Ⅵ-10.外食業で特定技能外国人を雇用する場合の注意点

Ⅵ 特定技能・育成就労・技能実習・登録支援

外食業は、特定技能制度の中でも受入れが多い分野の一つです。

飲食店、レストラン、食堂、給食事業、持ち帰り飲食サービス、配達飲食サービスなど、幅広い事業者が関係します。

一方で、外食業分野では、対象業務の範囲、食品衛生、接客、調理、店舗運営、協議会加入、支援体制、転職、在留期間更新など、確認すべき事項が多くあります。

さらに、2026年4月13日以降、外食業分野では、特定技能1号の新規受入れについて、在留資格認定証明書交付申請の一時的な交付停止措置が取られています。

企業からは、次のような相談を受けることがあります。

・外食業では、どのような仕事を任せられますか
・ホールだけ、調理だけでもよいですか
・コンビニや食品工場は外食業に入りますか
・外食業分野で新たに特定技能外国人を呼べますか
・外食業の技能実習から特定技能へ移行できますか
・外食業の協議会加入はいつ必要ですか
・既に外食業の特定技能1号で働いている外国人の更新や転職はできますか
・外食業2号への移行は可能ですか

外食業分野は、現場では使いやすい制度に見えますが、2026年時点では受入れ上限に関する措置があり、新規受入れや変更申請には特に注意が必要です。

この記事では、外食業で特定技能外国人を雇用する場合の対象業務、企業側の準備、協議会、支援、受入れ停止措置、更新・転職の注意点を解説します。

外食業分野とは

外食業分野は、飲食物を調理し、客に飲食させる又は調理した飲食物を提供する外食サービスに関わる分野です。

農林水産省は、外食業分野における外国人材の受入れについて、制度、試験、協議会、重要なお知らせを公式ページで案内しています。
(出典:外食業分野における外国人材の受入れについて、農林水産省ウェブサイトより)

外食業分野に該当するかどうかは、会社名や店舗名だけでなく、実際の事業内容と外国人が従事する業務内容によって確認します。

外食業で従事できる主な業務

外食業分野の特定技能外国人は、外食業全般の業務に従事します。

主な業務には、次のようなものがあります。

・飲食物調理
・接客
・店舗管理
・原材料の仕入れ
・配膳
・下膳
・清掃
・レジ対応
・予約管理
・衛生管理
・デリバリー関連業務
・持ち帰り飲食サービスに関する業務

外食業では、調理、接客、店舗管理などを一体的に行うことが多くあります。

ただし、対象業務から外れる仕事を主たる業務にすることはできません。

たとえば、外食企業の本社で経理、人事、営業企画だけを行う場合は、外食業分野の特定技能の対象業務とはいえません。

付随業務と対象外業務

特定技能外国人は、試験等により技能を有すると確認された業務のほか、その業務に従事する日本人が通常従事する関連業務に付随的に従事することができます。

出入国在留管理庁のQ&Aでも、特定技能の試験等により有すると認められた技能を必要とする業務のほか、当該業務に従事する日本人が通常従事する関連業務に付随的に従事させることができるとされています。
(出典:特定技能制度に関するQ&A、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

ただし、付随業務が主たる業務になってはいけません。

たとえば、次のような配置には注意が必要です。

・本社事務のみ
・倉庫作業のみ
・チラシ配布のみ
・清掃だけを主たる業務にする
・別会社の店舗へ常時応援に出す
・対象外事業の業務を行わせる

店舗現場で日本人従業員も通常行う範囲の付随作業であれば認められる余地がありますが、主たる業務が外食業の対象業務であることが必要です。

外食業に該当しない可能性がある事業

外食業と似ている業種でも、別分野に該当する場合があります。

たとえば、次のような場合です。

・食品工場で弁当や惣菜を製造する
・食品製造ラインで作業する
・飲食料品製造業分野に該当する可能性がある
・コンビニエンスストアの小売業務
・小売業や配送業が主たる業務となる
・ホテル内レストランの場合、宿泊分野との関係を確認する必要がある

外食業か飲食料品製造業か、宿泊分野か、別の分野かは、事業形態と業務内容で判断します。

分野を誤ると、試験区分や必要書類が合わず、申請に影響します。

外食業技能測定試験と日本語能力

外食業分野で特定技能1号となるには、原則として、外食業技能測定試験に合格する必要があります。

また、日本語能力については、国際交流基金日本語基礎テスト又は日本語能力試験N4以上などで確認されます。

技能実習2号を良好に修了している場合、日本語試験が原則免除されることがあります。

技能試験については、技能実習の職種・作業と外食業分野の業務との関連性が認められる場合に免除されることがあります。
(出典:特定技能制度に関するQ&A、出入国在留管理庁ウェブサイトより)

