Ⅱ-14.外国人配偶者の連れ子を日本に呼ぶ場合の在留資格

日本人が外国人と結婚した場合、外国人配偶者に前婚の子どもがいることがあります。

このような場合に、よく相談されるのが次のような質問です。

「外国人配偶者の連れ子を日本に呼ぶことはできますか」

「日本人と結婚すれば、外国人配偶者の子どもも自動的に日本に住めますか」

「連れ子は『日本人の配偶者等』になりますか」

「子どもが18歳を過ぎている場合でも呼び寄せられますか」

外国人配偶者本人については、日本人と結婚している場合、在留資格「日本人の配偶者等」を検討することができます。

しかし、外国人配偶者の前婚の子ども、いわゆる「連れ子」は、日本人と血縁関係があるわけではありません。

そのため、外国人配偶者が「日本人の配偶者等」になれば、その子どもも当然に同じ在留資格を取得できる、というわけではありません。

連れ子を日本に呼ぶ場合には、通常、在留資格「定住者」を検討することになります。

この記事では、外国人配偶者の連れ子を日本に呼ぶ場合に、どの在留資格を検討するのか、どのような条件が問題になるのか、申請時に注意すべきポイントを解説します。

1.外国人配偶者本人と連れ子の在留資格は別に考える

まず、外国人配偶者本人と、その子どもの在留資格は別に考える必要があります。

日本人と結婚した外国人配偶者本人は、在留資格「日本人の配偶者等」を検討します。

在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者、日本人の特別養子又は日本人の子として出生した人を対象とする在留資格です。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

一方、外国人配偶者の前婚の子どもは、日本人の実子ではありません。

また、日本人の特別養子になっている場合などを除き、日本人の「子」として在留資格「日本人の配偶者等」に該当するわけでもありません。

したがって、外国人配偶者の連れ子については、通常、在留資格「定住者」を検討することになります。

2.連れ子の呼び寄せでは「定住者」を検討する

外国人配偶者の連れ子を日本に呼び寄せる場合、典型的には、在留資格「定住者」を検討します。

出入国在留管理庁の在留資格「定住者」の案内では、「永住者」「定住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」又は「特別永住者」のいずれかの方の扶養を受けて生活する、未成年で未婚の実子である場合が、定住者の類型として案内されています。
(出典:在留資格「定住者」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

また、出入国在留管理庁の提出書類一覧でも、「日本人の配偶者等」の在留資格で在留する方の扶養を受ける未成年で未婚の実子に係る提出書類が整理されています。
(出典:「定住者」(「日本人の配偶者等」の在留資格で在留する方の扶養を受ける未成年で未婚の実子)に係る提出書類一覧、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

ここで重要なのは、連れ子本人が「未成年で未婚の実子」であることです。

つまり、日本人の配偶者となった外国人の実子であり、その外国人親の扶養を受けて日本で生活することが前提になります。

3.「連れ子」なら誰でも呼べるわけではない

外国人配偶者の連れ子であれば、誰でも定住者として日本に呼べるわけではありません。

特に重要なのは、次の点です。

・外国人配偶者の実子であること
・未成年であること
・未婚であること
・日本で扶養を受けて生活すること
・親子関係を証明できること
・生活費や住居を説明できること
・本国で誰が養育していたのか説明できること
・日本に呼ぶ必要性があること

単に「配偶者の子どもだから一緒に住みたい」というだけでは足りません。

子どもの年齢、親子関係、これまでの養育状況、日本での生活予定を、資料に基づいて説明する必要があります。

4.18歳以上の子どもは特に注意が必要

連れ子の呼び寄せで特に注意すべきなのが、子どもの年齢です。

在留資格「定住者」のページでは、令和7年6月1日以降、18歳以上の方は「未成年・未婚の実子」として新規に在留資格「定住者」で入国することができない旨が案内されています。
(出典:在留資格「定住者」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

