Ⅱ-9.短期滞在で来日中に結婚した場合、在留資格変更はできるのか

外国人の方が「短期滞在」で日本に来ている間に、日本人と結婚することがあります。

たとえば、海外に住んでいる外国人の交際相手が、観光や親族訪問のために日本へ来日し、その滞在中に婚姻届を提出するケースです。

このような場合に、よく相談されるのが、次のような質問です。

「短期滞在で日本にいる間に結婚したので、そのまま配偶者ビザに変更できますか」

「一度帰国せずに、日本国内で『日本人の配偶者等』へ変更できますか」

「婚姻届を出せば、そのまま日本に住めるようになりますか」

結論からいえば、短期滞在中に日本人と結婚したとしても、それだけで当然に日本に住み続けられるわけではありません。

また、短期滞在から他の在留資格への変更は、入管法上、原則として簡単には認められません。

ただし、絶対に変更できないというわけでもありません。事情によっては、短期滞在から「日本人の配偶者等」への在留資格変更が認められる可能性があります。

この記事では、短期滞在で来日中に結婚した場合、在留資格変更はできるのか、原則と例外、必要となる手続き、注意すべきポイントを解説します。

なお、一般には「配偶者ビザ」と呼ばれることがありますが、この記事では、正確な制度上の用語として、主に在留資格「日本人の配偶者等」と表記します。

  1. 1.短期滞在とはどのような在留資格か
  2. 2.日本人と結婚すれば自動的に在留資格がもらえるわけではない
  3. 3.短期滞在から在留資格変更は原則として難しい
  4. 4.原則的な手続きは「在留資格認定証明書交付申請」
  5. 5.では、短期滞在中に変更が認められることはあるのか
  6. 6.短期滞在中に結婚した場合の基本的な流れ
  7. 6-1.まず婚姻手続きを行う
  8. 6-2.婚姻が戸籍に反映された資料を準備する
  9. 6-3.外国側でも婚姻が有効に扱われるか確認する
  10. 6-4.国内変更にするか、帰国して認定申請にするかを判断する
  11. 7.在留資格変更許可申請をする場合の注意点
  12. 7-1.在留期限を過ぎないようにする
  13. 7-2.短期滞在で入国した経緯を説明できるようにする
  14. 7-3.婚姻の実体を具体的に説明する
  15. 7-4.生活の安定性を説明する
  16. 8.短期滞在からの変更が難しいケース
  17. 8-1.婚姻届を出しただけで夫婦の実体が乏しい場合
  18. 8-2.短期滞在を繰り返して長期滞在している場合
  19. 8-3.過去の在留状況に問題がある場合
  20. 8-4.必要書類がそろわない場合
  21. 9.短期滞在から変更する場合に準備したい主な資料
  22. 10.帰国して認定申請をした方がよいケース
  23. 11.短期滞在から変更を検討すべきケース
  24. 12.「結婚したから大丈夫」と考えないことが重要
  25. 13.行政書士に相談する際に準備しておきたい資料
  26. 14.まとめ
  27. 参考資料・出典
  28. 次に読みたい関連記事

1.短期滞在とはどのような在留資格か

まず、「短期滞在」とはどのような在留資格かを確認します。

短期滞在は、日本に短期間滞在して、観光、保養、スポーツ、親族訪問、見学、講習・会合への参加、業務連絡などを行うための在留資格です。

観光や親族訪問、短期の商用目的などで来日する場合に使われる在留資格であり、日本に中長期間住むことを予定した在留資格ではありません。

また、短期滞在では、原則として日本で報酬を受ける就労活動はできません。

短期滞在は、日本に短期間滞在して行う観光、保養、スポーツ、親族訪問、見学、講習又は会合への参加、業務連絡その他これらに類似する活動を対象とする在留資格です。
(出典:在留資格「短期滞在」、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

短期滞在で日本に入国する場合、入国時には「短期間で帰国すること」が前提になっています。

そのため、短期滞在中に日本人と結婚したとしても、当然に日本での中長期在留へ切り替えられるわけではありません。

ここが、まず重要なポイントです。

2.日本人と結婚すれば自動的に在留資格がもらえるわけではない

日本人と結婚した外国人は、在留資格「日本人の配偶者等」を検討することができます。

在留資格「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者、日本人の特別養子、日本人の子として出生した人を対象とする在留資格です。

