Ⅶ-6.海外子会社・関連会社から外国人社員を受け入れる場合の注意点

Ⅶ 高度人材・企業内転勤・グローバル人材

海外子会社や関連会社から外国人社員を日本へ受け入れる場合、在留資格の選択と会社間関係の整理が重要になります。

グローバル企業では、海外子会社の社員を日本本社へ転勤させる、海外関連会社の社員を日本法人へ一定期間派遣する、海外拠点の幹部候補を日本で育成する、といったケースがあります。

企業からは、次のような相談を受けることがあります。

・海外子会社の社員を日本本社へ呼ぶ場合、企業内転勤でよいですか
・関連会社や合弁会社からでも企業内転勤を使えますか
・会社間の資本関係はどこまで必要ですか
・海外で1年以上働いていればよいですか
・日本で研修させる場合も企業内転勤ですか
・日本法人で雇用し直す場合はどうなりますか
・海外子会社からの出向契約は必要ですか

海外子会社・関連会社から外国人社員を受け入れる場合、単にグループ会社であるという説明だけでは足りません。

日本側と海外側の関係、本人の海外勤務実績、日本での職務内容、転勤期間、報酬、契約関係を整理する必要があります。

まず在留資格を検討する

海外子会社・関連会社から外国人社員を日本へ受け入れる場合、主に次の在留資格を検討します。

ケース検討する在留資格
海外拠点から日本へ期間を定めて転勤する企業内転勤
日本法人で直接雇用する技術・人文知識・国際業務
日本で事業の経営又は管理を行う経営・管理
高度人材ポイントに該当する高度専門職
短期の会議・打合せ・視察短期滞在

最初に確認すべきなのは、日本で何をするのかです。

海外子会社の社員であっても、日本で行う活動によって在留資格は変わります。

企業内転勤を検討するケース

海外子会社・関連会社の社員を日本へ一定期間転勤させる場合、企業内転勤を検討します。

企業内転勤は、外国にある事業所の職員が、日本にある事業所へ期間を定めて転勤し、技術・人文知識・国際業務に該当する活動を行う場合の在留資格です。
(出典:在留資格「企業内転勤」 出入国在留管理庁ウェブサイトより)

たとえば、次のようなケースです。

・海外子会社のエンジニアを日本の開発部門へ転勤させる
・海外販売会社の営業担当を日本本社の海外営業部へ呼ぶ
・海外工場の品質管理担当を日本本社で研修・実務配置する
・海外拠点の管理職候補を日本で一定期間勤務させる
・外国本社の社員を日本支店へ転勤させる

ただし、企業内転勤では、日本で行う業務が専門的・技術的な内容である必要があります。

海外子会社の社員であっても、日本で単純作業や現場作業を行わせることはできません。

会社間関係を説明する

海外子会社・関連会社から社員を受け入れる場合、海外側と日本側の会社関係を説明することが重要です。

確認すべき資料は、次のとおりです。

・親会社、子会社、関連会社の関係図
・資本関係が分かる資料
・株主構成
・登記事項証明書
・海外法人の登記資料
・グループ会社一覧
・組織図
・合弁契約書
・業務提携契約書
・会社案内
・ウェブサイト情報

特に、関連会社や合弁会社から受け入れる場合は、単なる取引先との違いを説明する必要があります。

資本関係や支配関係、継続的な事業連携が分かる資料を整理しておくことが大切です。

海外勤務実績の確認

企業内転勤では、転勤直前に外国にある事業所で継続して1年以上勤務していることが重要です。

上陸基準省令でも、転勤の直前に勤務した外国の機関において、一定の業務に従事していた期間が継続して1年以上あることが基準として定められています。
(出典:出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令 e-Gov法令検索より)

確認すべき資料は、次のとおりです。

・在職証明書
・雇用契約書
・給与支払証明
・税務資料
・社会保険加入証明
・職務内容証明書
・辞令
・組織図
・海外勤務時の職務経歴

海外子会社に1年以上在籍していても、実際の業務内容が不明確であれば説明が難しくなります。

海外で何をしていたか、日本で何をするかをつなげて説明することが重要です。

日本での業務内容を整理する

海外子会社・関連会社から社員を受け入れる場合、日本での業務内容を具体的に整理します。

企業内転勤であっても、技術・人文知識・国際業務であっても、日本での業務が専門的・技術的である必要があります。

対象となりやすい業務は、次のようなものです。

・海外営業
・貿易実務
・通訳、翻訳
・海外拠点との調整
・システム開発
・機械設計
・品質管理
・生産技術
・マーケティング
・商品企画
・経営企画
・管理部門業務

一方、次のような業務が中心になる場合は注意が必要です。

・製造ライン作業
・倉庫作業
・清掃
・配送補助
・販売補助
・皿洗い、配膳
・現場作業のみ
・単純な研修作業

日本での職務内容を説明するためには、職務内容説明書、配属部署、上司、担当業務、業務割合、研修計画などを準備するとよいでしょう。

日本法人で直接雇用する場合

海外子会社・関連会社の社員を日本法人で直接雇用する場合は、企業内転勤ではなく、技術・人文知識・国際業務を検討することがあります。

たとえば、次のような場合です。

・海外子会社を退職し、日本法人に入社する
・日本法人の正社員として採用する
・日本で長期的に働く予定である
・海外拠点への帰任予定がない
・日本法人の雇用契約に切り替える

この場合、本人の学歴・職歴と日本での業務内容の関連性が重要になります。

海外子会社での勤務経験は有利な事情になることがありますが、それだけで技術・人文知識・国際業務が認められるわけではありません。

役員・管理職として受け入れる場合

海外子会社・関連会社の役員や管理職を日本へ呼ぶ場合、在留資格「経営・管理」や「高度専門職」を検討することがあります。

日本で事業の経営又は管理に従事する場合は、経営・管理が問題になります。

出入国在留管理庁は、経営・管理について、日本で貿易その他の事業の経営を行い、又はその事業の管理に従事する活動を対象とし、該当例として企業等の経営者・管理者を挙げています。
(出典:在留資格「経営・管理」 出入国在留管理庁ウェブサイトより)

単なる専門職としての転勤なのか、日本法人の経営又は管理を行うのかによって、在留資格の選択が変わります。

まとめ

海外子会社・関連会社から外国人社員を受け入れる場合は、会社間関係、海外勤務実績、日本での業務内容、雇用・出向関係を整理する必要があります。

この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。

・海外子会社や関連会社から社員を受け入れる場合、まず日本での活動内容から在留資格を検討する
・期間を定めた転勤であれば企業内転勤を検討する
・日本法人で直接雇用する場合は技術・人文知識・国際業務を検討する
・日本で経営又は管理を行う場合は経営・管理を検討する
・企業内転勤では、海外拠点での継続1年以上の勤務が重要である
・海外側と日本側の会社関係を資料で説明する必要がある
・日本で行う業務は専門的・技術的な内容である必要がある
・単なる取引先や外注先の社員は企業内転勤に該当しない可能性がある
・給与、手当、出向契約、社会保険、税務の整理も重要である

海外グループから日本へ社員を受け入れる場合は、人事上の異動だけでなく、在留資格上の活動内容と会社関係を早めに確認することが大切です。

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参考資料・出典

在留資格「企業内転勤」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「技術・人文知識・国際業務」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「経営・管理」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令 e-Gov法令検索より