入管申請の審査中に、出入国在留管理庁から追加資料の提出を求められることがあります。
追加資料には提出期限が指定されることが多く、期限までに資料を提出できないと、審査が遅れたり、提出済みの資料をもとに判断されたりする可能性があります。
ただし、海外の公的証明書、学校や以前の勤務先が発行する証明書、会社の決算資料など、申請人の努力だけでは期限内に取得できない資料もあります。
期限に間に合わない可能性がある場合には、そのまま放置するのではなく、期限前に事情を整理し、通知書に記載された担当部署や申請先へ対応を相談することが重要です。
この記事では、追加資料の提出期限に間に合わない場合の考え方と、期限延長の相談、一部資料の先行提出、代替資料や説明書を準備する際の注意点を整理します。
追加資料通知を受け取った直後に確認すべき事項については、先に「Ⅴ-6.入管から追加資料を求められた場合の対応」をご確認ください。
1.追加資料を求められる理由
追加資料は、申請時の書類だけでは確認できない点について、入管が追加で確認するために求めるものです。
追加資料を求められたからといって、直ちに不許可や不交付が決まったという意味ではありません。しかし、入管が何らかの事項について、さらに確認する必要があると判断していることを意味します。
たとえば、次のようなケースがあります。
| 確認事項 | 追加資料の例 |
|---|---|
| 仕事内容 | 職務内容説明書、組織図、業務の流れ |
| 学歴・職歴 | 成績証明書、卒業証明書、職務経歴書 |
| 会社の事業実態 | 決算書、契約書、請求書、取引資料 |
| 雇用条件・収入 | 雇用契約書、給与明細、課税証明書 |
| 婚姻関係 | 写真、通信記録、渡航記録、質問書の補足 |
| 事業の実態・継続性 | 契約書、請求書、事業計画書、資金資料 |
| 永住申請 | 納税、年金、健康保険、収入に関する資料 |
出入国在留管理庁の各在留資格の提出書類案内でも、申請後の審査過程において、ウェブサイトに掲載されているもの以外の資料を求める場合があると案内されています。
参考:在留資格「技術・人文知識・国際業務」(出入国在留管理庁)
追加資料の内容は、入管が何を確認しようとしているのかを知る手掛かりになります。単に指定された書類を集めるだけでなく、その資料によって何を説明する必要があるのかを考えることが重要です。
2.期限に間に合わない場合にまず確認すること
追加資料の提出期限に間に合わない可能性がある場合、まず通知書やメールの内容を確認します。
確認すべき主な事項は次のとおりです。
- 申請番号と申請人の氏名
- 提出期限の日付
- 期限日までの到着が必要か
- 何の資料が求められているか
- どの期間についての資料が必要か
- 原本が必要か、写しでよいか
- 外国語資料に日本語訳が必要か
- 会社、本人、学校など、誰が準備する資料か
- 公的機関から取得する資料か
- 取得までにどの程度の日数がかかるか
- 代替資料を提出できるか
- 提出方法と提出先
- 通知書に記載された担当部署や連絡先
特に、「発送すれば期限内となるのか」「期限までに入管へ到着する必要があるのか」は、自己判断せず、通知内容を確認してください。
通知書の意味が分からない場合は、通知書に記載された連絡先や申請先の地方出入国在留管理官署へ確認することを検討します。
一般的な手続については、出入国在留管理庁の「外国人在留総合インフォメーションセンター等」でも案内されています。
3.期限延長を相談すべきケース
資料の取得に時間がかかる場合には、期限内提出が難しいことがあります。
たとえば、次のような場合です。
- 海外の公的機関から証明書を取得する必要がある
- 学校から卒業証明書や成績証明書を取り寄せる
- 以前の勤務先から在職証明書を取得する
- 会社の決算資料がまだ完成していない
- 税理士や社会保険労務士などへ資料作成を依頼している
- 取引先から契約書や確認書を取得する必要がある
- 外国語資料の翻訳に時間がかかる
- 本人が海外にいて、署名書類の返送が必要である
- 病気、災害その他の事情により資料を準備できない