出入国在留管理庁の在留資格一覧では、「日本人の配偶者等」は、日本人の配偶者若しくは特別養子又は日本人の子として出生した者を対象とし、在留期間は5年、3年、1年又は6月とされています。
(出典:在留資格一覧表、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

しかし、ここで注意しなければならないのは、「日本人と婚姻したこと」と「在留資格が許可されること」は別の問題だという点です。

日本人と有効に結婚した場合でも、入管では、次のような点が確認されます。

・法律上有効な婚姻が成立しているか
・夫婦としての実体があるか
・交際経緯に不自然な点がないか
・同居予定や生活実態があるか
・日本での生活費をまかなえるか
・過去の在留状況に問題がないか
・虚偽申請や偽装婚の疑いがないか

つまり、婚姻届を提出しただけで、在留資格が自動的に付与されるわけではありません。

入管は、法律上の婚姻だけでなく、夫婦としての実体や生活の安定性、申請内容の信ぴょう性を確認します。

3.短期滞在から在留資格変更は原則として難しい

短期滞在で来日中に結婚した場合、最も重要なのは、短期滞在から他の在留資格への変更が、入管法上、原則として認められにくいという点です。

入管法では、在留資格変更許可申請について、法務大臣が在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があるときに限り許可することができるとされています。

さらに、短期滞在の在留資格をもって在留する人については、「やむを得ない特別の事情」に基づくものでなければ許可しないものとされています。

出入国在留管理庁のQ&Aでも、短期滞在から他の在留資格への変更について、入管法では「やむを得ない特別の事情」に基づくものでなければ許可しないものとされているため、原則として認められないと説明されています。また、日本に中長期間在留することを希望する場合は、在留資格認定証明書交付申請を行うことが案内されています。
(出典:出入国審査・在留審査Q&A・Q55、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

したがって、短期滞在中に結婚したからといって、当然に「日本人の配偶者等」への在留資格変更ができるわけではありません。

原則は、いったん帰国し、日本側で在留資格認定証明書交付申請を行い、在外公館で査証を取得してから来日する流れです。

4.原則的な手続きは「在留資格認定証明書交付申請」

短期滞在中に日本人と結婚した場合でも、原則的な手続きは、在留資格認定証明書交付申請です。

在留資格認定証明書交付申請とは、日本に入国しようとする外国人について、日本で行おうとする活動が在留資格に該当し、上陸のための条件に適合していることを、入国前にあらかじめ確認するための申請です。

日本人の配偶者を海外から呼び寄せる場合には、日本側の配偶者などが代理人となって、居住予定地を管轄する地方出入国在留管理官署に在留資格認定証明書交付申請を行うのが一般的です。

在留資格認定証明書交付申請は、日本で行おうとする活動が在留資格に該当し、上陸のための条件に適合していることを入国前に証明するための申請であり、申請先は居住予定地等を管轄する地方出入国在留管理官署とされています。
(出典:在留資格認定証明書交付申請、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

この方法では、外国人配偶者はいったん帰国し、日本側で在留資格認定証明書が交付された後、その証明書を使って在外公館で査証申請を行い、日本へ入国します。

短期滞在中に結婚した場合でも、入管が通常想定しているのは、このような流れです。

5.では、短期滞在中に変更が認められることはあるのか

短期滞在から「日本人の配偶者等」への変更は、原則として難しいものの、事情によっては認められる可能性があります。

ポイントは、「やむを得ない特別の事情」があるかどうかです。

どのような場合がこれに当たるかは、個別判断になります。

たとえば、次のような事情がある場合には、国内での変更を検討する余地があります。

・既に日本で婚姻が成立している
・日本人配偶者との婚姻実体が明確である
・夫婦として日本で生活する具体的な予定がある
・妊娠、出産、病気、介護など、人道上配慮すべき事情がある
・一度帰国すると再来日までに大きな支障が生じる
・在留期限内に必要資料をそろえて申請できる
・過去の在留状況に大きな問題がない
・入国時の目的とその後の事情の変化を合理的に説明できる

