外国人社員を継続して雇用する会社にとって、在留期限の管理は非常に重要です。
外国人社員本人が在留期間更新許可申請を行う場合でも、会社が期限を把握していなければ、更新準備が遅れたり、必要な会社資料を用意できなかったりすることがあります。
更新等の必要な申請をしないまま在留期限を過ぎてしまうと、本人にとって大きな問題になるだけでなく、会社にとっても雇用継続上のリスクになります。
この記事では、外国人社員の在留期限を会社で管理する方法を整理します。
1. 在留期限管理が必要な理由
外国人社員は、在留カードに記載された在留期限まで日本に在留することができます。
引き続き同じ在留資格で勤務する場合には、在留期間満了前に在留期間更新許可申請を行う必要があります。出入国在留管理庁は、在留期間更新許可申請について、現在の在留資格を変更せず、在留期間を超えて引き続き在留を希望する場合の申請と説明しています。
会社が期限を把握していないと、次のような問題が生じる可能性があります。
- 更新申請の準備が遅れる
- 会社資料の準備が間に合わない
- 在留期限直前に本人が慌てる
- 更新結果が出る前に期限が来る
- 在留資格上のリスクに気づくのが遅れる
在留期間そのものの考え方については、「在留期間とは?1年・3年・5年の違いと更新時の考え方」もあわせてご参照ください。
2. 更新申請は概ね3か月前から準備する
在留期間更新許可申請は、在留期間満了日以前に行う必要があります。6か月以上の在留期間を有する場合は、在留期間満了のおおむね3か月前から申請できます。
なお、出入国在留管理庁は現在、在留カードまたは特定在留カードを所持している方が在留期間内での許可を希望する場合、一定の例外を除き、在留期間満了日の3か月前から45日前までの申請に努めるよう案内しています。
45日前が法令上の申請期限という意味ではありませんが、在留期限直前まで待たず、余裕をもって申請することが重要です。
出入国在留管理庁「在留期間内での変更又は更新許可を希望する場合について」
会社としては、申請可能時期に入ってから慌てるのではなく、少なくとも次のようなスケジュールで管理すると実務上安心です。
| 時期 | 会社側の対応 |
|---|---|
| 期限6か月前 | 対象者リストを確認 |
| 期限4か月前 | 本人へ更新時期を案内 |
| 期限3か月前 | 申請準備開始、会社資料を用意 |
| 期限2か月前 | 申請状況を確認 |
| 期限1か月前 | 追加資料・結果通知の確認 |
| 許可後 | 新しい在留カードの内容を確認 |
会社側で準備する資料については、「外国人社員の在留期間更新で会社が準備すべき書類」で詳しく解説しています。
3. 管理台帳に記録する項目
会社で在留期限を管理する場合、外国人社員ごとの管理台帳を作成しておくと便利です。
| 管理項目 | 内容 |
|---|---|
| 氏名 | 在留カード表記に合わせる |
| 国籍・地域 | 在留カードの記載 |
| 在留資格 | 技人国、特定技能、永住者など |
| 在留期限 | 期限日 |
| 在留期間 | 1年、3年、5年など |
| 就労制限 | 就労制限の有無 |
| 資格外活動許可 | 必要に応じて確認 |
| 所属部署 | 現在の配属先 |
| 職務内容 | 在留資格との関係を確認 |
| 更新予定日 | 社内管理上の目安 |
| 申請状況 | 未着手、準備中、申請済、許可済 |
| 新カード確認日 | 許可後の確認日 |
在留カードのコピーを保管する場合は、個人情報として適切に管理する必要があります。
外国人社員が複数いる企業では、在留期限だけでなく、職務内容、異動、届出、更新状況なども含めた社内管理体制を整えておくことが重要です。
詳しくは、「外国人雇用を継続する企業が整えておきたい社内管理体制」もご参照ください。
4. 在留カードの原本確認とコピー管理
在留期限を管理するために、会社が在留カードの写しを保管することがあります。
ただし、在留カードには個人情報が含まれています。
保管する場合には、利用目的を明確にし、閲覧できる担当者を限定し、退職後の保管期間や廃棄ルールも決めておくことが望ましいです。
会社としては、次のようなルールを整えるとよいでしょう。
- 入社時に原本を確認する
- コピーを取る場合は本人に利用目的を説明する
- 管理台帳に在留期限を記録する
- 更新後は新しい在留カードを確認する
- 古いコピーの扱いを決めておく
- アクセスできる担当者を限定する
外国人採用時の在留カードの具体的な確認方法については、「Ⅰ-11. 外国人採用で在留カードを確認する際の注意点」で解説しています。
2026年6月14日以降の在留カードに注意
2026年6月14日から、新様式の在留カードと、在留カードとマイナンバーカードの機能を一体化した**「特定在留カード」**の制度が始まりました。
従来の在留カードについても新様式となり、券面記載事項が変更されています。
特定在留カードは、在留カードとマイナンバーカードの機能を1枚のカードで果たすことができるものです。
そのため、会社が外国人社員の在留資格や在留期限を確認する目的で特定在留カードを取り扱う場合には、在留資格管理に必要のないマイナンバーまで取得・保管しないよう注意が必要です。