このような場合には、期限を過ぎてから連絡するのではなく、期限前に通知書記載の担当部署や申請先へ事情を説明し、対応を相談することが重要です。
ただし、入管へ連絡しただけで提出期限が自動的に延長されるわけではありません。期限延長や後日の追加提出が認められるかは、求められた資料、取得できない理由、取得見込み、申請の状況などを踏まえた個別の判断になります。
連絡する際には、次の内容を整理しておくと説明しやすくなります。
- 期限までに提出できない資料の名称
- 提出できない理由
- いつ取得を申し込んだか
- 現在の取得状況
- 取得できる見込みの日
- 入管へ提出できる見込みの日
- 期限までに提出できる資料
- 代替資料の有無
連絡した日時、担当部署、対応した職員、確認した内容についても記録しておくとよいでしょう。
4.一部資料だけ先に提出する場合
すべての資料が期限までにそろわない場合でも、期限までに準備できた資料を先に提出し、不足している資料について提出予定を説明する方法が考えられます。
その場合には、提出資料一覧や説明書を付け、次の事項を明確にします。
- 今回提出する資料
- まだ提出できない資料
- 提出できない理由
- 資料の取得を依頼した日
- 現在の取得状況
- 取得予定日
- 入管への提出予定日
- 代替資料の有無
- 入管へ事前に確認した内容
説明書は、たとえば次のような順序で整理します。
- 追加資料提出通知を受けた日
- 指定された提出期限
- 今回提出する資料
- 期限までに提出できない資料
- 提出できない具体的な理由
- 現在の取得状況
- 今後の提出予定
- 代替資料として提出する資料
ただし、一部資料を提出すれば、残りの資料を期限後に当然提出できるという意味ではありません。期限内にどこまで提出すべきか、後日提出が可能かについて、事前に入管へ確認することが大切です。
説明書や理由書を作成する際は、「Ⅴ-5.入管申請の理由書には何を書くべきか」も参考にしてください。
5.提出できない資料がある場合
求められた資料をどうしても提出できない場合には、提出できない理由を説明し、代替資料を検討します。
たとえば、次のようなケースがあります。
- 以前の勤務先が廃業している
- 以前の勤務先が証明書の発行に応じない
- 外国の行政機関に該当する証明制度がない
- 過去の資料が保存されていない
- 契約書を作成していない
- 取引先との守秘義務がある
- 紛失や災害により資料が残っていない
- 発行機関へ申請しているが、発行までに長期間かかる
代替資料としては、次のようなものが考えられます。
- 契約書に代わる発注書、請求書、納品書、入金記録
- 在職証明書に代わる給与明細、源泉徴収票、雇用保険や社会保険の記録
- 取引実績を示すメール、送金記録、見積書
- 通信記録に代わる写真、渡航記録、家族との交流資料
- 海外証明書の取得を申請中であることを示す受付票やメール
- 資料が存在しない経緯を説明する理由書
- 関係者が作成した説明書や申述書
代替資料は、もともと求められた資料と同じ証明力を持つとは限りません。申請人本人が作成した説明書だけでなく、第三者が作成した資料や客観的な記録を可能な範囲で組み合わせることが重要です。
提出できない理由を説明しないまま資料を欠いた状態で提出すると、単なる提出漏れや資料不足と受け取られる可能性があります。
6.外国語資料と翻訳にも時間を見込む
追加資料が外国語で作成されている場合には、原則として日本語の訳文を添付します。
出入国在留管理庁の在留資格別の提出書類案内でも、外国語で作成された提出資料には日本語訳を添付するよう案内されています。
翻訳を準備する際には、次の点を確認します。
- 氏名、会社名、学校名、住所
- 日付
- 金額と通貨
- 役職や職務内容
- 証明書の発行機関
- 証明書番号
- 原文と訳文の対応
- 訳文の欠落がないか
資料を取得した後で翻訳が必要だと分かり、期限に間に合わなくなることもあります。海外資料を取り寄せる場合には、取得日数だけでなく、翻訳に必要な日数も見込んで準備してください。
7.窓口・郵送・オンラインで提出方法が異なる