以前の感覚で「20歳未満なら未成年」と考えると、現在の制度理解とずれてしまうおそれがあります。

日本では成年年齢が18歳に引き下げられています。

そのため、外国人配偶者の連れ子を日本に呼ぶことを考えている場合には、子どもの年齢を早めに確認する必要があります。

特に、17歳のうちに申請準備を始めたものの、書類準備や審査の間に18歳になってしまうようなケースでは、慎重な検討が必要です。

5.「未婚」であることも重要

連れ子の定住者申請では、未成年であることに加えて、未婚であることも重要です。

すでに婚姻している子どもについては、「扶養を受ける未成年で未婚の実子」という類型に該当しません。

本国で法律上婚姻している場合、日本ではまだ若年であっても、定住者としての呼び寄せが難しくなる可能性があります。

確認すべき点は、次のとおりです。

・子どもが法律上婚姻していないか
・本国で婚姻登録がされていないか
・事実婚や同居相手がいないか
・子ども自身に子どもがいないか

国によっては、婚姻年齢や婚姻登録の扱いが異なります。

必要に応じて、未婚証明書や身分関係を示す資料を準備することがあります。

6.親子関係を証明する資料

連れ子を日本に呼ぶ場合、外国人配偶者と子どもの親子関係を証明する資料が必要です。

典型的には、次のような資料です。

・出生証明書
・親子関係が分かる戸籍、身分登録簿
・本国の公的機関が発行した親子関係証明書
・外国語書類の日本語訳
・必要に応じた認証、アポスティーユ等

外国語で作成された資料には、日本語訳文を添付する必要があります。

出入国在留管理庁の在留資格「日本人の配偶者等」の提出書類案内でも、外国語で作成された資料には日本語訳文を添付することが案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

国によっては、出生証明書に父母の氏名が明確に記載されていないことがあります。

その場合は、追加資料で親子関係を補足する必要があります。

7.親権・監護権を確認する必要がある

連れ子を日本に呼ぶ場合、親子関係だけでなく、誰が子どもを養育する権限を持っているかも問題になります。

前婚の相手方が本国にいる場合、外国人配偶者が日本に子どもを連れて来ることについて、相手方親の同意が必要になることがあります。

確認すべき点は、次のとおりです。

・前婚の離婚が成立しているか
・子どもの親権者は誰か
・監護者は誰か
・相手方親の同意があるか
・本国法上、国外移住に同意が必要か
・子どもが現在誰と生活しているか
・日本で誰が養育するか

国によって、親権、監護権、国外移住に関する扱いは異なります。

入管申請だけでなく、相手国の家族法上の問題が生じることもあるため、必要に応じて本国側の専門家確認が必要になることがあります。

8.これまで誰が子どもを養育していたか

連れ子を日本に呼ぶ場合、これまで誰が子どもを養育していたかも重要です。

たとえば、次のようなケースがあります。

・外国人配偶者本人が本国で子どもを養育していた
・祖父母が子どもを養育していた
・前配偶者が子どもを養育していた
・親族宅で生活していた
・寄宿学校や寮で生活していた

外国人配偶者が日本人と結婚して先に日本へ来た後、子どもを後から呼び寄せる場合には、なぜその時期に子どもを日本へ呼ぶのかを説明する必要があります。

特に、長期間子どもを本国の親族に預けていた場合には、なぜ今、日本で扶養する必要が生じたのかを丁寧に説明します。

たとえば、次のような事情です。

・子どもが進学年齢になった
・本国で養育していた祖父母が高齢になった
・前配偶者が養育できなくなった
・母子又は父子で一緒に生活する必要がある
・日本での生活基盤が整った
・日本語教育や学校の受入れ準備が整った

9.日本での扶養能力が確認される

連れ子を日本に呼ぶ場合、日本で誰が生活費を負担するのかが確認されます。

通常は、外国人配偶者本人、日本人配偶者、又はその双方が扶養することになります。

確認すべき資料としては、次のようなものがあります。

・住民税課税証明書
・住民税納税証明書
・源泉徴収票
・給与明細
・在職証明書
・預貯金通帳の写し
・住居資料
・同居予定を示す資料
・身元保証書
・扶養予定を説明する理由書

出入国在留管理庁の「定住者」の提出書類一覧では、申請人の滞在費用を証明する資料として、扶養者の住民税課税証明書及び納税証明書などが案内されています。
(出典:「定住者」(「日本人の配偶者等」の在留資格で在留する方の扶養を受ける未成年で未婚の実子)に係る提出書類一覧、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