一方で、単に「日本で結婚した」「帰国するのが面倒」「航空券代がかかる」「日本で一緒に暮らしたい」というだけでは、やむを得ない特別の事情として十分とはいえない場合があります。

また、入管庁Q&Aでは、単に日本に在留中に在留資格認定証明書が交付されたことをもって、やむを得ない特別の事情に該当するものではないとされています。
(出典:出入国審査・在留審査Q&A・Q55、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

つまり、短期滞在中に在留資格認定証明書が交付されたとしても、それだけで当然に国内変更が許可されるわけではありません。

短期滞在からの変更を考える場合には、なぜ一度帰国するのではなく、日本国内で変更する必要があるのかを、具体的に説明する必要があります。

6.短期滞在中に結婚した場合の基本的な流れ

短期滞在で来日中に日本人と結婚し、在留資格「日本人の配偶者等」を検討する場合、基本的には次の流れになります。

6-1.まず婚姻手続きを行う

最初に、法律上有効な婚姻を成立させる必要があります。

日本で婚姻する場合、通常は市区町村役場に婚姻届を提出します。

外国人との婚姻届では、相手方外国人の国籍、婚姻要件具備証明書、パスポート、外国語書類の日本語訳などが問題になります。

横浜市の婚姻届の案内では、外国籍の人との婚姻届の提出には、婚姻届、届出人の本人確認書類、外国籍の人の国籍を証明する書面又はパスポート、婚姻要件具備証明書、外国語書類がある場合の日本語訳文などが必要とされています。
(出典:婚姻届、横浜市ウェブサイトより)

また、法務省民事局のQ&Aでは、国際結婚や海外での出生等に関する戸籍の取扱いについて説明されています。
(出典:国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A、法務省ウェブサイトより)

婚姻要件具備証明書とは、一般に、その人が本国法上婚姻できる要件を備えていることを証明する書類です。

ただし、国によって必要書類や発行機関、翻訳、認証の要否が異なります。

そのため、短期滞在中に婚姻届を提出する場合は、来日前から必要書類を確認しておくことが重要です。

6-2.婚姻が戸籍に反映された資料を準備する

日本人と外国人が日本で婚姻届を提出した場合、日本人配偶者の戸籍に婚姻の事実が記載されます。

在留資格「日本人の配偶者等」の申請では、日本人配偶者の戸籍謄本が重要な資料になります。

出入国在留管理庁の「日本人の配偶者等」の提出書類では、日本人配偶者の戸籍謄本について、申請人との婚姻事実の記載があるものが必要とされています。婚姻事実の記載がない場合には、戸籍謄本に加えて婚姻届出受理証明書の提出が案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

婚姻届を提出してすぐに戸籍へ反映されない場合もあります。

その場合、婚姻届受理証明書を取得し、戸籍謄本とあわせて提出することを検討します。

6-3.外国側でも婚姻が有効に扱われるか確認する

日本で婚姻届が受理されたとしても、外国人配偶者の国でどのように婚姻が扱われるかは、国によって異なります。

入管の提出書類では、申請人の国籍国の機関から発行された結婚証明書も求められています。

出入国在留管理庁の提出書類では、申請人の国籍国の機関から発行された結婚証明書の提出が案内されています。韓国籍等で戸籍謄本が発行される場合には、婚姻が記載された外国機関発行の戸籍謄本でも差し支えないとされています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

ただし、国によっては、日本で婚姻届を出した後、在日大使館や本国機関へ婚姻登録を行う必要があります。

また、国によっては結婚証明書の発行に時間がかかることがあります。

短期滞在の在留期限内に変更申請を考える場合には、この外国側の結婚証明書を準備できるかが実務上の大きなポイントになります。

6-4.国内変更にするか、帰国して認定申請にするかを判断する

婚姻が成立した後、次に検討すべきなのは、短期滞在から国内で在留資格変更許可申請を行うのか、いったん帰国して在留資格認定証明書交付申請を行うのかです。

原則は、いったん帰国して認定申請を行う方法です。

国内変更を検討する場合は、次の点を確認します。

・短期滞在の在留期限までに申請できるか
・婚姻事実を示す資料がそろっているか
・外国側の結婚証明書を準備できるか
・質問書、身元保証書、住民税課税証明書、納税証明書などを準備できるか
・夫婦としての交際経緯や婚姻実体を説明できるか
・日本国内で変更すべき特別な事情があるか
・過去の在留状況に問題がないか

