外国人が日本で事業を始める場合、個人事業として行う方法と、会社を設立して行う方法があります。
どちらを選ぶかは、税務、信用、資金調達、取引先、許認可などにも関係しますが、在留資格申請の観点からも違いがあります。
この記事では、個人事業と会社設立の違いを、在留資格「経営・管理」の視点から整理します。
個人事業でも経営・管理は検討できるか
経営・管理ビザは、必ず会社を設立しなければならない在留資格というわけではありません。
外国人が日本で事業を起こし、経営または管理に実質的に参画する場合には、法人か個人事業かにかかわらず「経営・管理」が問題になります。ただし、事業所の確保、事業規模、事業の継続性などの要件を満たす必要があります。
もっとも、実務上は、会社設立の方が事業実態や資金規模を説明しやすい場合があります。
法人と個人事業の違い
大きな違いは次のとおりです。
| 項目 | 会社設立 | 個人事業 |
|---|---|---|
| 事業主体 | 法人 | 個人 |
| 登記 | 会社登記あり | 商業登記なし |
| 資本金等 | 資本金・出資額で説明 | 事業に投下された財産で説明 |
| 信用力 | 取引先に説明しやすい場合がある | 事業内容により異なる |
| 税務 | 法人税等 | 所得税等 |
| 社会保険 | 法人は原則加入対象 | 状況により異なる |
| 事業承継 | 法人の方が整理しやすい | 個人に依存しやすい |
経営・管理の基準では、法人の場合は資本金等、個人事業の場合は事業所確保、職員給与、設備投資など、事業を営むために投下されている総額が確認されます。
個人事業で注意すべき点
個人事業で経営・管理を検討する場合、次の点をより丁寧に説明する必要があります。
- 事業所が確保されているか
- 事業用資金が十分か
- 事業の実体を示せるか
- 取引先があるか
- 売上見込みがあるか
- 許認可が必要か
- 家計と事業資金を区分できるか
- 経営者本人の役割が明確か
個人事業では、法人登記がない分、事業の実体を示す資料が特に重要になります。
会社設立で注意すべき点
会社設立をする場合でも、注意点があります。
- 資本金等の基準を満たすか
- 常勤職員の要件を満たすか
- 事業所が確保されているか
- 設立目的と実際の事業が一致しているか
- 代表者として実質的に経営しているか
- 税務署・年金事務所等への届出を行っているか
- 許認可が必要な場合に取得しているか
会社設立は有力な選択肢ですが、設立登記だけで経営・管理ビザが認められるわけではありません。
どちらを選ぶべきか
どちらが適しているかは、事業内容、資金規模、取引先、将来計画によって異なります。
たとえば、次のような場合は会社設立を検討しやすいです。
- 取引先が法人を求める
- 従業員を雇用する予定がある
- 資本金や出資者を明確にしたい
- 事業拡大を予定している
- 許認可上、法人が有利である
一方、小規模な専門サービスや個人の技能・経験を中心とする事業では、個人事業として検討することもあります。
ただし、在留資格申請では、どちらの場合でも、事業の継続性・安定性を説明できることが重要です。
よくある注意点
個人事業と会社設立では、次のような点に注意が必要です。
- 会社設立すれば必ず在留資格が取れると考えている
- 個人事業でも簡単に認められると考えている
- 事業資金と生活費が混在している
- 事務所が事業用として説明できない
- 取引先や売上見込みが不明確
- 許認可を確認していない
- 税務・社会保険の手続きを理解していない
- 経営者本人の役割が不明確
まとめ
外国人が日本で事業を行う場合、個人事業と会社設立のどちらを選ぶかは、在留資格申請にも影響します。
会社設立は事業主体や資本金を説明しやすい一方、設立登記だけでは足りません。
個人事業でも経営・管理を検討できる場合がありますが、事業実態や投下資金を丁寧に説明する必要があります。
どちらの場合でも重要なのは、事業所、資金、事業計画、事業の継続性、経営者本人の実質的な関与です。
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