけであれば、永住が適している場合があります。

日本人として生活したい、日本国籍を取得したいという意思がある場合に、帰化を検討します。

3.帰化申請の一般的な条件

国籍法第5条は、普通帰化の一般的な条件として、次の事項を定めています。

・住所条件
・能力条件
・素行条件
・生計条件
・重国籍防止条件
・憲法遵守条件

東京法務局も、これらを帰化の一般的な条件として案内しています。
(出典:帰化について、東京法務局ウェブサイトより)

これらの条件を満たしても、必ず許可されるわけではありません。

帰化許可は、法務大臣が個別事情を総合的に判断します。

4.2026年4月から帰化審査の運用が厳格化

国籍法第5条の住所条件は、現在も「引き続き5年以上日本に住所を有すること」と定められています。

ただし、2026年4月1日から帰化審査の運用が見直されました。

法務大臣の記者会見では、国籍法上の5年以上の住所条件を満たすことを前提として、「日本社会に融和していること」の審査において、原則として10年以上在留していることを必要とし、税金や社会保険料の納付状況を確認する期間も延長すると説明されています。
(出典:法務大臣閣議後記者会見の概要、法務省ウェブサイトより)

東京法務局の案内にも、日常生活に支障のない程度の日本語能力と、10年以上在留していることなど、日本社会に融和していることが必要と記載されています。
(出典:帰化について、東京法務局ウェブサイトより)

日本人配偶者、日本人の子、日本生まれなど、国籍法第6条から第8条の緩和規定に該当する方についても、個別事情を法務局へ確認する必要があります。

5.申請先は入管ではなく法務局

帰化申請の提出先は、出入国在留管理局ではありません。

住所地を管轄する法務局又は地方法務局の国籍担当窓口です。

法務省は、帰化申請について、15歳以上の本人が自ら法務局へ出頭し、書面で申請することを案内しています。15歳未満の場合は、親権者等の法定代理人が申請します。
(出典:帰化許可申請、法務省ウェブサイトより)

帰化申請の手数料はかかりません。

ただし、本国書類、翻訳、証明書取得、専門家への依頼等には費用がかかることがあります。

6.帰化申請では本人出頭が必要

行政書士に書類作成や収集支援を依頼した場合でも、帰化申請そのものを行政書士だけで完結させることはできません。

本人が法務局で相談し、申請受付や面接に対応する必要があります。

帰化申請では、本人の日本国籍取得意思、日本語能力、家族関係、職業、生活状況などを直接確認するためです。

行政書士は、必要書類の整理、本国書類の確認、翻訳、申請書作成等を支援します。

7.帰化申請で確認される主な事項

帰化申請では、次のような事項が確認されます。

・日本での居住歴
・出入国歴
・在留資格
・家族関係
・出生、婚姻、離婚、認知、養子縁組
・職業、勤務先
・収入と資産
・税金
・年金、健康保険
・犯罪歴、交通違反
・日本語能力
・従前の国籍
・日本国籍取得後の氏名、本籍
・日本社会での生活実態

必要書類は、国籍、職業、家族構成によって異なります。

8.帰化すると元の国籍はどうなるか

国籍法第5条は、帰化申請者が無国籍であるか、原則として日本国籍取得によって従前の国籍を失うことを条件としています。

ただし、本人の意思で元の国籍を失うことができない場合には、例外が認められることがあります。
(出典:帰化について、東京法務局ウェブサイトより)

元の国籍がいつ、どのような手続きで喪失するかは、その国の国籍法によって異なります。

帰化申請前に、大使館・領事館等へ確認することが重要です。

9.許可後は戸籍が作られる

帰化が許可されると、その旨が官報に告示され、告示の日から日本国籍を取得します。

その後、法務局から交付される書類を使い、市区町村へ帰化届を行い、戸籍を作る手続きを進めます。

戸籍が作られた後は、次のような変更が必要になります。

・在留カードの返納
・住民登録の変更
・マイナンバーカード
・運転免許証
・銀行口座
・勤務先
・健康保険、年金
・不動産登記
・各種契約
・パスポート申請

許可後にも多くの手続きがあるため、事前に整理しておくと安心です。

10.まとめ

帰化申請は、外国人が日本国籍を取得するための手続きです。

この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。

・帰化は在留資格ではなく日本国籍を取得する手続きである
・法務大臣の許可が必要である
・申請先は住所地を管轄する法務局である
・15歳以上は本人が自ら出頭して申請する
・一般的条件は住所、能力、素行、生計、重国籍防止、憲法遵守である
・2026年4月から、日本社会への融和について原則10年以上の在留を求める運用となった
・税金、社会保険料の確認期間も延長されている
・帰化後は日本の戸籍が作られ、在留資格は不要になる
・元の国籍への影響を申請前に確認する必要がある

帰化は、単に在留手続きを楽にするための制度ではありません。本人と家族の国籍、戸籍、財産、将来設計に関わる重要な選択です。

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参考資料・出典

国籍法 e-Gov法令検索より
帰化許可申請 法務省ウェブサイトより
帰化について 東京法務局ウェブサイトより
法務大臣閣議後記者会見の概要 法務省ウェブサイトより