短期滞在中に結婚したからといって、必ず国内変更を選ぶべきとは限りません。

むしろ、資料が不十分なまま無理に変更申請をするより、一度帰国し、認定申請として丁寧に資料を整えた方がよい場合もあります。

7.在留資格変更許可申請をする場合の注意点

短期滞在から「日本人の配偶者等」への在留資格変更を申請する場合には、通常の配偶者申請以上に慎重な準備が必要です。

7-1.在留期限を過ぎないようにする

短期滞在の在留期限内に申請する必要があります。

在留期限を過ぎてしまうと、不法残留の問題が生じます。

また、短期滞在の在留期間は、15日、30日、90日など短いことが多く、婚姻届、戸籍反映、外国側結婚証明書、質問書、身元保証書、収入資料などをすべて準備するには時間が足りないことがあります。

そのため、短期滞在中に結婚して国内変更を考える場合は、早い段階で必要資料を確認する必要があります。

7-2.短期滞在で入国した経緯を説明できるようにする

短期滞在で入国した時点では、観光、親族訪問、交際相手訪問などの目的で入国しているはずです。

入国時から日本に長期滞在するつもりで短期滞在を利用していたように見える場合、審査上問題になる可能性があります。

たとえば、次のような事情がある場合は、説明が必要になることがあります。

・入国直後に婚姻届を出している
・来日前から日本で長期滞在する予定だったように見える
・帰国予定の航空券がない
・短期滞在で何度も来日して長期間滞在している
・過去にも短期滞在からの変更を試みたことがある
・交際期間や婚姻経緯の説明が不自然である

もちろん、短期滞在中に結婚すること自体が直ちに違法というわけではありません。

しかし、短期滞在は本来、中長期滞在を予定する在留資格ではありません。

そのため、入国時の目的、その後結婚に至った経緯、国内で変更を求める理由を、矛盾なく説明する必要があります。

7-3.婚姻の実体を具体的に説明する

「日本人の配偶者等」では、法律上の婚姻だけでなく、夫婦としての実体が重要です。

次のような資料を準備することが考えられます。

・質問書
・交際経緯を説明する文書
・写真
・メッセージ履歴
・通話履歴
・渡航記録
・送金記録
・結婚式や親族紹介の資料
・同居予定の住居資料
・生活費の負担関係を示す資料
・双方の家族が婚姻を知っていることを示す資料

特に、短期滞在中に結婚してすぐ変更申請をする場合、交際期間、出会いの経緯、婚姻に至った理由が重要になります。

交際期間が短い場合、オンライン中心の交際である場合、年齢差が大きい場合、言語が十分に通じない場合、過去に離婚歴がある場合などは、より丁寧な説明が必要になります。

7-4.生活の安定性を説明する

日本で夫婦として生活するためには、生活費をどのようにまかなうかも確認されます。

準備する資料としては、次のようなものがあります。

・日本人配偶者の住民税課税証明書
・住民税納税証明書
・源泉徴収票
・給与明細
・在職証明書
・預金通帳の写し
・住居の賃貸借契約書
・同居予定を示す資料

収入が少ない場合でも、直ちに不許可になるわけではありません。

しかし、どこで、誰と、どのように生活するのかを説明できる必要があります。

親族の援助を受ける場合には、援助者の資料を準備することもあります。

8.短期滞在からの変更が難しいケース

短期滞在中に日本人と結婚しても、次のような場合は、国内変更が難しくなる可能性があります。

8-1.婚姻届を出しただけで夫婦の実体が乏しい場合

婚姻届を提出していても、交際経緯や夫婦としての生活実態が不明確な場合は、慎重に審査されます。

たとえば、次のようなケースです。

・出会ってから婚姻までが極端に短い
・会った回数が少ない
・共通言語が乏しい
・結婚に至った理由が説明できない
・親族や友人が婚姻を知らない
・金銭の授受がある
・過去に類似の申請歴がある