外食業では、接客、衛生管理、調理、安全管理など、日本語での意思疎通も実務上重要です。

試験要件を満たしていても、店舗で安全に働けるよう、日本語支援を継続することが大切です。

食品衛生と安全管理

外食業では、食品衛生が非常に重要です。

外国人本人が、次の事項を理解できるようにする必要があります。

・手洗い
・清潔な服装
・異物混入防止
・アレルギー対応
・食材の保存
・加熱、冷却
・賞味期限、消費期限
・まな板、包丁等の使い分け
・清掃、消毒
・食中毒防止
・体調不良時の報告

外食業の特定技能外国人には、単に人手として働いてもらうのではなく、食品を扱う労働者としての衛生教育が必要です。

生活オリエンテーションとは別に、店舗内の衛生ルールを本人が理解できる言語で説明することが望ましいです。

接客・クレーム対応

外食業では、接客業務も重要です。

外国人本人が接客を担当する場合、次のような内容を確認します。

・注文の受け方
・会計
・予約対応
・アレルギー確認
・禁煙、喫煙ルール
・お客様からの苦情対応
・トラブル時の責任者への連絡
・ハラスメントを受けた場合の相談先

外国人が一人で困難な対応を抱え込まないよう、現場責任者がフォローする体制を作る必要があります。

労働時間とシフト管理

外食業は、営業時間が長く、シフト制、深夜勤務、休日勤務が発生しやすい業種です。

特定技能外国人にも労働基準法等が適用されます。

企業は、次の点を確認します。

・所定労働時間
・休憩時間
・休日
・時間外労働
・深夜割増賃金
・休日割増賃金
・有給休暇
・シフト変更
・複数店舗での勤務
・労働時間の記録

人手不足を理由に長時間労働が常態化すると、更新時や定期面談で問題になります。

登録支援機関へ委託している場合でも、労働時間管理は受入れ企業の責任です。

報酬は日本人と同等以上

外食業分野でも、特定技能外国人の報酬は、日本人が同等の業務に従事する場合の報酬額と同等以上である必要があります。

最低賃金を超えているだけでは十分ではありません。

確認すべき点は、次のとおりです。

・同じ店舗の日本人従業員の給与
・経験年数
・担当業務
・役職
・シフト条件
・深夜手当
・残業代
・賞与
・住居費等の控除

外国人だけ低い給与、外国人だけ手当なし、外国人だけ寮費が高い、といった取扱いは問題になります。

食品産業特定技能協議会への加入

外食業分野で特定技能外国人を受け入れる企業は、食品産業特定技能協議会への加入が必要です。

農林水産省の食品産業特定技能協議会のページでは、外食業分野における受入れ停止措置後も協議会加入申請は受け付けるものの、審査には2〜3か月程度を要し、加入証明書が発行された場合でも受入れができない場合があると案内されています。
(出典:食品産業特定技能協議会について、農林水産省ウェブサイトより)

協議会加入は、申請直前に慌てて行うと間に合わないことがあります。

特に外食業では、受入れ停止措置の影響もあるため、協議会加入と在留申請の関係を慎重に確認する必要があります。

2026年4月13日以降の受入れ停止措置

外食業分野では、特定技能1号在留者数が受入れ見込み数である5万人を超えることが見込まれる状況となり、2026年4月13日以降、在留資格認定証明書交付申請について、不交付とする措置が取られています。

また、同日以降に受理された特定技能1号外食業分野への在留資格変更許可申請についても、原則として不許可とされています。
(出典:外食業分野における外国人材の受入れについて、農林水産省ウェブサイトより)

ただし、例外的に通常どおり審査される又は受入れ見込数の範囲内で順次許可される場合があります。

主な例は、次のとおりです。

・既に外食業分野の特定技能1号として在留する方の転職等に伴う申請
・技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」を修了し、外食業分野へ移行する方
・既に外食業分野の特定活動「特定技能1号移行準備」の許可を受けている方

また、在留期間更新許可申請は通常どおり審査されます。

外食業分野で新規受入れを検討する場合は、必ず最新の公式情報を確認してください。

外食業での転職

外食業分野で既に特定技能1号として在留している外国人が、外食業分野内で転職する場合は、2026年4月13日以降の受入れ停止措置中でも、通常どおり審査される取扱いが示されています。

ただし、転職には在留資格変更許可申請が必要です。

新しい店舗で働き始めることができるのは、変更許可後です。

転職先企業は、次の点を確認します。

・外食業分野の対象事業者か
・担当業務が外食業分野の対象業務か
・食品産業特定技能協議会への加入
・雇用契約
・報酬水準
・支援計画
・登録支援機関
・地方自治体への協力確認書
・許可前就労の防止

