6. 中小企業が外国人を雇用する際に注意すべきポイント

Ⅰ 外国人雇用・就労ビザ

中小企業でも、外国人を雇用する機会が増えています。

人材不足への対応、海外取引の拡大、外国人顧客への対応、専門人材の確保など、外国人雇用の目的は企業によってさまざまです。

一方で、中小企業が外国人を雇用する場合には、大企業とは異なる注意点があります。
会社の規模が小さいこと自体が問題になるわけではありませんが、事業内容、業務量、受入体制、雇用条件、在留資格との整合性を丁寧に説明する必要があります。

この記事では、中小企業が外国人を雇用する際に確認すべきポイントを整理します。


中小企業でも外国人雇用は可能

外国人を雇用する場合、会社の規模だけで許可・不許可が決まるわけではありません。

重要なのは、次の点です。

  • 会社に実際の事業活動があるか
  • 外国人に担当させる業務が在留資格に合っているか
  • その業務を行う必要性があるか
  • 本人の学歴・職歴と業務内容に関連性があるか
  • 報酬や労働条件が適切か
  • 継続して雇用できる見込みがあるか

中小企業の場合、組織図や部署が明確でないこともあります。
そのため、外国人社員がどのような立場で、どの業務を担当するのかを具体的に整理することが重要です。


会社の事業実態を説明できるか

中小企業の入管申請で重要になるのが、会社の事業実態です。

たとえば、次のような資料によって、実際に事業を行っていることを説明します。

資料説明する内容
会社案内事業内容、取扱商品、サービス内容
ホームページ事業の外部表示、取引内容
登記事項証明書会社の基本情報
決算書類売上、利益、財務状況
取引先資料取引の実態
契約書・請求書具体的な業務や取引
組織図配属先、担当業務、上司
事業計画書今後の事業展開

特に設立間もない会社、赤字決算の会社、従業員数が少ない会社では、事業の継続性や採用の必要性を丁寧に説明することが重要です。


仕事内容と在留資格の関係

外国人を雇用する場合、最も重要なのは、予定している仕事内容が在留資格に合っているかという点です。

たとえば「技術・人文知識・国際業務」では、専門的な知識や技術、または外国の文化に基づく思考・感受性を必要とする業務であることが求められます。出入国在留管理庁は、この在留資格の該当例として、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者などを挙げています。

一方で、単純作業や現場作業が中心の場合には、「技術・人文知識・国際業務」ではなく、特定技能など別の在留資格を検討すべき場合があります。

中小企業では、1人の社員が複数の業務を担当することがあります。
その場合でも、主たる業務が在留資格に合っているかを確認することが大切です。


「何でも担当」は説明が難しい

中小企業では、外国人社員に幅広い業務を任せたいと考えることがあります。

たとえば、次のような形です。

  • 通訳も営業も事務も担当してほしい
  • 海外取引も国内営業も任せたい
  • 店舗対応とマーケティングを兼任してほしい
  • 現場も覚えてもらい、将来は管理業務を任せたい

このような場合、業務内容を整理しないまま申請すると、在留資格との関係が不明確になります。

特に注意したいのは、実際には現場作業や単純作業が中心であるにもかかわらず、書類上は「通訳」「海外営業」「マーケティング」と記載してしまうケースです。

入管申請では、肩書きではなく、実際の仕事内容が重要です。


雇用条件・報酬水準の確認

外国人社員を雇用する場合、雇用条件も重要です。

特に「技術・人文知識・国際業務」では、日本人が同じ業務に従事する場合と同等額以上の報酬を受けることが求められています。出入国在留管理庁の資料でも、日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であることが要件として示されています。

中小企業では、給与規程が整備されていない場合もあります。
その場合でも、次の点は整理しておく必要があります。

  • 月給・年収
  • 賞与の有無
  • 勤務時間
  • 休日
  • 雇用期間
  • 業務内容
  • 日本人社員との比較
  • 社会保険加入の有無

外国人であることを理由に、同じ業務を行う日本人より低い報酬を設定することはできません。


外国人雇用状況の届出

外国人を雇用した場合、企業には外国人雇用状況の届出が義務付けられています。

厚生労働省は、外国人の雇入れ・離職の際に、すべての事業主が氏名、在留資格、在留期間などを確認し、ハローワークへ届け出る必要があると案内しています。届出を怠った場合や虚偽の届出をした場合には、30万円以下の罰金の対象となります。

この届出は、入管への在留資格申請とは別の、雇用主としての手続きです。


中小企業が準備しておきたい体制

外国人を継続的に雇用する場合、中小企業でも最低限の受入体制を整えておくことが望ましいです。

項目内容
在留カード確認在留資格・期限・就労制限を確認
雇用契約書業務内容・報酬・勤務条件を明確化
職務内容説明書実際に担当する業務を具体化
期限管理在留期限・更新時期を管理
届出管理外国人雇用状況届出、所属機関届出の確認
社会保険・税務日本人社員と同様に適切に処理
相談窓口社内で確認担当者を決める

特に在留期限の管理は重要です。
更新時期を見落とすと、本人の在留に影響するだけでなく、企業側の雇用継続にも影響します。


よくある注意点

中小企業が外国人を雇用する場合、次の点に注意が必要です。

  • 在留カードの確認だけで採用判断をしている
  • 仕事内容を具体的に説明できない
  • 雇用契約書の職務内容が曖昧
  • 実際には単純作業や現場作業が中心になっている
  • 会社の事業実態を示す資料が不足している
  • 会社設立直後で事業計画の説明が不十分
  • 報酬水準が低すぎる
  • 在留期限の管理ができていない
  • 外国人雇用状況の届出を忘れている
  • 社会保険や税務の処理が不十分

中小企業では、人事・労務・入管手続きを一人の担当者が兼務していることもあります。
そのため、採用前に確認すべき事項をチェックリスト化しておくとよいでしょう。


まとめ

中小企業でも、外国人を雇用することは可能です。

ただし、会社の規模が小さい場合や設立間もない場合には、事業実態、採用の必要性、職務内容、雇用条件を丁寧に整理する必要があります。

確認すべきポイントは、次のとおりです。

  • 会社に実際の事業活動があるか
  • 外国人に担当させる業務が在留資格に合っているか
  • 本人の学歴・職歴と業務内容に関連性があるか
  • 報酬・勤務条件が適切か
  • 在留期限や届出を管理できるか
  • 外国人雇用状況の届出を忘れないか

外国人雇用では、採用前の確認と、採用後の管理の両方が重要です。


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