在留資格申請では、在留資格に該当するか、必要な基準を満たしているかだけでなく、許可してよい事情があるかが確認されることがあります。
この考え方を「相当性」といいます。
特に、すでに日本にいる外国人が在留資格を変更する場合や、在留期間を更新する場合には、これまでの在留状況、活動実態、納税、届出義務の履行なども重要になります。
この記事では、相当性とは何か、どのような事情が確認されるのかを、申請する方の目線で分かりやすく整理します。
相当性とは
相当性とは、申請内容について、許可することが適当といえる事情があるかを確認する考え方です。
在留資格変更許可申請では、申請に係る活動が虚偽でなく、入管法上の活動または身分・地位に該当し、かつ在留資格の変更を適当と認めるに足りる相当の理由があることが審査基準とされています。
また、在留期間更新許可申請でも、在留期間の更新を適当と認めるに足りる相当の理由があることが審査基準として示されています。
相当性は変更・更新で特に重要
相当性は、特に日本にすでに在留している方の変更申請・更新申請で重要になります。
なぜなら、変更・更新では、これからの活動だけでなく、これまで日本でどのように在留してきたかも見られるためです。
| 確認されやすい事情 | 内容 |
|---|---|
| 在留状況 | これまで適正に在留してきたか |
| 活動実態 | 現在の在留資格に合った活動をしていたか |
| 納税状況 | 住民税などを適正に納付しているか |
| 社会保険 | 年金・健康保険の状況 |
| 届出義務 | 転職、退職、離婚、住所変更などの届出 |
| 素行 | 法令違反、交通違反、資格外活動違反など |
| 生活基盤 | 収入、住居、扶養能力など |
該当性・適合性・相当性の違い
相当性は、該当性や基準適合性とは別の考え方です。
| 判断軸 | 確認すること |
|---|---|
| 該当性 | その在留資格に当たる活動・身分か |
| 基準適合性 | 学歴・職歴・報酬などの基準を満たすか |
| 相当性 | 許可してよい在留状況・事情があるか |
たとえば、留学生が就職する場合を考えると、次のようになります。
| 判断軸 | 確認例 |
|---|---|
| 該当性 | 就職先の業務が技人国に当たるか |
| 基準適合性 | 本人の学歴と業務内容が関連するか |
| 相当性 | 留学生としての在学状況や資格外活動違反の有無 |
同じ就職先、同じ仕事内容でも、これまでの在留状況によって注意点が変わることがあります。
相当性が問題になりやすいケース
次のような場合には、相当性の説明が重要になることがあります。
| ケース | 注意点 |
|---|---|
| 転職した | 届出、転職後の業務内容、空白期間 |
| 退職期間が長い | その間の生活状況、今後の予定 |
| 収入が下がった | 一時的なものか、生活基盤に問題ないか |
| 会社が赤字 | 事業継続の見込み |
| 夫婦が別居している | 別居理由、婚姻実体 |
| 税金の納付遅れがある | 納付状況、改善状況 |
| 留学生の出席率が低い | 理由、改善状況 |
| 資格外活動の時間超過 | 違反内容、今後の対応 |
相当性に関わる事情がある場合、申請書だけでは十分に伝わらないことがあります。
その場合には、理由書や説明書で事実関係を整理することが重要です。
不利な事情は隠すより整理する
相当性に関わる事情がある場合、「不利なことは書かない方がよい」と考える方もいます。
しかし、申請内容と実態にずれがある場合や、後から資料で明らかになる事情がある場合、説明しないことでかえって信頼性を損なうことがあります。
たとえば、次のような場合です。
- 転職後の届出が遅れた
- 収入が一時的に下がった
- 夫婦が一時的に別居している
- 税金の納付が遅れたが、現在は納付済み
- 学校の出席率が一時的に低下した
このような場合には、事情が生じた理由、現在の状況、改善済みであること、今後の見通しを整理することが大切です。
相当性を説明する資料
相当性に関する資料には、次のようなものがあります。
| 事情 | 資料の例 |
|---|---|
| 転職・退職 | 退職証明書、雇用契約書、届出控え |
| 収入変動 | 給与明細、課税証明書、説明書 |
| 納税 | 納税証明書、領収書、納付済み資料 |
| 社会保険 | 年金・保険料の納付資料 |
| 別居 | 住民票、別居理由書、連絡記録 |
| 会社赤字 | 決算書、改善計画、取引資料 |
| 学業不振 | 出席証明書、成績証明書、説明書 |
資料を提出する際は、不利な事情を隠すのではなく、事実関係を正確に整理し、改善状況や今後の見通しを説明することが重要です。
よくある誤解
相当性については、次のような誤解があります。
- 要件を満たせば必ず許可されると思っている
- 更新申請は毎回自動的に通ると思っている
- 転職・退職の届出漏れを軽く考えている
- 税金や年金の問題は入管申請と関係ないと思っている
- 別居や収入減少を説明しなくてもよいと思っている
- 口頭で説明すれば十分だと思っている
変更・更新申請では、現在の状況だけでなく、これまでの在留状況も見られることがあります。
相当性に関係する事情は、申請前に整理し、必要に応じて資料と理由書で補足することが大切です。
まとめ
相当性とは、在留資格の変更や更新を許可してよい事情があるかを確認する考え方です。
該当性や基準適合性があっても、在留状況、活動実態、納税、社会保険、届出義務、素行、生活基盤などに問題がある場合、審査に影響することがあります。
変更・更新申請では、自分の状況を早めに整理し、必要に応じて理由書や資料で説明することが大切です。
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