収入が少ない場合でも、直ちに不許可になるわけではありません。

ただし、子どもを含めた生活費、住居、教育費をどのようにまかなうかを説明する必要があります。

10.学校や日本語の準備も重要

連れ子が日本で生活する場合、学校や日本語の問題も重要です。

特に、子どもが小学生、中学生、高校生相当の年齢である場合には、日本でどの学校に通うのか、日本語の学習をどうするのかを考えておく必要があります。

確認すべき点は、次のとおりです。

・日本で通う予定の学校
・学年相当年齢
・日本語能力
・本国での学歴
・日本語支援の有無
・自治体や学校との相談状況
・高校進学年齢の場合の進路
・子ども本人の来日意思

入管申請では、必ずしも学校の入学許可書まで求められるとは限りませんが、年齢が高い子どもを呼び寄せる場合には、日本での生活計画として学校や日本語学習の見通しを説明できる方がよいでしょう。

11.養子縁組をすればよいのか

外国人配偶者の連れ子について、日本人配偶者と養子縁組を検討するケースもあります。

ただし、養子縁組をすれば必ず在留資格が有利になる、という単純なものではありません。

在留資格「日本人の配偶者等」でいう「日本人の特別養子」は、民法上の特別養子を指します。

通常の普通養子縁組をしただけでは、「日本人の特別養子」として在留資格「日本人の配偶者等」に該当するわけではありません。

出入国在留管理庁の在留資格「日本人の配偶者等」のページでも、該当例として「日本人の方の夫又は妻、実子、特別養子など」と案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

養子縁組は、在留資格のためだけに行うものではありません。

親子関係、相続、扶養、国籍、本国法上の扱いなどにも影響する可能性があるため、慎重に検討する必要があります。

12.申請の基本的な流れ

外国人配偶者の連れ子を海外から日本に呼ぶ場合、一般的には在留資格認定証明書交付申請を行います。

在留資格認定証明書交付申請は、日本に入国しようとする外国人について、日本で行う活動や身分関係が在留資格に該当することを、入国前にあらかじめ確認するための申請です。
(出典:在留資格認定証明書交付申請、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

基本的な流れは、次のとおりです。

1.外国人配偶者と子どもの親子関係を確認する
2.子どもが未成年・未婚であるか確認する
3.日本で誰が扶養するか整理する
4.親権・監護権、相手方親の同意を確認する
5.出生証明書など本国書類を準備する
6.日本語訳を作成する
7.扶養者の収入資料、住居資料を準備する
8.日本での生活計画を理由書に整理する
9.在留資格認定証明書交付申請を行う
10.交付後、在外公館で査証申請を行う

子どもの年齢が高い場合や、親権関係が複雑な場合には、準備に時間がかかることがあります。

13.不許可・不交付になりやすいケース

連れ子の申請で注意が必要なのは、次のようなケースです。

・子どもが18歳以上である
・子どもが婚姻している
・親子関係を証明できない
・外国人配偶者が実際には子どもを扶養していない
・相手方親の同意がない
・本国での養育状況が不明確
・日本での生活費を説明できない
・住居が狭く、同居の見通しが不明確
・日本に呼ぶ必要性が説明できない
・子ども本人の来日意思が不明確

特に、子どもが年長である場合には、「なぜ今、日本に呼ぶのか」という点が重要になります。

14.まとめ

外国人配偶者の連れ子を日本に呼ぶ場合、外国人配偶者本人の在留資格とは別に、子ども自身の在留資格を検討する必要があります。

外国人配偶者が「日本人の配偶者等」になったからといって、その連れ子も当然に日本に住めるわけではありません。

典型的には、在留資格「定住者」を検討します。

特に重要なのは、次の点です。

・連れ子が外国人配偶者の実子であること
・未成年であること
・未婚であること
・日本で扶養を受けて生活すること
・親子関係を証明できること
・親権・監護権や相手方親の同意を確認すること
・日本での生活費、住居、学校の見通しを説明すること
・子どもが18歳になる前に早めに検討すること

連れ子の呼び寄せは、親子関係、扶養、教育、生活設計が関係する手続です。

単に「家族だから呼びたい」というだけではなく、日本で誰がどのように養育し、生活していくのかを具体的に整理することが大切です。

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参考資料・出典

在留資格「日本人の配偶者等」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「定住者」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
「定住者」(「日本人の配偶者等」の在留資格で在留する方の扶養を受ける未成年で未婚の実子)に係る提出書類一覧 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格認定証明書交付申請 出入国在留管理庁ウェブサイトより
出入国管理及び難民認定法 e-Gov法令検索より