「外食業同士の転職だから届出だけでよい」と考えるのは誤りです。

外食業での在留期間更新

既に外食業分野の特定技能1号として在留している外国人の在留期間更新許可申請は、受入れ停止措置中でも通常どおり審査されます。

更新時には、次の点が確認されます。

・同じ店舗又は事業所で就労しているか
・業務内容が対象業務に該当しているか
・報酬が適正に支払われているか
・労働時間に問題がないか
・支援計画が実施されているか
・定期面談を実施しているか
・届出を行っているか
・協議会加入を維持しているか
・本人の税金、社会保険に問題がないか

外食業では店舗異動やシフト変更が多いため、雇用契約や届出との整合性に注意します。

外食業2号への移行

外食業分野は、特定技能2号の対象分野です。

外食業2号では、特定技能1号より高い技能と実務経験が求められます。

また、外食業2号技能測定試験に関する取扱いや、1号在留期間の通算に関する措置も設けられています。

農林水産省の外食業ページでは、外食業2号技能測定試験に不合格となった1号特定技能外国人に関する通算在留期間に係る措置について案内されています。
(出典:外食業分野における外国人材の受入れについて、農林水産省ウェブサイトより)

長期的に雇用したい場合は、1号の在留期間満了直前ではなく、早い段階から2号移行の可能性を確認します。

店舗異動・複数店舗勤務

外食業では、複数店舗を運営している企業が多くあります。

店舗異動や応援勤務を行う場合は、次の点を確認します。

・雇用契約上の就業場所
・実際の勤務店舗
・支援計画上の住居、相談体制
・通勤時間
・生活環境
・労働時間管理
・協議会や届出への影響
・自治体への協力確認書

店舗が変わることで、住居地、通勤、支援担当者、相談先が変わることがあります。

単なるシフト調整と考えず、在留資格上・支援上の影響を確認します。

外食業で企業が準備すべきこと

外食業で特定技能外国人を受け入れる企業は、次の準備を行います。

・対象事業か確認する
・担当業務を整理する
・外食業技能測定試験の合格を確認する
・日本語能力を確認する
・技能実習修了による試験免除の可否を確認する
・雇用契約を作成する
・報酬を日本人同等以上に設定する
・食品衛生教育を行う
・接客・クレーム対応体制を整える
・支援計画を作成する
・登録支援機関を選定する
・食品産業特定技能協議会へ加入する
・自治体へ協力確認書を提出する
・受入れ停止措置の影響を確認する
・更新・転職・2号移行を見据える

外食業では、人手不足への対応だけでなく、食品衛生、安全、接客、地域生活支援まで含めた体制が必要です。

まとめ

外食業分野は、特定技能制度の中でも受入れが多い分野ですが、2026年時点では受入れ上限に関する停止措置があり、新規受入れには特に注意が必要です。

この記事のポイントを整理すると、次のとおりです。

・外食業分野では、飲食物調理、接客、店舗管理などの業務に従事できる
・対象業務に付随する業務は可能だが、対象外業務を主たる業務にすることはできない
・食品工場や小売業など、外食業以外の分野に該当する場合がある
・外食業技能測定試験と日本語能力の確認が必要である
・食品衛生、接客、労働時間管理が重要である
・報酬は日本人と同等以上でなければならない
・食品産業特定技能協議会への加入が必要である
・2026年4月13日以降、外食業分野の特定技能1号の新規受入れには停止措置がある
・既に外食業分野の特定技能1号として在留する方の更新は通常どおり審査される
・既に外食業分野で在留する方の転職等に伴う申請も通常どおり審査される
・技能実習「医療・福祉施設給食製造作業」修了者など、一部例外的な取扱いがある
・外食業は特定技能2号の対象分野である
・店舗異動や複数店舗勤務では、支援計画や届出への影響を確認する

外食業で特定技能外国人を雇用する場合は、制度上の要件だけでなく、現場での食品衛生、接客、労務管理、支援体制を整えることが重要です。

特に2026年時点では、受入れ停止措置の影響が大きいため、新規受入れ、転職、更新、技能実習からの移行を分けて確認する必要があります。

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参考資料・出典

外食業分野における外国人材の受入れについて 農林水産省ウェブサイトより
食品産業特定技能協議会(飲食料品製造業分野・外食業分野)について 農林水産省ウェブサイトより
在留資格「特定技能」 出入国在留管理庁ウェブサイトより
特定技能制度 出入国在留管理庁ウェブサイトより
特定技能制度に関するQ&A 出入国在留管理庁ウェブサイトより
通算在留期間 出入国在留管理庁ウェブサイトより