このような場合は、形式的な婚姻ではなく、真実の婚姻であることを丁寧に説明する必要があります。

8-2.短期滞在を繰り返して長期滞在している場合

短期滞在を繰り返して、実質的に日本で長く生活しているような場合も注意が必要です。

短期滞在は、中長期在留の代替手段ではありません。

短期滞在を繰り返しながら日本で同居し、生活実態を作っていた場合、在留目的や活動内容について確認されることがあります。

8-3.過去の在留状況に問題がある場合

過去にオーバーステイ、不許可、不交付、退去強制、出国命令、虚偽申請などがある場合は、慎重な対応が必要です。

日本人と結婚したとしても、過去の在留状況が全く問題にならないわけではありません。

過去の事情を隠すのではなく、正確に申告し、現在の事情と今後の生活計画を説明する必要があります。

8-4.必要書類がそろわない場合

短期滞在中は在留期限が短いため、必要書類がそろわないまま期限が迫ることがあります。

特に、外国側の結婚証明書、婚姻要件具備証明書、翻訳、認証、戸籍反映などに時間がかかる場合があります。

資料が不十分なまま申請すると、追加資料を求められたり、不許可になる可能性があります。

その場合は、国内変更にこだわらず、いったん帰国して在留資格認定証明書交付申請を行う方が安全なことがあります。

9.短期滞在から変更する場合に準備したい主な資料

短期滞在から「日本人の配偶者等」への変更を検討する場合、一般的には次のような資料を準備します。

・在留資格変更許可申請書
・写真
・パスポート
・在留カード又は短期滞在の証印・上陸許可証印の確認資料
・日本人配偶者の戸籍謄本
・婚姻届受理証明書
・外国側の結婚証明書
・外国語書類の日本語訳
・質問書
・身元保証書
・日本人配偶者の住民票
・日本人配偶者の住民税課税証明書
・納税証明書
・在職証明書、源泉徴収票、給与明細など
・住居に関する資料
・交際経緯を示す資料
・写真、メッセージ履歴、通話履歴、渡航記録など
・短期滞在から変更する理由書

在留資格「日本人の配偶者等」の提出書類では、日本人配偶者の戸籍謄本、外国機関発行の結婚証明書、日本での滞在費用を証明する資料、質問書、身元保証書、住民票などが案内されています。
(出典:在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

短期滞在から変更する場合は、通常の「日本人の配偶者等」の資料に加え、なぜ国内で変更する必要があるのかを説明する理由書が重要になります。

10.帰国して認定申請をした方がよいケース

短期滞在中に結婚した場合でも、次のような場合は、いったん帰国して在留資格認定証明書交付申請を行う方が適していることがあります。

・短期滞在の期限が迫っている
・外国側の結婚証明書が間に合わない
・婚姻届を出したばかりで戸籍に反映されていない
・交際経緯資料を整理する時間が必要
・収入資料、住居資料が不足している
・短期滞在から国内変更する特別な事情を説明しにくい
・過去の在留状況に問題があり、慎重に資料を整える必要がある
・一度帰国しても夫婦生活に大きな支障がない

在留資格認定証明書交付申請は、外国人配偶者を海外から呼び寄せるための通常の手続です。

無理に短期滞在から変更申請をして不許可になるよりも、帰国後に資料を整えて申請した方が、結果的に安定した申請になる場合があります。

11.短期滞在から変更を検討すべきケース

一方で、次のような事情がある場合には、国内での変更を検討する余地があります。

・既に日本で婚姻が成立している
・戸籍や婚姻届受理証明書など婚姻資料が整っている
・外国側の結婚証明書も準備できる
・夫婦としての実体を十分に説明できる
・日本人配偶者の収入、住居、生活基盤がある
・妊娠、出産、病気、介護などの事情がある
・帰国すると夫婦生活や生活設計に大きな支障がある
・在留期限内に申請できる
・過去の在留状況に大きな問題がない

