Ⅰ-18.外国人雇用状況届出とは?会社が忘れてはいけない届出

外国人を雇用する会社には、外国人雇用状況届出という重要な届出があります。

外国人雇用状況届出は、外国人を雇い入れたときだけでなく、離職したときにも必要です。

採用時の在留カード確認や在留資格の確認に意識が向きやすい一方で、この届出を忘れてしまう会社もあります。

この記事では、外国人雇用状況届出とは何か、誰を対象に、いつ、どのように届け出るのかを整理します。

外国人を採用する前に確認すべき在留資格の基本については、「外国人を採用する前に企業が確認すべき在留資格の基本」もあわせてご参照ください。


1.外国人雇用状況届出とは

外国人雇用状況届出とは、外国人労働者を雇い入れたとき、または離職したときに、事業主がハローワークへ届け出る制度です。

厚生労働省は、外国人の雇入れおよび離職の際に、原則としてすべての事業主が外国人雇用状況届出を行う必要があると案内しています

届出を怠ったり、虚偽の届出をしたりした場合には、30万円以下の罰金の対象となることがあります。

この届出は、外国人労働者の雇用状況を把握し、雇用管理の改善や離職した外国人に対する再就職支援などに活用することを目的としています。


2.届出が必要な外国人

外国人雇用状況届出の対象となるのは、原則として、外国人労働者を雇用する場合です。

正社員だけでなく、契約社員、パート、アルバイトなど、雇用形態にかかわらず対象となります。留学生や「家族滞在」の外国人を、資格外活動許可の範囲内でアルバイトとして雇用する場合や、技能実習生を受け入れる場合も、原則として届出が必要です。

ただし、次の方は届出対象から除かれます。

  • 在留資格「外交」の方
  • 在留資格「公用」の方
  • 特別永住者

厚生労働省の外国人雇用管理指針でも、同指針における「外国人」から、特別永住者ならびに在留資格が「外交」および「公用」の方を除くものとされています。


3.雇入れ時と離職時の両方で必要

外国人雇用状況届出は、外国人を雇い入れたときだけでなく、離職したときにも必要です。

場面届出の要否
外国人を新たに雇った必要
外国人が自己都合で退職した必要
会社都合で外国人が離職した必要
雇用契約の期間満了により離職した必要
雇用保険に加入しない短時間勤務者を雇った必要
在留資格が「外交」「公用」である対象外
特別永住者を雇った対象外

採用時の届出だけを行い、退職時の届出を忘れないように注意が必要です。

外国人社員の退職時に会社が確認すべき事項については、「外国人社員の退職時に会社が確認すべき入管・労務手続き」で解説しています。


4.雇用保険の被保険者かどうかで方法が変わる

外国人雇用状況届出の方法は、その外国人が雇用保険の被保険者となるかどうかによって異なります。

区分届出方法届出期限
雇用保険の被保険者となる外国人雇用保険被保険者資格取得届・資格喪失届に必要事項を記載して提出することで、外国人雇用状況届出を兼ねる雇入れは翌月10日まで、離職は離職日の翌日から起算して10日以内
雇用保険の被保険者とならない外国人外国人雇用状況届出書(様式第3号)を提出する雇入れ・離職ともに翌月末日まで

雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険被保険者資格取得届または資格喪失届を提出することにより、外国人雇用状況届出を行ったことになります。

電子申請を利用する場合は、e-Gov電子申請から雇用保険被保険者資格取得届または資格喪失届を提出します。

雇用保険の被保険者とならない外国人については、外国人雇用状況届出書(様式第3号)を、勤務する事業所を管轄するハローワークへ提出します。

インターネットを利用して届け出る場合は、厚生労働省の外国人雇用状況届出システムを利用できます。

使用する様式や電子申請の方法は変更されることがあるため、実際に届け出る際は、厚生労働省「外国人雇用状況の届出について」で最新情報を確認してください。


5.届出の際に確認する情報

外国人雇用状況届出では、主に次の情報を確認します。

確認事項確認内容
氏名在留カードや旅券の記載と一致しているか
在留資格「技術・人文知識・国際業務」「留学」「永住者」など
在留期間・在留期限在留カードに記載された期間と満了日
生年月日本人確認資料と一致しているか
性別在留カード等の記載を確認する
国籍・地域在留カード等の記載を確認する
資格外活動許可留学生や「家族滞在」の方などについて確認する
在留カード番号在留カード右上に記載された番号を確認する
雇入れ・離職年月日実際の雇入れ日または離職日を記載する