個人情報保護委員会も、番号法で定められた場合以外に個人番号をコピーすることは、特定個人情報の収集・保管制限に違反する可能性があると案内しています。
個人情報保護委員会「身分証明書の写しとして、顧客の個人番号カードをコピーしてもよいですか」
特定在留カードと企業の確認方法については、「在留カードとマイナンバーカードが一体化|特定在留カードとは?申請は必要?」で詳しく解説しています。
5. 申請中に期限が来る場合の特例期間
在留期間満了前に在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請を行い、期限までに結果が出ない場合、一定の特例期間が認められることがあります。
出入国在留管理庁は、在留期間更新許可申請等を行った場合、処分がされる時または在留期間満了日から2か月が経過する日のいずれか早い時まで、従前の在留資格で在留し、従前の活動を行うことができると説明しています。
窓口で在留期間更新許可申請等を行った場合は、在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請欄」に申請中であることが記載されます。
一方、オンラインで申請した場合は、在留カード裏面に「申請中」の印は押されません。 オンライン申請の場合は、在留カードに加えて、申請受付番号等が記載された受付完了メールによって申請中であることを確認します。
出入国在留管理庁「オンライン申請を行った場合に申請中(特例期間を含む)であることを証明することについて」
会社が外国人社員の在留期限を確認する際にも、在留カード表面の期限だけを見て判断せず、更新申請の有無や申請方法を確認することが重要です。
特例期間については、「在留資格申請中に在留期限が来た場合の扱い」でも詳しく解説しています。
6. 在留期限管理と職務内容管理はセットで行う
在留期限だけを管理しても十分ではありません。
特に就労系在留資格では、現在の職務内容が在留資格に合っているかも確認する必要があります。
たとえば、次のような事情がある場合には、更新前に整理が必要です。
- 転職後初めての更新
- 部署異動があった
- 職務内容が変わった
- 収入が大きく下がった
- 会社が赤字になった
- 雇用契約期間が短い
- 派遣先・勤務場所が変わった
更新申請では、単に在留期限を延ばすだけでなく、現在の活動の継続性が確認されます。
ただし、上記の事情が一つあるだけで、直ちに在留期間の更新が不許可になるという意味ではありません。
出入国在留管理庁のガイドラインでは、在留期間の更新について、申請者の行おうとする活動、在留の状況、在留の必要性等を総合的に勘案して判断するとされています。
出入国在留管理庁「在留資格の変更、在留期間の更新許可のガイドライン」
したがって、会社の業績、報酬、雇用期間、異動などに変化がある場合には、その事情だけで結論を出すのではなく、現在の在留資格、実際の職務内容、雇用の継続性などを含めて確認する必要があります。
7. よくある注意点
在留期限管理では、次のようなミスが起こりやすいです。
- 本人任せで会社が期限を把握していない
- 在留期限と雇用契約期間を混同している
- 更新申請の3か月前まで何も準備していない
- 新しい在留カードを確認していない
- 申請中の特例期間を誤解している
- 部署異動後の職務内容を確認していない
- 在留カードコピーを適切に管理していない
また、外国人を雇い入れた場合や離職した場合には、在留期間更新とは別に、外国人雇用状況の届出が必要となります。
詳しくは、「Ⅰ-18.外国人雇用状況届出とは?会社が忘れてはいけない届出」をご参照ください。
在留期限管理・在留期間更新でお困りの企業担当者の方へ
外国人社員の在留期限管理では、単に在留期限の日付を確認するだけでなく、
- 更新時に会社がどの資料を準備すべきか
- 現在の職務内容が在留資格と整合しているか
- 部署異動や職務変更が更新に影響しないか
- 転職後初めての更新でどのような点に注意するか
- 在留期限までに審査結果が出ない場合にどう確認するか
- 在留カードや特定在留カードを会社でどのように管理するか
など、個別の状況に応じて確認すべき事項があります。
行政書士TMY総合法務事務所では、外国人を雇用する企業からの在留資格、在留期間更新、外国人雇用管理に関するご相談を承っています。
「在留期限が近いが何を準備すればよいか分からない」「前回の申請から仕事内容や雇用条件が変わっている」「会社として外国人社員の在留期限管理体制を整えたい」などの場合には、お気軽にご相談ください。
まとめ
外国人社員の在留期限管理は、会社が外国人雇用を継続するうえで重要な社内管理項目です。
在留期限を台帳で管理し、期限の数か月前から本人に案内し、会社資料の準備を進めることで、更新手続きの遅れを防ぎやすくなります。
また、在留期限だけでなく、現在の職務内容、勤務先、報酬、雇用条件が在留資格と整合しているかも確認することが大切です。
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