ただし、このような事情がある場合でも、許可が保証されるわけではありません。

短期滞在からの変更は、あくまで例外的な取扱いです。

12.「結婚したから大丈夫」と考えないことが重要

短期滞在中に結婚した場合に最も注意すべきなのは、「日本人と結婚したのだから、当然に在留資格がもらえる」と考えてしまうことです。

実際には、次の3つを分けて考える必要があります。

1.法律上、婚姻が成立しているか
2.夫婦としての実体があるか
3.短期滞在から国内で在留資格変更を認めるべき事情があるか

この3つは、それぞれ別の問題です。

婚姻届が受理されていても、夫婦としての実体が乏しければ不許可になる可能性があります。

夫婦としての実体があっても、短期滞在からの国内変更を認める特別な事情が乏しければ、いったん帰国して認定申請を行うべきと判断される可能性があります。

したがって、短期滞在中に結婚した場合には、婚姻手続きだけでなく、在留資格手続きの流れを早めに確認することが重要です。

13.行政書士に相談する際に準備しておきたい資料

短期滞在中に結婚し、「日本人の配偶者等」への変更を検討する場合、相談時には次の資料を準備するとよいでしょう。

・外国人配偶者のパスポート
・短期滞在の上陸許可証印が分かるページ
・在留期限が分かる資料
・日本人配偶者の戸籍謄本
・婚姻届受理証明書
・外国側の結婚証明書
・外国語書類の日本語訳
・日本人配偶者の住民票
・住民税課税証明書、納税証明書
・在職証明書、源泉徴収票、給与明細
・住居資料
・交際経緯を説明できる資料
・写真、メッセージ履歴、通話履歴
・過去の来日歴が分かる資料
・帰国予定航空券の有無
・国内変更を希望する理由

特に、在留期限が迫っている場合には、時間が限られます。

短期滞在からの変更を検討するか、一度帰国して認定申請を行うかを、早めに判断する必要があります。

14.まとめ

短期滞在で来日中に日本人と結婚した場合でも、それだけで当然に在留資格「日本人の配偶者等」へ変更できるわけではありません。

短期滞在は、観光、親族訪問、短期商用などを目的とした短期間の在留資格です。

入管法上、短期滞在から他の在留資格への変更は、「やむを得ない特別の事情」に基づくものでなければ許可しないものとされています。

そのため、原則としては、いったん帰国し、日本側で在留資格認定証明書交付申請を行い、在外公館で査証を取得してから来日する流れになります。

一方で、婚姻が成立しており、夫婦としての実体があり、国内で変更すべき特別な事情がある場合には、短期滞在から「日本人の配偶者等」への変更を検討できることがあります。

ただし、国内変更は例外的な取扱いです。

短期滞在中に結婚した場合には、次の点を確認することが重要です。

・日本で婚姻が有効に成立しているか
・日本人配偶者の戸籍に婚姻事実が記載されているか
・外国側の結婚証明書を準備できるか
・夫婦としての実体を説明できるか
・日本での生活費や住居を説明できるか
・短期滞在から国内変更を求める特別な事情があるか
・在留期限内に申請できるか
・一度帰国して認定申請を行う方が適切ではないか

短期滞在中の結婚と在留資格変更は、婚姻手続きと入管手続きが重なるため、判断を誤りやすい分野です。

「結婚したから大丈夫」と考えるのではなく、婚姻の成立、夫婦の実体、短期滞在から変更する理由、必要資料の準備状況を整理したうえで、慎重に手続きを進めることが大切です。

参考資料・出典

在留資格「短期滞在」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
出入国審査・在留審査Q&A 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格一覧表 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「日本人の配偶者等」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格「日本人の配偶者等」・外国人の方が日本人の配偶者である場合 出入国在留管理庁ウェブサイトより
在留資格認定証明書交付申請 出入国在留管理庁ウェブサイトより
国際結婚、海外での出生等に関する戸籍Q&A 法務省ウェブサイトより
婚姻届 横浜市ウェブサイトより
出入国管理及び難民認定法 e-Gov法令検索より

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