0-2. ビザと在留資格の違い|一般的な呼び方と正確な意味

∞ 在留資格の基礎知識・総論

外国人の日本滞在に関する相談では、「ビザ」という言葉がよく使われます。

「就労ビザを取りたい」「配偶者ビザを更新したい」「ビザの変更をしたい」という表現は、一般の方には分かりやすい言い方です。

しかし、専門的には「ビザ」と「在留資格」は同じ意味ではありません。当務所のブログでは、読者に分かりやすい表現に配慮し、ビザと言う言葉で説明する事もありますが、正確な制度理解につなげる説明が必要ですので、この記事では、ビザと在留資格の違いを、実務上の流れとあわせて整理します。


ビザとは正確には「査証」のこと

正確には、ビザは「査証」を意味します。

査証は、海外にある日本大使館・総領事館などの在外公館で発給されるものです。外務省は、査証は入国を保証するものではなく、上陸のための要件の一つであり、海外にある日本国大使館または総領事館等で発給されるものと説明しています。

つまり、査証は主に日本に入国する前の手続きに関係します。


在留資格とは日本で活動するための資格

これに対して、在留資格は、日本でどのような活動を行うことができるか、またはどのような身分・地位で在留できるかを示す資格です。

外務省も、査証と在留資格は別のものであり、在留資格は外国人が日本で行うことができる活動等を類型化したものと説明しています。

たとえば、次のようなものが在留資格です。

  • 技術・人文知識・国際業務
  • 企業内転勤
  • 経営・管理
  • 留学
  • 家族滞在
  • 日本人の配偶者等
  • 永住者
  • 定住者
  • 特定技能

ビザと在留資格の違いを表で整理

ビザと在留資格の違いは、次のように整理できます。

項目ビザ・査証在留資格
主な意味日本に入国するための手続きに関係するもの日本で活動・生活するための資格
主な機関在外公館、外務省出入国在留管理庁、法務省
主な場面入国前入国時・入国後
査証申請技人国、家族滞在、永住者など
よくある混同就労ビザ、配偶者ビザ正確には就労系在留資格、配偶者に関する在留資格

外務省も、一般に「ビザ」と言う場合、査証ではなく在留資格を指している場合があると注意喚起しています。


海外から日本に来る場合の流れ

海外にいる外国人が日本で働く、学ぶ、家族と暮らすなどの目的で来日する場合、一般的には次のような流れになります。

① 日本側で在留資格認定証明書交付申請

② 在留資格認定証明書が交付される

③ 海外にいる本人へ証明書を送付・共有

④ 在外公館で査証申請

⑤ 査証が発給される

⑥ 日本へ渡航

⑦ 空港等で上陸審査

⑧ 在留資格が付与され、日本で在留開始

この流れを見ると、「在留資格」と「査証」は役割が異なることが分かります。

在留資格認定証明書は、査証申請や上陸審査を簡易迅速にするための制度ですが、外務省は、在留資格認定証明書が交付されていても、査証発給が保証されるわけではないと説明しています。


日本にいる外国人の場合は「ビザ申請」ではなく変更・更新が中心

すでに日本にいる外国人が、現在の活動を続ける場合や、活動内容を変える場合には、一般に「ビザ更新」「ビザ変更」と言われることがあります。

しかし、正確には次のように整理します。

一般的な言い方正確な手続き名
ビザを更新する在留期間更新許可申請
ビザを変更する在留資格変更許可申請
就労ビザに変える就労系在留資格への変更
配偶者ビザを取る配偶者に関する在留資格を申請する
永住ビザを取る永住許可申請をする

たとえば、留学生が日本企業へ就職する場合は、「ビザを変更する」と言われることがありますが、正確には「留学」から「技術・人文知識・国際業務」などへの在留資格変更許可申請を検討します。


「ビザ」という言葉は使わない方がよいのか

多くの行政書士事務所のブログで、あえて「ビザ」という言葉を使うことがあります。

なぜなら、一般の読者の方にとって、ビザと言う言葉を使ったほうがわかりやすく、また多くの方が在留資格申請に関して調べたいときには次のような言葉で検索することが多いからです。

  • 就労ビザ
  • 配偶者ビザ
  • 家族滞在ビザ
  • 経営管理ビザ
  • ビザ更新
  • ビザ変更

当事務所のウェブサイトでも、このことを踏まえてビザと言う言葉を使うことがありますが、正しい理解のために次のように一度整理しておきます。

一般には「ビザ」と呼ばれることがありますが、日本での就労・生活・家族滞在などに関して問題となるのは、正確には「在留資格」です。


用語の使い分け例

当事務所の記事の中では、「ビザ」「査証」「在留資格」を次のように使い分けています。少し慣れてくると、ビザという言葉を入れる事でかえって混乱してしまう場面も出てくるかもしれません。

場面推奨表現
タイトルで読者に伝える就労ビザとは?在留資格「技術・人文知識・国際業務」の基本
本文で制度を説明する就労系在留資格
海外の大使館での手続き査証申請
日本で活動を変える手続き在留資格変更許可申請
日本で滞在を続ける手続き在留期間更新許可申請

よくある誤解

ビザと在留資格については、次のような誤解があります。

  • ビザがあれば日本で自由に働けると思っている
  • 在留カードを持っていればどの仕事でもできると思っている
  • 「ビザ更新」と「在留期間更新」を区別していない
  • 海外から呼ぶ手続きと日本国内で変更する手続きを混同している
  • 在留資格認定証明書が出れば、必ず入国できると思っている
  • 短期滞在で来日してから自由に就労資格へ変更できると思っている

在留資格の手続きでは、言葉の違いがそのまま手続きの違いにつながることがあります。


まとめ

ビザと在留資格は、日常的には混同されやすい言葉ですが、制度上は別のものです。

ビザは正確には査証であり、日本に入国する前の手続きに関係します。
在留資格は、日本でどのような活動や身分に基づいて在留できるかを示す資格です。

一般の方が「ビザ」と呼んでいるものの多くは、実際には「在留資格」や「在留資格に関する申請手続き」を指していることがあります。

当事務所のブログでは、読者がわかりやすいよう「ビザ」という言葉を使う事もありますが、制度について説明する本文の中では「在留資格」「在留資格変更」「在留期間更新」「査証申請」といった正確な用語を使い分けるように心がけています。


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