Ⅲ-26.家族で帰化申請をする場合の進め方

夫婦と子どもなど、家族で同時に帰化申請を希望することがあります。

家族全員が日本で生活している場合、同じ時期に日本国籍を取得し、戸籍や氏を整理したいと考えるのは自然です。

しかし、家族で申請する場合でも、家族全体を一つの申請として扱うわけではありません。

原則として、一人ひとりについて帰化条件を確認し、申請書を作成します。

この記事では、家族で帰化申請する場合の進め方、子どもの申請、家族の一部だけ帰化する場合、戸籍・氏名の注意点を解説します。

1.家族一人ひとりが申請人となる

家族で同時に申請する場合でも、各人がそれぞれ帰化許可申請を行います。

家族共通の書類を利用できることはありますが、申請書、写真、履歴等は原則として個人ごとに必要です。

そのため、家族の中で一人だけ条件を満たしていない場合、家族全員が同じ結果になるとは限りません。

2.15歳以上と15歳未満の違い

法務省の案内では、15歳以上の方は本人が自ら法務局へ出頭して申請します。

15歳未満の子どもは、親権者等の法定代理人が申請します。
(出典:帰化許可申請、法務省ウェブサイトより)

15歳以上の子どもは、本人の帰化意思や日本語能力を確認されることがあります。

家族が希望していても、本人に日本国籍取得の意思がない場合は慎重に考える必要があります。

3.子どもの住所・能力条件の緩和

日本人の子や、親と同時に帰化を検討する未成年者については、国籍法第8条等により一部の条件が緩和される場合があります。

ただし、親と一緒なら全ての子どもが自動的に帰化できるという制度ではありません。

出生地、親子関係、在留状況、親権等を個別に確認します。

4.家族共通で確認される事項

家族で申請する場合、次の事項は家族全体に関係します。

・住所歴
・世帯収入
・住居
・税金
・年金、健康保険
・家族関係
・父母の婚姻・離婚
・子どもの出生、認知、養子縁組
・本国の親族関係
・日本での生活実態

一人の税金や社会保険の未納が、家族全体の生活状況の評価に影響することがあります。

5.本国書類を家族単位で整理する

家族で申請する場合は、本国の出生、婚姻、親族関係資料が相互に関係します。

たとえば、父母の婚姻証明書、各子どもの出生証明書、親族関係証明書に記載された氏名や日付が一致している必要があります。

家族全体の関係図を作り、必要書類を整理すると分かりやすくなります。

6.家族の一部だけ帰化する場合

家族全員が同時に帰化する必要はありません。

たとえば、次のような選択があります。

・夫婦と子ども全員が帰化する
・本人だけ帰化する
・親と未成年の子だけ帰化する
・配偶者は永住のまま残る
・成人した子どもは自分で判断する

家族の一部が外国籍のままでも、日本で家族として生活できます。

ただし、帰化後の戸籍、在留資格、氏名、相続、海外渡航等への影響を検討する必要があります。

7.外国籍の配偶者が残る場合

一方の配偶者だけが帰化し、もう一方が外国籍のままの場合、外国籍配偶者は引き続き在留資格が必要です。

帰化した配偶者は日本人となるため、外国籍配偶者は「日本人の配偶者等」への在留資格変更を検討できる場合があります。

ただし、変更は自動ではなく、別途入管手続きが必要です。

8.子どもの国籍への影響

親が帰化しても、既に生まれている外国籍の子どもが自動的に日本国籍を取得するとは限りません。

子ども本人について帰化申請又は他の国籍取得手続きが必要かを確認します。

また、本国法上、親の国籍変更が子どもの国籍へ影響する国もあります。

日本法だけでなく、本国の国籍法も確認する必要があります。

9.親権・前婚の子ども

再婚家庭や連れ子がいる場合は、次の点を確認します。

・実親との親子関係
・親権
・養子縁組
・前配偶者
・本国での親権資料
・子どもの帰化意思
・法定代理権

連れ子について、現在の日本人配偶者と養子縁組しているかどうかによっても、身分関係が異なります。

10.帰化後の氏名と本籍

家族で帰化する場合、帰化後の氏をどのように統一するか、本籍をどこに置くかを検討します。

子どもの学校、勤務先、銀行口座、資格、旅券等への影響もあります。

家族内で氏が異なる選択を検討する場合は、戸籍上の取扱いを法務局へ確認します。

11.家族全員の日本語能力

成人や一定年齢以上の子どもについては、日本語での日常会話や読み書きを確認されることがあります。

家族の一人が日本語に不安がある場合、他の家族が通訳すれば十分とは限りません。

本人ごとに日本社会で生活できる程度の日本語能力が求められます。

12.申請時期をそろえるか

家族全員が同時に申請できる場合もあれば、条件が整った人から順に申請した方がよい場合もあります。

次の事情を確認します。

・各人の居住年数
・日本人との関係
・年齢
・在留資格
・成人した子の意思
・税金、社会保険
・海外出国
・本国書類の取得可能性

同時申請にこだわることで、全体の準備が遅れることもあります。

13.審査中の家族関係の変化

申請後に次の変化があった場合は、法務局へ報告します。

・婚姻
・離婚
・出生
・死亡
・認知
・養子縁組、離縁
・別居
・親権変更
・家族の海外転居

家族関係は戸籍作成の基礎となるため、正確な報告が必要です。

14.許可時期が家族で異なることもある

家族で同時に申請しても、調査内容や書類の違いにより、許可時期が異なる可能性があります。

一人が許可されたから、他の家族も必ず許可されるわけではありません。

申請後も、各人の在留期間更新を忘れないようにします。

15.許可後の手続き

家族で帰化が許可された後は、次の手続きを進めます。

・帰化届
・戸籍の確認
・在留カード返納
・住民登録変更
・マイナンバーカード
・学校、勤務先
・銀行、保険
・運転免許証
・不動産、自動車
・日本旅券申請
・本国側の国籍手続き

家族人数が多いほど、変更先も多くなります。

一覧表を作って順番に進めるとよいでしょう。

16.まとめ

家族で帰化申請する場合でも、一人ひとりが申請人となり、それぞれの条件が確認されます。

・家族全員を一つの申請として扱うわけではない
・15歳以上は本人が申請する
・15歳未満は法定代理人が申請する
・子どもにも自動的に日本国籍が与えられるわけではない
・家族共通の収入、税金、社会保険、住居が確認される
・本国の出生、婚姻、親族資料を家族単位で整理する
・家族の一部だけ帰化することもできる
・外国籍の配偶者には引き続き在留資格が必要である
・前婚の子ども、親権、養子縁組を正確に整理する
・帰化後の氏名、本籍、子どもの学校等への影響を検討する
・同時申請でも許可時期や結果が異なる可能性がある

家族での帰化は、申請書の問題だけでなく、家族全員の国籍、戸籍、氏名、相続、将来設計に関わります。各人の意思と条件を確認し、家族全体の計画として進めることが大切です。

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・Ⅲ-25.日本人配偶者がいる場合の帰化申請
・Ⅱ-7.子どもの出生・認知・親子関係と在留資格の手続き

参考資料・出典

帰化許可申請 法務省ウェブサイトより
国籍法 e-Gov法令検索より
帰化について 東京法務局ウェブサイトより
帰化許可申請書に添付する書類 東京法務局ウェブサイトより
帰化許可申請のてびき 東京法務局ウェブサイトより