追加資料の提出方法は、最初の申請方法や入管からの通知内容によって異なります。
窓口や郵送で提出する場合には、通知書に記載された提出先、申請番号の記載方法、送付方法などを確認します。
オンライン申請の場合、出入国在留管理庁は、地方出入国在留管理官署から追加資料の提出依頼を受けた場合、オンラインで追加資料を提出できることを案内しています。具体的な提出方法や必要な申告書については、「オンラインでの申請手続に関するQ&A」と、実際に届いた通知の指示を確認してください。
提出後は、次の記録を保存しておきます。
- 提出した資料一式の写し
- 提出資料一覧
- 説明書・理由書の控え
- 送付状
- 郵送や配送の追跡記録
- オンライン送信結果
- 入管へ連絡した日時と確認内容
追加資料を提出した事実だけでなく、「いつ、何を、どの方法で提出したか」を後から確認できる状態にしておくことが大切です。
8.よくある注意点
追加資料の提出期限に関しては、次の点に注意が必要です。
- 期限を過ぎても入管へ連絡しない
- 連絡すれば自動的に期限が延長されると考える
- 求められている資料の意味を誤解している
- 一部資料だけを提出し、未提出資料の説明をしない
- 取得を申し込んだ証拠や取得予定を示していない
- 外国語資料を日本語訳なしで提出する
- 申請時の内容と追加資料の内容が矛盾している
- 会社側と本人側で準備状況を共有していない
- 期限直前まで資料の取得に着手しない
- 代替資料を検討していない
- 提出資料の控えや送付記録を残していない
- 通知書に指定された提出方法を確認していない
申請書や提出済み資料そのものに誤りや記載漏れがある場合には、「Ⅴ-12.入管申請で提出書類に不備があった場合の対応」もご確認ください。
9.まとめ
追加資料の提出期限に間に合わない場合には、まず求められている資料、提出期限、提出方法を正確に確認することが重要です。
資料が期限までにそろわない可能性がある場合には、期限前に事情を整理し、通知書に記載された担当部署や申請先へ対応を相談します。
そのうえで、期限までに提出できる資料、未提出となる資料、提出できない理由、取得状況、取得予定日、代替資料を明確にし、必要に応じて説明書を付けます。
期限延長や後日の提出が当然に認められるわけではありません。自己判断で期限を過ぎるのではなく、早い段階で準備状況を確認し、入管の指示に従って対応することが大切です。
10.行政書士事務所への相談・お問い合わせ
追加資料への対応では、通知書に記載された資料を集めるだけでなく、入管が何を確認しようとしているのかを把握し、申請時の内容と矛盾しない資料や説明を準備する必要があります。
行政書士TMY総合法務事務所では、追加資料通知の内容確認、提出資料の整理、提出できない資料の代替方法の検討、説明書・理由書の作成、申請書類の確認、入管への申請取次などについてご相談を承ります。
「期限までに資料がそろわない」「何を提出すればよいか分からない」「通知書の意味が分からない」「申請時の説明と追加資料に違いがある」といった場合には、できるだけ期限に余裕がある段階でご相談ください。
相談方法、対応内容等の詳細は、「行政書士TMY総合法務事務所へのお問い合わせ」をご確認のうえ、ご連絡ください。
※行政書士に依頼した場合でも、許可・交付が保証されるものではありません。許可・不許可等を判断するのは出入国在留管理庁です。
11.次に読みたい関連記事
- Ⅴ-6.入管から追加資料を求められた場合の対応
- Ⅴ-5.入管申請の理由書には何を書くべきか
- Ⅴ-12.入管申請で提出書類に不備があった場合の対応
- Ⅴ-8.再申請をする前に整理すべきポイント
- 在留資格申請手続きガイド|認定・変更・更新・資格外活動・再入国
- 申請手続きと不許可対応の記事一覧
12.参考資料・出典
- 在留資格「技術・人文知識・国際業務」(出入国在留管理庁)
- 在留資格「経営・管理」(出入国在留管理庁)
- オンラインでの申請手続に関するQ&A(出入国在留管理庁)
- 地方出入国在留管理官署(出入国在留管理庁)
- 外国人在留総合インフォメーションセンター等(出入国在留管理庁)