在留資格が「特定技能」の場合には、指定された分野を確認します。在留資格が「特定活動」の場合には、在留カードだけでは具体的な活動内容が分からないため、通常は旅券に添付されている指定書も確認する必要があります。

厚生労働省は、届出を行う際には、外国人労働者から在留カード、旅券または指定書等の提示を受け、届出事項を確認するよう案内しています。

届出時に、在留カードや旅券の写しをハローワークへ添付する必要はありません。

在留カードの確認方法、就労制限欄、資格外活動許可欄、特定活動の指定書などについては、「外国人採用で在留カードを確認する際の注意点」もあわせてご参照ください。


6.在留資格の確認とは別の手続き

外国人雇用状況届出をしたからといって、その外国人の就労が在留資格上問題ないと確認されたわけではありません。

外国人雇用状況届出は、外国人の雇入れ・離職の状況をハローワークへ届け出る制度です。

一方、在留資格の確認は、会社が採用時に在留カード、資格外活動許可、指定書、仕事内容などを確認し、予定する仕事をその外国人に担当させることができるかを判断するためのものです。

確認・手続き内容
在留資格の確認現在の在留資格で、会社が予定している業務に従事できるか確認する
外国人雇用状況届出外国人の雇入れ・離職をハローワークへ届け出る

この2つは目的が異なるため、どちらか一方を行えば足りるものではありません。

例えば、在留資格「技術・人文知識・国際業務」を持っている外国人について外国人雇用状況届出を行っても、店舗での接客、製造現場、倉庫作業など、実際に担当させる仕事が在留資格の範囲に適合することまでハローワークが確認してくれるわけではありません。

会社は、外国人雇用状況届出とは別に、在留資格と実際の職務内容との整合性を確認する必要があります。

在留資格と仕事内容を確認する基本的な考え方については、「外国人を採用する前に企業が確認すべき在留資格の基本」をご参照ください。


7.よくある注意点

外国人雇用状況届出では、次のようなミスが起こりやすいです。

  • 雇入れ時だけ届け出て、離職時の届出を忘れる
  • 雇用保険に加入しない短時間勤務者の届出を忘れる
  • 留学生のアルバイトは対象外だと誤解する
  • 在留カード番号の記載を忘れる
  • 在留カードの記載内容を確認せず、本人から聞いた情報だけで届け出る
  • 在留資格「特定活動」であるにもかかわらず、指定書を確認しない
  • 特別永住者も届出対象であると誤解する
  • 雇用保険の被保険者とならない外国人について、様式第3号の提出を忘れる
  • 雇用保険の被保険者用の電子申請と、外国人雇用状況届出システムを混同する
  • 届出期限を過ぎてしまう
  • 外国人雇用状況届出を行えば、在留資格上も問題がないと考えてしまう
  • 外国人社員の在留期限を採用後に確認していない

外国人を継続的に雇用する会社では、採用担当者だけに任せるのではなく、人事・総務部門が在留カード確認、在留期限管理、職務内容管理、雇入れ・離職時の届出を一体として管理することが重要です。

在留期限の具体的な管理方法については、「外国人社員の在留期限管理を会社で行う方法」で解説しています。

また、社内で整えておきたい管理体制については、「外国人雇用を継続する企業が整えておきたい社内管理体制」もご参照ください。


8.まとめ

外国人雇用状況届出は、外国人を雇い入れたとき、または離職したときに、事業主が行う重要な届出です。

雇用保険の被保険者となる外国人については、雇用保険被保険者資格取得届または資格喪失届に必要事項を記載して提出することにより、外国人雇用状況届出を兼ねます。

雇用保険の被保険者とならない外国人については、外国人雇用状況届出書(様式第3号)を提出します。

この届出は、在留資格や就労可能な仕事内容を確認する手続きとは異なります。

外国人を雇用する会社は、次の事項を一体として管理することが大切です。

  • 採用時の在留カード確認
  • 在留資格と仕事内容の整合性の確認
  • 資格外活動許可や指定書の確認
  • 外国人雇用状況届出
  • 採用後の在留期限管理
  • 退職時の届出と本人への案内

9.在留資格・外国人雇用のご相談

外国人雇用状況届出を行っても、その外国人が予定している仕事に従事できるかどうかが確認されるわけではありません。

採用予定者の在留資格で予定業務を行えるか分からない場合、在留カードや指定書の確認方法に迷う場合、在留資格変更や更新手続きが必要か判断できない場合は、申請取次行政書士が在籍する行政書士TMY総合法務事務所までご相談ください。

個別の在留資格、職務内容、雇用条件などを確認し、会社が採用前後に整理すべき入管手続きや資料をご案内します。

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